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その魂に祝福を

作者:玄月
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魔石の時代
第四章
  覚悟と選択の行方2

 
前書き
黒幕降臨編。あるいは、リブロムは見た編

 

 


 そもそも、その女剣士――いや、今となっては女司祭と呼ぶべきか。どうやら、あの後でサンクチュアリに籍を置いたらしい――と出会うきっかけとなったのは、別の魔女との出会いだった。
「貴様、何をしたか分かっているのか!?」
 鋭い罵声が響いたのはとある魔物を救済した直後の事だった。魔物が根城にしているような場所にのこのこと近づいてきた以上、所属はともかくとしても同業者に決っている。いつ魔法が放たれてもおかしくない剣幕に、念のため魔力を練りながら振り返った。
 そこにいたのは、二十歳そこそこの女だった。険の強い顔つきを踏まえてなお大層な美人だったが――今注目すべきはその右腕だろう。
(アヴァロンか……)
 彼女の右腕は目に見えて黒く染まり、すでに変容が始まっている。そろそろ殺しにも手慣れてきた頃だろう。
(隙がないな……)
 実際、戦闘には慣れているらしい。となると、いわゆる転属組――サンクチュアリからアヴァロンへと移った魔法使いと言う可能性もある。だとすれば、腕の状態だけで判断するのは危険だった。サンクチュアリの魔法使いにも、戦闘に長けた者はいくらでもいるのだから。
「その女がこれまで何をしてきたか知らないのか?」
 こちらを――というより、元魔物の女を睨みつけて、その魔女は言った。
 元魔物の若い……いや、資料では三十代半ばであるはずのその女は、いわゆる人買いである。主な商売相手は娼館や下衆な金持ち。となれば、商品は若い女である事は言うまでもない。同性であるという事で油断を誘い、田舎娘を騙して攫っては娼婦に仕立てて売りさばく。そんな事を生業としていた女だ。目の前の魔女も、それを知っているのだろう。アヴァロンの魔法使いとしてこの場に赴いてきた以上は間違いなく。だが、
「知っているなら何故だ?」
 自分がもしも白い法衣を纏っていれば、こんな馬鹿げた質問はされなかっただろう。だが、自分が纏っているのは黒の法衣である。それは、この新世界でもアヴァロンに所属している事を示す記号だった。もっとも、今も昔も絶対の記号と言う訳ではないが。
 ともあれ、今は彼女の質問に答えるのが先決か。いい加減、魔法が飛んできかねない。
 元魔物の女自身も元を辿れば攫われた少女だった。それがまず前提であり、ある意味では結論である。彼女は別に個人で人身売買を行っていた訳ではない。その裏にはごく当たり前のように組織が存在する。その組織に攫われ、十年以上の年月をその支配下で生き残るために足掻いた結果が今である。さらに言えば、魔物化したのは怪しまれた彼女をその組織があっさりと切り捨てたからだった。絞め殺され、湖に遺棄されそうになった。その直前に抱いた自分の人生を嘆き、まだ生きたいと……もう一度やり直したいという強烈な欲望が、今も世界に残されたままである『奴ら』の瘴気と結びついて魔物となったらしい。
「だからと言って、その女の罪が消える訳ではない」
 もちろん、それはそうだろう。だが、どうか命までは奪わないでほしい――それが、サンクチュアリからの依頼であり、ひいてはその十数年間彼女の生存を信じて探し続けた家族の願いだ。それに応じて自分はこの場に赴き、今の選択に繋がっている。
 とはいえ、それで目の前の魔女を説得できたら苦労はない。
「……生贄にすればいい」
 元魔物の女を活かしておく利点。それは、彼女を使役していた組織の情報が得られる事だ。蜥蜴の尻尾など何本始末しても意味がない。その裏でほくそ笑んでいる頭を潰す。その為には彼女の持つ情報は有益だ――そう言った説明に対する魔女の返答がそれだった。
 彼女の反応は思った以上の好感触だと言えた。説得までもう一歩と言ったところか。
「その女が口を割るとでも?」
 生贄による記憶の回収は必ずしも成功する訳ではない。それに、回収できたとしても不鮮明である事が多い。鮮明に受け継いでしまえば今度は記憶の混濁……最悪は人格の融合、崩壊が待つ。それなら、まずはサンクチュアリに引き渡してからでも遅くはない。
 どうせ彼女の罪状から考えれば、サンクチュアリの庇護下から外れ罪を問われる事になれば、極刑は避けられないのだ。まして彼女は元魔物である。その処刑方法として生贄が選択されたとしてもそれほど大きな問題にはならない。
「……いいだろう。だが、私も同行させてもらう」
 不機嫌そうに――それでも、その魔女はこちらの意見を受け入れた。旧世界のアヴァロンとサンクチュアリは血で血を洗う抗争を繰り広げた訳だが……新世界のアヴァロンは元々サンクチュアリの魔法使いが復興させたものである。拠点まで連れていったところで、いきなり殺し合いになる事はない。諸手を挙げての大歓迎にもならないが。
 やれやれ、道中が華やかになったと喜ぶべきか。それとも、針の筵が酷くなったと嘆くべきか。正直なところ、判断がつきかねた。
 それから、その魔女との一連の旅は意外と長く続いた。……いや、予想に反して短かったというべきか。その元魔物の女は素直に情報を提供し、サンクチュアリの修道士として永く続く贖罪の道を選んだ。そして、自分達は彼女の情報を元に人買いの組織を一つ壊滅させる事になる。それに一通りの区切りがつくまでの半年ほど、彼女とは共に旅をする事になった訳だ。その過程でその魔女の過去を知る事になり……それが縁となって、旅を終えてからも彼女との関係は……それも少々爛れた関係が続く事になる。
 この時点で『あの日』から三百年ほど経過していたはずだが――今思い返せば、彼女たちと過ごした日々は自分が最も人間らしく生きていた時代の一つだろう。




