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IS<インフィニット・ストラトス> 可能性を繋ぐ者

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ユニコーンの日

 
前書き
暫くはオリ展開が続きます 

 
人は同じ過ちを繰り返す

それでも...

かつて一人の少年は可能性を開いた

だが世の中は変わることは無かった

争いは憎しみを生み、悲しみを生み続けた

それからかなりの年月がたってもそれは変わらない

今も人は争い続ける

そしてまた一人、その負のサイクルに囚われた少年がいた










「行って来ます」

俺は誰もいない家に向かって言った

父親を知らないし、母親はちょっと前に事故で死んでしまった

それから何回この挨拶を繰り返しただろう。意味なんてないのに

それでもなんでか、こう言うとお母さんが行ってらっしゃいって言ってくれる気がするから



なにいってんだか。分かってる、もう話せもしないしご飯も作ってくれない。なにをやってるんだろう俺は

とりあえず学校に行こう

そう思い、俺は小学校へと足を向けた






俺の名前はクラルテ・リンクス。今年11になった

親が死んでも俺がそのままの家で暮らせるのは莫大な遺産があったからだ

税金その他は親戚の人がやってくれている、らしい。というのも俺も一言二言話したことが有るだけだから記憶に無いのだ

一応口座などの確認はしているから盗られていないことだけは確認している



お母さんに教えてもらったことがこんな時に役に立つなんてな。思いもしなかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はーい。今日社会見学でお邪魔するのはここ!アナハイム社ですよ!」

引率の先生のその一言で同じクラスの奴らが、おお!とかでけぇ!とか男子が叫んだ後にうっさい男子!と女子が叫び男子が黙るということが起きていた

何時ものパターンだった、数年前にISが登場して来てから女尊男卑の流れは学校にまできていた

そうして黙った後、俺たちはこのアナハイム社の巨大ビルの扉をくぐった。と言っても自動ドアだが




アナハイム・エレクトロニクス社、通称アナハイムもしくはAE社

ISが登場する前から様々な分野で活躍する一大企業だ

日常消耗品から電化製品、果ては兵器までと扱う品物は様々

勿論大企業は他にもあるが、最初に上げられるのは大体アナハイムだ

そして、ISが登場してからはそれも扱うようになり、就職希望者が後を耐えないとか

実績と信頼を重ねているため女尊男卑の今の世の中でもアナハイムの人間というだけで男女関係なく一目置かれるらしい

そして、最近はこういう社会見学の受け入れもしている。宣伝なのだろうか?抜け目がない




だめだ。最近は素直に感動することが出来なくなってる

お母さんが死んでからずっとこうだ

でも、これが正しいような気がする/間違ってるような気がする

まただ。なにかズレたような感じ。気持ち悪い

こんなときは深呼吸だ。落ち着こう

そうすると、自然と元に戻れる。今は楽しもう、テレビとかで見るとこういう機会はなかなか無いらしい



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「これが我が社の誇るISです。コアは抜いて有るので少しなら触ってもいいよ」

アナハイムの説明の女の人が案内してくれた先にはISが一機台座の上に立っていた

クラス中が我先にとそれに駆け寄るが女子の睨みにより男子が後列、女子が前列という形で見学している

俺はそれを最後列からぼっと見ていた

「これは第一世代型ISのジェガンです。全身装甲(フルスキン)で、防御力重視に設計されています。兵装は実弾兵器だけでなく試作型のビームライフルとビームサーベルも実験用として搭載してあるのよ」

こんなものでも、現存する最強の兵器。勿論核兵器には及ばないが使用が禁止されている以上はこれが最強と言えるだろう

こんなものでも、人を殺せるのか




力はただ力、振るうものによってその意味は変わるのだ




「っ!」

まただ。ISを見ると覚えの無い言葉が聞こえてくる

深呼吸だ。それでいい(・・・・・)

あ、次の場所に行くようだ。置いていかれるところだった


「所で皆の夢を聞いてもいいかな?」

案内役の人が突然そんな質問を投げかける

すると女子の一人が

「勿論ブリュンヒルデになることよ!」

「えっとー、そのIS乗りになれればいいかな」

「国家代表!」

女子はほとんど全員がISに関することだった。すると男子は

「アナハイムで働きたいなー」

「普通にサラリーマンでいいよ」

「野球選手!」

数人はアナハイム社や他のIS関連の社につきたいと言ったがそれ以外は弱気なものも多かった

女尊男卑の社会になってから男はみんな情けなくなったと言われているがその通りなのだろうか

「そっか。そこの君はどんな夢を持ってるのかな?」

と、俺に顔を向けて聞いてきた。俺が自分を指差すとうんうんと頷いたので逃げ場はなくなった

「えっと、俺は」




ドカーン!!



