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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  テナルディエの策略

ライトメリッツの公宮に戻ってきてから、エレンとリムは書類との格闘をしていた。戻ってきたら即神国と共にブリューヌへ兵を動かす気だったそうだが、思わぬ報告を受けてそうもいかなくなったからだ。

「オルミュッツ兵が国境付近に集まっている?」

そう報告をしたのは、エレンの命を受けてオルミュッツ方面を警戒していた兵からだった。俺はすぐにでも神国へ戻れるので、戻っていた。その話は無人偵察機から聞こえた会話である。俺はというと鍛錬場にて、銃の調整をしていた。いつ敵が来てもおかしくないように、動く的や1キロある的を狙撃銃で撃ったりと鍛錬していた。

「はい。数はおよそ二千程、冬に備えた訓練という事です」

「リュドミラはいるのか?」

「偵察に出た兵の多くが、その姿を確認しております」

俺とエレンは思ったが、牽制だなと思った。恐らくテナルディエ公爵の使者からで、プトレマイオスと共にブリューヌを攻めるとライトメリッツを攻めそうだなと俺はそう思った。

「隊長、狙撃中失礼します。オージュ子爵から手紙を預かったとヴォージュ山脈を警戒していた夜叉達が来ました。手紙を預かるとすぐにヴォージュ山脈に戻って行きました」

「ご苦労さん、やはりヴォージュ山脈に仕掛けて正解だったな。何々・・・・『ヴォージュ山脈を越えようとしていた怪しげな旅人を夜叉達が確保した後に、取り調べをした結果奇妙な手紙を所持していたのでこの手紙と共に送る』奇妙な手紙だと?」

俺は狙撃小屋から出た後に、屋敷に戻った。そして奇妙な手紙を読んだ後にすぐにライトメリッツに向かうと言ってから、俺はバイクでライトメリッツへ向かった。城門には顔見知りの門番だったのですぐに通してもらった。バイクは城門前で空間に入れたけど。盗賊団掃討後に、夜叉達を光らせていたからその網に見事にかかった訳だ。ちなみに夜叉達の指示をするように、神国にいる隊員達を派遣したので、夜叉達の指示を与えていた。公宮に到着すると、奇妙な手紙を読みながらエレンがいる執務室に向かったが、社交辞令を取り去るとこのように書いてあった。

『エレオノーラが兵を率いてプトレマイオス神国と共にブリューヌへ向かったら、当初の計画通り、手薄になったライトメリッツをただちに攻めてほしい』

こう書かれていたのを読み終わると執務室に到着した俺だった。ノックをして入ると予想通り書類の山を格闘戦していたが、俺が入ると神国に戻ったはずの俺がいた事により手を止めようとしたが用件はリムに伝えてからエレンはこう言った。

「モルザイムで討った息子はティグルの言う通りバカだったが、その父親はなかなかの曲者のようだ」

「まあザイアンはただのバカだが、その父親であるテナルディエ公爵は色々と計略を練る男だ。今頃息子のザイアンを討ち取られたからとても激怒していそうだ」

俺は視線をリムを見ると書類の山という視線を外さずに答えた。

「ヴォルン大公、なぜ公爵はこの使者をヴォージュ山脈に向かわせたと思いますか?オージュ子爵は公爵を嫌っています。オルミュッツへの最短距離とはいえ、危険過ぎるのではないでしょうか」

「なかなか考えるが、その予想通りと俺も考えている。この手紙を渡るように仕向けたのだろう、戦姫をぶつけるのは戦姫。全く我ら王が決めた戦姫と竜具同士で争いをさせるとは何て男だ。いつか俺の手で葬りたい程だ」

我ら王=俺だというのはエレンとリムは知っているが、いつ聞かれるか分からないのでこう言ってみた。あの盗賊団がヴォージュ山脈に居座っていたのは、テナルディエ公爵から雇われた者だとしたらどう考える。あのオルミュッツ製の甲冑をどこで調達したか、まあそれについては公爵が用意させたのだろうな。

