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ルドガーinD×D (改)

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五話:冤罪って酷いよね?


どうもルドガーです。今現在俺は何だか険悪な状況に陥っています。
まあ、何があったのか簡単に振り返るとだ、買い出しの帰りにイッセーを見つける
そしてイッセーがレイナーレとか言う堕天使に殺される、俺がそいつと戦闘する
レイナーレに逃げられる、イッセーの元に近寄る
なんかリアス・グレモリー先輩が魔法陣の中から登場。
そして、何やら険悪な雰囲気になる……まあ、今がここだな。

因みにどういった様子かと言うとだ。
横たわるイッセーを挟み、睨み合う俺とリアス・グレモリー先輩という構図だ。
……これひょっとしなくても、俺がイッセーを殺したと思われてるよな?
痴漢冤罪の次は殺人の冤罪とかやめてくれよな……。

痴漢冤罪をかけられた時でさえ、人生終わったと思ったのに殺人冤罪とか
どれだけ俺の人生ハードモードなんだよ……え?アンノウン?
………ふっ、どうやら俺は不幸の星の下に生まれて来たらしいな…!!
こうなったらとことん不幸を追及していってやるぜ!!!
ん?これは何かって?やけくそだよ!!やけくそ!!!
他に何があるって言うんだ!!!??

「あなたがこの子を殺したのかしら?」

酷く警戒した様子でそう尋ねられる……。
ああ……やっぱりそう思ってたのか……
リアス・グレモリー先輩の冷たい視線が俺のガラスのハートに突き刺さる。
でもこんなのは以前にも経験したから慣れてるんだ!!!
………あれ?何だか凄く悲しくなってきたぞ?
ま、まあ、取りあえず誤解を解くか。

「俺じゃない。イッセーはレイナーレって堕天使に殺されたんだ」
「堕天使を知ってるの?あなたやっぱりただの人間じゃないわね」

あれ?何だか疑いの目がさっきよりも強くなったような……
しかも若干戦闘態勢に入ってるような気が……どうしてだ?
俺は簡潔に先程あったことを伝えただけだと言うのに……解せん。
仕方ないそれなら納得のいくまで説明しようじゃないか!!!

「だから俺じゃない!!買い物帰りに偶々通りかかったらイッセーが襲われていたから助けに入っただけなんだ!!!信じてくれよ!!!」
「否定するところがますます怪しいわ」
「だからな!!!!!」

くそ!!どうして信じて貰えないんだ!!?
あれか?これも俺が不幸だからで片づけるつもりか?
さっきはやけくそで不幸を追及するなんて言ったけど
やっぱり嫌だから認めないぞ!!!俺は絶対認めないからな!!!!!
意地でも俺が無実だと証明してみせる!!!!!

~十分経過~

「そう……ごめんなさいね。てっきりあなたが犯人だと思いこんでたわ。ほら、犯人が第一発見者ってよくあるじゃない?」
「まあ……分かってもらえたならいいけどさ。」

良かった……十分間、粘ったかいがあったな。人間話し合えば分かり合えるんだな!!
それにしても危なかったな……以前はエルが居たから選択できなかったけどな
今回もし殺人の冤罪にかかったりしたら夜逃げルートを選択するところだったからな。
まあ、GHSで常に移動制限されていたから無理だろうけど………。

そう言えばリドウの奴、俺から巻き上げた二千万ガルドどうしたんだろうな?
あいつ何だかんだ言って貯蓄しそうなタイプだし
もしかしたら銀行口座に丸々入ってるかもな……。
………もしかして地道に溜めていくよりリドウを倒して奪い返した方が早かったのか?
………どうして俺はそんな簡単なことに気づかなかったんだ……不覚。

え?倫理的にやったら不味い?
いや、治療費と称して小動物と小女と青年から二千万ガルドをぼったくる奴なんだぞ?
何したってお互いさまでいいだろ?おまけにエルを虐待したり、“ミラ”を……!!
とにかく、ろくでもない奴には間違いないんだからそれぐらいやっても構わないだろ。
と言うか俺が許す。

「さてと、あなたが無実なのが分かったし、私はそろそろ依頼を実行させてもらうわ」

俺がそんな考え事をしているとそう言って
何やらチェスの駒のようなものを取り出すリアス・グレモリー先輩
あれは……なんだったけ?
何となくどこかで聞いたことがあるような気がして必死に思い出そうとするが
直ぐにやめる。いや、思い出せないなら大したことじゃないだろ?
これは……思考の放棄では決してないからな?