『生きたままゆっくりじっくり皮を剥がされた挙句塩漬けにされるのは嫌あああッ?!』
 というのは、アルフの戯言だったはずだが。
「アイツ、えらく禍々しい発想しやがるな……」
 ヘドロのようにまとわりついてくる海面を何とか引き千切り、岸へと自分の体を引きずり上げる。生きたまま皮膚を失った挙句、塩水に漬かった身としては、その低度で余計な激痛から解放される訳もないが。
(クソッ……)
 激痛に耐えかねてこのまま心臓が止まってくれればいい。正直に言えば、そんな誘惑を感じないでもなかった。そもそも皮膚というのは体温調整や免疫機能に関与する人体最大の器官だ。それを丸々失えば即死ではなくとも間違いなく致命傷となる。そのうえでさらに、肩から胸にかけて袈裟斬りのように引き裂かれていた。おまけにあの高さからの自由落下。一応防御はしたが――それでも、カチ割られた頭がまだ痛む。しかも、その全ての傷に塩が入り込んで余計に痛みだしているのだ。これでまだ生きているのだから、不死の怪物の面目躍如といったところだろう。もっとも、
(魔力の消耗が激しい。血が足りない……)
 自分の不死性は基本的に特殊な呪血によって支えられている。もちろんそれが全てではないが、原則として傷の回復には『マーリン』の血――不老不死の力が込められた呪血が必要となる。そういう意味ではジェフリー・リブロムの不死に近いと言えるだろう。恩師が自分で『マーリン』の血を精製できるようになったようなものだ。
 ともあれ、その呪血の生成には魔力が必要であり、効果を発揮する度に代償として血が失われる。消費される血と魔力と、それにより回復する血と魔力が釣り合っている、もしくはさほどの差がなければ問題はないが……。
「代償がある以上、簡単にはいかないか」
 代償による損傷は、ジェフリー・リブロムの不死をもってしても癒すことは極めて難しい。そういう法則だ。だからこそ、癒すには特別なイカサマが必要だった。イカサマをする方法はいくつか心当たりがあるが……偽典リブロムは、その代名詞となるだろう。
 何であれ、結論としては相棒と合流しなければこの傷は癒せない。ただそれだけだ。
 まして心臓を破壊されている今、血の循環など望むべくもない。むしろ大量に失ってしまっている。状況としてはかなり面倒な事になっていた。
(無理が効かない状態で、治せない傷まで無理やり治そうとしているからな……)
 だからこそ、こうして余計に魔力や体力を無駄に消耗する羽目になる。だが、なのはの現状が分からない以上、リブロムを召喚する訳にはいかない。
(いや、他にも方法がない訳じゃあないが……)
 イカサマの度合いなら、俺自身の体質も大概なものだ。自分が宿している『力』を活性化させてやれば――例えば、『マーリン』の不死性を前面に出してやる事が出来れば、さすがの代償といえどもいつまでも身体にまとわりつけない。とはいえ、
(生贄をする訳にもいかないしな)
『マーリン』が行う生贄は特殊だ。魔力のみならず、身体的な消耗まで癒せる。究極的には禁術の代償も打ち消せる訳だ――が、生贄にするような相手がいない。それに、今の状態では生贄行為の代償……つまり、若返りを抑え込むことも難しい。うっかり胎児に逆戻り、なんて事になったら目も当てられない。
「ひとまず身体を休める必要があるか……」
 なのはの現状、フェイトとアルフの行方。確認しなければならない事はいくつもあるが、現実的な問題として、まず自身の体力の限界が目の前に横たわっている。ここまでの損傷となれば無視できるものではないし、仮に無視して動いたところで、そう長い事は続けられない。
(まずは、部屋に帰るか……。フェイトとアルフがいるかもしれない)
 可能性としては低くない。彼女達が持っているのは八つ。あの日――鞭打ちにされて帰ってきたあの日から三つしか増えていない。プレシア・テスタロッサの望みは分らないが、それで満足するとは思えなかった。
(三つってのは俺が持っていた数だからな)
 三つで足りるなら、フェイト経由にしろ直接にしろ、プレシア・テスタロッサは必ず引き渡しを要求してきたはずだ。それが交渉となるか、強奪になるかは別として。それがなかったと言う事は、三つでは足りないという事だ。
(今ならどうだ?)
 手元には今八つある。フェイトが持っている八つとあわせて一六。俺達だけで七割――八割近いジュエルシードを確保している。
(そろそろ姿を見せてもいい頃じゃないか?)
 ……まぁ、姿を見るより先に一撃喰らった訳だが。いや――どうやらそれだけではないらしい。空を見上げ、にやりとする。
 管理局の機械とは異なる、魔力の胎動。馴染みがある、と言っていいだろう。似たような魔法なら使えない事もない。つまり、
「当てが外れたか?」
 プレシア・テスタロッサの監視だ。おそらく目的は俺――ではなく、俺が持っている八つのジュエルシード。どうせ、死体の懐から楽々と抜き取る算段だったのだろうが。
「こいつが欲しいなら、取りに来いよ。もっとも、渡すとしてもあの子達と交換だがな」
 返事はなかった。が、何かしらの動きはあったらしい。魔力が揺らぐ。一応何が起こってもいいように身構えておくが――
(思ったよりも奥手らしいな)
 上空の魔力はそのまま霧散した。それ以上の動きがない事を充分に確認してから、大きくため息をつく。皮膚がない状態では汗も出しようがないが――そうでもなければ、今頃は冷や汗が止まらなかった事だろう。今の状態で仕掛けてこられた場合、さすがに対応しきれない。いや、本当の意味でなりふり構わなければ方法が皆無ではないが――それでは意味がない。精一杯の虚勢が効果を発揮したのかどうなのか。ともかく、素直に退いてくれた幸運に感謝し、大人しく甘受すべきだろう。
(精々今のうちに体勢を立て直させてもらうさ)
 しかし、この状況で躊躇う魔法使いも珍しい。そんな事を思いながら、歩き出す。こんなところで管理局にでも捕捉されたら、それこそ目も当てられない。折角の好機だ。死人はもう少し死んだ事にしておくべきだろう。




