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エクシードライフ・オンライン

作者:藤原とも
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始まり2 〜戦闘〜

さっそく、ツムギと一緒にフィールドに出る。
俺は、モンスター相手の戦闘はいろんなVRMMOで慣れているが、ツムギは今回が初めての戦闘だ。どういった反応をするのか、少し楽しみだったりする。

「お、いたな」

周りを見渡すと丁度良さそうなモンスターを発見した。
オレンジ色のイノシシ型のモンスターで、俺の視界に表示されているモンスター名は《ボア》というらしい。

「ツムギ、行くぞ!」
「えっ? う、うん!」

ツムギを連れ、ボアに近づく。大体5メートルほどの距離まで近づくと、気配を感じたのかこっちを向いて威嚇してきた。唸り声付きで。

「よし、ツムギ。初戦闘だぞ」

俺は、買ったばかりの剣を構える。ツムギも俺と同じように弓を構える。
やはり弓道部なだけはある。構え方が様になっているな。

「よし、さっき言った通りにいくからな」
「うん、やってみるよ」

さっきフィールドを歩きながら、教えた弓の戦い方を実行するようにツムギに促す。

「じゃあ、いくぞっ!」

俺は勢いよく飛び出し、ボアに斬りかかる。奴のHPバーが全体の2割ほど減少した。

『ブモォッ!』
「おっと、あぶね」

お返しにと、ボアが体当たりをしてきたので、バックステップで躱す。

「今だ! ツムギ!」
「いくよっ!」

俺の合図と共に、青く光る矢がボアに直撃する。俺のさっきの攻撃より相手のHPバーを減らしたことに俺は驚く。

(マジかよ…。教えてないのに《エクシード》を発動させるなんてな)

今のは弓スキルの《シンプルアロー》だ。通常の攻撃より攻撃力が高い強力な技で、ELOでは通称《エクシード》と呼ばれるスキルだ。
発動方法は至って簡単。自分の得物をエクシードごとに発動させることができる型を構えるだけ。そうすれば後は勝手に発動する。
ここらへんのシステムは他のゲームとは余り変わらないので、俺も簡単に発動することができる。始めたばかりのツムギだって簡単に使うことができてるしな。

「うわぁっ!? なんかこっちに来たーーっ!!??」

さっきの攻撃で、ボアの増悪値《ヘイト》を余計に稼いでタゲを取ってしまったらしいツムギが、必死にボアの突進を避けていた。

「ツムギ待ってろ! 今いくからっ!」
「早く来てーっ!」

俺は走りながら、片手用直剣用エクシード《ホリゾンタル》を発動させる。淡い青色に輝いた俺の剣が、ボアの体を水平に斬り裂いた。
今の攻撃で相手のHPは全損し、その場で霧のように消えていった。敵の消滅を確認し、俺は剣を背中の鞘に納める。

「ふう…、初戦闘だったけど上手くいったか」
「危なかったー……」

ツムギはボアの攻撃を避けるのに疲れたのか、げんなりしている。

「まあ、初めての戦闘にしては、様になってたんじゃないか?」
「本当に?」
「本当だ」
「やったね!」

褒めたら元気を取り戻したな。単純な奴だ。

「じゃ、まだ時間あるし、そこら辺のモンスター狩るか」
「そだね、そうしよう!」

それから、約二時間弱ほど狩りを続けたおかげで、ツムギは完全に戦闘のコツを掴んだようだった。レベルもお互いに2に上がっていた。
レベルが上がったことにより、ステ振りのポイントが3入ったので剣主体で、アタッカーの俺はSTRに2、AGIにも1振る。今後も振り分けは、STRとAGIを中心に上げていくつもりだ。
一方のツムギは、弓をメインアームにしているので命中しやすくなるようにDEXに2、武器も扱いやすいようにSTRに1を振った。

「うーん、戦ったねー」
「確かに。レベルも上がったし、モンスターの素材もそれなりに手に入ったしな。そろそろ休憩にするか」

流石にこれ以上の戦闘は辛いし、一旦休憩を提案する俺。

「うん。じゃあ私、一回戻るね」
「おう、わかった。じゃあ、30分後にエイプリルの中央広場でな」
「了解。じゃ」

そういいながら、自身のメニューを開いたツムギだったが、途端に、あれ?、といったような顔になった。

「? どうしたんだ、ツムギ」
「ユイト、ログアウトのボタンってメニューにあるんだよね?」
「そうだよ。………もしかして無いのか?」
「うん、いくら探しても見つからないよ」
「そんなわけないだろ…」

俺は左手を軽く振り、メニューウィンドウを呼び出す。そしてログアウトボタンを探すが………見つからない。

「………っ!? なんでないんだ…?」

いくら探しても、つい二時間ほど前にあったログアウトボタンはそこにはなかった。
 
 

 
後書き
エクシード紹介欄

ホリゾンタル

片手用直剣のエクシード。
他のゲームでも、初期スキルとしてセットされている定番のスキル。
敵を水平に斬り伏せる。


シンプルアロー

弓専用のエクシード

単純に通常攻撃の1.2倍のダメージを与えることができる。
 
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