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ルドガーinD×D (改)

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一話:ここ異世界?

全身を焼くような痛みが襲ってくるが決して苦しそうな顔を出さないようにする。
エルを不安にさせないためにも俺が苦しそうな顔なんかしたらいけないからな。
俺が悲しそうな顔をしたら優しいエルはきっと苦しむ……。
だから―――笑って別れよう。

エルが元気でいられるように…正しく生きていける様に…ずっと幸せでいられるように
想いを込めて証の歌を歌う……。
目に涙をいっぱいに溜めながらも我慢して俺を見上げ続けるエル……。
勝手な願いかもしれないけど……自分勝手に君の傍からいなくなる
『アイボー』の願いは一つだ……もう一度―――笑顔を見せてくれ、エル。

体が消えて行く刹那、最後に俺の目に映ったのは―――エルの笑顔だった。





体の痛みは感じない……それなのに意識はある……これは死後の空間か何かか?
まあ、いいか……。自分の人生に後悔なんてない。
エルのことが少し気がかりだけどちゃんと約束したから大丈夫だよな?
エルはいい子だし、それに……みんなもいるからな
短い人生だったけどみんなに会えたから満足だな、俺は。
もしここがあの世なら兄さんやミラに会えるかな?
その時は謝ろう……でもなんて言おうかな?

俺口下手だしな、ははっ、きっと、もうそろそろ意識もなくなって―――こない?
どういうことだ?何故だか固い地面に寝転がってるみたいな感触がするんだけど……
それに…やけに眩しい感じがする……もしかして目を開けられるのか?

「…………どこだここ?」

目を開いてみると目の前には紫色の空がただ広がっていた。
何故だか体があったので起き上がって辺りを見まわしてみるが
見たこともないだだっ広い大地が広がっているだけだった。

「もしかして……おれ地獄に来たのか?」

俺が今までしでかしてきたことを考えるとそれも納得できるけど
確か人間って死んだら魂を循環されるんじゃなかったのか?

『それは違うよルドガー君。』

突如、少年のような声が直接頭に響いてくる。
この声はまさか!!?

「オリジンなのか!!?」
『久しぶりだね、ルドガー君。でも君からしたらついさっきの事かな?』

どういう意味だ?
いや、今はそんなことよりも俺は確かに死んだはずじゃなかったのか?

『今の君は死んでいない、でも別の世界にいる。』
「別の世界ってまさか俺が分史世界を作ったのか!?」

ここが別の世界だと言ったオリジンの言葉に肝が冷える。
だってそうだろ!?もし、俺が分史世界を作り出したのだとなったら
みんなの思いを無駄にしてしまったことになる!!
最悪エルが俺の世界を壊すために骸殻を使うことになるかもしれない…!!
それだけは何としてでも避けないと!!!
ここが分史世界なら俺が時歪の因子(タイムファクター)だろうから
最悪自殺とかで壊せないのか?

『ルドガー君、何か勘違いしてるみたいだけどそこは分史世界じゃないよ、そこは僕たちの世界とは全く違う異世界だよ。』
「異世界?」
『そう、君はエルを助けるために時歪の因子化(タイムファクターか)したけど一瞬早く分史世界の消去と二度と分史世界を作れないようにする作業が終わってね、君の魂は分史世界にもなれず浄化されることも出来ずに彷徨ってその世界にたどり着いたのさ。』

なるほど……つまりは行き場所が無くなって彷徨っていたところを
偶然に辿り着いたってことか。……借金の次は行く場所がなくなるなんてな
俺って魂から不幸体質なのか?

「とにかく……魂が行きついたのは分かったがどうしておれは肉体があるんだ?もしかして魂があったら肉体は勝手に修復されるのか?」
『ふふふ、残念だけどそれは違うよ、それは僕のサービスさ。』
「サービス?」

正直に言おう、俺はサービスやバーゲン、特売の言葉に弱い。
俺がケチだと?しみついた貧乏癖は中々治らないんだよ!!?
文句がある奴は借金二千万ガルド背負ってみろ!!!
………うん。自分で言ってて悲しくなってきた……。
と、とにかく今はオリジンとの話に戻さないとな。

『審判を超えた君へのささやかなサービスで肉体を作ってあげたのさ、しかも特別性だよ。』
「そういえば、体が軽いな。」

軽くその場で飛び跳ねてみると何となくだが以前よりも高く飛べるたような気がした。

『その世界で生きていけるように体を強化してあげたからね。』
「おお!!」

なるほど、それでなのか、感謝感謝だな。

『さらに君の時計とユリウスの時計もセット。』
「ありがたい!!」
『さらに、さらに便利な神器(セイクリッドギア)もつけたよ!!』
「なんだって!!?」

なんだよそれ、神器(セイクリッドギア)という良く分からないものもあるけど断然お得じゃないか!!?
……ん?まてよ、さっきオリジンはこの世界で生きていけるようにって言ってたよな?
……もしかして……この世界ってかなり危険なのか!!?