 第九七管理外世界に残されたジュエルシードは残り八つ。五つものジュエルシードがただ腐らせておくしか能のない管理局の手に落ちたというのは忌々しいが――あの連中もしばらくは身動きが取れないはず。一方、残り八つが沈む位置というのは、おおよそ見当がついている。入手は簡単である。――簡単なはずだった。
(何故反応がないの?)
 あの男――見慣れぬ魔法を使う黒衣の魔導師が沈んだ周辺を捜索するが、ただの一つの反応もない。管理局に先手を打たれたという事もあるまい。さすがに巡行艦を沈めるには至らなかったが、しばらくはろくに身動きがとれまい。そして、あの執務官に暴走のリスクを冒してまで強制発動させるだけの度量があるとは思えなかった。
(思った以上に消耗している?)
 今の身体で次元跳躍攻撃を敢行するのはかなりの賭けだった。実際に体力も魔力も恐ろしく消費してしまっている。探索魔法の維持もそろそろ困難だ。自覚している以上に、精度が低下している。その可能性を考慮に入れて――入れたうえでさらに広域に探索をかける。そして、見つけた。
(ありえない……)
 自らの魔力が映し出したその光景を信じる事はとてもできなかった。深刻に精度が低下している。その方がまだ納得がいく。
「何故生きているの……ッ!?」
 映し出されたのは、あの黒衣の魔導師が海面から這い上がる姿だった。別人だと、最初はそう思い込もうとした。だが、あの深刻な火傷。何よりも自らの魔法が刻んだ傷。それらが別人ではないと明確に告げていた。
(生きていられるはずがない!)
 海面に叩き付けられた衝撃だけで充分すぎる致命傷を負ったはず。いくら魔導師といえども生きていられるはずがない。……ただの人間であるならば。
『当てが外れたか?』
 焼け爛れ、血まみれの顔で。その怪物はにやりと笑って見せた。
(気づかれた……ッ!)
 背筋を冷たい何かが駆け抜けていく。それが恐怖であると理解したのは、随分と後になってからの事だった。何故なら、それどころではなかったのだから。
『こいつが欲しいなら、取りに来いよ。もっとも、渡すとしてもあの子達と交換だがな』
 示されたのは八つのジュエルシード。この怪物の手にあると言うのは、管理局の手に落ちるより始末に負えない状況だと言える。
(どうする……ッ?)
 今なら始末するのは容易い。そのはずだ――が、この魔導師ほどでないにしても、私も消耗している。六つのジュエルシードをねじ伏せた――火傷の原因ともなったあの異様な魔法。そう何度も使えるとは思えないが、仮にあれと同程度の魔法が他にもあった場合、今の状態ではさすがに分が悪い。
(それなら、まずは魔力を補うべきね)
 方法はある。あれはすでに回収してある。つまり、私の手元にも八つのジュエルシードがある。まずはそれを完全に掌握すべきだ。どの道私の願いを叶える為には必要となる事なのだから。探索魔法を停止し、ジュエルシードの回収に向かう。
 そして、
(さすがは自らを生み出した世界を滅ぼした魔石、悪くないわね……)
 掌握したジュエルシードの具合を確かめ、小さく笑う。思わぬ邪魔が入ったが――あの雌犬も、試し撃ちの的としては悪くなかった。あとは、私自身の魔力の回復が終わればあの魔導師といえど敵ではない。あと二日。それで私の願いが叶う。叶えてみせる。
(いえ……。そうね、その通りよ)
 冷静になって考えてもみれば、わざわざ私自身が出向く必要などどこにもない。あの魔導師はあれに酷く執着していた。それなら、くれてやってもいい。どうせ、何の役にも立たないガラクタなのだから。
「本当に役に立たないわね。いえ、そうでもないかしら?」
 あれの所在を把握する。不格好に治療を終え、海水まみれの身体を処理しているところらしい。都合のいい状況だと言えた。たまには気の利いた事をする。
「道具は使いこなす。それが作り手の責任よね」
 自分に言い聞かせるように呟く。あの怪物を相手に、出し惜しみをしている余裕はない。鞭で動かないなら、別の方法を試すまでだ。




