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ハイスクールD×D 雷帝への道程

作者:ユキアン
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悪魔、やってます


side イッセー


私の名前は兵藤一誠。この春まではおっぱいが大好きなただの女子高生だった。あっ、もちろんカッコイイ男の人も大好きだ。でもまあ、女の子も好きだ。そんな私だけど、春先に堕天使に殺されて、先輩で悪魔のリアス先輩に転生悪魔にしてもらった事でなんとか生き長らえる事が出来た。

人間でなくなったのは悲しい事だけど、それでも生きていられたと言う事実に感謝する事にしよう。それに、功績を立てて上級悪魔に昇格出来れば爵位と領地を与えられて自分の眷属を持つ事が許されるそうだ。ハーレムを作っても良いのかと聞くと、そういう悪魔も居るらしい。もうね、やる気が満ちあふれてきたよ。

リアス先輩は呆れていたけど、白音ちゃんに自分たちも人の事を言えないって突っ込まれて顔を反らした。詳しい話を聞くと、リアス先輩の婚約者に無理矢理押し掛けてハーレムを作らせたそうだ。何それ羨ましい。今の所はリアス先輩と朱乃先輩と白音ちゃんのお姉さんの黒歌先輩と白音ちゃんの4人だそうだ。ちなみに白音ちゃんは本来はその婚約者の眷属らしいんだけど、今はリアス先輩に貸し出されているそうだ。

話がズレたけど、とにかく私は悪魔に転生してリアス先輩の眷属となった。そして私を殺した堕天使とその一派を倒したんだけど、更に一人の被害者が出た。教会から追放されたシスターで私の友達、アーシア・アルジェント。

アーシアはどんな相手でも回復させる事が出来る神器、聖女の微笑み(トワイライト・ヒーリング)を持っていてそれを狙った堕天使に奪われて殺されてしまった。そして神器を奪った堕天使は私を殺した堕天使でもあった。

アーシアを殺された怒りから私の神器は覚醒し本来の姿である神滅具(ロンギヌス)赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)に変化した。そしてその力を使って堕天使を倒して神器を奪い返せた。だけど、それだけではアーシアを蘇らせる事は出来なかった。

だけど、そこはリアス先輩があっさりと悪魔の駒を使って転生させてくれた。なんでも、ここでアーシアを見捨てると婚約者が渋い顔をするのが目に見えているそうだ。過去に自分の眷属の為に腕一本を聖剣で切り落とさせる位お人好しな性格の人物なのだそうだ。

まあ、切り落とした腕も後から生やしたそうだけど。普通は生やせるからって簡単に腕を切り落とそうとは考えられないよね。何処かズレている人だと思った私は悪くないと思う。

だけど、婚約者の人は本当にリアス先輩達を大事にしているみたいで、見た事も無い魔道具や使い魔や貴重な物を悪魔稼業デビューのお祝いに贈って貰ったそうだ。リアス先輩は婚約者の代名詞の一つであるマントとブローチのレプリカを、朱乃先輩はモーグリ族と呼ばれる妖精みたいな一族で色々とクスリや魔道具のアクセサリーを作れるモグを、木場君はオリハルコンの鉱脈を丸々一本、白音ちゃんは魔法を弾く事が出来る手甲と脚甲を、ギャスパー君は魔眼の神器を封じる眼鏡を貰ったそうだ。

その婚約者に出会えば、その次に会う時には私とアーシアにも何か贈られるだろうとリアス先輩は言っていた。昔から付き合いのあるリアス先輩達ならともかく、私達が急にそんな貴重な物を貰うとなると萎縮してしまう。だけど、リアス先輩は婚約者であるゼオンさんはそんなことを気にする様な器の小さい男では無いと言い切る。

白音ちゃんもそうだと言い切っているが、もし、私が男だったら命が無かったとも言っている。セクハラとかが大嫌いらしく、社交界でそういうのを見かけると次の日に謎の重傷を負う貴族が後を絶えないそうだ。もし、婚約者のリアス先輩や、妾になる朱乃先輩や白音ちゃんにそういうことを事故でも起こしていたら、骨も塵も残さず綺麗に消されていたかもしれないそうだ。

女に生まれて良かったと初めて思っちゃった。女性同士ならスキンシップとして捉えてくれるそうだ。あまりやりすぎると叱責はされるそうだけど、そこまでではないらしい。

話がまたズレた。えっと、とにかく悪魔に転生したアーシアは今は私の家に一緒に住んでいて、二人ともリアス先輩が部長を務めるオカルト研究会に所属し、日夜悪魔の仕事や訓練に精を出している。悪魔の訓練は朝早くから、仕事は夜遅くまでやるのが基本で苦労も多いけれど、最近はとある屋台のおかげで楽しくやれている。

一月程前から家の近くの公園に夜だけ現れる屋台で、やっている料理が日替わりなんだけど、どれもおいしくて値段も学生の負担にならない程度で、何より屋台の主がイケメンのお兄さんなのだ!!

