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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  80話:出張任務 地球へGO!

 
前書き
 
またしても間があいてしまった。本当に申し訳ない。
今回はサウンドステージから、出張任務のお話。だいたい三、四話で終わるのを予定。
 
 

 
 




「広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティ…ねぇ」

机に肘をつき手を頬に当てながら、目の前に映るモニターに指を伸ばしてスライドさせる。

今見ている資料は、フェイトとシャリオ・フィニーノ一等陸士―――愛称シャーリーが調べたものだ。
ガジェットの三型の残骸にあったネームプレートに、その名前が書いてあったらしい。更にその三型に付いていたものにも、意外なものがあった。

「ジュエルシード…か……」

かつて俺やなのは、フェイトが集めたロストロギア〝ジュエルシード〟。それがガジェットの内部に取り付けられていたらしい。
ジュエルシードは現在、管理局遺失物管理部に預けられ、保管されている筈だ。

それが何故、ガジェットの一部として組み込まれているのか。しかもご丁寧に名前まで晒してある。
フェイトの考えでは、名前は自らの誇示、ジュエルシードは俺達への…深く言えばフェイトへの挑発。色々な事例の関連性から考えて、十中八九スカリエッティ本人だ、ということだ。

「しっかし、スカリエッティ本人だとすればだ…」

正直言って、それがわかったからと言って状況がよくなった訳ではない。
スカリエッティの研究は、生命や人体を主としたものが多い。となると、大ショッカーとの繋がりは大いにあると思った方がいいだろう。

そうなればあのカメレオン怪人はおそらく初期の、実験段階での怪人だろう。他にも同じような怪人はいだろうし、より強力な怪人を生み出している可能性もある。

更に言えば、スカリエッティの計画自体に大ショッカーが関与してくることも考えられる。そうなると、フォワード陣が大ショッカーの怪人と戦うはめになってしまう。
フォワード陣ははっきり言って、まだ怪人と戦うレベルではない。俺のいないところで怪人に遭遇したら……

「ダメだ、考えがネガティブすぎる……もう少し気楽に考えるか……」

そう呟いて、体を起こして背もたれに背中を預ける。そしてそのままグーッと背伸びをする。
考え直せば、大ショッカーが怪人を送り出して直接関与してくるとは限らない。ただの技術支援をして、代わりに魔法技術を得るというギブ&テイクの関係なだけかもしれない。

そう考えていると、突然通信のアラートが鳴った。
俺は背中を預けたまま、だらんといた格好で通信を繋いだ。

『士君、今いい―――うわ、だらけきっとる…』
「おぅ、はやてか。どうした、何かあったか?」
『それよか士君、仕事の方は?』
「きっちり終わらせてるさ。じゃなきゃだらけたりしない。」

今来ている分は、と付け足しをして、今度はしっかり椅子に座る。
はやてがこうやって直接通信を繋いでくるのは、だいたい新しい仕事か業務確認、後一割程度は暇でだべる時だということが、今までやってきてわかっている。

まぁ最初に確認してくるところから察するに、仕事ではなさそうだ。多分だべりかな?

「それで?ご用件は何かな、狸さん?」
『狸言うな!いや、私からは一つ確認したいことがあるだけなんやけど……』

意外に深刻そうな顔をするはやて。言葉を一旦切ってから、一拍置いて再び口を開いた。

『士君、最後に帰ってから、どれぐらい経ってるか覚えとるか?』
「………」

はやての言葉の真意を理解するのに約二秒、年月を数えるのにも同じぐらいかけ、約五秒程の間を作ってから口を開いた。


「…三、四年は帰ってない…かも……」









六課隊舎の屋上ヘリポート。そこには六課のJF704式ヘリコプターが鎮座しており、その横では既に四人のフォワード陣が立ち並んでいた。

「出張任務かぁ……初めてだね、ティア!」
「そうね。前の部隊じゃ他世界への出張はなかったから」
「管理外世界だって言いますけど、いったいどこなんでしょう?」
「まだちゃんとしたことも話されてませんし…」

訓練や任務を通して、当初より仲が良くなっている四人。それぞれが思い思いの事を言い、楽しそうに談笑していた。
そこへ屋上の扉が開き、奥から誰かが屋上に入ってきた。どうやら入ってくるのは二人らしい。

四人もそれに気づき、そちらに目を向ける。
栗色のポニーテールに、金色のロングヘアー。すぐに人物を特定した四人は、声をかけようとした……が、その前にあるものを目にし動きが止まった。

「あ、四人共もう来てたんだ」
「お疲れ様、準備はできてるよね?」

「くっそ、離せ!なんでヘリポートに連れてかれるのに、両手両足縛られなきゃいけねぇんだ!?」
〈自業自得だと思います〉
「相棒にまで裏切られた!?くっ、HANASE!AIBOー!AIBOーッ!!」

