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『自分:第1章』

作者:零那
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『涼君の部屋』

涼君の部屋に入る。

『着替え超早業やし!てか、お母さん超良いね!温かくて優しくて涼君と似てる♪』

『普通よ。零那さんもいつかそんなお母さんになるんやけん!』

『.......』

テレビにセットされたゲーム発見!

『てか涼君もゲームすんやね!皆とおってもせんのに...』

『俺あっこまで夢中なれんけん』

『あはは♪ほな程々になんやね』

『家族に迷惑かける遊び方はせんだけよ。あ、買ったやつどうする?零那さん何飲むん?』

すごい...
この年で家族に迷惑かけんようにとか偉いし。
既に親孝行やんか。
お母さん、涼君の事すごい自慢の息子なんやろなぁ...
涼君を眺めてた。

『そんな見んといてやぁ、照れるやん...友達も親子も同じ。自分の為に何かしてくれたらコッチも相手の為にって想うやん?ただそれだけの事よ。零那さんも、お母さんって呼んだら良いよ♪』

『涼君ええ息子やねんなぁ♪あんな超ふんわりオーラのお母さん初めてやわ!』

『ユウのお母さん怖いもんね!』

『あはは!言えとる!でも本心でぶつかってくれるから好きなタイプ』

『そんな感じやね。喧嘩とか普通にしそうやし!』

『あはは!』


涼君が急にこしょばしてきたけん仕返しした。


笑い過ぎて苦しくなってきた頃に樹登場。

『何しょん!おまえらソレはユウが見たら妬くぞ!』

『早かったやん!女良かったん?また行かないかんのんやないん?』

『零那より我がの女やんな!』

『いやいや!今日は約束せんかったし!てか俺が零那さんともっと話したかったし!』

『ほんまぁ?』

『マジマジ!涼と浮気しょったらいかんよっ!』

『えーーーっ!こしょこしょすん浮気なんの?楽しいのにー?涼君が弱いん知っとる?』

『マジ?ドコ?』

樹が涼君に攻撃♪

見よるだけでも意外と楽しかった。
しかも樹も弱かった...

2人がジャレてたらヒー君登場。
2人を見て『キショッ!何しょんでや!』って辛辣な反応。
樹がヒー君に攻撃。
ヒー君もバリバリ弱い。
何じゃコレって感じに、こしょばしあいっこ激戦。
次々に繰り広げられた。
笑いが止まらん。


ふと涼君が素に戻った。
『ユウ遅いやん!樹電話してや!』
樹が発信したら玄関の方から鳴った。
部屋開けたら、ユウとマサが来たとこだった。

『遅いわやぁ...またマサ絡まれたんかやぁ!』

『ほーよ!あいつらホンマひつこい!零那!悪さしよらんかったか?』

『しよらんよ?』

涼君が零那を見た。
え...?


『ユウ!俺、零那さんにイジメられたんやけど!』

『えっ!』

『おーおーよしよし!涼スキやぞー!』

『ユウ!スキ!』

『はいはい!もーえーって...』

お決まりの馬鹿みたいな挨拶に皆爆笑。


『マサ、またあいつ?逆に呼び出したろか?ごっつムカつくし!!なんぼ取られたん?』

『おろしたばっかの2万...』

『悔しく無いん?いっつもいっつも...取り返してくる!!』

家は知ってる。
本人居らんかったら親から取り返す。
大概ムカつく。
ええ機会や!
息巻いて出て行こうとしたら皆に後ろから腕捕まえられてコケた。
で、ヒー君に説教された。
女1人で行ってチカラでは勝てん。
ヤられるんがオチやって。
ヒー君は正論。
でも、そんなん解ってる。
頭じゃ無く心で動く零那には、ヒー君の正論がたまにムカつく。
大事な友達が...って、悔しい!!
やり返したい。
二度と手出しさしたくない。

見かねた樹が、零那の気持ちを代弁するようにヒー君に反論する。

『そんなこと解っとるよ。俺らも一緒に行けばえーない?金取られたくないなら置いて行けばえーし』

『そーゆうことちゃうやん!』

『いやなら居ったらエーよ!進学に響いてもいかんしな!俺らは平気やし』


この2人が揉めるんは違う!

『ごめん!零那が悪かった!樹、ありがとぉ...ヒー君も...零那が我慢したら済む話しやんな。頭では解ってる。世の中の理不尽や矛盾は散々見て来てるし知ってる。マサを助けれんのも、零那が女やからしゃーないって諦めるしかないんやろ?解ってるよ...』

ユウが言う。
『ほぉよ、おまえじゃどーもこーもならん。俺らも勝てん。』

涼君も言う。
『ごめん、俺らだけじゃ無くて、あいつらに喧嘩売る奴も仕返しする奴も、市内には居らんのよ...』

マサも言う。
『俺が素直に金出せば殴られんで済むし、問題無いんよ。』

こんな理不尽なイジメ...てか、恐喝...許されるわけがない。
確かに、零那が報復行ったかてヤラレ損になるのは解ってる。
それでも、今後一切マサに危害を与えんなら安いもんや。
でも...あいつらにはそんな道理が通じるとは思えん。


皆がゲームを始めた。
零那は考えた。
座るとこ無いからベッドの上おいでって涼君が合図してくれた。

『良からぬ事考えよる?』

『う゛っ!だってぇ...』

『解ってるよ、みんな、零那さんの気持ち...俺らも悔しいんやけどな。』

『...このまま、いつまでも金取られ続けるん?そんなん違うやん...』


『俺らも色々考えてやってきたけど、零那さんが何かしでかす前にエエ事思いつかなあかんなぁ...』

『それっ!!あいつらが恐喝するとこを捕まえさす!!』

『でもそれ下手したらフルボッコやね...』

『まぁね...』

樹が『何コソコソ話しよん?』って来た。
涼君が説明した。
樹が神妙な顔つきになった。
『あいつらまた鑑別収容したいんなら、現場に警官連れて行って現行犯逮捕か証拠ムービーの撮影くらいやな...』
樹の的確な言葉に、涼君と零那は『それっ!』ってハモった。


誰かがおなか空いたって言った。
『飲み行こ!ドコが良い?』
皆と良く行ってた店名を皆がハモった。
皆が爆笑♪

店もおじちゃんも味も変わってなくて、久々に来て懐かしくて泣きそうだった。
楽しい時間はほんまに一瞬で去っていく。
おひらき頃、トイレに立った時おじちゃんと話した。
その時コッソリ会計しといた。

幸せな時間に感謝...
淋しいけど...
皆にはそれぞれの家庭があって、家族が居て、その一員で、帰る処が在る。
居場所が在る。
それは皆にとっては当たり前のこと。

零那は、ユウの家があるビルの屋上に行く。
あのモナリザの処。

 
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