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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  リュドミラとの初対面時のエレンの反応

「報告だと、ずいぶん多くの兵を狙撃したらしいな。それも後方からの狙撃とは、ホントに私達と同じ人間かと疑うくらいだ。ところでリュドミラの兵達はどうだ?」

「とりあえずオルミュッツ製の甲冑に向かい、一発狙撃してみたが結果は貫通した。なので重装歩兵をこれで次々と葬れたが、この戦が終わり次第オルミュッツ軍の戦死者を蘇生させるつもりだ。今回は支援とはいえ味方のはずの者達を狙撃したのだからな」

「やはりオルミュッツ製の甲冑でも貫通したのか、どれだけ貫通力を持つのか調べてみたい。あいつは以前から防御に徹していたが、さすがにプトレマイオスの武器だと防御しきれなかったようだな」

防御が上手いという事は、こちらに俺がいなかったら多少突き崩しても、傷口を広げる前にすぐ立て直すらしい。側面や背後を攻めてみても、押し戻されてしまうらしいが挑発にも応じないという事は結構な練度を持った部隊のようだ。隙もなかったようだが、俺からの支援と後方からの狙撃によってあり得ないと見ているとあちら側の主は思ったに違いないと言っていたエレンとリム。もし俺が敵だったら同じような反応をするだろうと、偉く賞賛していた。リュドミラが先頭に立つところは見ないそうだ。

「野戦ならばエレンは負けないはずだから、明日は先頭に立って叩き潰すとか言うんじゃないだろうな?」

俺が直感な発言をしたら冷や汗を出てなぜ分かったと言ったら、勘だと告げた。

「俺の勘は良く当たるのでな、ま、俺が前に出てもいいが今回は支援だけだ。リム、エレンとリュドミラの過去の戦績は?」

「二勝一敗」

「私の見立てでは引き分けですが、どちらも自分の勝利だと言い張って譲らないそうです。以前リュドミラ様に拝謁した時も同じ数字でしたから」

俺はため息をついた、まさかこれほど仲が悪いなんてな。ま、あちらの事については以前無人偵察機で聞かせてもらったけど、犬猿の仲以上に悪い仲のようだ。

「そういえば部下が言っていたな、ライトメリッツとオルミュッツは代々から仲が悪いと聞いている。オルミュッツの方は先代と先々代が戦姫だそうで、戦姫は竜具が選ぶとされている。ここには俺とエレンとリムしかいないから言うが、俺が創った竜具にそうさせたのも俺と言う訳さ」

「創った本人がここにいるから、話しても構わんだろう。二年と少し前、私はこいつに選ばれて戦姫になった。突然選んだ者に現れて手に取ると言葉みたいなものが頭の中に流れ込んでくる。『お前は戦姫になった、公宮へ向かえ』と言われたのが理解できた。それで公宮に行って見せればその日から戦姫となる」

「俺がそう指示させたからかもしれんな、知っていると思うが俺が創った竜具は新たな戦姫を選ぶのは前代の戦姫が戦姫たりえないと、『竜具(ヴィラルト)』が判断した時とされる。例え重い病に冒されいた場合や生活に困難になるほどの怪我をした場合、不適合とみなした場合。エレンがライトメリッツの公宮に到着した時には先代の葬儀が終わっていた。公宮を纏めていた侍従長が、うやうやしく頭を下げてきたのを俺は覚えている」

そう言ったらその時に俺は一度だけエレンに会っていたとされていたので、エレンは覚えていないと言っていたがそりゃそうだ。俺は今の姿ではない姿となっていたからだ。無論その日に戦姫になったエレンを選んだので、受け入れるしかないだろうな。ライトメリッツというよりジスタートの民は慣れているそうで、この国が興って以来、そうやって選抜した。

「だが、ラヴィアスに関しては納得がいかない部分がある。同じ血筋ばかり選ぶなど、他の戦姫にはない例外だ。リュドミラを選ぶなど、目が腐っているのしか思えん」

「でもラヴィアス自身が選んだのだから、俺が創造主であったとしてもそれを変更したりは出来んよ。それにエレンとリュドミラが初対面の時から最悪だったとラヴィアスとアリファールから聞いた事だが、あの時も喧嘩を止めたのは創造神の姿をした俺だったな。あとはアリファールの性格と選抜理由については、俺でも分からんしな。創ってから選抜理由が変化したのかもしれん。それとエレンが初めてリュドミラと会った映像があるぞ」