 目が覚めた時。
 私の傍には誰もいなかった。アルフも光もいない。ただ焼け爛れた■■がそこに転がっていた。その事実こそが、何よりも身体の芯から力を奪っていく。痛みや疲労以前に、もはや立ち上がるだけの気力がない。それを自覚せずに居られなかった。
『もう、いい加減に気付いているはずだ。いつまで目をそむけ続ける?』
 彼女の――『夢』で出会った、ニミュエの声がした。それは幻聴だったはずだ。だというのに、あまりにもその声ははっきりと聞こえてきた。
「私が……何に目をそむけているっていうの?」
 その声に、挑むように言い返す。だが、その声は明らかに震えていた。精いっぱいの虚勢すら張れていない。ああ――そんな事は言われなくたって、もう……。
「シャワー……浴びてこよう」
 私を……フェイト・テスタロッサを致命的に破壊するであろうその一言を思い浮かべる直前、強引に身体を引き起こす。
『何で私を生んだんだ!?』
 シャワールームに向かう途中。勝手に蘇ってくるのはあの『夢』だった。ニミュエの叫び。それが――彼女の悲鳴の意味が不思議と理解できた。例え言葉にはできなくとも。
≪不思議と、ではないだろう?≫
 ニミュエの囁きが聞こえる。それを振り払うだけの気力がない。
≪オマエはさっき自分の事を■■と言った。もう、分かっているはずだ≫
 適当に服を脱ぎ散らかし、明かりもつけずにシャワールームへと踏み入れる。冷たい空気が火傷の跡を無遠慮に撫でていく。水のままのシャワーを頭から被り、ニミュエの声をかき消す。……かき消そうとした。
≪もういいだろう? もう充分じゃないか。オマエが壊れてしまう前に、全てを忘れてやり直せばいい。心配しなくても後始末は私達がしてやる≫
 その声は、やはり酷く優しかった。唆すのではなく言い聞かせるように――あやすような優しい声。それが、彼女の精いっぱいの優しさなのだと。そんな事は分かっていた。
 だからこそ、耐えられない。
「やめて……。もう、やめてよ……」
 生温い水ではなく、もっと熱い何かが頬を伝う。両耳を必死に押さえつける。
「お願いだから。これ以上、私を惑わせないで!」
 もういいでしょ?――私は母さんの娘で、母さんはジュエルシードを望んでいて、私がジュエルシードを集めなければならない。それだけのことだ。もう、それだけでいい。今までもずっとそうだった。母さんのために必死で魔法の勉強をしてきた。母さんのために必死でジュエルシードを集めてきた。それは、きっとこれからも変わらない。
 リニスも。アルフも。光も。あの白い子も。
 私に優しくしてくた人が、誰もいなくなったとしても。私は母さんの娘なのだから。
(だから、もうこれ以上私を惑わせないで)
 姿の見えないニミュエに、祈るように懇願する。と、そこで、
「フェイト」
 浴室の扉が開く。入ってきたのは、母さんだった。
「えっと、あの、その……!」
 急な事で、何も思いつかない。慌てて目元をこする。だが、そもそもシャワーを浴びているのに、そんな事をしても意味などないはずだ。
「傷は大丈夫かしら?」
 母さんの優しい声。混乱が、ただでさえ不安定だった私をかき乱す。
「巻き込んでしまってごめんなさいね。あんな大魔法を使うのは随分と久しぶりだったから……」
 母さんの手が私に触れる。熱のような感触――だが、それは治癒魔法だった。火傷の痕が消えていく。優しい手。ずっと焦がれていたぬくもり。それがいま、そこにある。
「……そう。光君っていうのね」
 母さんに抱かれたまま、浴槽に浸かる。慌ててお湯を張ったため、ほとんどお湯などないが、それでも暖かい。のぼせたように――母さんが求めるままにこれまでの出来事を……光の話をしていた。そして、あの白い子の事も。
「あの白い子は彼の妹さんなの」
 結局、あの子にはまだ名乗っていない。あの子からも直接名前を聞いていない。今さらになってそんな事に気付いた。けれど、
「兄妹同士で戦わせるなんて、管理局は相変わらず酷い事をするわね」
 母さんの言葉が鋭くなる。何かを言わなければならない。そう思ったのだけれど。
「あの世界のためにジュエルシードを集めていたあなた達を攻撃してアルフを殺したばかりか、何も知らない妹さんまで騙して利用するなんて」
 いくつもの矛盾。考えるまでもない嘘。残酷な現実。……それでも、母さんがそう言うなら。きっとそれが正しいのだ。それを信じれば、もう迷わないで済む。
「いい。フェイト。よく聞きなさい」
 母さんの掌が背中を撫でる。母さんのぬくもりが身体を包む。優しい声が全てを染め上げていく。それらすべてが甘い毒となって、私を――フェイト・テスタロッサを狂わせていく。それでもいい。このぬくもりが手に入るなら。……そう思う。
「あなたがあの二人を助けてあげなさい。光君は酷い火傷を負っているわ。放っておいたら命にかかわる。だけど、安心して。あの子達の持つジュエルシードがあれば、ちゃんと助けてあげる事が出来る。これ以上、管理局に何かを奪わせてはダメよ。あの二人を、貴方が守ってあげるの。いいわね?」 
 そのために、残りのジュエルシードを必ず持ってきなさい――母さんの言葉に、私は躊躇わずに頷いていた。だって、それが今の私が存在する意味なのだから。




