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第五章

「そうなるしかないやろ、あの娘彼氏おらんし」
「まあなあ」
「それはそやけどな」
「それでもそう言えるのがな」
「俺等にはわからんわ」
「どうにもな」
「いや、そうなるわ」
 また言う賢枢だった、やはり迷いなく。
「後はな」
「後は、か」
「春奈ちゃんに告白か」
「告白するだけか」
「そうするわ、台湾やとな」
 彼の国では、というのだ。
「それが普通やねん」
「男から女に告白するのがか」
「台湾の流儀やねんな」
「そやねん、それが女の子を立てることでな」
 賢枢は友人達にこのことも話すのだった。
「ええねん」
「女の子の面子を立てる」
「そういうこっちゃな」
「そういえば台湾の女の子って気が強いっていうけど」
「そういうことも気を使わんとあかんのか」
「台湾の女の子は強いで」
 実際にと言う賢枢だった、このことについては。
「大阪のおかんレベルや」
「おお、それはえらいな」
「怖いな、それ」
「あんなレベルか、台湾の女の子って」
「ちょっと付き合うの怖くなったわ」
「そやから大和撫子は女神や」
 そう見えるというのだ。
「もう喧嘩になったら長州力さんやしな」
「維新軍団かい」
「サソリ固めにリキラリアットやな」
「そういう技かけてか」
「喧嘩相手の男をのすんか」
「俺の兄貴の奥さんほんまに兄貴にサソリ固めかけてたわ」
 リアルで、というのだ。
「兄貴っちゃ痛がってたわ」
「怖い兄嫁さんやな、そりゃ」
「ほんま大阪のおばちゃんやないか」
「ちょっとないやろ、それ」
「そりゃ付き合いにくいわ」
「女の子がそれやしな」
 それで、というのだ。
「春奈ちゃんのあの雰囲気がな」
「ええんやな」
「怖ないから」
「俺サソリ固めかけられたくないわ」
 本気で言う賢枢だった、このことについて。
「リキラリアットもな」
「そんなんかけられたい奴おるか」
「あと卍固めも嫌やな」
 こちらはアントニオ猪木の技だ。
「しかし台湾の女の子と比べたらか」
「日本の女の子はええんか」
「可憐かいな」
「外見は確かに可愛いわ」
 台湾の女の子は、とだ。また言う賢枢だった。
「けど内面が大事やろ」
「そういうこっちゃな」
「それやったらか」
「春奈ちゃんええか」
「その視点からも」
「そやから必死に努力したんや」
 情報収集も行って、というのだ。
「あの娘ゲットする為にな」
「そうか、そやったらもうハッピーエンドしかないな」
「幸せな結末しかな」
「告白成功さろや」
「絶対にな」
「ああ、やったるわ」
 意気込んで言う賢枢だった、そして実際に。
 賢枢はこの時と思った日にだ、春奈に大学の最寄りの駅の前にある喫茶店に来てもらってだ、そこでだった。 
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