「あなたにはもう少し話を聞きたいんだけど、今日はこの子を悪魔に転生させないといけないからダメね」

ああ、そう言えばサーゼクス様が『悪魔の駒(イーブル・ピース)』は他の種族を
悪魔に転生させるものだって言っていたな、思い出した。
これでイッセーの命は助かるのか良かった……。

それにしても……サーゼクス様が言っていた通りリアス・グレモリー先輩は結構
思い込みが激しいところがあるんだな。自分の意見を中々曲げないし。
そのせいで誤解を解くのに時間がかかったしな……。

ん?なんで知っているかって?そんなのサーゼクス様が耳にたこができるぐらいに
妹自慢をしてきたからに決まってるじゃないか?
正直、話し始めたら日が暮れてしまうかもしれないと笑いながら言ってたが
本当にそうなるとは思わなかった………。
まあ、最後はグレイフィアさんが無理やり引きずって連れ去って行ったんだけどさ。

……もし兄さんが俺の事を話したらどうなるんだろうな?
クランスピア社の同僚には、結構、俺の事を話していたみたいだけどさ。
何と言うか……兄さんも話しだしたら止まらなそうだな。

同僚のエージェントもそのことを話す時はなぜかみんな苦笑していたしな。
まあ、そこまで兄さんが思ってくれていたのは少し嬉しくもあるけどな。
おっと、なんだか別の事を考えていたな。今は俺に聞きたいことがあると言っている
リアス・グレモリー先輩の方が先だな。

「俺も一応、駒王学園の生徒だから呼んでくれれば話ぐらいはするぞ?」
「あら、そうだったの?それじゃあ、明後日の放課後に迎えの者を送るけど、それでいいかしら?」

明後日か……まあ特に予定もないからそれでいいかな。

「ああ、分かった」
「それじゃあ、お願いね」

さてと、大分遅くなったし急いで帰らないとな、
黒歌がお腹を空かして待ってるだろうからな。
そう思い、放置しておいた食材を手に持ち、家への帰路を急ぐ。





家に帰り手早く本日の晩御飯作りにとりかかる。
今回は俺の料理を新たな段階に進化させようと思い、今まで取り組んだことのない料理を
作ってみた。日本の代表的(?)な料理『すき焼き』今回はそれに挑んだ。
そして俺流にアレンジしてできた渾身の一品―――

「『トマトすき焼き』だ!!」
「え?すき焼きにまでトマト入れたのかにゃ?」

何やら怪訝な視線がテーブルの真ん中に陣取る鍋に送られる。
まあ、送り主は当然のことながら黒歌なんだけどな。
それにしても失礼だな。
まるでこの俺が食べられないものを出したかのような目じゃないか?
兄さんなら嬉々としてトマトに箸をつけているだろうにこの反応はあんまりだ。

「確かに見たことは少ないかもしれないが味は保障するぞ。普通は甘辛いすき焼きだがトマトを入れたことで酸味が増して爽やかになっているはずだ。食べやすさは間違いなくアップしてるぞ?」
「にゃ、ルドガーの料理の腕は信用してるし、いつもおいしいんだけど偶にはトマトから離れたらどうかにゃ?」
「つまり、俺に死ねって言っているのか?」
「え、そこまでのことなのかにゃ?」

