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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第六章 正義の在り処編
  第百八十六話  『これからの捜査方針、ヴィヴィオの悩み』

 
前書き
久しぶりに更新します。

文字数が久しぶりに5,000文字を切ったのがなんとも。

ではどうぞー。 

 




シホ達はブリーフィングルームでおそらく大量生産されているだろうキリング・ドールや合成獣(キメラ)を作成したモリア、さらにおそらく他にバックに控えているだろう資金供給源のさらなる黒幕組織の存在について話し合っていた。
モリアが表舞台に出てきたことによって魔術事件対策課との合同捜査もより捗るであろうと見込まれてはいる。
モリアの背後には必ずなにかしらの組織が暗躍しているのは確かなことだ。
かつてのスカリエッティと最高評議会の関係然り、ガジェットの量産性然り。
これを今回の事案に当てはめていくとモリアと謎の組織の関係性が浮き彫りになってくる。
そしてキリング・ドールを量産するための資金源なども必ずどこかに流れているルートがあるわけであり、他にも合成獣(キメラ)や、もう最高評議会は潰れたも同然であるために使用されていない技術であるはずのproject.F.A.T.E.の技術を流用することによって編み出された新たな製法による人工生命の作成によって生み出せれたリオン達というある意味犠牲者たち………。
これらをすべて作成するための研究所も必ずどこかに存在するはずだ。
捜査することが増えてしまったのは致し方ないことであるが、それも想定済みである。
さらにはモリア自身が機械の体かもしれないという情報もあるだけに技術力に関しては確かなのだろう自信があることは伺える。




「………―――というわけで、フェイトちゃんはモリア・モルドレッドのアジトを見つけることを中心に捜査してもらいたい。ランサーさんが一緒につけば怖いものはあらへんやろ?」
「うん。ランサーが一緒なら怖くないよ。なんだってわたしの彼氏さんなんだから………」

はやての方針にフェイトは真面目半分惚気半分で強気な表情で答えた。

「うーん………さりげなくナチュラルに惚気られると彼氏がいない私としては嫉妬してしまうわー。
………まぁ、えぇわ。次にシホちゃん」
「ええ」

名前を呼ばれてシホが返事をする。
呼んだはやてはシホにある意味すごい命令を下す。

「使えるものはなんでも使ってもええよ?」
「………、え?」

はやての言葉にシホは一瞬訳が分からずに遅れて疑問の声を発する。

「やから、魔術を駆使して徹底的に裏を取ってもええってこと。昔はよくすずかちゃんやアリサちゃんとか誘拐された時に結構頻繁に使っていたやろ?
隠密系の宝具とか暗示系の魔術とか魅了の魔眼とか………」
「あー………」

シホも過去のあれこれについて思い出したのだろう、納得したように何度も頷いている。
ではなぜシホはこの方法を今まで使用しなかったのか?ということになってくるのだが、これにはとある訳があった。
管理局の方でそのシホの有り余る行動力に関して『待った!』がかかったからである。
何故?とシホが尋ねたところ、返ってきた答えは『まだ魔術が世に浸透していないために出過ぎた行動はしないでほしい』と口を酸っぱくして言われたためである。
それでシホは思ったことはというと、

『もし悪い魔術師が同じことをして私に言ったように言えるか?』だったらしい。


―――結果はわかる通り、ヴォルフ・イェーガーという魔術師が暗躍しているから管理局は裏目に出てしまって泡を食っているが………。


そして、基本シホ、そして八神士郎は使えるものはたとえポスターや木の枝でさえも強化魔術で加工して使ってしまうほどの“魔術使い”
である。
まだ投影魔術が自由自在に使えなかった未熟な頃は未熟なりに足掻きを見せる意味では重宝したものである。
今は暗示系の魔術も使えるようになっているので犯人の情報も引き出すのは相手の対魔力が高くない限りは可能である。