「ヴォルン大公の言う通りですね、私達が盗賊団を一掃し、テリトアールを味方に付けた事で公爵は方針を変えた。それか最初からだったのかは不明ですが」

「俺的に言うと戦姫同士をぶつける事については最初から考えていたのだろう、それにオードとテリトアールはちょうどプトレマイオスの領土と近い。そこを味方に付ける事も最初から分かっていたのかもしれないな」

「リュドミラのところには、牽制でいいから兵を動かしてくれ。と言う辺りの手紙が届いたのだろうな、付き合いが長ければどの程度の要求ならあいつが応えるか分かっているはずだ」

忌々しげに言うエレン。リュドミラは国境付近に兵を動かし、それを警戒してエレンはライトメリッツから動けなくなる。動くとしても、万が一の事を考えてより多い兵を残すだろう。テナルディエとしては、プトレマイオスという第三勢力を無視してガヌロンと戦う、あるいはエレンが行動の自由を取り戻す前にプトレマイオスを潰す、という選択肢を得られるがどっちもいい手ではない。ガヌロンと戦うのも戦力不足だと思うし、俺達を本気で怒らせるとテナルディエ公爵より先にブリューヌ内乱という火の粉を払うべく。テナルディエとガヌロンという二大派閥を潰してから、ブリューヌ王の復活といきたいところだ。

「今回俺達はライトメリッツ軍とオルミュッツ軍とは戦わない、が、支援くらいは出来る。俺らプトレマイオスはジスタート軍同士での戦には介入できないからだ」

「支援だけでいい、あいつはやる気かもしれん。私が動けば攻めてくるかも・・・・」

「リュドミラ様がエレオノーラ様と戦っても得るモノはありません」

「テナルディエの駒としてどう動くか見物だな、付き合いで得ている利益は守られるが。リュドミラ本人はどこまで重視しているかだな」

エレンは窓の外を見てしばらく考えていたが、やがて小さく息をつくと長剣を壁に戻してから俺を振り返った。ここの主である決め事なのに俺が決めてくれと言われたので、冗談か?と質問をしたら本気だったようだ。連中の目論み通りになったとしても、プトレマイオスは公国同士での戦は介入できない。というか戦姫を潰し合いとなったら誰が喜ぶかはブリューヌとテナルディエだけだ。国境付近で挑発しているからか、どっちを選択してもエレンは俺に従うと言った。エレンがブリューヌに行く事になって攻めて来たとしても、上空からの隊員達が降下してきてからライトメリッツを守る事も出来る。

「リュドミラと戦うべきだ、まあ戦姫同士で潰し合いは奴の作戦道理となるがこちらはいつでもテナルディエ軍と戦う戦力を持っている。まずは目の前で牽制しているのから倒すべきだ」

「どちらも得る事はないが、今は目の前を片付けるか。中々いい作戦案だな、よし。ライトメリッツ軍をオルミュッツ領土まで進軍してから、様子を見る」

という事で、俺は直接戦しないが支援はするのでライトメリッツ軍三千の兵はオルミュッツに向かって進軍を開始した。その中にはエレンの隣にて馬に乗っている俺もいたけど。プトレマイオス軍旗は出してない、これはエレン達の戦いなので部下達は出せないので俺単騎とエレン率いるライトメリッツ軍を南下して進むのだった。

一方ライトメリッツ軍がこちらに向かっているという報告をリュドミラ=ルリエが受けたのは自身の幕舎の中でだった。リュドミラは基本的に兵達と同じ造りの幕舎を使い、食事も同じモノを摂る。唯一例外と呼べるモノが紅茶(チャイ)で、彼女はほとんど常に携帯していた。今も、紅茶を飲みながら報告を受けている。

「そう。その中に、エレオノーラ本人はいるの?」

「斥候の何人もがそのお姿を確認しております。また、銀閃の戦姫様の隣にプトレマイオス神国ヴォルン大公の御姿も確認が取れました。隣で馬を並べていたと」

自分が仕えておらずとも、相手が戦姫と大公なら尊称を用いるのがジスタートの慣わしだ。他国でありながら忠誠を誓っているプトレマイオスのヴォルン大公の姿を見た者は最近になって増えた。まあそのはずだ、あの時の平原での戦でヴォルン大公の姿は、ジスタート王国から離れていてもその姿は噂として語られていた。そして噂が真実となると、兵達は神国の者と戦うのだと思っていたようだった。