 夢を見たように思う。
 悲劇に見舞われた母親の夢だ。不条理を前にただ狂う事しか許されなかった、ただの女の夢だった。……そんな気がする。夢は夢らしく曖昧だった。
 だが、それがただの夢ではないのだと言う事も分かっていた。この感覚には覚えがある。かつてマーリンが――恩師の相棒が予知夢と呼んでいたのは、繰り返された世界の記憶だった。その本質が受け継がれた過去の記憶の再現だと言うのなら、自分の『夢』も質は同じだろう。『奴ら』の知恵が、あるいは力が本来知りえなかった過去を垣間見せる。ただそれだけのことだった。『奴ら』の知恵を宿した自分にとって、叡智とは積み上げ掴み取るものではない。器を用意し、汲み出していくものだ。それが夢を器代わりに、ほんの一時零れ出してきたにすぎない。目を覚ませば――器がなくなれば忘れてしまうだろう。そうでなければ、自分は自分でいられない。歴代ペンドラゴンのように記憶を失うか。歴代『マーリン』のように自分を失うか。……自分が選んだのは、初代ペンドラゴンのように自分の『外側』に記録する事だったが。だが、リブロムとの繋がりも今は不完全だ。この『夢』は単なる夢として記憶から消えていくだろう。だが、単なる夢だからこそ――全てが消えてなくなる訳ではない。
「憐れな、女だ……」
 プレシア・テスタロッサとの邂逅を終え、何とかフェイトの部屋に戻ってから――意識を取り戻して最初に呟いた言葉はそんなものだった。夢路の向こう側から持ち出せた感情は、深い憐れみと憤りだった。誰に対して何故そんな感情を抱いたのか。その答えを出す前に、右腕の衝動が全てを飲み込んでしまったが。
「これで、少しはマシになったか……」
 皮肉な事に、そのお陰で意識が鮮明になった。わき目も振らず転がり込んだ浴槽――浴室そのものから這い出す。脱がなかった法衣が水を吸って重い。しかも、血混じりの水が滴り落ちて部屋を汚した。それを見て舌打ちする。とはいえ、さすがにそこまで気を配る余裕などなかったのだから仕方がない。
「もう夜、か……」
 余計な激痛を与えてくる塩を洗い流すべく、水を張ろうとしたところまでは覚えているのだが――どうやら、そのまま浴槽の中で気を失っていたらしい。目が覚めた時には、赤黒く濁った水の中に首まで浸かっていた。別に今さら溺死の心配などする必要はないのでどうでもいい事だが。
(フェイト達は戻ってきていないか……)
 あの子がどれだけの傷を負っているのかは分からないが……おそらく致命傷と呼べるような傷はなかったはず。なのに、何故戻ってこない?
「クソッ……。ろくな想像が働かないな」
 右腕が疼く。管理局の介入までに決着をつけられなかったというのは、致命的な落ち度と言っていいだろう。今度こそ責め殺されている可能性があった。
(何が守ってやるだクソったれ……)
 守ってやるどころか傍にいる事すらままならない。自分に対する憎悪も巻き込んで、意識がどす黒く染まっていくのを感じる――だが、
(これじゃまだ動けない……)
 血が沸騰しそうな程の殺戮衝動であっても、壊れかけのこの身体を動かすには足りないらしい。今の状況のまま身体が回復してしまえばそれはそれで厄介な事になるが――ともかく、今は雷撃が掠めた心臓がまだ回復しきっていない事が何より致命的だった。なけなしの魔力で精製した呪血が巧く身体に行き渡らない。……まぁ、その呪血が溶け込んだ水に浸かっていたおかげで、多少は楽になったが。
「不死の怪物が聞いて呆れるな……」
 衝動ではなく、単純な限界により明滅する視界の中で呻く。どうせ死にはしないが、ただそれだけだ。まだろくに動けそうにない。怪物を名乗るには少々無様すぎる。だが、いずれにしても心臓が復元されるまでもう少し時間が必要だ。おそらく、夜明けまではかかるだろう。ため息をついてから、治癒魔法――いや、鎮痛魔法とでもいうべきか――を込めた包帯を身体中に巻きつける。不死の怪物改めミイラ男の完成だが、あくまで鎮痛だ。代償の治癒は言うに及ばず相殺できる訳ですらない。それに、完全に痛みが消える訳でもなかった。だが、これで心臓の治癒に集中できる。これなら、
「さて、と……」
 しばらくして。どうにか身体が動くようになってから、這いずるようにして即席で作り上げた異境へと踏み入る。ここでなら、心臓が回復した直後から衝動に任せて暴れ始めても問題あるまい。
「フェイトもいない事だ。羽目を外させてもらおうか」
 宣言と同時――俺に残された僅かな人間性が……今までどうにか保ってきた人間性が、どす黒い衝動に飲み込まれる。もう一度戻ってこれるかどうか――そんな不安を覚える暇もないほどに容赦なく、欠片も残すことなく。




