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東方紅魔語り

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紅霧異変
  Part10 集結

 
前書き
遅れて申し訳ありません。
最近は忙し・・・くはなかったのですが、他にも小説を書いている身でして。
では、今回も・・・ゆっくりしていってね! 

 
 破壊力を底上げした一撃を、『罪』と書かれた袋を被った男に蹴り放った。
 だが男は綺麗な動きでそれをかわす。
 その先にある床が圧倒的な破壊によって蹂躙される。床を構成していたコンクリートの床は、一気にめくれ上がった。だが、それだけで終わるつもりは無い。

「速度を100に!」

 床を蹴り付けた足で、破壊された床を再度蹴り飛ばす。
 まさに『俊足』とも呼べる速度で男の目の前まで接近した。
 男の息を飲み込む音が聞こえる。

「攻撃回数を100に!」

 一発の拳が男の腹へ吸い込まれる。
 だが、

「させるかあ!!」

「!?」

 三人のうち一人の男が、目の前にいた男を突き飛ばしたのだ。
 拳が空を切る。
 突き飛ばされた男はゴロゴロと転がり、壁に背中からぶち当たった。

「甘く見るなよ?我ら罪袋ファミリー、コンビネーションだけは鉄壁!」

 突き飛ばした男、罪袋Aはドヤ顔で言葉を放った。
 そこへ、突き飛ばされた男はフラフラと起き上がると、憤怒の表情(顔は袋で見えない)でAに迫る。

「いっ・・・てェなオイ!?突き飛ばされて壁に激突すんのと、拳に殴られんの。どっちのがダメージ高いのか考えろAゴラァ!!」

「コンビネーションどうこうって事言ってたんだから乗れよオマエ!!」

「そろそろ咲夜様の部屋に行っても・・・」

「B、オマエも乗ろうな?」

 ・・・コンビネーションガタガタのようだ。
 あのAとかいう奴以外、助け合いの意識が出来ていると思わない。
 Bとかいう奴は咲夜の部屋に行きたがっているし、もう一人は救ってくれたAに対して怒っている。
 つまり。

「まずはAとかいう奴!お前から潰せば烏合の衆同然だろう!!」

「え?ちょま」

 携帯に向かって、発言する。
 ただ、簡潔な言葉を。

「酸素を0に」

「「「え」」」

 その空間から、生き物が生き残る為に必要なものが消え去った。









 そこには超高速で飛び回る少女がいた。
 辺りの妖精メイドを片手間に蹴散らしながら、その少女・霧雨 魔理沙は首を傾げる。

「おかしいなぁ。こんだけの異変を起こすような奴だから、ここまで弱いとは思えないんだが・・・」

 いくら雑魚を倒しても黒幕の出てくる気配は無い。いや、まるで何処かに誘導されているような錯覚すらしてしまう。
 と、多少考え込んでいた魔理沙はそこで目を見開いた。
 いつの間にか廊下を抜け、巨大な図書館のような場所に入り込んでいたのだ。
 だが、魔理沙が驚いたものはその図書館ではなく、空中を飛んでいる筈の、自分の目の前にある何百・何万冊もの魔道本だ。
 全ての本は空中を漂い、魔法円を背に立ち塞がっている。

『コード確認不可。よって侵入者とする。侵入者迎撃装置稼働。範囲は図書館内のみの殲滅。その為なら被害は伴わない。』

 感情の無い機械の声が響く。
 そして、本一冊一冊が巨大な光を纏った。

『出力80%。攻撃を開始する。』

 青白い閃光が放たれた。
 レーザーのように降り注ぐ光の帯は障害物などもろともせず、全て貫通して突き進む。
 一応、幻想郷ルールでの攻撃のため、直接的な殺傷能力があるわけでは無いと思うが、その攻撃は敵を一撃で気絶まで追い込めるレベルに違いない。
 攻撃が迫る魔理沙は身を翻し、真横へ移動する。
 分かりやすい爆音などは無かったものの、その光は魔理沙のいた位置を丸ごと飲み込み、その下にある床を一瞬で焼き払った。

「あ・・・ ぶなかったぜ」

 バランスを取り、魔理沙はその本へと再度視線を向ける。
 その本達は既に魔理沙を補足しており、光を収束しながら向きを調整している。

『攻撃充電中。残り六秒。座標を計算・・・』

「分かりやすく言葉にワザワザ出してくれて有難う!」

 その言葉が言い終わる前に、魔理沙が先手を打った。懐からカードが取り出される。

「魔符『スターダストレヴァリエ』」

 星の形をしたカラフルな弾幕が展開されていく。そしてそれらは、流星のように降り注いでいく。
 攻撃する以外に知能が無いのか、本はそれを見てもかわそうともしない。
 撃墜できるーー!
 そう思った魔理沙の耳に、声が聞こえてきた。