トマトから離れろと言う無慈悲な言葉にショックを受け、前言撤回を求めるために
真剣な顔で黒歌に詰め寄るがなぜかドン引きされてしまった。
いや、そんなに引かないでくれよ。俺、結構傷つきやすいんだからさ。

「はあ……ルドガーのトマト好きは良く分かっていたつもりだったけど想像以上だったにゃ。一体どうすればそこまでトマトに拘りを持てるのにゃ?」
「それは…………」

そう言われて考えてみる、俺自身は勿論トマトが好きだ。それは事実だな。
でも俺は最初からトマトが好きだったか?……子供の頃はそこまで好きじゃなかったな。
じゃあ、どうして俺はトマトが好きになったんだ?
………兄さんがトマトを好きだったからだよな。

トマトさえ食べさせておけば大丈夫なんて自分で言う兄貴だったから自然と
トマト料理のレパートリーが増えていったんだよな?
初めて作った料理も『トマトソースパスタ』だったしな。

でも、それでもここまでトマトを食べないとダメだったか俺は?
エルがトマトが嫌いって言っていた時は迷わずトマトを除外することも出来た。
エルが可愛くて大切だったと言うのも勿論あるがあの頃はそこまでトマトに
こだわりがなかった気がするな……こだわりを持ち始めたのはこっちに来たあたりからか?

ああ…そうか。俺は“あの時”からずっと―――『トマトソースパスタ、食べ損ねたな』
――兄さんを殺したことを後悔しているんだな――
だからこそ俺は―――

「繋がりを……手放したくないんだ」
「え?」

変な話、トマトが兄さんとの繋がりになっているような気がするんだ……はは。
俺がいつものように料理を作って家で待っててさ、兄さんが仕事から帰ってきて
一緒に食事をするんだ。毎日なんでもないような話をしながらさ……。

だからさ……毎日、トマト料理を作ってたらさ、その匂いにつられて
兄さんが帰ってくるんじゃないかって思ってるんだよな、俺は……。
でも……そんなことあり得ないよな、だって兄さんは俺が―――殺したんだから。

「ルドガー!!」
「っ!?どうしたんだ、黒歌?そんなに大きな声なんか出してさ」
「…………何だか辛そうな顔をしてたにゃ」

そうか、顔に出てたのか……ダメだな俺、周りの人を変な気分にさせないように
気をつけないとな、ジュードからも言われてたけど俺って顔に出やすいからな。
よし、そうと決まれば元気出さないとな!!!

「ごめん、ちょっと考え事してからさ、ほら、料理が冷める前に早く食べるぞ!!」
「…………分かったにゃ」
「さ、食べるぞ」

今はとにかく前を向いて生きないとな、まだこの世界で何をしようとか、
何のために生きようとかはないけど今はとにかく生きないとな………。
そうしないと―――壊した世界に顔向けが出来ないからな。





食べてみると案の定好評だった『トマトすき焼き』も食べ終わり
証の歌を歌いながら皿を洗う。
昔は何の気もなしに歌っていたけど今になって思うと結構、深い歌なんだよな…これ。
会いたいくて仕方がない相手への想いが込められた歌……
それ以外にもいろんな想いが込められるしな。
兄さんから俺へ、俺からエルへ……ずっと想いは受け継がれていっているんだな。

「ルードガー♪」
「っ!!?く、黒歌!!?」

突如、後ろから飛びつかれた衝撃で洗っていた皿を落としてしまう。
――ガチャリと不穏な音が聞こえてきたが何とか皿は無事だったようで安心だ。
それにしても何で黒歌は俺に飛びついて来たんだ?
いつもは後片付けぐらい手伝えと言っても猫だから出来ませんとばかりに猫の姿になって
ソファーの上で丸まっているからな。
まあ、その姿が可愛く思えて文句を言わない俺も俺なんだけどな。

「何のようなんだ、黒歌?もしかして手伝ってくれるのか?」
「にゃはははは、それは遠慮するにゃ」

そう言いながらさらに俺の体に体重をかけてくる黒歌。
うっ!?柔らかい何かが、当たってる!!ありがとうございます!!!
てっ、そうじゃなかった!!?

