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転生赤龍帝のマフィアな生活

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二十八話:人探しでござる!!

 
前書き
ゼノヴィア可哀想と意見があったので今回は少しの間、平穏をあげようと思います。
どうぞ。

 

 
「一誠殿、イリナ殿の行く先は検討はついているのですか?」
「勘だ。」
「……行き当たりばったりです。」
「私を助けに来てくれたイッセーさんならきっと直ぐに見つけられると思います!!」
「きっと…見つかる。」

オカルト研究部とイリナ達の会談が終わった次の日の午後、
俺はバジル、アーシア、クローム、塔城小猫、木場祐斗、そしてゼノヴィアを引きつれて
イリナを探しに町に出ていた。

会談の後、“何故か”廊下で気絶していたゼノヴィアを保護して家に帰ってのはいいんだが
ゼノヴィアと一緒に廊下に出て行ったはずのイリナがいつまでたっても帰ってこなかったので、
目が覚めた瞬間に震えながら俺に抱き着いてきたゼノヴィアに
イリナはどこにいったか聞いてみたが、“イリナ”と言う名前に拒絶反応を起こしたのか
『トンファー怖いトンファー怖いトンファー怖い』と虚ろな目でブツブツと呟き始めたので
残念ながら情報を得ることは出来なかった。

その後はゼノヴィアはクロームから頭をなでなでされてユニとアーシアに抱きしめられたことで
何とか正常に戻っていたが結局イリナの行方は掴めなかった。

「イリナの奴はじきに見つかるだろうが……バジル、てめえらは許可を得て来たのか?」
「いえ、親方様には内密にお願いします。」
「……私もです。……祐斗先輩にはいなくなって欲しくないです。」

そう言って笑うバジルに、身長の関係からか
上目づかいになって木場祐斗を見上げる塔城小猫。

「みんな…こんな僕の為に……。」

要するにバジルと塔城小猫はリアス・グレモリーに黙って聖剣を壊すために予想通りに
俺を訪ねて来た木場祐斗に着いてきたってことだな。
俺には仲間の友情なんざどうでもいいことだが、まあ俺の後ろに従っている以上は守ってやる。

「私も…力になるよ。」
「はい!!私達が味方です!!!」
「人数が多い方が私にとっても助かるが……い、イリナは別にいなくても良くはないだろうか?」

ゼノヴィアのためか木場祐斗の為かは知らねえが力になると言うクロームに、
『聖剣計画』の事を聞いてショックを受けながらも木場祐斗の為に手助けをしようとするアーシア、
そして未だにイリナという名前に若干恐怖心を覚えているゼノヴィア。
まあ、今のところはこれぐらいの人数がいればいいだろう。後でここにイリナが入るしな。

………正直言って過剰戦力のような気もするがな。
まあ、とっととこの件を終わらせてイリナを日本から帰すためだ、しょうがの無いことだろう。

「それにしてもイリナ殿はどこにいるのでしょうか?」
「あいつのことだ、適当に歩いてりゃ見つかるだろ。」
「何もなければいいのですが……。」

バジルと会話をしながら何となく気になった裏路地に入ってみる、
まあ、イリナのことだ特に問題もなく寝ているかもしれないしな。
そんなことを考えながら隠れていてよく見えない場所を覗く―――


「何?喧嘩を売っておいてもう終わり?」


「よし、こっちにはいねえみたいだから戻るぞ。」
「すいません、一瞬、多くの屍の上に堂々と立っているイリナ殿が見えたのですが?」

くそっ!!やっぱり逃げれねえのか!!?バジルの奴、気を利かせろよな!!!??
仕方がないので覚悟を決めて裏路地を死屍累々の景色に変えたであろう
張本人―――イリナの元に出て行く。

「あ、イッセー君。ちょうどよかった、ここに倒れてるヤンキーじゃ物足りなかったから今から殺ろうよ。」

恐らくは返り血であろう物を頬から滴らせながらニッコリと笑うイリナ……。
……はっ、足が震えてやがる、これが武者震いってやつか…!!


