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第七章

「やっぱりええとことか見せて好きになってもらったからやろ」
「ちゃうちゃう、またちゃう」
「そこに出てるところは出てるけれどな」
「春奈ちゃんは御前の告白受けたんは別の理由や」
「別の理由で受けたんや」
「ほなそれ何や」
 その別の理由をだ、彼は問うた。
「一体」
「御前がそこまでする、その気持ちや」
「それを春奈ちゃんは見てな」
「自分のことほんまに大好きなんやってわかったからや」
「それで御前の言葉に応えたんや」
「じゃああれか、俺が春奈ちゃんを好きやってこと」
 賢枢は彼等のその言葉を聞いて言った。
「それ自体がないな」
「そや、自分をそれだけ好きやってことがな」
「わかるとな」
「やっぱり応えるわ」
「人は好きでいてくれる人にな」
 その想いが伝わってというのだ。
「それでや、まああそこまでしたところに気持ち出てたしな」
「それ春奈ちゃんも見たしな」
「そのこともあってや」
「春奈ちゃんも受けたんや」
 賢枢に対してこう語るのだった。
「そういうこっちゃ」
「それでわかったな」
「ああ、俺自身が春奈ちゃんをゲットしたんか」
 賢枢は改めてだ、友人達の言葉に頷いて答えた。
「成程な」
「ああ、その行動はストーカーめいてもいたけどな」
「気持ちは確かに伝えてたわ」
「御前が春奈ちゃんをとことん好きやって気持ちは」
「あの娘にな」
 そしてそれが今の賢枢の幸せを導いたことをだ、友人達は言うのだった。その彼に対して。


いいところを見せようと   完


                           2014・9・17 
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