「「「きゃあああ/うわああああ」」」

いきなり爆発音が起き、揺れた

「落ち着いて!先生、我が社のシェルターに案内します」

「お、お願いします。みんな、焦らずに案内の人に着いて行って!」

なにが起こったかはわからないが危ないのはわかったので、俺もみんなと一緒に案内の人の後ろを着いて行く

ビルの4回だったので地下にあるというシェルターまで階段を使って下って行った

定期的にビルが揺れてみんな泣きそうになったがなんとか一階までは行けた

「もうすぐシェルターの入り口だよ!みんな大丈夫?」

そう言うがみんなの顔は蒼白になっていた。それでも着いて行けたのは案内の人と先生がいるという安心感によるものだろう


だから


「っ!リゼル!」


目の前で案内役の人がISを纏ってなにかを撃った瞬間、それは瓦解した

ISとISがぶつかる。テレビではよく見る光景でも実際に生で、目と鼻の先で見るのとは違った

今度こそみんなが一気に悲鳴を上げ、止まる

だがそうすれば

危険度は増す

「危ない!」

女子の一人が上から落ちてきた瓦礫に潰されそうになったとき気がついた男子がその子を押し飛ばして助けた

「あ、ありがとう」

その行動により男子の一人が気を取り直した

「し、シェルターはあれじゃないのか?急ごう!」

普段なら女子はなによ男子の癖にと言うだろうがそんなことはなく皆走りこむ

先生も復活し、まだ座り込んでいる生徒の助けをする

俺も走り、シェルターを目指した。だが、その途中で足を止め、横を見た

「あれは...?」

そこにあったのは六枚のタペストリー。なんでか目が釘つけになった

俺はそれに近づき、一番正面に有るものを見、呟いた

「私のたった一つの望み...?」

その言葉は何故か口に馴染み、そして体が勝手に動いた

勝手に手が動き、タペストリーに触れた瞬間、何かが動く音がした

周りを見渡すと一個、床のタイルが動き、梯子が見えていた

そして、俺はそれを降りて行った。なんの違和感も感じないまま、まるで体が覚えているかのように

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「流石は亡国企業(ファントムタスク)。ここがばれるとはな」

「どうしますか?社長」

社長と呼ばれた男はISの戦闘画面とビル周辺の衛星映像を見ていた

「全ての機器を物理的に壊せ。UCのデータは手書きと口伝でしか残ってないとはいえRX-0の試験データはある。それを渡してはならない。御当主の可能性が潰えてしまう」

「了解しました。機体は」

「仕方があるまい、破棄する。もう一度作るのは骨が折れるだろうが奪われるよりマシだ。そっちは私が行こう」

「わかりました」

そう言うと、社長と呼ばれた男に話しかけていた女性は持っていた携帯端末を使い指示を出す

それを確認しないまま男は走り出した

「あの人の、バナージ様がつないだ光は閉ざさせはしない。それが私たちのたった一つの望みなのだから」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は梯子を降り終えるとそこには驚くべき光景が広がっていた

「なんだここは...」

そこはまるで秘密の研究所みたいな場所だった、いや其のものなのだろうか

明かりは少なく、通路は一つのみ。俺はその通路を迷わず進んだ


暫く歩き、そしてついに開けた場所に着いた。そこにあったのは

「ISなのか...?」

三つのISが鎮座していた。どれも全身装甲型だ

「誰だ!」

それらに近づくと声が飛んできた

俺が来たのと反対側から40代位の男の人が走ってきた

俺の顔を見るなりその人は、唖然としていた

「なんで...お前が...そうか、今日は社会見学。ならばこれは運命か」

あなたはだれですか?(・・・・・・・・・)

あれ、今()は、なんで

「母さん、すまん。俺はこいつに託そうと思う、俺たちの望みを」

その人はこっちに来て俺の頭を撫でた後、こっちにと言い俺の腕を引っ張った

「え、ちょっと!」

「恨んでくれても構わない。私はお前に酷いことをしようとしている。お前の母さん、リンダはお前のことを巻き込みたく無いから私の元を離れたというのにな」

なんで、お母さんの名前を、知って

このとき僕は目の前の人が誰かを感じていたのかもしれない

そうして、三つのISの近くまで来た。白のIS、黒のIS、そして金のIS。どれも同じ形をしているが全部が根本から異なる気がした

「どれでもいい、触れてみろ」

そう言われて掴まれていた腕を離されると俺はそのままの足取りで自然と金のISへと手を伸ばし、触れた


触れた瞬間、僕の頭の中に大量の情報が入ってきた

そして、思い出した。過去の全ても



「そうか、お前を受け入れるのはフェネクスか」

男の人は僕の頭をもう一度撫で、そして言った

「これは可能性だ。もう語る必要は無いだろうがもう一度だけ言わせて欲しい。俺を恨んでくれても構わない。もし要らなければ溶鉱炉にでも入れればいい。だがもし、お前がそれを繋いでくれるのならば、これ程嬉しいことは無い。そして願わくば...」

