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ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~

作者:enagon
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第4章 俺の幼馴染とテロ屋さんが修羅場すぎる!
  第62話 不意打ち

 
前書き


前回多数の感想を頂き、ありがとうございます。
ですが………………9割方ミルたんの感想とは思いもしませんでした!
皆さん本当にミルたん大好き?ですねw


 

 



ピンポーン!

 今日も今日とて自転車にて依頼者の家まで訪問した俺。後ろにもいつも通り龍巳とレイナーレ。イリナやゼノヴィアが転校してきておよそ2週間経ち、ようやくこれまでの日常に戻ってきたって感じだ。

 この間の皆の依頼の見学を通して俺に来る依頼が異常に難易度が高いことが分かり、部長からもあまり無理はしなくていいというお許しをもらったことで、俺もずいぶん肩の力を抜いて依頼に臨めるようになった。まあ今日の依頼は元からそこまで力入れる必要はなかったけどな。

「やぁ、今日も悪いね、悪魔くん」

 そう言って玄関を開けて出てきたのはここ最近お得意様になった青年だ。物腰柔らかで、何を気に入られたのかここ最近連続でこの人に召喚されていた。しかもその依頼内容は買い物に行かされたり釣りに誘われたりと、わざわざ悪魔に頼むようなものでもなかったんだけど、それでこちらの要求以上の依頼料を毎回くれるんだこの人。っていうか絵画だったり金塊だったり宝石だったり、明らかに値の張りそうな物ばっかりくれるんで、持って帰ったら部長たちにかなり驚かれた。まぁでも変態達に安い依頼料でわけのわからん依頼されるよりは断然いいので、この人に呼ばれるのはかなりありがたいんだ。

 で、この依頼料からして青年実業家か何かの彼、実に特徴的な髪色をしている。出身は北欧らしいんだけど、なんと部長と同じ紅髪なんだよ。おまけに顔つきも若干部長に似ているし、最初見た時は驚いた。一瞬親戚か何かと思ったよ。まぁ部長の親戚である悪魔がこうして悪魔の俺を呼び出す意味なんて無いし、たまたま似てるだけなんだろうけどさ。

「それで、今日の依頼は?」

「ゲームを一緒にやってくれるかな? 昼間買ってみたんだが、1人でやっても寂しくてね」

「は、はい、喜んで……」

 あー、まぁそんなことだろうとは思ってたけど、またそんな依頼か。まぁ楽でいいけどさ。

 という訳でリビングに移動、ゲームをセットしていく。ゲームの種類は……レースゲームか。っていうかこれ、龍巳と白音ちゃんがゲーセンでやりすぎて火織に怒られてたやつだな。発売してたのかこれ。

 確かこれ4人までプレー出来たはずだけど……お、コントローラも4つある。じゃあ龍巳とレイナーレも同時に出来るな。

「悪魔くんはこういうの、得意なのかい?」

「言ってはなんですが、俺このゲーム結構得意ですよ? と言いたいところなんですけど、俺よりむしろこいつの方が得意です」

「ん、我、このゲームやりこんだ」

「ほぉぅ、それは楽しみだ」

 という訳で全員テレビの前に陣取ってゲームスタート! トップは神業のようなタイミングでスタートダッシュを決めた龍巳! まぁここは順当だとして、2位はなんと依頼主さん! っていうかコーナリングが龍巳並みにうめぇ! その少し後を俺、そしてだいぶ距離を離してレイナーレが追いすがる!

「っていうかマジで上手いっすね! どんどん離される!」

「ふっふっふ、実はゲームセンターで少々やっていてね。ランキングに載ったこともあるんだ」

「マジっすか!?」

 ランキングに載ったことあるって、じゃあ龍巳や白音ちゃん並みの腕前か!?

「だから……こんな道も知ってる!」

「げぇっ!? 裏道!?」

 さらにいきなり知る人ぞ知る裏道に入り、龍巳を追い抜いた!

「けど俺だって!」

 と、そこで俺も別の裏道に入り、一気に依頼主さんの後ろについた! やりこんでゲームの内容熟知してる龍巳や白音ちゃんから色々聞いて、俺も大体の裏道は知ってんだ!

「お、やるね。その道は知らなかった」

「勝負はまだまだっすよ!」

「ふふ、それは楽しみだ悪魔くん、いや……」

 そこで依頼主さんはニヤッと、そう、これまでの温和な感じからはかけ離れた実に邪悪な笑顔を浮かべると………………その言葉を口にした!

