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魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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無印編
  暴走するロストロギア

温泉旅行が終わり、海鳴市に戻ってきた一同。

温泉での戦いは、あの場の皆の間だけの秘密としたため、剛には知られていない。

それから数日たったある日の放課後。

「ちょっと聞いてるの、なのは!?」
「ふぇっ!?」

アリサが上の空のなのはに話しかけていた。

「なのはちゃん、最近いつも上の空だよ」
「そ、そう?すずかちゃん」
「もしかして、温泉であったあの娘のことが気になるのか?」
「・・・・うん」

心配そうに聞いてくるすずか、アリサ、龍一に頷くなのは。

「あれから、気が付いたらあの娘のことが気になっちゃって」
「まあ、あれだけの大黒星上げられちゃったらね~」
「ア、 アリサちゃん・・・」
「そうじゃないの。・・・・・ただ」
「ただ?」
「あの娘がどうしてあんなことしているのかがどうしても気になっちゃって。初めて会ったとき『ごめんね』って言ってたし、やっぱりどんな事情があってあんなことをしているのか知りたくなっちゃって」
「あんたらしいね」
「にゃはははは・・・・」





一方その頃、フェイトは・・・。

「だいたいこのあたりだと思うんだけど、大まかな位置しか分からないんだ」
「ああ~。確かに、これだけごたごたしていると、探すのも一苦労だね」

ビルの上から町を見下ろしていたフェイトとアルフ。

すると、フェイトがバルディッシュを構えた。

「ちょっと乱暴だけど、周辺に魔力流を打ち込んで強制発動させるよ」
「ああ、待った!!それあたしがやる」
「大丈夫?結構疲れるよ?」
「ふっ・・・このあたしを一体誰の使い魔だと?」
「うん。じゃあお願い」
「あいよ。そんじゃあ・・・」

そういうと、アルフは魔法陣を展開し、周辺に魔力流を打ち込んだ。





「え?」
「何よ?」
「これって?」
「まさか、強制発動させる気か!?」

三人は町の様子の変化に気付いた。

それは、高町家からなのはの元に向かっていたユーノの同様であった。

「こんな町の中で強制発動!?広域結界、間に合え!!」

完全に発動しきる前に、ユーノの結界が間に合い、ジュエルシードを隔離した。

「はっはっは・・・」
「なのは!?」
「なのはちゃん!?」
「おい、高町!?・・・くそ!?二人とも僕の後ろにいろよ!!」
「「うん(はい)!!」」

なのははレイジングハートと起動し、ジュエルシードの元に向かう。

龍一たちがなのはを追っていると、横からユーノが合流してきた。

「龍一、なのはは!?」
「先に飛んでいった」
「そんな!!急がないと!!」
「おい、ちょっと待てよ!?僕は空を走れるけど、飛行はできないんだぞ!?」

龍一たちを置いて、ユーノも先に行ってしまった。





「見つけた!!」

魔力流によってジュエルシードが強制発動され、ビルの上からそれを確認したフェイト。

「でも、あっちの方も近くにいるみたいだね」
「そう。早く片付けよう。バルディッシュ!!」
『シーリングフォーム、ゲットセット』

バルディッシュを変形させ、封印砲の準備に入った。





(なのは!!あの娘より先に封印を!!)
(うん!!)
『カノンモード、セットアップ』

なのはとフェイトは同時に封印砲の準備に入り、ジュエルシードを封印する。

「「ジュエルシード、封印!!」」

黄色と桃色の魔力光が同時に命中し、そのままジュエルシードは封印された。

「やった!!なのは、あの娘より先に確保を!!」
「させないよ!!」

突如、ユーノに人型のアルフが殴り掛かってきた。

だが、ユーノは防御魔法でそれを防ぐ。

「フェイトの邪魔はさせないよ!!」

アルフは獣形態に変身し、再びユーノと戦い始めた。

一方、ジュエルシード付近では、なのはとフェイトが睨み合っていた。

「この間は自己紹介できなかったけど・・・あたし、なのは。高町なのは。私立聖祥大附属小学校三年生」
『サイズフォーム』

フェイトはバルディッシュを変形させ、なのはに切りかかってきた。





龍一たちはなのはを追っていた。

すると、サイレンの音が聞こえ、一台のパトカーがやってきた。

「父さん!!小林さん!!」
「詳しい事情は中で聞かせてもらう!!とにかく三人とも乗りなさい!!外よりはずっと安全だろう?」

龍一たちはパトカーに乗り込み、ジュエルシードの元に向かった。

「それじゃあ、なのはちゃんとフェイトちゃんとか言う魔導師の二人が封印済みのジュエルシードのすぐそばで戦っているのだね?」
「遠目で見た限りではそんな感じだったよ」
「早く戦闘を中止させないと。これほどの魔力のぶつかり合いともなれば、衝撃でジュエルシードがいつ不安定になってもおかしくない」
「そんなに危険な状態なんですか?」

親子のやり取りに、アリサが訪ねた。

「さあ?どうだろう?なんせ、ほとんど情報がないに等しいものだからね。だが、危険な要素はなるべく排除しなければいけない」
「フェイトちゃんは一体どうなるんですか?」

心配そうにすずかが訪ねてきた。

「それほど重い罪は犯していないから、保護施設に送られる程度で済むはずだ。まあ、補導歴がつく程度だよ」
「そうですか」
「それよりも、小林。一刻も早く現場に向かってくれ!!」
「了解っす!!」

