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『自分:第1章』

作者:零那
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『葛藤』

ユウのお母さんにばれんように小声で話す。

古い鉄筋コンクリートのビル。
1階は会社。
2階~4階が住居。
モナリザの部屋は5階。
音楽関係、バンドが出入りしてる地下。
エレベーターは無い。
ユウの家は4階。
2階~4階は4部屋ある。
部屋の並びはT字。
隣とは同じ構造で、もう2部屋とは構造が違うらしい。


こんな処に居るのがバレたら大事(おおごと)になる。
でも、もしかしたら、今日、誰かに見られてたかも知れん。
ユウのバイト先は、お母さんの職場でもある。

バレてしまう前に言いたい。
でも、ユウはバレる迄言いたくない感じ。
面倒事キライやし...

逃げてきてるのに尚且つ逃げ廻るのとか嫌なんやけど。
お母さんに説明したい。
許されるわけはない。
かといって、これ以上は...
罪悪感...

あの時あんなに必死で考えてくれて、動いてくれて、何より親身になってくれた人達を、零那は裏切ってる。
こんな自分が大嫌い。

いっつもそう。
為す術が無い。
無力で情けない。
何も出来ん。
そのくせ行動を起こす。
感情で動く。
衝動的な事も多い。
冷静な判断が出来ん。
頭を使った行動が無い。

此処は、雨風凌げるけど凄く汚い。
ドアもない。

何年間も放置されっぱなしの部屋。
寝れるどころか座れる状態でも無い。
寒い屋上の方が座れるほどキレイだったリする。

誰かが来たら、すぐバレる。
地下に出入りしてる人達は怪しいし。
音楽響いてるから普通のバンドだろうけど、実際は解らん。
いろんな噂があるし。
そもそも此のビル自体が不気味。
モナリザが此処に在る時点で怖い...
島では、バス停でも海でも怖くなかったのに。

島ってゆったら平穏なイメージあるけど、小豆島はそうでもない。
少なくとも当時は...
よそもん意外と多いし、逃げ込んでくる人も多い。
四国自体、よそから逃げ込んでくる人間多い。
更に島言うたら近所付き合い濃い小さな田舎。
でも、小豆島は島ゆうても密接な付き合いは他の小さい島に比べたら少ない。
やから、よそもんが入って来やすい。
実際、悪さしよる輩が逃げ込んで来て島で悪さ繰り返してる。
その被害にも遭ってる。
危険性や治安の悪さは似たようなもんかもしれん。
島の場合は表立って目立たんだけかも。


下宿や住み込みの募集しとる処、手当たり次第に行った。
ホームレスで訳あり家庭で高校中退の未成年。
単純に考えても不利やわなぁ。
とりあえずデリ続けるしかない。
お金は稼ぎ続けんと、家も金も無いとかただの荷物やし...
ただでさえ、この状況でも重荷やのに。
皆と一緒に居る為には自分で稼いで食べて生きなあかん。


零那がそんなことを考えてる間、ユウと弟はタバコ吸ってジャレて暫くしたら帰って行った。

 
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