 一夜明けて。私は光の隠れ家から朝霧の匂いが残る街を見ていた。
 といっても、別に見とれるような景色ではない。似たような作りの灰色のビルが白い靄の中に立ち並んでいる。色彩の多くを灰色が占めた、ただそれだけの景色だった。この辺りの街並みを考えれば、ごく平凡なものだ。それでも、私はそれを眺めていた。この平凡な光景を守るために私達は――光やリンディ、それに私やユーノ、リブロムは必死になっている。だから、きっとこの景色には意味があるのだろう。
「具体的にこれからどうしますか?」
 再びフェレットの姿になったユーノが言った。
『そうだなぁ。時間制限さえなけりゃ、ただぶらぶらしてるだけで充分なんだが……』
 ここからそれほど広い範囲を見渡せる訳ではないけれど――朝早くという事で、ほとんど人影はない。それに、今日は土曜日という事もあって、私が学校に行かずぶらぶらしていても目立つ事もないだろう。もっとも、喋るフェレットと本を連れているのだ。結局のところ誰かに見られる訳にはいかないのだけれど。
『だが、実際のところそうも言ってらんねえ。相棒が探せない状態になってる可能性もあるからな』
「探せない可能性って?」
 光が酷い怪我をしているのが分かっているだからこそ、不吉な気配に声が震えた。
『別に死んでるって訳じゃねえよ。この前見たろ? あんな感じにハイになってるかも知れねえって事だ』
 思わず体温が下がる。この前見た光景――魔物が目覚めたあの姿。確かに光の姿をしているのに、まるで別人だった。
「で、でも! あんな事になったら大騒ぎに……ッ!」
『心配はいらねえよ。相棒だってただの馬鹿じゃねえ。対処法の一つくらい考えてあるだろうさ。でなけりゃ今頃とっくに死体の山ができてる』
 ま、その対策もいつまで有効なもんかは分からねえが――リブロムが小さく呟いた。
「やっぱり、ジュエルシードを囮にしますか?」
『さて……。今の時点では何とも言えねえな。管理局とあの嬢ちゃんの母親とやらがどう動くか……どれだけ動けるのかが分からねえ。相棒も禁術の代償を負ってるから、両方の勢力から同時に襲われればさすがにしんどいだろうしな』
 禁術。確かあの異様な魔法の事だったはずだ。代償というのは、あの火傷の事か。
「えっと禁術……? あの魔法は何なの?」
 ついに聞きそびれてしまった疑問を今さらになって口にする。
 世界を黒く染め上げたあの魔力からして、私が使うものと全く違う。光自身までもを傷つけた、とても怖い魔法だった。
『あん時も言ったが、本来魔法使いがその生涯において一度だけ使える切り札だ。相棒が普段使っている供物魔法より遥かに強力だが、その代償として自分の肉体の一部を捧げなけりゃならねえ事から禁術と呼ばれる。まぁ、古代セルト人が滅んだ直接的な原因の一つだと言っちまっていいだろうな。当時は供物魔法と禁術の区別もロクになかったしよ』
「身体の一部を捧げる……」
 ゾッとするような言葉を口の中で呟く。ユーノも同じくゾッとしたように言った。
「つまり、あの場合は捧げられたのは皮膚、ですか?」
『そういうことだな。ちなみに、代償として被った傷はさすがの相棒も自力で治すのは難しい。力と引き換えに差し出したもんを取り返すにゃ相応のイカサマが必要って事さ』
 代償に捧げた身体の一部を取り戻すためのイカサマ。つまり、それが、
「そのイカサマっていうのが、リブロム君の事なの?」
『そう言う事だ。オレの役目は別にそれだけじゃないけどな。言わなかったか? オレは相棒の叡智全てを費やして造り出された至高の魔術書なんだぜ。ヒャハハハハッ!』
 大笑いするリブロムに、私は曖昧に笑って見せる。ただの喋る本じゃなかったんだ――というのが、本当のところだった。
(だって、中を読ませてくれないんだもん!)
 素直に尊敬の念を込めて見つめるユーノ――考古学を専門にしているので、やっぱり興味があるのだろう――に、何となく言い訳をしていると、リブロムが言った。