「……ここは赤龍帝と、そう呼ぶべきかな?」

 ………………なっ!?

 それを聞いた途端、俺はコントローラを放り出して飛び退った! さらに同時に俺に並んで後退したレイナーレが堕天使の羽を広げ、さらに光の槍を構える!

「何であんたがそれを!?」

「あんた何者よ!?」

「くくっ」

 槍を向けられた依頼主はそれに怯むことなく立ち上がると……紅髪を取り払った!? カツラ!? 紅髪の下からは黒い髪が現れる! さらに顎に手を当てると、べりべりと顔を剥がし始めた! っていうかこれ、映画とかで見る変装マスクかよ!?

 そしてそのマスクの下から現れたのは、先程までより多少歳は喰ってるが、それでも十分イケメンな顔つきだった。と、その顔が顕になった瞬間!

ドサッ!

「なっ!? どうしたレイナーレ!?」

 レイナーレが槍を取り落とし、尻餅をついて震えていた!

「あ、ああ……ア……っ!」

 恐怖に引きつった顔で「あ」と連呼するレイナーレ。そしてそれを見て楽しそうに笑う依頼主。そしてその依頼主から……バサァッ!! と堕天使の翼が、しかも6対12枚も生えた!

「なっ!? 墮天使!? しかもてめぇ幹部か!?」

 その俺の言葉にさらに口の端を釣り上げると、その墮天使は名乗りを上げた。

「俺の名はアザゼル。墮天使共の頭をやってる。よろしくな、赤龍帝。………………でだ、お前はこんな所で一体何をしてるんだろうなぁ? 俺の部下のはずで魔王の妹に喧嘩を売るなんて馬鹿なことをしてくれた墮天使レイナーレ?」

「アザゼル様ぁっ!?」

「なっ!? アザゼルって……堕天使の総督ぅっ!?!?」

 な、何でそんな大物がこんな所に!? っていうかこの状況はマズい! 悪魔の俺もそうだけど、犯罪者で逃亡者扱いのレイナーレも今こいつに接触するのは危険過ぎる! や、ヤバイ! 一体どうすれば、っていうか俺達だけで逃げきれるか!?

 とそこで

『YOU WIN!!』

「ふっ、我の勝ち。口ほどにもない」

「ってあぁっ!? てめぇ、人がかっこよく正体明かしてるんだからちったぁ空気読んでゲーム中断してろよ!」

「そんなこと、我の知ったことじゃない。コントローラ離す、アザゼル悪い」

「くっ、澄ました顔しやがって! おい赤龍帝! それからレイナーレ! さっさとコントローラ取れ! 続きやるぞ続き! その澄ました顔敗北の屈辱で歪めてやる!」

「ふっ、『AZA_』程度の腕で我に勝つ、1億年早い」

「なっ!? てめぇ何で俺の登録名を!?」

「大体予想ついてた。ちなみに『TATU』は我、『SIRO』は我の妹」

「てめぇが『TATU』!? っていうかてめぇらのせいで俺は一度も1位にランクイン出来なかったのかよ!?」

「ふっ、所詮総督(笑)、我の敵じゃない」

「むっかぁっ、てめぇいい度胸だなこの野郎! おい赤龍帝! レイナーレ! さっさと準備しやがれ! 始められねぇだろうが!!」

「えぇっ!?」

 えっと………………え、何これ? 続きやるの? この状況で? ……あ、やるんですか、そうですか。

 とりあえず俺は隣で魂が抜けたように白目剥いちゃってるレイナーレを揺すって起こすことにした。







「冗談じゃないわ!」

 部室に帰り、報告を聞いた部長の第一声がそれだった。

「堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、あまつさえ営業妨害していたなんて! しかも私のかわいいイッセーにまで手を出そうとするなんて、万死に値するわ!」

 おぅ、部長、かなりご立腹だ。

「ねぇ龍巳、龍巳はアザゼルのこと気付いてなかったの?」

「ん、もちろん最初に会った時から気付いてた」

『『『えぇっ!?』』』

 っていうか龍巳、気付いてたのかよ!?