((((女神の微笑みですね。))))


絶対違うだろ!!!どっちかと言うと死神の微笑みだよ!!!!!
ていうかイリナは自分の仕事しろ!!!!!

「おい、てめえはエクスカリバーの奪還が先だろうが!!!」
「私はイッセー君と戦うために日本に来たのよ?コカビエルなんておっさん正直いって興味ないわ。」
「だからってこんな時におっぱじめようとすんじゃねえよ!!?空気読め!!!!!」
「私は闘いたい時に闘うわ!!!」

俺の言葉に全く耳を貸す気もなくイリナが襲い掛かってくる。
擬態の能力か何かは分からないが鞭のようにしなって襲い掛かってくるトンファーを
紙一重で躱すが俺の後ろの壁に亀裂が入る。風圧でヒビを入れたってのか!?
こいつ本当に人間か!!?

「ねえ、逃げてばかりいないで早く殺り愛おうよ?」

全く光が灯っていない目で俺を見てくるイリナに背筋が冷たくなる。
こいつは本気で相手しねえとクローム達にまで被害が及びかねねえ。
……ちっ、仕方ねえ。

「おい、バジル!!後はてめえに任せた!!!俺はイリナの相手をしてるからてめえらで聖剣奪還をやってろ!!!!!」
「えっ!?で、ですが……。」
「いいから、やれ!!!!!」

イリナの攻撃をいなしながらそう叫ぶ。こうなったらイリナの気が済むまで戦ってやるしかねえ。
それまでは聖剣の方はお預けだ!!!

「ここじゃ、戦い辛いわね、別の場所に行きましょ?もちろん殺りながらだけど。」
「はっ!!上等だ!!!」

好戦的な笑みを浮かべるイリナに対してこちらも笑みを浮かべながらそう返す。
俺とイリナが減るがまあ、あいつらなら何とかやるだろ、
最悪カスザメかブルーベルでも寄越せばいい。

「そういうわけだ、バジル!!!しくじんなよ!!!!!」
「あ!!!一誠殿!!!??」

茫然とするバジル達を残して屋根の上に飛び上がりイリナとやりあいながら離れていく。
最後にチラリと嬉しそうな顔をしていたゼノヴィアが見えたが気にしないでいいだろう。





Sideバジル


「さて、“運悪く”イリナとイッセーが消えてしまったがこれからどうする?」

口ではそう言いながらも、物凄く嬉しそうな表情を隠しきれないゼノヴィア殿……。
これはやはりイリナ殿がいなくなった影響でしょうか?
まあ昨日は、あ、あんなことがあったわけですしね………。
ううっ…思い出すだけで体が震えます…!!

「取りあえず、情報整理といこうか、今回の件について知っている情報をお互いに出そう。」

恨みのこもった眼でゼノヴィア殿を見ながらそう切り出す祐斗殿に
ゼノヴィア殿が若干顔をしかめます。

「……君は余程聖剣に恨みがあるのだな。昨日から思っていたが一体君は何者なんだ?」
「………僕は君達の先輩さ、正し出来そこないのね。」
「『聖剣計画』か………。」

祐斗殿の憎悪の籠った顔を見て悟ったように呟くゼノヴィア殿。
それにしても祐斗殿は大丈夫でしょうか?
この後恐らく、いえ、間違いなく戦闘があると思われるのに
あんな精神状態で無事に生き残ることが出来るのでしょうか?

………いえ、祐斗殿を助けるために拙者は着いてきたのです。
祐斗殿の命は拙者が守って見せます!!!

「君の憎しみはもっともだろう……あの計画は教会側としても最大級に嫌悪している。故に首謀者であるバルパー・ガリレイは追放され今は堕天使側についている。」

エクスカリバー、コカビエル、バルパー・ガリレイ………
なるほど今回の件は全て繋がっていると言うわけですね。
コカビエルがエクスカリバーを奪い以前『聖剣計画』を行っていたバルパー・ガリレイが
何らかの理由でエクスカリバーの実験をしている……そんなところでしょうか?