『もっとも、いくらオレでもお手軽にって訳にゃいかねえし、そもそもオレの『使い方』を知っている奴が必要となる。あくまで切り札は切り札って事だな』
 それもそうか。いつでも治せるというなら、とっくにリブロムは光を治しているはず。
「じゃあ、私がリブロム君を使えれば、光お兄ちゃんを治せるの?」
『いいところに気付いたな。その通りだ。ちなみに、オレの『使い方』自体はそんなに難しくねえ』
 理論となると、説明するだけで年とっちまうけどな――そう言ってリブロムが笑う。とはいえ、私も理論には興味がない。いま重要なのは、そこではない。
「それなら、早く教えてよ!」
 思わず叫んでいた。あんなに酷い火傷を負っているのだ。早く治してあげたい。
『待て待て。オマエの気持ちは分かるが、それは得策じゃねえ。代償が消えれば、相棒がオレを取り戻す必要性は下がる。つまり、オマエが接触できる可能性も低くなるって事だ』
「でも!」
『まぁいいから気にすんな。オレが勝手に黙ってるだけだ。治せないのは別にオマエのせいじゃねえよ。つーかそもそもオレに子守押し付けた挙句、後先考えないで禁術なんぞ使った相棒の自業自得だからな。ヒャハハハハッ!』
「でも……」
 納得できない。光達と会えないのは困る。でも、そのせいで光が苦しむのは間違っていると思う。
『そうだな。ここらで一つ、真面目な話をするとしようか』
 不意に、リブロムが言った。
『相棒はかなり前からオマエが膨大な魔力を秘めている事に気づいていた。そして、オマエのその素質が誰かに気付かれないようにいくつもの準備をした。オマエを魔法使い……魔導師にしたくなかったんだ。理由は分かるだろう?』
「光お兄ちゃんにとって魔法使いって生き方は戦いの連続だったから、だよね?」
 最初の夜に聞いた話からすれば、そうとしか考えられない。私なんかには想像できないけれど、それはきっととても辛い生き方だったはずだ。
『そうだ。だから、いつだってオマエを魔法から遠ざけようとしていた。今回もだ。だが、結果としてオマエはそれに逆らい続けた。ま、今となっちゃオレも同罪か。こうやって止めもしねえんだからよ』
 ユーノとレイジングハートの協力を得て魔導師になったこと。ジュエルシードを集め続けたこと。管理局の人と協力したこと。
 それは、光の願いを真っ向から否定したということ。
『だが、管理局って組織までがオマエの素質を見抜いた以上、相棒にはもう後がない。次の接触でオマエを確実に魔法から引き離そうとする。それで自分自身がオマエに憎まれようが何だろうが、躊躇いはしねえ』
 自分と同じ生き方をして欲しくないから。それくらいの事は分かっている。それくらい、私は大切に思われている。
『それに、今の相棒は殺戮衝動に飲まれている可能性がある。そうなりゃ相手がオマエだって見境なく襲ってくるだろう』
 もう時間がない。だから、少しでも早く見つけなければならない。絶対にだ。
『だから、オマエが相棒を連れて帰ろうと思うなら、必ず一戦交える事になる。オマエにとって有利となる条件をわざわざ手放すのは得策じゃねえ。この程度じゃまだろくな足枷にもならねえとしてもだ。相棒にオマエを殺させる訳にはいかねえからな』
 分かるな?――その言葉に頷く。納得できなくても、分からなければならない。
 そして。そのうえで。ああ、それでも。
 このままいけば、光お兄ちゃんと本気で戦う事になる。リブロムの言葉をちゃんと理解したうえで。それでも私は少しだけ笑っていた。
『どうした?』
「私と光お兄ちゃんが兄妹げんかするのは初めてだなって」
 訓練という名目で、恭也と光は意外とよく取っ組みあっている。回数はずっと少ないけれど美由紀とも同じだ。さらに恭也とは男同士という事なのか、口喧嘩未満のじゃれあいも多い。もちろん、それ以上に光は私をからかって遊ぶけれど……恭也との関係とは少し違う。だから――少しだけ、羨ましかった。守られているだけの私とは違うその関係が。
『言っとくが相棒は強いぞ?』
「よく知ってるよ」
 けれど、負ける訳にはいかない。光やあの子達を助け、みんなで一緒に帰るために。