木場君とは違ったクールな笑顔に月光を反射して煌めく銀髪、家事は万能で聞き上手で話題も豊富に持っていて、何この完璧超人は!?って感じなの。ちなみに一番おいしかった料理はラーメンだ。

噂も広まっていてお客さんの人数も増えているけど、それに合わせて屋台も増やしているみたい。昔は屋台が本業だったらしいけど、今は趣味でやっているそうだ。本拠も関西の方らしい。そんな話を部活と言う名の悪魔稼業が始まる前にしていたのだけど、アーシアを除いた皆の反応が微妙だった。

「祐斗と違ったタイプのイケメンで」

「月光で煌めく銀髪で」

「料理がどれも、特に一番ラーメンがおいしくて」

「昔は屋台が本業で」

「関西の方に本拠を構えてる。あの、これって」

「「「「ゼオン(さん)(お兄ちゃん)!?」」」」

えっ?リアス先輩の婚約者?確かリアス先輩って大貴族だから、お相手も当然貴族で……なんで屋台の主なんてやってるの?

「確認に行くわよ。朱乃、モーグリ達に臨時で仕事を代行してもらえる様に頼んで頂戴」

「はい、分かりました」

「リアス先輩、間違いないんですか?」

「銀髪で昔は屋台が本業で今は趣味なら間違いないです。本業にしてた頃から一緒に暮らしてましたから」

「木場さん、いきなり剣を研ぎ始めてどうしたんですか!?」

「ちょっとゼオンには恨みがあってね。今度こそ、あの首を叩き切ろうかと」

「ええっ!?」

「気にしないで良いわよ、アーシア。どうせ防がれるか、目の前でくっつけて何事も無かったかの様にするだろうから」

「「ええっ!?」」

目の前でくっつけるって、いや、でも腕を生やしたり出来る位なんだからそれ位簡単なのかな?

「ゼオンさんは冥界最強の悪魔とも言われていますから。他にも『雷帝』や『銀の暴風』使い魔のシュナイダーと合わせて『天空の覇者』なんて呼ばれ方もしていますわ」

「得意の魔術は順に雷、肉体強化・変化、重力、氷、炎、治療・再生系、最近は鬪気と魔力を混合させた術も独自開発しているし、補助として式や結界も使える技巧派よ」

「その上で上位ランカーのパワータイプと真っ向から力比べで引けを取らない位のパワーも有しているよ。肉体強化を使えば龍王クラスとも真っ向から殴り合える位強い」

えっと、戦闘面でも万能ですか?

「あとは、『義兄弟戦乱』が色んな意味で有名です。ちょっとした出来事から、若手上位ランカー連合VS魔王様連合で、冥界が揺れました。物理的にも政治的にも」

「あれは、色んな意味で苦い思い出よ。まさか、あそこまで大規模な事件に発達するなんて思ってもみなかったわ」

「関係者の9割が病院送りでしたから。お兄ちゃんも数日はベッドの上でしたし。あれで死者が0名なのは奇跡です」

何が原因で結果がどうなったのかあまり聞きたくない。

「あとは、芸術にも秀でているわね。ゼオンが実家のベル家から貰った領地は荒れ地が多いんだけど、誰も住んでいないのを良い事に大規模な彫刻を行って観光名所にしてるわ。全部岩や地面を削ったり、高重力で圧縮した物だけでつくられてるけど、すごいとしか言えないわね。あれは見て触れて始めて理解できる物だと思うわ」

「お兄ちゃん、暇つぶしと術の練習に作ったって言ってますけど、周りの人はそう思えない位の大作だそうです」

「相変わらず周囲の評価と自己評価が噛み合ないわね。あれだけメディアへの露出も高いのに未だに性格を誤解されてるんだから」

「部長、モーグリ達に連絡がつきましたわ。少し忙しいらしいので今度例の木の実を届ける事で話が着きましたわ」

「げっ、あれを取りに行くの辛いんだけど」

「仕方ありませんわ。今の時期ですとレーティングゲームの大会の準備期間中ですから、ポーションとエーテルの発注が凄い事になっていますから」

「仕方ないわね。今度皆で取りにいくわよ」

「「「「「は〜い」」」」」






オカ研の皆で家の近くにある公園に行くと、いつもの様に屋台が出ており、貸し切りの看板が置かれていた。

「屋台の貸し切りなんて普通あるのかしら?」

「屋台自体が珍しいので何とも」

「貸し切りなのにお兄ちゃんの臭いしかしません」

「あっ、人払いの結界が張られましたわ。気付かれてますね。ということはあの貸し切りの看板も私達の為の様ですわね」

「そうみたいね」

そう言って部長は屋台の方へと歩いていく。それに続いて私達も屋台へと向かい暖簾を潜る。

「いらっしゃい、リアス、朱乃、白音、祐斗、ギャスパー。それからそちらの二人はよく店に来てくれたな。改めて自己紹介しよう。オレはゼオン・ベル、ゼオンでかまわない。リアスの婚約者だ。よろしく頼む」

