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大和撫子七変化

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第五章


第五章

「そこで遅くなったけれどお昼食べましょう」
「いい場所ですか」
 何故いい店と言わないのかが気になった。しかしであった。
 美奈の笑顔を見るとだ。彼も頷くしかなかった。その前に美奈のミニスカートとそれと水着姿を見てだ。完全に彼女に参ってしまっていた。
 それで言われるまま連れて行かれる。そこは。
「ここって」
「私の家なの」
 マンションだった。雄大の目の前に今度は十階建ての白いマンションがあった。当然その横には美奈も一緒にいる。
「ここの八階よ」
「八階ですか」
「そこで御飯食べましょう」
 こう言ってだった。さらにだった。
「私が作るから」
「先輩がですか」
「私が料理作るとは思わなかった?」
「いえ、それは」
 そこまで考えていないということである。
「そうですか。先輩の」
「いいかしら、私の料理で」
「是非」 
 好きな相手の手料理、それは戦略兵器である。雄大はその戦略兵器にあがらうことはできなかった。何故なら彼も男だからだ。
「御願いします」
「それじゃあね。来て」
「はい、わかりました」
 こうしてだった。言われるままそのマンションの八階に入った。エレベーターでの移動の間もずっと美奈が横にいた。そうしてだった。
 部屋の中はだ。何と誰もいなかった。二人だけだった。
 清楚な何処かログハウスを思わせる部屋の中だった。木の匂いが今にもしそうだ。アンティークな鳩時計にマリモが入った瓶、そういったものが目に入る。
 キッチンに案内されて。美奈はすぐにエプロンを着けてそれからプレーンオムレツにソーセージを茹でたもの、それとサラダをすぐに作ってきた。あっという間にであった。
 それとサンドイッチも出してきた。見ればそれは既に作られていて白い皿の上にあった。中にはハムやレタスに卵があった。
 そういったものを出してからだ。美奈は言った。
「簡単なものだけれど」
「いえ、そんな」
「よかったら食べて」
 こう言って勧めてだ。サンドイッチやオムレツを御馳走する。料理はどれも見事なものだった。しかも量もそれぞれかなりのものだった。
 雄大はその味と量に満足した。それからだった。
 雄大の向かい側に座っている美奈はだ。また言ってきた。
「あのね」
「あのね?」
「今度来て欲しい場所はね」
 何故かだ。ここでは美奈の目は濡れてきていた。
「いいかしら」
「はい、何処ですか?」
「こっちよ」
 美奈は席を立ってだ。彼を案内してきた。
 そこはだ。ベッドのある部屋だった。机や本棚、箪笥もあるがだ。今の雄大の目にはどうしてもベッドが目に入ってしまうのだった。
 その部屋の中に入るとだ。美奈はその着ている服を脱いできた。そのうえでだった。
 下着姿になった。白いブラとショーツだけだ。下着になると余計にその旨もウエストも目に入る。その姿で告げてきたのである。
「わかるわよね」
「まさか・・・・・・」
「そう、まさかよ」
 ここでも彼女の目は濡れていた。
「いいわよね」
「いいわよねって」
「雄大君も」
 こう彼に言うのだった。
「これからね」
「そりゃ俺も」
「それじゃあ来て」
 また告げた。そうしてだった。
 彼の手を持って誘う。これがデートのメインになった。
 ベッドの中でだ。雄大は呆然となっていた。横には美奈がいる。
「はじめてだったの?」
「実は」
「私もだったけれど」
 美奈もこんなことを言ってきた。
 
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