「今回の件……エクスカリバーを追って行けば間違いなくバルパー・ガリレイにも会えるんだね?」
「ああ、十中八九な。」
「そうかい……それじゃあ、今度は僕からの情報提供だよ。僕はついこの前はぐれ神父に襲われた―――エクスカリバーを持ったね。」
「「「っ!!?」」」

祐斗殿いつの間にそのような危険なことを……そう言えばやけに祐斗殿が
イラついていた日があったような気がします。まさか、あの時に?

「名前はフリード。」
「「えっ!?」」

アーシア殿と一緒に驚きの声をあげてしまいます。
フリード……アーシア殿の拳を食らって生きていたのですね。しぶとい奴です。

「二人共知っているのかい?」
「はい……私がイッセーさんのお家に行く前までいた教会に居た人です。」
「以前、拙者が初めてアーシア殿と会った時に戦った相手です。」

出来ればもう会いたくなかったのですが……
……それにしてもあのような男に聖剣を使う適正があるでしょうか?
これも今回の件と何やら関係がありそうですね。

「その男の目的などは何か分かるか?」
「そうだね……僕と戦う前に他の神父を殺して『試し斬り。』と言っていたね。」
「ふざけたことを!!………しかし、相手を誘き出す餌にもなりそうだな。」

餌?ゼノヴィア殿は一体どのようなことを考えているのでしょうか?

「恐らくフリードはエクスカリバーの試し斬りの為に神父を襲っているのだろう。ならば私達自らが囮になればいい。」
「ゼノヴィア殿、それは一体?」
「それは――――――――」





現在、拙者達は以前、一誠殿と一緒に殴り込みに来た教会に来ています。
中は以前のベスター殿の活躍でボロボロの状態ですが、構造自体はしっかりとした物だったらしく
崩れる心配はないようです。
それでどうしてこんなとこにいるのかというと―――

「まさか悪魔が神父服を着ることになるとはね。」
「……仕方ありません。……これも目的の為です。」
「ああ、分かってるよ、小猫ちゃん。」

エクスカリバーの試し斬りと称して神父を狙っているらしい
フリードを誘き出すために神父服に着替えたからです。
祐斗殿が言うように悪魔が神父服を着るなどいうのはかなりおかしいことですが、
何やら気合に満ちている小猫殿の言う通りに目的の為ならば背に腹は代えられません。

因みにアーシア殿は初めて会った時に来ていたシスターの服を着ています。
さすがに良く似合っています。

「さて、イリナが帰ってこない間に――ゴホン、なるべく早く取り掛かるとしよう。」

殆ど本音が出ているゼノヴィア殿にこの場にる全員の視線が集中します。
イリナ殿が恐ろしいのは重々承知していますがいくら何でも怖がり過ぎではないでしょうか?

「それにしても聖剣使いであるあなたが悪魔と手を組むのに文句の一つも言わないなんてね。」

祐斗殿がもっともらしいことを言います。
本当にどうしてゼノヴィア殿は平然と悪魔と手を組んでいられるのでしょうか?

「君達は365日サンドバックにしてくる人間と特に危害を加えてこない悪魔、どっちと一緒に居たい?」

若干虚ろな目をしながらそう尋ねてくるゼノヴィア殿に拙者達は何も言えませんでした。
ゼノヴィア殿……そうとうお辛い人生を送ってきたのですね……。

「元気出して…ゼノヴィアちゃん。」
「はい、私達が付いていますよ。」
「ううう……ありがとう、クロームにアーシア。」

二人に抱きしめられて感動の涙を流すゼノヴィア殿……この状況何なんですかね?