屋台をやっている時とはまた違う印象の笑顔を向けられてちょっと見惚れちゃった。

「あっ、はい。こちらこそよろしくお願いします。えっと、兵藤一誠です」

「アーシア・アルジェントと申します。よろしくお願いします」

「それでゼオン、なんで駒王にやってきたの?それも私達に内緒で」

「そう急かすな、リアス。まずは席に着くと良い」

ゼオンに勧められて席に着くと、すぐに飲み物が配られる。

「さて、オレが駒王に来た理由だったな。リアスが心配だから来ているだけだ。内緒なのは、リアスが嫌がるからだ」

「それは、まあ、私だって子供じゃないんだし」

「そう言っているうちは子供だ。大人なら笑って流す所だ。それにリアスが思っている以上に危険かもしれん」

「えっ?」

「赤龍帝ドライグ、話せるならお前の意見も聞きたいのだが」

ゼオンがそう言うと同時に私の左手に赤龍帝の篭手が現れる。

『貴様、一体何者だ?その莫大な力は』

「突然変異の悪魔だと思ってくれればそれでかまわない。それよりもドライグ、アルビオンの今代の主は悪魔と人間のハーフだ。時代が大きく動くと考えた方が良いか?」

『ほう、白いのに会ったのか』

「いや、知り合いからの又聞きだ」

『そうか。しかし、向こうもハーフとは言え悪魔か。今までに一度もなかった事だな。何かが起こるのかもしれんな。いや、お前の様な突然変異が育っているんだ、確実に何かが起こるのだろうな』

「やはりそう思うか」

「ちょっと、二人で何を納得しているのよ。説明して頂戴」

「ふむ、簡単に言えば今のオレ達の世代がこれから始まるであろう激動期の中心になる可能性の有無について確認し合っていると言った所か」

「激動期って、何か起こっているの?」

「気付いている者は気付いている。上は気付いているはずだ。大戦期のツケが表面化してきているからな」

「大戦期のツケ?」

「いずれ知る事になるだろうが、今は知るべきではない」

「何よ、子供だから隠すの?」

「いや、そうではない。だが、アーシアにとっては辛い事実になる。覚悟が出来ないうちに聞くべきではない」

「アーシアが?」

「私がですか?」

「どうする?聞きたいのなら話そう。だが、辛いぞ。真実を知る事が常に良い事であるとは限らない。ここで見ない振りをする事も出来る。だが、いずれは知る事になるだろう」

「……私に関係がある事なのですよね」

「ああ、この中で一番関係がある」

「……聞かせて下さい」

「良いんだな?」

「お願いします」

「分かった。結論とそれに至った過程、どちらから聞きたい?」

「結論からでお願いします」

「分かった。では、結論から話そう」

そこで一度ゼオンはタメを作り、結論を告げる。

「聖書の神は既に存在していない」

「…………えっ?」

「もう一度言おう。聖書の神は大戦期に討たれている。何処の勢力も隠しているが、事実だろう神の愛は存在していない。だから、それだけ祈ろうが神が誰かを救う事はない。アーシア、君自身の存在がそれを示している。『聖女』の噂は悪魔のオレでも知っている。君が救われていない時点で神は居ない」

ゼオンの神が既に死んでいると言う言葉をようやく理解したのかアーシアが震えだす。涙をその目に溜めて、零れない様に我慢している。ゼオンは私の方を見ている。えっと、慰めろってことかな?とりあえずアーシアの頭を抱きしめてあげて泣いているのを隠してあげるとゼオンは満足した様に顔を縦に振る。

「神の不在は今まで隠されてきていたがそれが表面化してきた。今まで赤龍帝と白龍皇の宿主は生涯人間だったにも関わらず、今代は両方が人外。そして、オレの様な突然変異と呼べる程強力な個体が生まれている。時代が動く前触れと考えた方が良い」

「ゼオンの予想だとどうなるの?」

「色々な伝手や昨今の情勢を考えるなら、天使か堕天使か悪魔かその他かは分からないが、そこそこ大きな事件を起こすだろう。その事件が収まった後に、情勢を考えて天使堕天使悪魔の三勢力での停戦か同盟が結ばれるはずだ。そして、それに反感を持つテロリスト達との戦争。ここまでは確実に起きるだろう。その後は少し読み切れんな。細かい事象が幾つも複雑に絡みあいそうだ」

戦争か。あまり実感が沸かないな。そもそも大戦期って何なんだろう?

