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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十二話





―――洛陽―――

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 夜中、洛陽の街の道を、一人の男が走っていた。

 男は文官が着る服を着て、腹は肉の喰いすぎなのか太っていた。

「いたぞッ!! 奴だッ!!」

「絶対に逃がすなッ!!」

男が走っている後方に、剣や槍を持った兵士達が男を追い掛ける。

「ヒイィッ!?」

 男は咄嗟に月の光でも薄暗い路地裏へ逃げた。

ドカッ!!

「ウワァッ!?」

 男は木の板に引っ掛かって転けた。


「ググ。糞ッ!!」

 男は立ち上がろうとした時、目の前に槍を突きつけられた。

「ヒイィッ!?」

「……ようやく追い詰めたぞ『  』ッ!!」

 追い詰めた兵士達がニヤリと笑う。

「あ…あ…あ…」

 文官は顔を青ざめていた。

「賈ク様に急いで報告するんだッ!!」

 兵士達は慌ただしく動き、文官は縄で捕らわれた。

「………全ての責任を取ってもらおうか」

 部隊長は連行されていく文官を見ながらポツリと呟いた。





―――シ水関―――

「王双様ッ!! 洛陽から伝令ですッ!!」

「ん、分かった。入れ」

 朝、鎧とかを着ていると兵士が報告してきた。

「失礼します」

「ん。じゃあ聞こうか」

「は。昨夜、『  』を捕縛しました」

「……そうか。証拠になるような物は見つかったか?」

「昨夜、隠れ家に踏み込んだ際に書きかけの書がありました。袁紹に更なる援軍を送り込むようにと書かれていました」

「……そうか。一応の証拠はあるわけだな」

 俺はニヤリと笑う。

「以上です」

「分かった。御苦労だった」

「は」

 兵士は頭を下げて俺の部屋を出た。

「………これで袁紹に一泡吹かせられるな」

 俺はそう思った。





―――洛陽―――

「え、詠ちゃん見つかった?」

「……駄目よ月。見つからないわ。全力で探しているんだけど……」

 洛陽の宮中で董卓と賈クが話しをしていた。

「……まさか連合軍の間者に捕らわれたんじゃ……」

「そんな事を言わないでよ月ッ!! まだ捕まったわけじゃないのに……」

「……そうだよね。詠ちゃん、もう一度探そう」

「そうね」

 二人は誰かを探し始めた。





―――シ水関―――

「恋と陳宮がもうすぐ、『  』を此処に移送してくる」

「………そうか。これが成功したら連合軍は崩壊するだろうな」

 俺の言葉に桜花が嬉しそうに言う。

「じゃが、気を抜いてはならんな。今のところ儂らは悪じゃからのぅ」

 零の言葉に俺は頷く。

「あぁ」

「申し上げますッ!!」

 その時、兵士か部屋に入ってきた。

「只今、呂布様と陳宮様が到着しましたッ!!」

「分かった。直ぐに此処へ通してくれ」

「は」




 それから程なくして、恋と陳宮が来た。

「恋、陳宮。移送御苦労だった」

「………ん」

「移送するだけなので簡単です……って恋殿を真名で呼んでるのですかッ!?」

 ……今更かよ………。

「そりゃぁ呼んでいいと言われたからだ」

「……音々も真名で」

「恋殿ッ!?」

「……長門……悪い奴じゃない」

「うぅ~」

 恋の言葉に陳宮は頭を抱えていたが、やがて俺と向き合う。

「……仕方ないのです。音々は音々音なのです。音々でいいのです」

「あぁ、俺は長門でいいよ。音々」

 何か分からないけど、音々とも真名を預けた。

「そ、それでなのですが……」

 ん? 急に音々が申し訳なさそうな表情をした。

「どうした?」

「実は………「そこからは私が話そう」……」

 すると、部屋の扉が開いて一人の女性が入ってきた。

 女性は劉備と同じピンク色の髪をして、髪型はポニーテール。女性を強調する物が大きいかった。

『へ、陛下ッ!!』

 その女性は漢王朝の現皇帝である劉協だった。

「………へ、陛下。何故このようなところへ?」

 俺は皆よりいち速く復活して陛下に問う。

「戦況視察……ではなく、お前達の手伝いだ」

「手伝い……ですか?」

「うむ」

 俺の言葉に陛下は頷いた。





 
 

 
後書き
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