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(仮称)武器の御遣い

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第壱章
  第三席。法正、旅を続けるとのこと 

 
 
 Side:飛鳥


 ……虎狩りから一月(ひとつき)余り。

 ……水虎(シェイフー)は、まだ見ぬ患者を救うとかで分かれた。


 ……そして現在、俺は釣りをしてる。


『……結構、釣れた』
〈少し釣り過ぎだと思うぞ?〉
『……そうか?』


 ……籠の中見たら20匹は軽く居た。


『……沢山採って、損は無い』


 ……等と、的盧と話していると、パシャっと、川に垂らしていた浮き代わりの小枝が沈んだ。


『……これで最後にする』


 ……そう言って、俺は竿を引っ張った。


『……ッ!? これは、大物……ッ!』


 ――――バシャァァァ!!!!


『……………』
〈……………〉


 ……釣り上げてビックリ。女の子が三人程、釣り糸に絡まって引っ掛かっていた。


『……何故?』
〈私に聞かれてもなァ〉


 ……だよ、ね。


 Side:END







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――








「「「はぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐ」」」
『……よく、食べる』


 飛鳥が釣り上げた少女達は、釣り上げられて暫くして目を覚ますと同時に盛大に腹の虫が鳴った。其れはもう盛大に、人の腹から上がったとはとても思えない音量で。

 その音を思いっきり真横で聞いた飛鳥は、魚が有り余っていたので、軽く火で焼いた物を差し出して『……食べる?』と聞いた。少女達は、盛大に鳴った腹の音を聞かれた気恥ずかしさから顔を赤くして俯いていたが、空腹には勝てなかったらしく、小さく頷いて魚を食べ始めたのだった。


『……ここ何日か、何も食べてない?』


 飛鳥がそう聞くと――――――

「「「…………」」」

 ――――――食べる手を一旦止め、赤い顔のまま、三人揃って頷き帰した。


『……そう。ところで、君ら、名は?』


 三人の食事が一段落したところで、飛鳥は『そう言えば、名前を聞いてなかったな』と内心で思いつつ、三人に名前を聞いた。


「私は長女の張角だよ」
「アタシは次女の張宝よ」
「三女の張梁です」
『……ちょーかく、ちょーほー、ちょーりょー?』
「いえ、ちょーりょーではなく……」
「まあまあレンホーちゃん。良いじゃない。この人、命の恩人な訳だし」
「そうそう、アタシやお姉ちゃんはそんな細かい事気にしてないし」
「天姉さん、ちぃ姉さん。……ハァ、まあ、間違いじゃ無いからいいのだけれど」
「それより〜、私は貴女の名前が聞きたいな〜」
「あ、そう言えば聞いてなかったわね」
『……言ってなかった?』


『……法 孝直。こっちは愛狼の的盧』


 自己紹介をすると――――――

「「「え、法正!? ってか狼!?」」」

 ――――――色々と驚かれた。


『……えっと、取敢えず落ち着け』


 飛鳥が三人に対してそう言うと――――――

「「「ハ、ハイ」」」

 ――――――どうやら落ち着いたようだ。


『……まず、的盧のことで驚くのは、初見では仕方ないとして。……何でオレの名前聞いて驚いてたの?』


 と、飛鳥は自身が気になった事を三人に対して聞いた。


「えっと。今、大陸では天の御使いと同じ位広まってる噂があるんです。ご存知無いですか?」
『……天の御遣いと同じ位? ……ないな』
「そうですか。その噂とは、双狼の舞姫と言われてる人が各地で悉く賊を討伐していると。その者の身なりは蒼い髪と瞳をし、狼のような遠吠えと共に舞うような戦い方で賊などには容赦ない鉄槌を下し、貧しい村には何かしらの施しをしていると。そして多種多様の武器を使い、巨大で銀色の美しい毛並みの狼を従えていると」
『……舞姫?』
「ええ。舞う様な動きで敵対者を討滅するから付いたとか」
『……舞姫、か』
「何を驚いているの? 口調こそ男みたいだけど貴女は女性でしょ?」
「だよねー。私噂を聞いて何かこう、ごつい人想像してたんだけど」
「実際逢ってみると綺麗な人よね」
『……一応言っておくと、オレは男だ』


 飛鳥が三人に対して間違いを指摘すると、揃って驚いた表情をした。


「………嘘はよくないわ。こんなに線が細くて、綺麗な人が男なわけない」
「そうよー、そんな見え見えな嘘は通じないんだからー」
「お姉ちゃんより綺麗かもしれないモンねー」
『……嘘は言ってない』


 飛鳥は、未だに疑う三人の手をとり、自身の胸に押し当てる。行き成りの事で驚いていたが、三人は男と納得した。しかし――――――

「………男の人なのに、こんなに綺麗なんて」

 ――――――と、三人とも女性としてのプライドにヒビが入ったようだ。


『……兎も角、男として認識してもらえて、何より。で、何で川から流れてきたの?』


 と、ここで飛鳥は、結構気になっていた事を聞く事にした。


「…………実は、空腹で川の近くを歩いていたら足を滑らせてしまって」

『……なるほど。それで、川に』
「でも、何故助けてくれたのですか?」
『……ただの偶然。釣りをしていて、竿に反応があったから、釣り上げた。そしたら、三人が掛かってた』
「………そうでしたか。しかし助けてもらったのは変わりません。お礼といっては何ですが、私の真名、人和をお受け取りください」
「あ~、レンちゃんずる~い。私のことは天和でいいよ〜」
「あ! 何抜け駆けしてるの二人とも! 私のことは地和って呼んでよね!」
『……良いのか? そんなに簡単に、真名を預けても』
「うん。これでも私達、人を見る目は有るつもりだよ〜」
「ええ、天姉さんの言う通りね。それに私達、個人的に貴方の事気に入ったから」
『………わかった。……その真名、しかと預かる。……オレのことは、気軽に飛鳥と呼んでくれ。……真名だ』


 真名を許されて自分だけ許さないわけには行かないだろう。と言う考えの下、飛鳥は三人に真名を預けた。


「うん。よろしくね、飛鳥」


 そしてまた魚を食べだす三人。そんな三人を見ながら『……アレだけ(10匹ずつ位)食べてまだ足りないのか。一週間は何も食ってないな』等と考える飛鳥であった。 
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