「なるほど。もしかして、そのそこそこ大きな事件と言うのが行われそうなのが」

「確実に駒王だろうな。昔から龍は戦いを呼び込む。歴代の赤龍帝がそうだったからな。それに、駒王には魔王の身内が二人も居る。事件をでかくするにはうってつけだな」

「だからゼオンがやってきたのね」

「そうだ。万が一の事など考えたくもなかったからな。ついでにグレイフィアさんからリアス達を鍛える様にとも言われてきてな」

「「「「「えっ?」」」」」

グレイフィアさんって誰だろう?あと、皆なんでそんなに顔を青ざめているんだろう?

「え〜っと、私達は学生だから、あまり、時間が取れなくて」

「ああ、安心しろ。祐斗の様な事はしない。ただ、10日後にシュナイダーと模擬レーティングゲームを行う。だから、明日から2週間、公欠が取れる様に手配してある。場所もグレイフィアさんがグレモリー家所有の別荘を準備しているそうだ」

木場君、どんな目にあったんだろう?

「シュナイダーとレーティングゲームか、結構キツいわね」

「エクセリオ・シュドルクとシン・シュドルクは禁止しているからやりようは幾らでもある。別にタイマンでもないんだ。これから先、力は幾ら有っても困る事はないぞ」

「それもそうね。分かったわ。10日後ね。それまでゼオンはどうするの?」

「見ての通り屋台だ。久しぶりで楽しんでいる。売り上げも安定しているからな」

そう言いながらゼオンが鉄板を火にかけて油を引き、キャベツと豚肉を炒めながら隣で麺を置き、麺を囲む様にソースを垂らして麺を一本一本丁寧にソースに搦めていく。二つを同時に行っているのに、一切焦がす事無く全員分の焼きそばが出来上がる。

「今日はオレのおごりだ。好きなだけ食べていけ」

そして再び調理に取り掛かるゼオンは慣れた手つきで大量の焼きそばを作り始めた。白音ちゃん用なんだろうね。一緒に暮らしていたんだからそれ位は知っているのだろう。それにしてもゼオンと一緒に暮らしていたって言うのは羨ましいな。こんなイケメンに、あれ?お兄ちゃんって呼んでたけど、白音ちゃんって猫又だったよね?ゼオンは悪魔だから血縁関係はないはずだけど、どういうことなのかな?

「どうした?何か疑問があるなら答えられる範囲で答えるが」

「あの、白音ちゃんがお兄ちゃんって呼んでるんですけど、どういった経緯で?」

「ああ、なるほど。簡単に言ってしまえば飢え死にしかけていた所を保護したのが始まりだ。見つけるのがあと三十分も遅ければここには居なかっただろうな」

割とヘビーな話を簡単に話されてアーシアと二人で白音ちゃんの方を見る。

「本当ですよ。私が3歳の時に、死にかけていた所を助けて貰って、色々と生きていく為の知識を教えてくれて、家族として受け入れてくれたんです」

「3歳って、両親は?」

「……とある悪魔に殺されて、死体は人形として扱われていました。お兄ちゃんが取り戻して、ちゃんと弔いました」

「っ!?ごめん、軽々しく聞く様な事じゃなかった」

「良いんです。私の中ではもう決着が付いた事ですから。それに、その悪魔とは二度と顔を合わせないですみますから」

「えっと、捕まってるとか?」

「本人は塵一つ残らず消し飛ばした。他にも死体を人形として扱っていたからな。人間や天使や堕天使に妖怪、そして悪魔。コレクションとして、戦闘用として、性処理用として。眷属達も協力していたようでな、今はコキュートスに落とされている」

「……聞いた事もなかったわ。話しても良かったの?」

「あまり広めなければ問題無い」

とりあえず聞かなかった事にしておけば良いよね。うん、白音ちゃんとゼオンは昔から仲良しだって事で良いよね。

焼きそばを焼き終えたゼオンは今度は新しい鉄板にお好み焼きを、更にたこ焼き用の鉄板を取り出してきて、たこ焼きを焼き始めている。関西を本拠にしているのは伊達ではなく、粉物の扱いに長けているようだ。というか、今まで食べた中で一番おいしい。一人一人の好みに合わせてソースを変えたり、焼き加減を調整している辺り芸が細かい。

良く見ると要所要所で白い布が小手を持ってお好み焼きをひっくり替えしたりしている。あれが部長の持っているマントのオリジナルか。もの凄い物だって聞いてたけど、そんな事に使っていいのかな?

 
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