………そんな便利な能力をシホは制限されてしまったのである。
『郷に入っては郷に従え』ということわざがあるが、魔術使いであると同時に魔導使いでもあるシホにとって魔導師としての考え方も少しズレがあるのである。
だからシホにとっては魔導だけではやはり物足りなかったらしい。
そんなシホにはやては好き勝手やってもいいよ、と言っているのである。
普通ならやるなと言われるのに、逆に許可するとははやてに心配の眼差しを向けるシホ達。

「………いいの?」

それでシホは改めて確認のために聞き直した。
それにはやては黒い笑みで無言で頷き返す。
詰まる所は『GO!サイン』である。

「………はやてが久しぶりに黒いなぁ」
「さすがです、主はやて」

そんなはやてにヴィータは『やれやれ』と言った表情をし、シグナムはまさに『さすがの采配です』という感じに頷いていた。

「あ、あの………真面目に調べる私の立場は?」
「御愁傷様だよ、フェイトちゃん………」

これからまた情報を一から調べあげようと奮起していたフェイトが悲しそうにそう言う。
それになのはが目尻に涙を溜めながらフェイトの肩に手を置いて慰めていたのであった。
ちなみになのはとヴィータはこんな時でも変わらずに教導を言い渡されていた。
どんな時でも訓練は怠ってはいけないということである。



◆◇―――――――――◇◆



シホ達があらかた方針が決まってきていた頃、中庭でリオンを中心にフォワード達とヴィヴィオ、ツルギが集まっていた。

「………でも、シホさんはこんな時にどうしてリオンさんにあんなことを聞いたんでしょうか?」

エリオがまだよく分かっていなかったらしくみんなに聞いていた。
それに対してティアナが苦笑いを浮かべながら、

「きっとシホさんなりにリオンの危うさに気づいたんだと思うわ」
「危うさ、ですか………?」

キャロが首を傾げる。
エリオもそうだがまだキャロも幼さゆえに経験が少ないだけにまだ気持ちを読み取ることができていないのだろう。
そんなキャロの頭をランは優しく撫でながら、

「キャロも成長すればわかってくるよ。シホさんは人の気持ちの浮き沈みには敏感なんだよ。恋愛ごとに関しては鈍感だけどね」
「ラン姉さん、それフォローになっていないよ………?」
「え? そうかな?」

ランの物言いにレンがすかさずツッコミを入れていた。
そんなランレンはほっとくことにしたスバルは、リオンの手を握りながら、

「………でも、リオンが無事でよかったよ」
「スバル………」
「あの時リオンのリンカーコアがモリア・モルドレッドに握りつぶされそうになった時はあたしは無我夢中でモリアを殴り飛ばしていたからね。それでもシホさんの助けがなかったらリオンは今頃どうなっていたか………」

それで少し涙を浮かべてうつむくスバル。
ティアナも気絶してしまっていただけになんにも手助けができなかったことに責任を感じているのか無言で厳しい表情になっていた。
そんな二人の様子を見てリオンは大事にされているんだ、と感動しながらもスバルとティアナの二人の手を握る。

「そんなことないよ。スバルとティアは私をいつも支えてくれていた。そうじゃないと今頃はモリアの仕打ちで心が潰れていたかもしれないから。だから、ありがとう………。今でも私を友達だって信じてくれて」

リオンは二人に抱きつき今ある幸せを噛み締めていた。
それでまた和やかな空間が出来上がる。

「あの、リオンお姉ちゃん………」
「ん? なに、えっと………ヴィヴィオちゃん?」
「リオンお姉ちゃんは、その、………」

少しヴィヴィオは言いよどんでいた。
ツルギが手を握ってあげながら「頑張って、ヴィヴィオちゃん」と鼓舞していて、ヴィヴィオも踏ん切りがついたのかリオンにあることを訪ねる。