速度を上げたパトカーが現場へと急行する。





「フェイトちゃん!!話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたけど、だけど、話さないと、言葉にしないときっと伝わらないこともあるよ!!」
「・・・・・」
「目的があるなら、ぶつかり合ったり、競い合ったりすることは仕方がないのかもしれない。だけど、何もわからないままぶつかり合うのは、嫌なの!!」

それでも、戦うことを選びたくないなのはは、必死にフェイトに訴えた。

「あたしがジュエルシードを探し求めるのは、それがユーノくんの探し物だから。ジュエルシードを見つけたのがユーノくんで、ユーノくんはそれを元通りに集め直さないといけないから、あたしはそのお手伝いをしているの。でも、最初はお手伝いだったけど、今は自分の意志でジュエルシードを集めてるの、ジュエルシードがこの町やみんなに危害を加えるのが嫌だから。・・・これがあたしの理由!!」
「・・・・わたしは・・「フェイト!!答えなくていい!!」」

開きかけたフェイトの口を、アルフが遮った。

「優しくしてくれる人たちの元で、ぬくぬく甘やかされて育っているようなガキンチョになんか何も教えなくていい!!」
「えっ?」
「・・・?」

アルフの言葉になのはは驚き、ユーノはかすかな違和感を覚えた。

「あたしたちが最優先するのはジュエルシードの捕獲だろ!?」
「うん!!」

アルフの言葉にフェイトはジュエルシードを確保しようと動き出した。

「なのは!?」
「大丈夫!!」

遅れてなのはも動生きだす。

二人は加速しながらジュエルシードに向かってデバイスを突き出し

そして・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ジュエルシードを挟むように、二人のデバイスが衝突した。

「「「「!?」」」」

そして次の瞬間。

二人のデバイスにひびが入り、ジュエルシードの魔力が爆発的に広まった。

「きゃあああああああ!?」
「くっうう!?」

なのははそのまま吹き飛ばされ、フェイトはかろうじて姿勢を保っていた。

「ごめん。戻って、バルディッシュ」
『イエッサー』

フェイトはデバイスを待機状態に戻した。

ジュエルシードは先ほどの衝撃で暴走を始め、すぐに封印しなければならない。

しかし、デバイスはボロボロで、とても封印作業などできなかった。

「フェイト!?」

フェイトは素手でジュエルシードを掴み、封印作業に入る。

しかし、それは無謀な作業のようで、彼女の手が、ジュエルシードの魔力に耐え切れず、裂けていく。

「止まれ、止まれ、止まれ、止まれ・・・・・・」

ただひたすらそれだけを呟き、封印しようとするフェイト。

見るものによれば、その姿はまるで聖女のようにも見えただろう。

しかし、無情にも、手の中のジュエルシードの魔力は膨れ上がっていく。

「・・・・・・・・お願い、止まって」

もうだめかと思われたその時・・・・・・。

ババババ―――――ン。

四つの銃声が鳴り響いた。

「「「「!?」」」」

突然の銃声にその場にいる全員が驚いた。

銃弾はフェイトを、正確にはその手の中のジュエルシードを中心に正方形になるように着弾していた。

この銃弾は一種の封印魔法をサポートする礼装である。

「ジュエルシード、封印!!」

パトカーから降り、その手に警察用の回転式拳銃を構えた小林がフェイトの手に、自分の手を重ね、ジュエルシードの封印作業に入る。

やがて光は止み、ジュエルシードは完全に停止した。

「フェイト!!」
「ぐあっ!?」

緊張の糸が切れたのか、光がやむと同時にフェイトは倒れた。

そこにアルフが駆け寄り、小林を突き飛ばしてフェイトを支える。

「・・・・・キッ!!」

一瞬こちらをアルフが睨んだが、直ぐに離脱し、転移魔法で逃走した。

「あ、待て!!」
「深追いするな」
「警部!?」
「今の転移の逃走先は恐らくこの地球上ではい。あまり情報がないまま深追いしても危険なだけだ」
「分かったっす」
「それよりも、小林・・・・・視えたか?」
「少しだけっすけどね」
「まあいい。あとで聞かせてくれ」
「了解しました」

その後、事後処理を終え、子供たちは事情聴取した後それぞれの家に送り届けられた。

なのははまた大目玉を食らい、本当に封印処理がされそうになったが、ユーノが『デバイスの破損がひどく、どのみちしばらくは魔法が使えない』と必死に説得することで何とか免れた。





同日同時刻。

次元世界同士を隔てる次元の海。

そこに一つの戦艦のようなものが浮いていた。

時空管理局所属のL級次元巡航船『アースラ』。

「みんなどう?今回の旅は順調?」

ライトグリーンの長髪の女性、『アースラ艦長』リンディ・ハラオウンがクルーたちに話しかけた。

「はい。予定に遅れありません」
「前回の小規模次元震以来、目立った動きはありません」
「ふむ」

そう言ってリンディは艦長席に座る。

「事件の中心人物である三組の捜索者も現在は目立った活動はしていないようです」

アースラの『管制主任兼執務官補佐』であるエイミィ・リミエッタが紅茶を入れながらそう言ってきた。

「ありがと。そうね、管理外世界の小規模なものとは次元新の発生は見過ごせないわ。危なくなったら急いで現場に向かってもらわないと・・・・ね?クロノ?」

リンディは自分の息子であり、『時空管理局執務官』クロノ・ハラオウンにそう言った。

「大丈夫ですよ、艦長。僕はそのためにいるのですから」

クロノは待機状態である自分のデバイス『S2U』を構え、不敵にほほ笑んだ。
 
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