やってきたのは勿論、四人の上司にあたるなのはとフェイト。そして四人が動きを止めた理由は、二人の後ろで二人の魔力光のバインドで縛られ、引きずられている士だった。

「あ、あの……なのはさん? 士さんを引きずっているのはいったい―――」
「ティアナ、世の中には知らなくていいことがあるんだよ?」
「あっ、はい。わかりました」
「ティアナ!? 引き下がるの早くないか!? もう少し俺を助ける努力をしてくれよ、頼むから! なのはの眼力に負けるな!」

質問しようとしたティアナがなのはの様子を見て早々に諦めてしまい、士は悲痛な叫びをする。
しかしティアナはそれを耳に入れない。何故ならこれ以上首を突っ込んだら、なのはの怒りが自分に向かいかねないからだ。

そう、今なのはは何故か怒っていた。ついでに言えばフェイトも、なのは程ではないが十分怒っていると言えた。先程の発言の時、なのはの表情が笑っていながら、目が笑っていなかった。間近にいたティアナだけでなく、後ろにいたスバル達もそれを見てなのはの心境を察したぐらいだ。

「あぁ、ヴァイス君。この荷物ヘリに積んどいてくれる?」
「遂には荷物扱い!? 酷すぎないか!? そしてヴァイス、何素直に従ってんだよ!?」
「いや~、なのはさんには逆らえないッスから」
「薄情者ーーッ!!」

その後ああだこうだ言う士はなのはの命令で、ヴァイスに担がれてヘリの中に入っていった。
それと同時に屋上に新たな人物達がやってきた。

「お、皆集まっとるな~」

やってきたのは六課の部隊長であるはやて―――だけでなく、スターズ・ライトニングそれぞれの副隊長のヴィータとシグナム。更には六課主任医務官であるシャマルまでやってきていた。

「こ、これ全員で行くんですか?」
「ロストロギア言うけどまだどんなのかわかっとらんし、レリックの可能性もない訳やあらへんからな。一応、前線メンバーは全員で、ってことや」

スバルの質問に、はやては笑いながら答えた。
でも副部隊長だけでなく部隊長までとは、やり過ぎなのでは? と四人は心の中で思ったが、それを口にする前にはやてはなのはの方に向いていた。

「それで、首尾はどうや?」
「うん、荷物は先にヘリに積んどいた。これで全員揃ってるよ」
「そ、そうか…」

なのはの言葉に、はやては冷や汗を垂らした。目が笑っていないという顔に、さすがの部隊長も物怖じしているようだ。

「さ、皆仕事だよ。早く行こう」
「四人共初の出張任務だけど、気負いせずにね」

そう言い残し、なのははすぐにヘリの方へ向かった。その後について行く形でフェイトもヘリに向かっていく。

「八神部隊長、なんでなのはがあんなに怒っているか、聞いてもいいですか?」
「うん、まぁ大まかな原因は士君にあるんやけど、あそこまで怒るとは思っとらんかった」

まぁ場所が場所やからなー、と苦笑いを浮かべながら言うはやて。
今回の任務の場所を知らされていない四人は、それがどういう意味なのかわからず首を傾げる。
「あ、そっか。四人にはまだ伝えてなかったな」
「部隊長、今回向かう管理外世界って…?」

「『第97管理外世界』…現地惑星名称『地球』。その星の小さな島国の小さな街…日本、海鳴市。私やなのはちゃん、士君の出身世界で、フェイトちゃんも一時期住んでいた世界や」















「んで、ロストロギア一個に、こんな大所帯で行くのか?」
「たかがロストロギア、されどロストロギアや。それを狙って怪人がやってくる可能性もなきにしもあらず、って感じやしな」

まぁ、そう言われればそうだが……

「そろそろバインド解いてくんねーか、なのは? フェイトは解いてくれたのに、理不尽じゃね?」
「士君が逃げるかもしれないから、地球に着くまでダメ」

んなご無体な……

「え~っと、第97管理外世界、文化レベルB…」
「魔法文化なし、次元移動手段なし……って、魔法文化ないんですか?」

管理局で保管されている閲覧データを見ながら、ティアナは驚いた様子で声を上げる。

「あぁ、魔法とかの概念は一切ない」
「私達がオーバーSランクなのも、突然変異やたまたまだったりするしな」
「私もはやてちゃん、士君も魔法と出会ったのは偶然だしね」

俺は本当は偶然じゃないんだが、それを言える筈がない。

その後、リインの体が大きくなってこりゃびっくり! なんてことがあったが、そこは割愛させてもらうとする。

「そういえば、士さん。なんでそんな状態になっちゃってるんですか?」
「よくぞ、よくぞ聞いてくれたエリオ!」

今日の俺の救世主は君だ! 後でMVP賞でも作って送ってやる!

「い、いやな? さっきも言うたけど、主な原因は士君にあって…」
「士はね、四年近く地球の海鳴にある実家に帰ってなかったの」
「「「「…………」」」」
「止めて! そんな哀れな物を見る目でこっちをじっと見ないで!」

くそぉ! なんとかこいつらを論破して、この状況を打破しなくては! 今後の俺の威厳に関わる!