「リオンお姉ちゃんは造られたんですよね?」
「っ!?」

ヴィヴィオから意外な言葉が出てきてリオンはもちろん、他の全員も目を見開く。
まだ幼いヴィヴィオからこんな話をされるとは思っていなかったために、なんでこんな事を聞いたのかと
叱ろうとした時、

「ヴィヴィオもね、リオンお姉ちゃんと同じで造られた存在なの」

しかしヴィヴィオのその言葉に一同はまたしても言葉を失う。

「でも、なんで造られたのかわからないの。なのはママやユーノパパはそんなヴィヴィオでも気にしないって受け入れてくれたの。でもね、いつも一人になったら思うの。ヴィヴィオはなんで造られたんだろうって………」

それでヴィヴィオの瞳に光るものが見えた。

「スカリエッティっていうおじさんはヴィヴィオを捕まえようとしたらしいの。でも、ヴィヴィオのことはなのはママを捕まえるためのデコイだって言ったらしいの。だから………ヴィヴィオは、ヴィヴィオは生み出された理由が知りたいの。それがどんな結果になってもいい、ヴィヴィオにはなのはママ達がいるから我慢できるの………」
「ヴィヴィオ………」
「ヴィヴィオちゃん………」
「………ごめんなさい。ヴィヴィオの一方的な言い分でした」

それでヴィヴィオは頭を下げる。
しかし、ヴィヴィオのその初めて聞く告白に一同は思う。
ヴィヴィオも複雑な気持ちを幼いながらも抱えていることを。
だから、リオンはヴィヴィオの頭を撫でながら、

「………ヴィヴィオちゃん。きっと、生まれた理由なんて関係ないと思うんだ。どんな事情があったにせよ今生きてる………暖かい人達に囲まれている。それだけでいいと思う。それを私はシホさんに教えられた。だからヴィヴィオちゃんも深く悩んじゃダメだよ?」

クシャクシャと頭を撫でられなからも、ヴィヴィオは「うん………!」
と涙を流しながらも笑顔になってくれた。

「大丈夫だよ、ヴィヴィオちゃん! ヴィヴィオちゃんは僕が守るから!」

ツルギがぶんぶんと握った手を振ってヴィヴィオを慰めた。
それに対してヴィヴィオはと言うと、

「うん! ツルギ“ちゃん”!」

事もあろうにちゃん付けでツルギを呼んでしまった。
その理由は簡単でとあるゲェムで腰まで伸びてしまった赤い髪を切らないでそのままに流しているからヴィヴィオの中ではツルギは少しばかり女の子認識されてしまっているからだ。

「ヴィヴィオちゃん、僕は男の子だよー!」

結果、うわーんという感じでツルギが叫ぶ羽目になってしまっている始末だ。

「ふふふ、可愛いナイト(?)様だね」
「リオンお姉ちゃんも疑問符をつけないでよー!?」

それで終始和やかな空気になったのは言うまでもないことである。
そしてもうリオンとヴィヴィオは二人とも暗い表情ではなくなっていた。


………その後、ヴィヴィオの告白内容をスバル達から聞いたなのははヴィヴィオを猫可愛がりしたそうだ。



◆◇―――――――――◇◆


とある施設である男性が壇上に立ち、並んでいる隊員一同に向かって目を向ける。

「諸君、機は熟した。今こそ我らの悲願を果たす時だ。いざ始めるとしよう。―――聖戦を!」

男性の言葉に隊員達は『ウオオオオオオーーーッ!!』と雄叫びを上げるのであった。
これからミッドチルダはまた暗雲が立ち込めるだろうことは分かりきった宣言だった。
シホ達は、これにどう対処するのか? 事件を解決することができるのか?
………それを知るのは果たして神かあるいは。



 
 

 
後書き
後半はヴィヴィオの抱えている悩みを書いてみました。
原作と違ってヴィヴィオは生み出された理由を知りません。
これが後々性格に影響するかもしれません。

最後に登場したのは誰でしょう?



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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