「ちょっと龍巳!? 何でそのことをもっと早く言わなかったのよ!?」

「ん、簡単な依頼で高額の報酬、いいカモ」

「でも相手は堕天使の総督よ!? どんな危険があるか!」

「大丈夫。所詮アザゼル。雑魚。我の敵じゃない」

 その龍巳の言葉を聞いた途端、神裂姉妹を除いた皆が一様に微妙な顔つきになった。一勢力のトップを雑魚って。あ、でも……

「そういえばドライグが言ってたっけ? 龍巳は神より強い二天龍が揃って挑んでも勝てない存在だって」

「ん、ドライグとアルビオン、揃った所で我楽勝」

『『『……はぁぁ』』』

 あまりに自慢げに胸張って言う龍巳に、俺達はもはやため息をつくしかなかった。龍巳が言うだけなら嘘かとも思うけど、ドライグもそう言ってるしなぁ。多分事実なんだろう。この間の白龍皇もなすすべなく吹き飛ばされてたし。

「……それでイッセー、アザゼルはなぜ接触してきたかとか、そういうことはなにか言っていた?」

「あー、それなんですが……」

 そう言って俺はチラッと後ろにいるレイナーレを見る。そのレイナーレはというと、弱り切ったような表情をしていた。

「その、私がここに居るせいなんです」

「レイナーレの?」

「あー、部長、例の会談がこの街で行われることが決まったじゃないっすか」

「えぇ」

 そう、例の3勢力の会談なんだけど、この街で行われることになったんだよ。連絡係として部長とイリナたちの間でその打ち合わせの内容がやりとりされてるから、これまでの大体の打ち合わせの内容は知ってるんだ。

「で、まぁ、悪魔側と教会側はスムーズに打ち合わせが出来てるんですけど、墮天使側との連絡がやっぱり時間かかってるらしくて……」

「……それでここに私がいることを知ったアザゼル様が、私に連絡係をするようにと。従えば私が以前ここで騒動を起こした件について保留にしてくださると……」

「……なるほど、そういうこと」

 という言葉を最後に何かを考えこむ部長。

「それとアザゼル、多分イッセーの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)、興味ある」

「そうなのか?」

「おそらく本当だと思うわ。アザゼル様は神器(セイクリッドギア)に強い関心があるということは神の子を見張る者(グリゴリ)内でも有名なことだったから」

「あ、でもそれなら何回もお兄ちゃんのことを召喚してたのも納得です」

「そうにゃね。レイナーレを連絡係にするだけにゃら最初の召喚の時に正体バラすにゃろうし」

「っていうかさレイナーレ、アザゼルの正体に気付かなかったの? 流石に顔は知ってたんでしょ?」

「それが変装をなされていて……」

「それも紅髪のかつらしててさ、最初は部長の親戚か何かかと思ったよ」

「……それでレイナーレ、あなたはどうするつもり?」

 と、そこで何事かを考えていた部長がレイナーレに質問した。そしてそのレイナーレはというとスカートの裾を両手でギュッと掴みつつ、

「その、拒否をすればここで処分してもいいんだぞって言われて……それに皆にも迷惑かけたくないし」

「あと部長、レイナーレを寄越す際には俺も一緒に来いと言われてるんです。レイナーレの主なんだからって……」

「……困ったわね。イッセーはもちろんのことレイナーレももう私にとっては身内同然。でもこちらから下手に接触して抗議をするのも……」

 と部長が悩みだした途端!

「大丈夫にゃん♪」

「お兄ちゃんは私達が守ります」

 黒歌姉と白音ちゃんが両側から抱きついてきた!? っていうかいろんな柔らかいところ擦り付けないで!

「ん、もちろん我も」

 と、更に正面から龍巳まで!?

「ちょっとあなた達!? 眷属を守るのは主たる私の役目でしょう!?」

「「「力量的に部長じゃ無理」」」

「……かふっ」

 黒歌姉たちの言葉が部長の胸に突き刺さった!! でもまあ仕方ないよね。実際部長も含めて俺たちまだ実力不足だし、堕天使の総督を相手にするなんてそれこそ龍巳たちでないと……

「フッフッフッ、そこで幼馴染たる私の出番なのよ!」

 ってイリナ!? 何故か背後からイリナに抱きつかれた!? っていうかなんで皆抱きついてくるの!? その必要ないよね!?

「え~、イリナっちじゃアザゼル相手は無理じゃにゃい?」

「確かに倒すのは難しいでしょうね。でも、守るのなら別なのよ!」

 そう言って抱きついたまま黒歌姉たちから俺を引き離すイリナ。そしてある程度離れてから、いつの間にか手にしていた擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)を構えた!

