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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九話 はじめて見たツンデレその十一

「甘いものは入れません」
「そして、なのね」
「そのまま飲んでいます」
「時々ミルクを入れて」
「コーヒーはウィンナーコーヒーが好きです」
 コーヒーの上に生クリームをたっぷりと乗せたそれが好きだというのだ、僕もあのコーヒーは洒落た感じがしていて好きだ。
「紅茶はロイヤルミルクティーが」
「何か流石ね」
「流石ですか」
「ええ。そうした飲み方をすることがね」
 まさにというのだ。
「小夜子さんらしいわね」
「私らしいですか」
「お嬢様って感じで」
 それで小夜子さんらしいというのだ、詩織さんは。
「だからね」
「私は別にお嬢様とか」
 だが小夜子さんはだ、詩織さんに遠慮がちに返した。
「そういうものではないです」
「けれどお茶やお花の先生の家よね」
「それはそうですが」
 それでも、というのだ。
「お金も普通で」
「あまりないの?」
「それで生活出来ているという位です」
 そのレベルだというのだ。
「特にです」
「お金持ちでもないのね」
「はい、そうです」
「先生でもそうなのね」
「どのお家の方も苦労しておられる様です」
「家元さんならと思ったけれど」
「そうでもありません」
 それが現実みたいだ、僕も話を聞いてはじめて知った。
「弟子の方がいてくれてこそです」
「暮らしていけるのね」
「ですから若し、です」
「弟子の人がいないと」
「どれだけよい腕があろうとも」 
 お茶やお花のだ。
「暮らしていけません」
「そういうものなのね」
「私の家はかろうじて、です」
「生活出来ているの」
「普通にです」
 かろうじて普通に、というのだ。
「暮らしていけていますが」
「お金はなのね」
「お金持ちかといいますととても」
 首を横に振っての言葉だった。
「ありません」
「そうだったの」
「はい、ですから多くの方はです」
「お金持ちでもないのね」
「家元であっても」
「それが現実なのね」
「左様です」
 小夜子さんは詩織さんに確かな声で答えた。
「お父様とお母様は学校でも教えておられますし」
「学校で、ですか」
「教えて。そうして」
「お金をですね」
「そうしたこともされています」
「何かっていうと難しいのね」
  ここまで聞いてまた言った詩織さんだった。
「お金は」
「そうですね、減る時は早いですし」
「増えるのは中々で」
「全くです」
「お金はそうしたものあるよ」
 水蓮さんも笑ってだ、二人の話に加わった。
「寂しがり屋ある」
「多い方に行くのよね」
「そうしたものですね」
「そうある、だから持とうと思ったらある」
 それも多くだ。 
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