「『火』は破壊と攻撃の象徴。渦を巻きて襲いかかれ」

 無機質な機械のような言葉ではない、純粋な女性の声。
 その言葉が聞こえてきた瞬間、本の前に炎の龍が現れた。
 巨大な、魔理沙の何倍もの大きさを誇る炎の龍が塒を巻きながら、何も無い空間から噴出される。

「!!」

 予想外の攻撃に魔理沙は動きを止めた。
 そこへ、攻撃準備を終えた魔道書の光が炎の龍を貫いて襲いかかる。

「ちっ!」

 慌てて横へそれる魔理沙だが、更にそれを追撃するように炎の龍が渦巻きながら襲いかかった。
 その龍を迎撃すべく、魔理沙は星の魔力弾を龍の口を目掛けて放った。
 爆音が訪れる。

 体の一部が消し飛ばされた炎の龍は、空気に消えるように溶けていった。
 だが、

「『木』は再生と成長の象徴。破壊を再現せよ」

 またも女性の声が聞こえてくる。
 突如、緑の色で形成された煙が床から噴き出した。
 そして煙の中からは、先程より巨大な炎の龍が牙を剥いた。
 その牙をギリギリでかわし、更に飛んできた閃光をなんとかくぐり抜け、魔理沙は下にある床へ目を向けた。
 そこには、紫色のパジャマのようなものを着た女性が一人。

「お前か!さっきから攻撃を仕掛けているのは!」

 魔理沙の怒号に、パジャマの女性は髪を触りながら気だるそうに、

「どうでもいいから、サッサとやられてくれる?こっちは暇じゃ無いのよ」

「じゃあ、サッサと終わらせてやるよ!!」

 魔理沙は動き回りながら、その女性へ向けて突撃した。
 対してパジャマの女性は慌てず、ただ人差し指をたてるだけだった。









 爆音が鳴り響く図書館の前を、一人の少女が通った。
 中から聞こえてきた騒音に目を細めた少女だったが、迷いもせず素通りした。
 魔理沙にも引けを取らないともいえる速度で空中を飛ぶ巫女服の少女は、真っ直ぐに時計塔の前へ突っ込んでいく。
 そして時計塔の前には、同じく一人の少女が飛んでいる。
 悪魔のような黒い翼を羽ばたかせ、純白のドレスに身を包む少女・レミリアは、余裕の表情で待ち構えていた。

「ようこそ、『博麗の巫女』かしら?噂より随分と働き者ね。一日もしないうちに来てくれるなんて」

「こっちはあと3日は寝とこうとしたんだけどね。魔理沙の奴がうるさいから」

 妙に気だるそうに話す『博麗の巫女』の言葉に、レミリアはクスリと笑って答える。

「さて、じゃあ始めましょうか?」

 レミリアの背後に、紫の弾幕が渦巻く。

「弾よけね。私の得意分野だわ」

 『博麗の巫女』・博麗 霊夢の背後にお札型の弾幕が飛び回る。

 二つの勢力がぶつかった。
 弾幕ごっこの天才・博麗 霊夢と、紅魔館の主・レミリアが動く。




「・・・あはっ」

 地下に居る少女は、満足気に笑みを浮かべた。彼女の足回りには、赤黒い液体が飛び散っている。
 その近くには5人の罪袋が転がっていた。

「暇だな暇だな暇だなー。変な袋被った人達は簡単に壊れちゃったしなー」

 背伸びしながら少女は呟く。

「そうだ。お姉様には『異変に関わるな』って言われただけだし、ゴミ掃除だけなら許してくれるよねー」

 右手をゴキリと鳴らし、少女は動く。
 館にいる罪袋の数は約100人。
 全てを狩り尽くすべく。
 暇潰しの為に。
 静かな狂気を秘めて。





 全てのキャラクターは動いた。
 変態と、それを止めるべく人間が。
 魔法使いと、それを迎撃すべく魔法使いが。
 異変解決の巫女と、主たる吸血鬼が。
 何処から湧いたのか分からない変態と、幻想郷の上位に君臨する妹が。





「酸素奪ったせいで・・・俺すらも・・・ガハッ」

「「「馬鹿だろオマエ・・・ゴフッ」」」

 ・・・主人公と変態のターンは終わった。これからは、純粋な幻想郷の民が牙を剥く。 
 

 
後書き
パチュリーの唱えているものは、実際に魔術や対魔に使われていたとされるモノを改良したものです。
あくまでも改良したものですので、本物とは違う点が結構あります。

因みに、主人公のターンは来ません←

では次回も、ゆっくりしていって下さいね! 
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