「行くわよ新技! 擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)全天防御(モード・イージス)!」

 そうイリナが言った瞬間、擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)が球形状に広がり俺とイリナを包み込んだ!

「イリナ、これって……」

「そう! 擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)のシェルターよ! 相手が悪魔や堕天使なら無類の防御力を発揮するはずなのよ!」

 た、確かにどんなに形を変えようとエクスカリバーであることには変わりないし、これなら悪魔や堕天使は触れることも難しいかも……。

「でもさイリナ、こんな防御一辺倒じゃ相手倒せないし移動もできないんじゃないか?」

「うん、でも守りを完璧にすればあとは援軍を待つことは出来るわ。堕天使の総督は倒せないけど、いざという時にこれなら必ず守れるわ! だからイッセーくんの護衛は私が……」

 とイリナが言った時、スパッと目の前の擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の壁から鋭く細長いものが生えてきた!?

「えぇっ!? なんだこれ!?」

「ウソ!? 擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の防御が貫かれた!?」

 っていうかこれって爪か!? じゃあこんな長い爪の持ち主は……。と、そのまま見てると更に貫いてくる爪は増えていき、その数が10本に達したところで……

ざ~ん()ね~ん()♪」

 黒歌姉が無理やりこじ開けてきた!?

「そんな!? 黒歌さん、エクスカリバーに触れて何ともないの!?」

「気をしっかり張ってるから短時間にゃら大丈夫にゃ」

「それに……」

 と、そこで白音ちゃんが開口部の端をガシッと掴むと……怪力でその穴を一気に押し広げた!?

「堕天使総督ならこのくらい、おそらく簡単に貫いちゃいます」

「そ、そんな……」

 そしてガクッと膝をつくイリナ。

「あ、あのさイリナ。相手が悪かったっていうか、だから元気出せって。それに気持ちは嬉しかったからさ」

「うぅぅ、イッセーくん」

 涙目で俺を見上げるイリナ。自信満々だっただけに、この結果は流石に可哀想だ。

「というわけで、イッセーの護衛は私達に決定!」

「はい!」

「ん!」

 ってちょっとは空気読もうぜ黒歌姉!? それ聞いてイリナが更に泣きそうになってるじゃんか!? と、そこで復活してきた部長が口を開いた。

「……イッセー、それからレイナーレの護衛はこれまで同様龍巳のみとするわ」

「「えぇっ!?」」

 それに驚きの声を上げたのは黒歌姉と白音ちゃんだ。

「なんでですか部長!?」

「アザゼルをあまり刺激したくないのよ。一応会談前ということで向こうも無茶な行動には出ないでしょうし、ならこちらもこれまで通りの人員に抑えたいわ。龍巳、確認なのだけれど本当に2人を守りながらでもアザゼルに勝てるのでしょうね?」

「もちろん。神の子を見張る者(グリゴリ)、全員来てもまだ余裕」

「……では信じるわよ龍巳。2人のことをお願いね」

「ん、了解」

 というわけで結局は現状維持ということになっちまった。でもどうやら約2名はまだ納得してないのかブチブチ文句を言ってるよ。

「もしものことを考えて1人でも多いほうがいいと思うんにゃけどにゃ~」

「仙術もあるんで危機回避も早く出来ると思いますしね」

「あぁもうっ! これは決定よ! そもそもあなた達、どちらかと言うとイッセーと一緒にいたいだけでしょう!?」

「「もちろん!!」」

「開き直ったわね!? そもそもあなた達はいいじゃない! 家であんなにいつも引っ付いているのだし! そのせいで私なんか最近まともにスキンシップ取ってないのよ!?」

「主より幼馴染が優先されるのは当然のことです」

「と言うより部長の言うスキンシップって、痴女のそれに近いにゃ」

「って誰が痴女よ!?」

 と、3人で言い争いを始めちまった。と言うかできればそういった話は俺のいないところでして欲しいんだけどな。顔が赤くなりそうになるのを我慢するのにも限度が……と、そこで……

「ははは、暫く来ないうちにここもずいぶん賑やかになったね、リアス」

 なっ!? なんでここにこいつが!? 一体どうやって!?

 俺は一瞬にして体が強張るのを感じた。だって、だってそこにいたのは!