 ――世界が終わるまで、あと二日




 私が改めて覚悟を決めてから。私達は改めて作戦会議を続けていた。
「おそらく、ですけど。あの子の母親は多分まだ身動きとれないと思います」
 人間の姿に戻ったユーノが、『これからの事』について言った。
『へぇ? そりゃどうして?』
 小さな窓のすぐ傍に積み上げられたビール瓶のケースの上で、リブロムがわざとらしく驚いて見せる。
「あの攻撃。昨日も言いましたが、あの雷はおそらく次元魔法です。簡単に言えば、次元を飛び越えて攻撃できる魔法なんですが……体力、魔力共に消耗が激しく、並みの魔導師ではまず扱えません。僕もあまり詳しい事は知らないんですが、少なくとも連射には向きません。多分、今も戦闘に耐えうるほど魔力は回復していないんじゃないかと思います。そして、万全の態勢が整うまで、仕掛けてくる事はないはずです」
『根拠は?』
「あのタイミングで攻撃を仕掛ける必要性があったかどうかはともかく、少なくとも彼女の母親もあの時の海上を監視していたはずです。当然、光さんのあの魔法――禁術を目撃しているはず。あるいは、あれが原因で監視を始めたのかもしれませんが……どちらにしろ消耗した状態で光さんに攻撃を仕掛けようとは思わないでしょう」
『なるほどな』
 軽く相槌をうつリブロムに、軽く頷いてからユーノが続ける。
「管理局に関しては……アースラそのものはしばらく動けなくなっていると思います。あの状況でアースラを足止めしないとは考えにくいですから。おそらく向こうも攻撃を受けているはずです。もっとも、この世界への転送が不可能になったとまでは思えないので、僕らにとってはあまり意味はないかも知れませんが」
『となると、むしろ今が好機なのかも知れねえな』
 何の、とは聞く必要がない。リブロムは、私のを――正確にはレイジングハートを見ていた。つまり、私達が持つジュエルシードを囮として使うつもりだろう。頷いて、レイジングハートからジュエルシードを取りだす。その直前、
『お?』
「あれ?」
 きょとんとした様子で、リブロムとユーノが呟いた。二人が見ているのは窓の外。その先には細い路地しかないはずだけれど。何だろうと思い、窓の外を覗いてみても、そこにはもう誰もいなかった。それほど広く見える訳ではない。通り過ぎてしまったのだろう。
「えっと?」
 困惑している私を他所に、二人は何ごとを言い合う。
『見たか?』
「見ました。間違いないと思います。でも、何でこんなところに?」
『さぁて。他に忍んで行く相手でも出来たか?』
「いや、さすがにそれは……」
 二人が何を言っているのか、まったく分からない。
「あの、誰がいたの?」
 問いかけるが、リブロムは答えてくれない。代わりに、こう言った。
『つけてみるか』
「急にどうしたんですか?」
「急にどうしたの?」
 ユーノと私の声が重なる。それを見て、リブロムはにやりと笑って見せた。
『どうやら、この騒動に首を突っ込んでるのはオレ達だけじゃねえらしい。ひょっとしたら思わぬものが見つかるかもしれねえぞ』

 
 

 
後書き
一日遅れですが、ひとまず更新できました。
今回は、前回出番がなかった主人公と、ようやく本格的に出番が出てきたプレシアさんを中心に話が進んでいます。ええと、多分そのはずです……。
そして着実に主人公に迫りつつあるなのは&ユーノ+保護者リブロム組。そろそろこの兄妹にも決着をつけないといけませんね。

と、そんなわけで。
それでは、また来週お会いできることを祈って。

2014年11月1日:誤字修正
 
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