「と、取りあえず離れてくれ!!!あ、当たってるから!!!!!」
「にゃん?何が当たってるか言ってくれないとお姉さん分からないにゃー♪」
「くうぅ………」

間違いなくニヤニヤと意地悪気に笑ってるであろう黒歌の声が俺の耳に響く……。
黒歌の奴、間違いない!!俺をからかうためにわざと当ててる確信犯だ!!!
いや、役得ではあるけどさ!!!と、とにかく何とかして黒歌を引きはがさないと!!!
そう思っていると不意に黒歌が俺から離れる。あれ?どうしたんだ?

「どう?元気は出たかにゃ?」
「は?」
「ルドガーが何だか元気がないからお姉さんが別の事を考えさせてあげたにゃん」

そうだったのか……知らないうちに気を使わせてたんだな。
こういうところは普段と違って意外と気が利くんだな、黒歌は。

「……なんだか意外だって思ってないかにゃ?」
「な、何の事だか分からないな」
「ふーん……」

うう、明らかに疑われてジト目で見られてる……俺やっぱり顔に出やすいんだな。
取りあえず、お礼を言ってこの場を丸く収めよう。

「とにかく、ありがとうな」

俺がそう言うとまるで悪戯を思いついた子供のような顔をする黒歌。
う!?やばい、これは絶対何かしてくる気だ!!!

「胸を押し付けられてありがとうだなんて……スケベな子にゃ♪」
「はあっ!!?そんなこと一言も言ってないだろ!!!??」

いや!!確かに心の中でありがとうございます!!とか言ってたけど!!?
て、また抱き着いて来てる!!?しかも今度は尻尾まで俺の腕に巻き付けてきてる!?
モフモフ尻尾ありがとうございます!!!
はっ!?また言ってしまった!!!??

「お姉さんと楽しいことしてみる?」

やけに色っぽい声でそう言われる……はあ。
顔が俺をいじるのが楽しくしょうがないって顔じゃなかったら完璧だったろうな。
まあ、完璧にされても困るけどな。

「もう、意外だとか思いませんから許してください、黒歌様」
「にゃはははは!!やっぱりルドガーは面白い子にゃ、いじってて飽きないにゃ」
「くうぅ……」

どうする?俺もういじられキャラとしての地位が完全に確立してきたんじゃないのか?
え?もとからいじられキャラだった?
………そう言えば前もエルやみんなに振り回されていたような気がするな。
でも、そう言う何でもないことが一番幸せなんだよな……それなら今のままでもいいか。

「ところでルドガー、着いてきてほしい場所があるんだけど、今度時間があるときに来てくれないかにゃ?」
「ん?明後日以外ならいつでもいいぞ。明日でもいい」
「そこまで急がなくてもいいんだけどにゃ」
「いや、大切な人の頼みなんだし、優先するよ」
「にゃっ!!?」

俺がそう言うと何故か顔を赤くする黒歌。
俺なんか変なこと言ったか?

「だってそうだろ、家族って何より大切だしな」
「そ、そういうことかにゃ……全く、まぎわらしいにゃ。思わずドキッとした自分が恥ずかしいにゃ」
「ん?最後の方、何か言ったか?」
「何でもないにゃ」

確かに何か聞こえた気がするんだが……まあ、いいか。

「それじゃあ、そっちの時間のある時に来てくれ」
「分かったにゃ」

さて、話も終わったし、皿洗いを再開するか。
こんな何も変哲のない普通の生活がいつまでも続けばいいのにな。
当たり前な生活、それがどれだけ大切かは身に染みて分かっている……失った痛みもな。
だから、俺はこの生活が続くように精霊に祈るよ。あ、猫耳精霊は除外だぞ。

 
 

 
後書き
いつ黒歌とルドガーを引っ付けるかな……。 
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