「なあ、オリジンこの世界について教えてくれないか?」

不安になったので取りあえずオリジンに尋ねてみる。
まあ、備えあれば患いなしってやつだな。
ほら?貯金していれば不当な医療費を請求されても何とかなったりするんじゃないのか?

『いいよ、でも話すと長くなるから直接脳に情報を送るね?えい。』
「ぬわっ!!?」

頭の中に大量の情報が入ってきて思わず声を上げてしまう。
というか天使だの悪魔だのドラゴンだのこの世界すごいな!!
ん?でもこの世界からしたら俺たちの世界も精霊がいるから十分すごいのか?
まあ、何はともあれこの世界がどういうものなのかは理解できた。

「オリジン、ありがとう、大体分かった。」
『お礼は別にいいよ、僕は君にこの世界で生きてもらいたいからね。』
「本当に変わった精霊だなオリジンは。」

ミラも大分変ってはいたがオリジンも大概だよな。
クロノス?あんな猫耳を持ってるくせに見ていてイライラしかしない
精霊のことはなんか知りません。猫耳はやはり猫以外に付けるべきものじゃない。
折角の癒し成分が台無しになるからな。

『ふふふ、クロノスからもよく言われるよ―――あ、言い忘れてたけど調整ミスでルドガー君の見た目、十五歳位になってるから。』
「は?」

慌てて見てみると確かに手は若干小さくなり心なしか肌の張りが良いように見える。
て、あれ?俺って二十歳時点で肌に張りが無くなってたの?
ちょっとショックだ。……やっぱり借金のせいか?リドウめ……!!

『一生そのままってわけじゃないから安心して普通に成長していくから。』

文句を言おうとしたがオリジンの言葉に胸を撫で下ろす。
いや、別に若返ったこと対しては特に文句はないんだけどな?
文句を言うのはお約束みたいなものだろ?

「ようするに十五歳に戻ったと思えばいいんだな?」
『そう思ってくれて構わないよ……そろそろこの世界に干渉するのも難しくなってきたから消えるよ、最後に何かあるかい?』

最後か……うーん、いろいろと聞きたいことはあるけどやっぱり一番はあのことだな。

「みんなやエルは元気か?」

そう、みんなとエルのことだ。
因みに内訳はエルが80%、みんなが20%だ。
別にみんなが嫌いなわけじゃないぞ?ただ、エルが大切なだけだ。
ロリコン?いいえ、エルコンです。

『ふふ、君はやっぱりお人よしだね、自分ことより他人だもんね。』

まあ、ジュード程じゃないが俺もお人好しだな。
え?どっちも同じ?………細かいことはいいんだよ!!

「まあ、それが俺だな、それで?」
『うん、みんな君のことをしっかり乗り越えて前に進んでいるよ。エルもしっかりと前に進めてる。』
「そうか……。」

みんながんばってるんだな……それにエルも……
俺もこの世界で精いっぱい生きていこう!!!
それと折角なんだし、今まで出来なかった
自家製トマトで料理を作ってみたいな、うん。

「ありがとうな!!オリジン」
『うん、それじゃあね、ルドガー君、君の人生に精霊の加護がありますように。』

そう言い残してオリジンは俺の頭の中から消えて行った。

「さて、行くか。」

俺はポケットから自分の時計を取り出し祈るように額に当てる。
そして今度は兄さんの時計を取り出し見守ってくれるように祈る。

「兄さん……まだそっちには行けそうにないから見守っててくれ。」

そしてこの世界での記念すべき一歩を踏み出して、ふと気づく。

「そういえば……ここどこだ?」

どうやら俺は世界が変わっても幸薄なようです。
オリジンに場所を聞いてたら良かったな……。
 
 

 
後書き
書き直しってこんな感じでいいのかな?
地の文が増えた位だけど……でも以前より千文字以上増えてるからただの修正だと無理があったしな…。 
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