「そ、そろそろ、作戦を始めないかい?」

何と言うことでしょうか……先程まで憎悪の籠った目でゼノヴィア殿を見ていたあの祐斗殿が
気を使って話を変えようとしています……何と言う不遇っぷりでしょうか、ゼノヴィア殿。

「あ、ああ……そうだな。今はイリナはいないんだ、そうイリナはいない。」

アーシア殿とクローム殿に支えられながら起き上がりブツブツとそう呟くゼノヴィア殿。
イリナ殿………恐ろしすぎます。
もう『最恐の悪魔祓い(エクソシスト)』と呼んだ方がいいかもしれません。

「じゃあ、取りあえず、二手に分かれるとしよう。ちょうど今三人ずつに分かれているからそれでいいか?」
「拙者達はそれで問題はありません。」

こうして拙者、祐斗殿、小猫殿のチームと
ゼノヴィア殿、クローム殿、アーシア殿のチームで
二手に分かれることが決まりました。
そう言えば見つけたらどうするのでしょうか?

「すいません。ゼノヴィア殿、敵を見つけた場合はどうすればいいのでしょうか?」
「そうだ今はイリナはいないんだ。今はこの平穏を楽しもう―――おっと、すまない、もう一度言ってくれないか?」

何やら自己暗示をかけていたゼノヴィア殿が物凄く哀れに見えてきました
……どうか平和を掴んでください。

「ええと、どちらかが先に敵を見つけた場合はどうするのが良いでしょうか?」
「戦闘になれば嫌でも分かるだろう、気付き次第援護に回ればいい。」
「わかりました。」

確かに戦闘になれば嫌でも分かりそうですね。
さてそうと決まれば早速探し始めますか。三人で教会を出て外に歩いていきます。





小猫殿と祐斗殿と一緒に夜道を歩いて獲物が掛かるのを待ちます。
といっても中々現れてくれません。まあ待ち合わせもしてない相手に
広い町の中で会うなんて中々出来る事ではないですからね。気長にやるしかないでしょう。

「……探す場所を代えてみませんか?」

ただ歩くのに飽きたのか小猫殿がジト目でそんなことを言ってきます。
そう言われても相手の場所が分からない以上は絞れないのですが……。
そう言えば、祐斗殿は襲われたんでしたよね?
それなら相手の出現場所とかが分からないでしょうか?

「祐斗殿、フリードと戦った場所はどんな場所でしたか?」
「そうだね……確か人目に付きづらい場所だったと思うよ。」

人目に付きづらい場所ですか……
そうなると、今日イリナ殿がいた裏路地のような場所を探した方がいいですかね?

「分かりました、それなら人目に付きづらい狭い路地や廃墟などを重点的に探した方がいいですね。それでいいですか?」
「ああ、聖剣があるならどこにでもいくさ。」
「……分かりました。」

その後はわざと狭い路地を通って移動していきます。
拙者と祐斗殿は若干通りづらかったのですがサイズの関係からか
小猫殿だけはすんなりと通れていて何やら複雑そうな表情を浮かべていましたが
そこは特に気にしなくてもいいでしょう。
そして、ある廃墟の近くを通りかかった時に突如肌が焼けるような感覚を覚えます……聖剣ですね。

「……来ます。」
「……………。」

小さくつぶやく小猫殿に黙って神経を研ぎ澄ます祐斗殿………そして―――


「ヘイヘイ!!冥途への片道切符三名様、持ってけ泥棒おおおっ!!!」


いつかのように狂った奇声を上げて、拙者達の上空から現れる者―――フリード!!!
手に持っているのは紛れもなくエクスカリバー……当たりですね。
すぐに銀狼の牙(メタルエッジ)を出して振り下ろされる
エクスカリバーを防ごうとしますがそれは遮られます。

「君の相手は僕だよ!!!」

瞬間的に創りだした魔剣でフリードのエクスカリバーを弾き返す祐斗殿。
そして、そのままフードを脱ぎ捨ててフリードを睨みつける。
それにならって拙者と小猫殿も顔を明かします。

「おんやー?これはこれは見覚えのある悪魔くんがいっーぱいじゃないですかあ?いやー感心感心、僕ちんに殺されるためにわざわざ訪ねて来てくれたんですねえ。」

「黙れ!!!僕は―――エクスカリバーを叩き壊すだけだ!!!!!」

戦いの火蓋が今落とされた。

 
 

 
後書き
読み直していて思ったこと

「変態が一行しか出てこなかった…だと!?」 
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