「プトレマイオス神国の国旗やヴォルン大公の旗とかはないの?」

「それがどこにもないと、それも何人の斥候が同じように言ってくるようでした」

国旗やヴォルン大公の旗がないのであれば、ライトメリッツ軍の一兵士として戦うのだと思えたリュドミラ。兵が報告を終えると、ご苦労様とリュドミラは微笑む。

「疲れたでしょう。紅茶を飲んでいきなさい」

彼女が座っている椅子の傍には焼けた石が置かれており、その上には湯を満たした鉄瓶があった。俺らで言うならポットかな、兵は恐縮と感謝の言葉を述べ、リュドミラは腰に下げた二つの水晶の瓶を開ける。瓶の中にはそれぞれ紅茶の葉とジャムが入っていた。白磁のカップに熱い紅の湯を注いで、最後にジャムを入れる。

「熱いから。気を付けて、ゆっくり飲みなさい」

兵士は感謝の言葉を述べ、ありがたそうに紅茶をいただいた。俺はミルクと砂糖を入れるのが好みだが、オルミュッツの者はジャムを入れる紅茶を飲むようで。まあそれはリュドミラが入れた紅茶だからだろうなと思いながら、耳に付けている通信機からあちら側の声を聞いていた。その様子を映し出してリンクするので、俺の頭にはその映像が送られてくる。リュドミラは微笑を浮かべていたがどうやら自分で入れる紅茶を相手に飲ませるのが、趣味のようだ。まあ俺だってたまに料理するが、誰かが美味しそうに食べていれば誰だって嬉しい事だが、彼女にとっては心休まるものの一つのようで。兵士が下がるとリュドミラの微笑が消えて領主の顔となった。

「エレオノーラがこちらに向かっているわ、私に倒されるために。それとヴォルン大公は直接介入はしないと判断する、介入するのであれば旗があるはずだ」

リュドミラの手が、傍らに立てかけられた槍に伸びる。水晶と氷塊を組み合わせた穂先で短槍だが、ティグルが使ったから分かるが所有者が戦う時は柄が長くなる仕組み。冷気を操る竜具。凍漣のラヴィアス。

「予定通り動くわ。ブルコリ平原で一戦軽く交えた後、タトラ山に籠る」

「・・・・ルリエ様」

彼女の前に立つ指揮官が二人。いずれも三十代半ばの男盛りで、実戦経験はリュドミラよりはるかに豊富である。それだけでなく、剣や馬の扱いにも長けている。彼らは沈痛な面持ちで、仕えている少女を見つめた。

「何かしら?」

リュドミラは彼らの言いたい事が手に取るように理解しているが、あえて問いかける。

「本当に『銀閃の風姫(シルヴフラウ)』と戦うのですか?その中には我が王国と忠誠を誓った神国であるヴォルン大公とも・・・・」

「そこまで、他国の公爵に義理立てしなければならないのでしょうか?ヴォルン大公は実戦経験豊富だと聞きます、それに弓よりも一撃で鎧ごと撃ち抜く武器を持っていると斥候からの報告で上がっていますが」

彼らの視線を受け止めて、リュドミラは冷厳さを帯びた表情と声音で答える。

「ルリエ家とテナルディエ公爵家との交流は、八十年もの長きに渡る。私の代で断ち切る訳にはいかない、それにヴォルン大公の武器は例え鎧ごと撃ち抜くとしてもオルミュッツ製の鎧なら防御可能よ。安心なさい、それに直接介入するならプトレマイオス軍の部隊が来るはずだから。恐らく今回は支援のために単騎で来たのよ」

リュドミラには誇りがあり、重みもある。エレオノーラとは違う・・・・・!その想いという鎖で支えているリュドミラであり、それで縛るものだった。青い髪の戦姫の命令を受けて、オルミュッツ軍は行動を開始したのだった。そして全てを聞いていた俺は、知らなさそうな表情をしながら戦場場所に進んでいた。 
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