「なっ!? お、お兄s「「アザゼル(様)!?」」ってえぇっ!?!? ちょっとイッセー、レイナーレ! あなた達何を言って!?」

「なっ!? こいつがアザゼル!?」

「うそ!? どうして堕天使の総督が悪魔の根城まで入ってきてるの!?」

 俺達の叫び声に反応して即座にエクスカリバーを抜くイリナとゼノヴィア!

「ちょ、ちょっとあなた達! この方は!」

「下がってください部長! 危険です!」

「ってだから!」

 俺は未だに何か言おうと前に出ようとする部長を抑えて下がらせる。それにしても黒歌姉や白音ちゃんの仙術にも反応させずにこんなところにまで入ってくるなんて、本当に龍巳はこいつに勝てるのか!?

「アザゼル様!」

 とそこで慌てたようにアザゼルに駆け寄るレイナーレ。

「い、いきなりこのような所にお越しになるのは! いえ、その前にどうかその変装をお解き下さい!!」

 そう言ってレイナーレはアザゼルの頬と髪に手を伸ばし、そのまま変装を剥がそうと引っ張った! ……んだけど

「あ、あれ?」

 何故か変装が全く剥がれず困惑するレイナーレ。っていうか俺も困惑してる。どういうことだ? と、そこで

「レイナーレ様? 貴方様は一体何をしておいでなのでしょうか?」

 と、底冷えするかのような声を発したのは……なんと! いつの間にやらアザゼルの後ろにいたグレイフィアさん!? えっ!? なんでアザゼルとグレイフィアさんが一緒にいるんだ!?

「レイナーレ! 今すぐその手を離しなさい! その方は……」

 そこで部長の発した一言は驚愕の一言だった。

「その方は四大魔王の1人、サーゼクス・ルシファー様よ!」

「「「「えぇぇぇえええっっ!?!?」」」」







   ☆







「「先程は誠に申し訳ありませんでした!!」」

 あの後即座に再起動したイッセーはフリーズしたままのレイナーレをサーゼクス様から引き離すと、そのままレイナーレと一緒に土下座に移行した。その手並みはずいぶんと鮮やかなものだったわ。

「いやいや、私も貴重な体験をさせてもらったよ。まさか堕天使に頬を引っ張られるとは思ってもみなかった」

 と朗らかに笑うサーゼクス様。

「笑い事ではありません。身内のみであったからよかったものの、第三者の目があれば例えお嬢様とその眷属であろうとも全員この場で処罰しなければならなかったのですよ?」

 それを聞いて冷や汗をダラダラと流すイッセーとレイナーレ。っていうか今更だけどそんなにやばい状態だったんだ。となると………………罰せられそうになったら龍巳も動くだろうし、そうなったらこの学園は確実に消し飛んでたわね。

「ははは、まぁ結果的には大丈夫だったのだからいいではないか、グレイフィア。ところで兵藤一誠くん」

「は、はい!」

「アザゼルは私に変装していたのかい?」

「そ、そうなんです! 魔王さまのお顔を拝見したことがなかったので気付けなくて……」

「ふふふ、まぁ悪魔に転生して3ヶ月少々ではそうだろうね。それにしてもアザゼルのいたずら好きは未だに健在のようだ」

 そう言ってくくくっと笑うサーゼクス様とため息をつくグレイフィアさん。なんかグレイフィアさん、原作読んでた頃はそうでもなかったんだけど、こうして直に会ってみると苦労人気質なような気がしてきた。

「まぁその件は置いておいて、皆そろそろくつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ているものでね」

 それを聞いて私達はとりあえず緊張をとき、跪いた状態から立ち上がった。まぁイッセーとレイナーレはおずおずといった感じだけど。ちなみにイリナとゼノヴィアは私達が跪いている時からずっと部屋の端でガチガチの直立不動になっちゃってるよ。

「ところで我が妹よ、年頃の娘たちが集まるにしても魔法陣だらけというのは、いささか殺風景ではないかな?」

 そう言って部屋を見回すサーゼクス様。うん、この部屋、床から壁から天井から、あらゆる場所に大小様々な魔法陣が書き込まれてるもんね。未だに何のための魔法陣か分からないのもいくつかあったり。

「いえ、私がライザー様の件で訪れた時に比べれば、多少マシになっているものかと……」

「そうなのかい、グレイフィア?」

「はい……いささか雑多すぎる気もしますが……」

 そう言って部屋の隅、そこに雑多に積まれている各種マンガやボードゲーム、ファッション誌にノートパソコン、果てはハンモックやトランポリン、ビリヤード台などに少々鋭い視線を向けるグレイフィアさん。