そして、懐から拳銃を取り出し


「持って行け、フェネクスはもうお前の言うことしか聞かない。ユニコーンとバンシィもお前が持っていてくれ。いずれそいつらが認めた奴がいたらそいつに託せ。私は行かなければならない起動方法はわかるな?」

僕は頷き、心の中でフェネクスと叫んだ

すると一瞬視界が黒くなった後


Start up...
Biometrics..ok
OS...NT-D add La+
Intention automatic system...ok

System....All green

Stand by ready

視界がモニターみたいになっていて、様々な情報が表示されていた

「よし。ならばいけ!?」

そう言うと後ろに振り返り銃を撃った

しかしそれは弾かれてしまった。IS装甲によって

「やっぱりここにあったか。やけに厳重だと思ったぜ」

「成る程、確信があったわけではないのか。それでよくここまでのことをしてくれたな亡国企業!」

亡国企業?なんだそれは

そう言うと向こうの女の人?は

「流石は天下のアナハイム、うちらを知ってるとはな。でも知ってるだけじゃ意味が無い。その金色はもらって行くぜ!」

こっちに突っ込んで来た。それを感じた僕はさっき頭に入ってきた操作方法のお陰で回避できた

「よくよけたな。でも次はっ!」

銃声が何発か響いた、すると向こうは銃声の元をたどり

「なんだその銃は、シールドエネルギーを持っていく銃。対IS兵器か!」

「早く逃げろクラリテ!私のことは気にするな!!」

「目障りだ」

そういい、相手は実弾を放った

「お父さん!!」

それはお父さんの身体を貫通し、簡単に死へと至らせた

目の前で死んだ。あの日と同じだ

「今、僕はお父さんって...」

なにも変わらない、いつになっても、繰り返す




それでも...



「え?」

思い出したのは昔の記憶、まだ僕が僕だった時

「私の、私たちのたった一つの望み」

それはあのタペストリーを見た記憶だ

「それはね、いつか人がみんな分かり合える世界になると信じ続けること」

「夢物語でも、それを願っていた人がいた。いや、誰しもが心の中ではそう思ってるんだ」

「それは希望の光、けっして絶やしてはいけないもの」



そうだ、僕はお父さんからずっと昔に託されていた

だからお母さんがいなくなっても、歩いて来られた



俺は目を閉じる


ごめんね、お母さん

ありがとうお父さん

僕は...俺はやって見せるよ

そして目を開け、敵を見据える


「ここから...」

「?」




それは、奇しくも彼の、バナージ・リンクスの始まりに似ていた





そして彼の、クラリテ・リンクスの本当の始まりだった


「ここから出て行けえええええ!」



NT-D




彼の視界にその文字が表示され、変化は訪れた

フェネクスの全身装甲が所々スライドし青色の部分が剥き出しになる、後ろに着いていた二つの巨大なシールドらしきものもスライド展開し、まるで翼のようになっている

そして最後、顔を覆っていた部分も展開し、クラリテの素顔が明らかになる

「な、男だと!?」

「やるぞフェネクス!」

そして彼は背中の変形したバックパックに手を伸ばし、そこからビームサーベルを取り出した

「素人が、私に勝てるとっ」

敵は吹っ飛んで行った。当然だ、最大加速でビームサーベルを突き刺しに行ったのだから

一撃でシールドエネルギーは殆ど削れたはすだ。だが衝撃で煙が舞い敵の姿が見えない

するとフェネクスのハイパーセンサーが姿を捉えたが

「痛!」

俺の身体着いて来なかった。そりゃそうだ、いくら絶対防御があると言っても過度の衝撃は無効にできない

デストロイモードの加速は殺人的で11歳の俺が絶えられるレベルでは無かった

そのため敵は俺が膝を着いている間に逃げた

そして、レーダーに危険反応が消えたと同時にNT-Dは切れ、フェネクスは強制解除された

俺はそのまま床に倒れこみ、そのまま意識を失った 
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