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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八話 お団子頭の女の子その八

「もうですか」
「はい、用意させて頂きました」
「また早いですね」
「思い立てば」
「その時にですか」
「すべきですので」
「何処にあったんですか、すぐに出せると聞きましたが」
「はい、八条荘の駐車場に」
 そこにあったというのだ。
「ですから」
「そうですか、駐車場にあったんですね」
「お車は他にもあります」
 あの車や他のマイクロバス意外にも、というのだ。
「バイクもありますので」
「へえ、バイクもあるんですか」
「はい、ですから」
「いざという時はですね」
「お話して頂ければ」
 大家である僕がそうすればというのだ。
「出せますので」
「わかりました、それじゃあ」
「何時でもです」
 畑中さんは僕に確かな声で言ってくれた。
「仰って下さい」
「そのこともわかりました」
 僕は言ってすぐに出て来たマイクロバスに戸惑いながらも答えた、そうしてそのやり取りの後でだった。
 皆と一緒にバスに乗って登校した、そしてそれぞれの部活の朝練に出た。
 僕は朝練が終わってクラスに行こうとした時にだった、後ろから呼び止められた。振り向くとそこには水蓮さんがいた。
 水蓮さんは笑顔でだ、僕にこう言ってきた。
「今から授業あるな」
「そうだよ、それで水蓮さんもね」
「私も授業に出るあるな」
「そうなるよ」
「いや、新鮮ある」
 朝練で汗をかいてからシャワーも浴びてすっきりとなった顔でだ、水蓮さんは団子のところからそれぞれ一条ずつ背中の真ん中のところまで伸ばしている長い黒髪を掻き分けながら僕にこんなことを言った。
「朝練に出て授業を受けるなんて」
「新鮮って?」
「中国では学校の部活ないあるよ」
「えっ、そうなんだ」
「そうある、私の通っていた学校もそうだったある」
「そうだったんだ」
「だから私新鮮ある」
 朝練に出た後での授業が、というのだ。
「もっと言えば部活をすること自体がある」
「新鮮なんだ」
「拳法は道場でしていたある」
「じゃあお料理は」
「家でしていたあるよ」
 にこりと笑ってだ、僕に話してくれた。
「兄さんと一緒に」
「お兄さんいるんだ」
「一人っ子政策だから私が生まれる時に税金を払ったりしたらしいあるが」
 それでもだったというのだ。
「私もいてある」
「お兄さんもいるんだ」
「そうある、兄さんは開封でコックをしているある」
「ああ、そのままだね」
「食堂にいるあるよ」
「ひょっとして水蓮さんの家も」
「食堂あるよ」
 まさにそのものだった。
「一家でやっていてある」
「お兄さんも家にいてなんだ」
「そこで働いているある」
「そうなんだね」
「そういうことある、それで私もお料理をするあるよ」
 何か水蓮さんの事情が大体わかってきた、そして中国の学校事情も意外な形で聞くことになった。 
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