「「「「あ、あはははは…………」」」」

 それに対して私達姉妹は乾いた笑い声を上げて目線を逸らすことしか出来なかった。うん、実はあれ、ほとんど私達が持ち込んだものなんだよね。だってさ、オカ研の部活中って特に活動決まってないから暇なんだもん。ちなみに生徒会の見回りが来た時には皆で慌てて隠します。

「と、ところでお兄さま、本日はどのような御用でここへ?」

 その部長の問いに対してサーゼクス様は1枚のプリントを取り出した。

「何を言っているんだい? もうすぐ授業参観なのだから、会いに来るのは当然だろう?」

「なぁっ!? 何でお兄様がそれを知っているの!? グレイフィア! あなたがお兄さまへ伝えたの!?」

「はい、もちろんです。私はグレモリー眷属のスケジュールを任されておりますので、学園行事は常に把握しております。またサーゼクス様の女王(クイーン)でもあるため、主への報告もさせて頂きました」

「というわけだ。リアス、私にこのような大事なことを黙っているなんて酷いではないか。このような大事な行事があるとなれば、どれだけ魔王職が激務であろうとも何よりも優先して駆け付けるというのに。あぁ、もちろん当日には父上もおいでになるから安心しなさい」

「だから知られたくなかったのです! お兄さまは魔王なのですよ!? 魔王がこのように一悪魔を特別視されてはいけませんわ!」

「いや、これは仕事でもあるのだよ。この街で三勢力の会談を行うのは知っているね? 実はその会談をこの学園で行おうと思っているんだ。ホスト側としてその下見も兼ねてこの街に来たのだよ」

「こ、ここで!?」

 と、目を見開き驚く部長。……う~ん、原作を読んだ時から思ってたけど、大事な話し合いを学校で行うってのはどうなんだろ?

「この学園には何かしらの縁があるようだからね。魔王の妹であるリアスとソーナ、赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣エクスカリバーにデュランダル使い、更には堕天使幹部のコカビエルと白龍皇が襲来してきた。まぁコカビエルに関してはこの学園に来る前に倒されてしまったようだが……。これは偶然の一言では片付けられない事象だ。特にこの短期間ではなおさら、ね。何かしらの強い要因があるのではないかと私は考えているんだ。その中心が赤龍帝である兵藤一誠君か、もしくは……」

 この時私は反応しそうになってしまう自分を抑えるのに必死だった。なぜならサーゼクス様はイッセーのことを見た後、ほんのチラリとだけど確実に龍巳のことを視線の先に捉えていたから。……バレてる? でもそんなバレるようなことはなかったはず……。

「まぁこの件に関してはいずれ答えが出るだろう。ところで……」

 そう言ったサーゼクス様はふとあたりを見回し

「あぁ、君たちがミカエル殿が遣わしてくれた連絡係かい?」

 イリナとゼノヴィアに目を留めた。

「「は、はい!」」

「ごきげんよう、紫藤イリナ殿、ゼノヴィア殿。君たちのことはリアスから聞いているよ。挨拶が遅くなってしまってすまないね。私はサーゼクス・ルシファー。今回は我々の都合に付きあわせてすまないと思っている」

「いえそんな! これもミカエル様の命ですので!」

「主の忠実なる下僕としては当然のことです!」

 2人とも、サーゼクス様を前にしてもうガッチガチだよ。足震えてるし。

「ふふ、そうか。教会の戦士にこのようなことを頼むのもおかしいのだが、これからも良かったら私の妹と仲良くしてあげてくれ」

「「はい!」」

「さて! 難しい話はこのくらいにしようか! ……しかし、どうしたものか……」

「何がですの、お兄さま?」

「いや何、実はもう少し早く来て皆にいろいろと話を聞きたかったのだよ。特に新しく眷属になった者達や、教会の使者の2人からね。しかし何分片付けなければならない仕事が多くてこのような遅い時間になってしまった。そろそろ皆も帰る時間だろう? ……そもそもこんな遅くから宿泊施設の部屋が取れるだろうか?」

