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抱き締めてTONIGHT

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第二章


第二章

「それでね。それで何を飲むの?」
「テキーラサンライズがいいね」
 彼女の好きなカクテルを言った。
「それにしよう」
「いいわね。それじゃあね」
「まずはそれを飲もう」
 こう彼女に言って勧めてだった。二人でそのテキーラサンライズを飲む。赤とオレンジの随分と派手なそのカクテルを飲むと。僕は言わずにいられなかった。
「ねえ」
「今度は何よ」
「いや、ここはさ」
「ええ、ここは?」
「何があったのか知らないしそれはいいよ」
 彼女に告げてからだった。
「それはね。ただ」
「ただ?」
「飲むのはいいね」
 笑ってこの言葉を出した。
「やっぱりね」
「今更何言ってるのかしら」
 彼女は僕のその言葉に苦笑いになって返してきた。
「お酒は百薬の長じゃない。だから今もこうしてね」
「飲んでるんだね」
「そういうことよ。それでもね」
「はい、ここまで」
 愚痴はあえて言わせなかった。
「じゃあこれからだけれど」
「どうしろっていうの?」
「外に行かない?」
 ここでも笑顔になって。それで彼女に言ってみせた。
「外にね」
「外になの」
「そう、外にね」
 また彼女に告げた。
「これから行かないかい?」
「そうね。その勧めだけれど」
「うん」
「乗るわ」
 彼女は今日はじめて笑顔になってくれた。
「その言葉」
「そう、乗ってくれるんだ」
「それでだけれど」
 乗ると言ってきてから。僕に言葉を返してきた。
「外にっていっても何処に行くのかしら」
「そうだね。夜の街をね」
「ドライブはお酒が入ってるから駄目よ」
「安心していいよ。今日は車じゃないから」
「それだったらいいけれど」
「そうさ。それでね」
 また彼女に言ってみせた。その横顔を見ながら。
「キザなことは言わないけれど」
「その言葉自体がキザね」
「そうかな。まあそれでも」
「外ね」
「外で。夜の街でも見ないかい?」
「街だけよ?」
「街には何でもあるよ」
 だからだと言ってあげた。ここは。
「だからね。どうかな」
「そうね。ここで飲んでばかりでもね」
「どうしようもないよね」
「ええ。じゃあ」
「行こうか」
 こうして僕達は夜の街に出た。赤や青、それに白のネオンが輝くその街に出てだ。僕達は二人歩いた。彼女がその中で僕に言ってきた。
 
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