そう言った後に端末を動かした後に投影されたのはまさにその時の様子を映されていた。二年と少し前にエレンが戦姫に選ばれたという報告を聞いた俺は、今の姿ではない容姿でライトメリッツに来ていた。謁見の間では、ちょうどリュドミラがいたが戦姫になってあまり日が経ってなかったので、宮廷儀礼を習い始めたばかりの様子で後ろにいた文官達が絶句や思わず顔を手で覆うなどしてハラハラドキドキしていた様子を見ていた俺と部下達。どうにか型通りの挨拶を終えた。

「あら、ライトメリッツは随分と礼儀に寛容なのね」

尊大な態度と傲慢な口調、口元に浮かんだ冷笑。それがリュドミラの初めての言葉だった。

「私と同じ年齢の戦姫という事で、期待したのだけど。いえ、勝手に期待してごめんなさい。なったばかりだから仕方がないわね。ぜひオルミュッツに遊びにいらして、と言いたい所だけど宮廷儀礼を身に付けてからになさってね。あなただって笑われたくはないでしょう」

口元に手を当てて、上品にリュドミラは笑った。しかし、エレンに向けた蒼い瞳には、劣った者に対する優越感が、あからさまに、過剰なほどに含まれている。『あいつ、人間がサルを見る目で私を見ていた』と後日エレンは憎々しげにリムに愚痴ってた。

「ああ、でも、教えてくれる人がいないのかしら。頭を下げてお願いしますと言えば、私が直接教えてあげてもいいわよ。宮廷儀礼以外でも」

「ほう。では、そうだな。背が伸びる方法でも教えてもらおうか。無理かな?そんな方法を知っていれば、とっくに自分で実践しているだろうからな」

小柄なリュドミラは、エレンより頭一つ分背が低い。自分でも気にしていたのか青い髪の戦姫は幼さの残る顔を赤く染めて叫んだ。

「わ、私は親切で言ってあげているのに!」

「ふん。オルミュッツでは親切を押し付けるのが礼儀か。大したものだな」

そう返されて、こりゃやばいなと思った俺は空間の中に入る大天使化をしてから謁見の間の真上で待機していた。リュドミラはたじろいで口ごもる。エレンは容赦なく迎撃をかけた。

「お前に宮廷儀礼とやらを教えた奴は、さぞ立派な人物だったのだろうな?ライトメリッツによこしてみろ。庭掃除ぐらいに使ってやろう」

「な・・・・・お母さまを侮辱するのは許さないわ!」

エレンの紅の瞳とリュドミラの蒼い瞳。敵意剥き出しで爆発させたのはどちらだったかは、分からない。

「母親か。よし、今度は母親と来い。土下座の仕方を纏めて教えてやる」

「この・・・・言わせておけば、ぽっと出の戦姫のくせに!」

ドレスの裾をひるがえし、あるいはまくり上げ、激昂した獣の如く爪を振りたてて、二人の戦姫は相手に襲い掛かった。そして最後は『竜具(ヴィラルト)』を創ったとされる創造神黒鐵が登場してから、争いを止めたのだった。そしてハリセンで叩いた後に、それぞれ喧嘩理由を述べた後に創造神は立ち去った。

「これがあの時の過去映像だが、当時悪いと言えばどっちだったかは未だに理解不能だ」

あの時の映像を流した直後にエレンは映像を見たくないと言って俺とリムに背を向けている。一言も発していない状態となった。

「俺的には互いにガキの喧嘩だとは思った。リムはどっちが悪いと思った?」

「まさかそこに居合わせた部下がいたなんて驚きですが、ティグル様の言う通り子供の喧嘩でしたので、正直どちらが悪いかは決められません」

リュドミラの態度は確かに見ていて腹が立つ印象であったが、他人から見た感想はあれは悪意ではなくリュドミラなりの善意だったかもしれない。俺は両方悪いと思いながらもため息をついた。

「・・・・不愉快な話は終わったか?」

俺は当時の事を考えていると、不愉快そうな声で振り返るエレン。脱線しかけてた話を戻し、明日リュドミラと一騎打ちをするようだった。一騎打ち=一対一でのサシ勝負に思えるが、鉄壁を崩して軍から引き離すようだ。リムは反論の言葉を必死になって考えていたが、思い浮かばなかった様子。それを見た俺が言ったけど。

「エレンの強さは理解しているが、俺達が敵軍を崩したらさっさと戻って来い。戦いの最中でもだ」

リュドミラ同様の戦姫なのだから、リムの不安と心配は一番よく理解しているティグルだった。代案がない以上だし、俺自身直接介入は出来ない。ジスタート同士は俺らの戦いではない。友好を持っている以上どちら側の味方でもないが、今はライトメリッツ側に付くしかない。敵を圧倒しエレンとリュドミラとの戦闘を縮める以外ない。 
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