 う~ん、確かに今からじゃあ駅前に幾つかあるホテルも殆ど一杯でしょうね。それにツインの部屋となるとなおさら……

「あ! それでしたら……」

 と、イッセーが発言する。まぁそうなるよね。







「悪いね兵藤一誠くん、急にこんな大人数で押しかけてしまって」

「いえ、うちの両親も賑やかなのが好きですから。泊まるところも……」

「うん、半分はうちに泊まればいいと思います。うち両親が出張中なんで部屋も布団も余ってますから」

「それは良かった。ありがとう、神裂火織くん」

 という訳で今現在私達はサーゼクス様とグレイフィアさん、そしてオカ研部員全員でイッセーのうちに向けて下校中です。新しく眷属になった私達や教会から来たイリナやゼノヴィアの話も聞きたいということから、せっかくだからと全員でお泊りすることになっちゃった。まぁ寝る場所は隣のうちも使うけどね。流石にこの大人数はイッセーのうちだけじゃあ寝られないし。

 そしてそれからしばらく歩きながらサーゼクス様と他愛のない雑談、まぁサーゼクス様が主に私達に質問してそれに答えてるうちに、イッセーの家の前まで着いたんだけど……

「あれ? 電気が全部消えてる?」

「どうしたのでしょう? 寝るにはまだ早すぎますよね?」

「いえ、そもそも家の中からおじさんとおばさんの気配がしません」

「おじさまとおばさま出かけてるの? こんな時間に?」

 どういうことだろ? とりあえず私は鞄からイッセーの家の鍵を取り出し、鍵穴に突っ込む。何で私がイッセーのうちの鍵を持ってるかって? イッセーが前遊んでるうちに鍵を無くしてから、鍵を持たせてもらえなくなったのよ。その後合鍵は私と黒姉が持つことに……ちなみにイッセーと同じ理由で龍巳と白音もイッセーのうちどころか私達のうちの鍵も持たせてもらってないわ。

 まぁその話は置いておいて、さっさと鍵を開けて家に入ってみると、家の中は完全に静まり返っていた。どうやら本当におじさんとおばさんはいないみたい。

「イッセー、何か聞いてるかにゃ?」

「いや、出かけるなんて聞いてないぞ?」

「ん、携帯にかけてみたけど繋がらない。留守電なる」

 ん~、どうしたんだろ? っていうか変なことに巻き込まれてないよね? と、そこで……

「あ! 皆来て! 書き置きがあったわ!」

 と、台所に向かったレイナーレの声に台所に向かってみれば、レイナーレの手に一枚のメモ用紙が。

「えっと、なになに? 『お父さんの会社の工場で事故があり、至急お父さんが会社に呼び出されました。お母さんも手伝いとお父さんのお世話のために一緒に行ってきます。帰りは明後日の夕方になると思います。皆いい子で留守番していてくださいね? PS. 黒歌ちゃん、火織ちゃん。皆のこと、よろしくね』……だってさ」

「「「「ちょっと待って!」」」」

 あらぁ、おじさん達急なお仕事か。それじゃあ居なくてもしょうがないね。で、何でイッセーに龍巳、白音、さらには部長まで声を上げたのかな?

「なんで追伸の中で俺の名前が入ってないんだ!? 普通そこは実の息子の俺だろ!?」

「それ、我も!」

「部長たちはともかく、私達の名前が無いのは納得いきません」

「それどういう意味よ白音!? と言うより黒歌はまだ分かるとして、なぜ最年長の私ではなく火織なの!?」

「ま、まぁまぁ皆……」

 と、私は皆を宥めようとするんだけど……

「まぁ結局のところ4人共頼りないからじゃにゃい?」

 という笑いながら言った黒姉の言葉に

「「「「ぐはっ!?」」」」

 あ、死んだ。

「……とりあえず任されちゃったし、晩御飯の準備しよっか」

「そうにゃね。こんなに人数いるし、久しぶりに腕がなるにゃ~♪」

 と、冷蔵庫を開けた黒姉は

「うっ!?」

 という言葉と共に固まった。

「どしたの黒姉?」

「しまった……おばさんしてくれてると思って買い物するの忘れてたにゃ」

「え!? じゃあ今冷蔵庫に残ってるのって!」

 た、確か今朝冷蔵庫覗いた時に残っていたものといえば……

「では私が調理いたしましょう」

「グレイフィアさん?」

「私はメイドです。残っていたのがどのような食材であろうと、必ずや皆様の満足するお夕食を準備いたしましょう」

 あはは、確かにグレイフィアさんなら出来るでしょうね。でもそのくらいなら黒姉だって出来る。今問題なのは残ってる食材の種類じゃないんだよね。

「これで何か作れたら弟子入りするにゃ」

 そして黒姉がどいて見えるようになった冷蔵庫の中を見て、流石のグレイフィアさんも固まった。なぜなら……

「マジで!? 長ネギと味噌しか無いじゃん!?」

 そう、イッセーの言った通り、冷蔵庫に食材は長ネギと味噌しか無いのよ。あとはジュースや調味料といった物がちらほらとあるだけ。流石にこれでこの人数の料理なんて1流のメイドでも出来るはずがない。

「お米は炊けばあるけど……これで出来るのはご飯にねぎ味噌かけたねこまんまか、ご飯とネギオンリーの味噌汁くらいかにゃ~。あ、後はネギの味噌田楽?」

「私、ねこまんま好きですよ?」

「いやいや、俺達だけならともかく魔王さまや部長たちもいるのにそれはダメだろ」

「黒姉、うちの冷蔵庫に何かなかったっけ?」

「おかずの残りが幾つかタッパーに入ってるけど……ちょっとずつしか無いし全部出しても2人分がやっとにゃ」

「あ、あのぅ……今からお買い物に行くというのは……」

「アーシア、この時間じゃろくな食材残ってないわよ」

「ふむ、いきなり押しかけてしまったのは私達なのだし、出前などでも構わないよ? お代は私が持とう」

「あ~、魔王さま、この時間じゃ残念ながらもう出前もやってないにゃ」

「あらあら、そもそもなぜ長ネギだけ残っていたのでしょう?」

「ん、イッセー、風邪ひいた時のため、かも」

「って冗談でもやめろよ龍巳!? 昔のあれは若干トラウマだからな!?」

「なぜイッセーはおしりを抑えて後ずさっているんだ?」

「あはは、イッセーくんも苦労してるんだね……」

 う~ん、参ったわね。となるとコンビニ? ……魔王様にコンビニ飯というのもちょっとなぁ……。

 と、頭を悩ませている時にくいっと制服の裾が引っ張られる。そちらに目を向けると……

「龍巳?」

「火織お姉ちゃん、ちょうどいい時間」

 と、時計を指さす龍巳。時間? 時間って一体何のこと………………あっ

「それにゃ!」

「それです!」

「えぇ!? それでいいの!?」

「ちょっと待て! いくら何でもそれはないだろ!?」

 龍巳の言った意味にすぐさま気付いて反応する私達。でも意見は真っ二つに割れちゃった。っていうか

「私達だけならともかくあそこに魔王さま案内するとか無いでしょ!?」

「いやいや、魔王さま現地の視察に来たんにゃし、にゃら体験してみてもいいでしょ!」

「って見せるだけじゃなくて参加させる気かよ!?」

「いいじゃないですか! 皆で楽しめて美味しいご飯も食べられます!」

「我もそう思う! あと、久しぶりに行きたい!」

「ってそっちが本音よね龍巳!? っていうかいくら美味しくても所詮は……」

 と私が言いかけた所で魔王さまが割って入ってきた。

「どういうことかいまいち判然としないが……夕食のアテがつきそうなのかい?」

「ん、ついでに人間界知る、いい機会」

「一度は経験してみてもいいと思います!」

「ふむ、そこまで言うのなら君たちに任せよう」

 え、えぇぇぇ………………

「よし! にゃら早速皆で行くにゃ!」

「「おぉっ!」」

「おいおい……本当にいいのかよ火織」

「……魔王さまもそう言ってることだし、もういいんじゃない?」

 とそこで成り行きを不安そうに見ていた皆を代表して部長が質問してきた。

「か、火織、あなた達一体どこに連れて行く気?」

 という部長の質問に対し私は……

「そうねぇ、言うなれば……血沸き肉踊る狩場、かな?」

『『『狩場!?!?』』』

「って火織! わざと誤解させるような言い方すんなよ! ……まぁあながち間違いでもないけどさ」

『『『間違いじゃないの!?!?』』』

 ふふ、みんな元気ね。この調子なら全員参加しても………………そうと決まれば、久しぶりだし楽しみになってきたかも!


 
 

 
後書き


次回予告

「ふふ、グレイフィア、昔を思い出さないかい?」

「もうっ! ここで行かなかったら私だけノリが悪いみたいじゃない!」

「はふはふ……おいしいですぅっ!」

「ふ……皆さま、まだまだですね」

「……な、何やってるんだテメェら、こんな所で?」

 次回、第63話 wolf

「まさかあれは………………"変態"!?」


 
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