「じ、実際この四年は特別対策部隊の任務だとか仕事だとか、部隊がしっかりするまで忙しかったしそれ以外にも―――」

「帰る度にお母さんから『士君はいつ帰ってくるの?』とか、『今度士君に会ったら言っといて』とか、『連絡なくて寂しいな~、はぁ…』とか言われるこっちの身にもなってよ」

「ほんと申し訳ございません」
「早っ!?」

桃子さんの話を出されたら、こちらに勝ち目はない。申し訳ないと思っているのは確かだし、頭が上がらないぐらい世話をかけてしまっているのも自覚している。

「あの…どうしてなのはさんのお母さんが、士さんのことをそんなに心配しているんですか?」
「士君は早くに両親を亡くしていてね、家に居候していたの」
「あ、ごめんなさい…!」
「んぁ? あぁ、別にいいさね。気にしてないから」

いや、気にしてないっていうのは失礼か。会ってもいなくとも、生みの親であることに変わりはないのだから。
でも小さい時の話だし、今は桃子さん達もいるし……正直こうでも言わないと、ティアナも悪い気のままになっちまうしな。

そのとき突如アラートが鳴り、それを機にシグナムが口を開いた。

「八神部隊長、そろそろ…」
「うん。ほんならなのは隊長、フェイト隊長。私と副隊長達はちょう寄るところがあるから」
「うん」
「先に行って、現地入りしとくね」
「「「「お疲れ様です!」」」」
「士君は逃げ出したりして、怒られたりせーへんようにな」
「……善処します…」















「「「「わぁ~…!」」」」

俺達を包む光が消えていき、目の前には数個のコテージと湖があった。

「ようこそ地球へ、なんてな」
「ミッドとあんま変わんないでしょ?」

「空は青いし、太陽も一つだし…」
「山と水と、自然の匂いもそっくりです」
「キュクル~」
「湖、綺麗です」

フォワード陣はそれぞれ周りを見渡し、感想を述べていく。因みにスバルは目を輝かせて何も言わなかった。

「というか、ここは具体的にはどこでしょう? なんか湖畔のコテージって感じですが…」
「現地の方がお持ちの別荘なんです。捜査員待機所としての利用を、快く許諾して頂けたですよ」
「現地の方…?」

そう、現地の方の別荘。しかもお金持ちだから家や車とかも凄いんだ。
リムジンとか普通にあるんだよ、長い奴。普段使う車だって、今コッチに近づいてきてる車ぐらい高級車なのが………って、え?

「なのは、フェイト!」
「アリサちゃん!」
「アリサ…!」

やってきた車から降りて出てきたのは、我が友人の一人にして〝腐れ縁〟の繋がりがある、ブラウンの髪の女性―――アリサ・バニングスだ。
車を降りたアリサは、すぐさまなのは達の側に駆け寄りハァイタッチ! しかし当然必殺技は出なかった。

「何よ、ご無沙汰だったじゃない」
「にゃはは、ゴメンゴメン!」
「色々、忙しくって」
「私だって忙しいわよ?大学生なんだから」

そうだ、今の内に逃げよう(切実)

「アリサさん、こんにちはです!」
「リイン、久しぶり!」
「はいです♪」
「それから―――」

ゆっくり、バレないように静かに―――

「ミギュアッ!?」
「あんたが一番ご無沙汰だったじゃない。メールの一つも寄越さない、でッ!」
「イダダダッ! マジ止めろアリサ、ヘッドロック止めて!」

畜生、見つかった! しかも背後からヘッドロックされた上に、追い討ちだと言わんばかりに足を踏んでくる、なんて非道な仕打ちだ!

「紹介するね。私達の小学生からの友達で、幼なじみの…」
「アリサ・バニングスです、よろしくっ!」
「助けてー! そろそろ頭蓋骨変形しそうだから助けてぇぇぇ!」

なんかミシミシ変な音が聞こえるのぉぉぉ! これ絶対頭蓋骨変形するぅぅぅ!

「そろそろ止めてやれ、バニングス」

そこに現れたのは、俺の親友であるクールな仕事人―――駆紋 龍也だった。
こいつ、いつの間にかここに…!?

「何よ龍也、アンタはこいつの味方なの?」
「こいつだって仕事で来てるんだ、後でいちゃもんつけられたりしたら、余計面倒だ」

アリサを宥めるような声色で言う龍也に、アリサは「むぅ…」とむくれるような声を上げて、意外と素直に俺の頭を放した。

「あぁ、そこのガキ共の為に自己紹介でもしとくか。駆紋 龍也だ、一応こいつらの親友認定されている。バニングス共々、よろしく頼む」
「「「「よ、よろしくお願いします…」」」」

アリサが止まったのを見た龍也は、度重なる事態に呆けていたフォワード陣四人に向かって自己紹介をした。
というかおい……

「止めてくれたのは嬉しいんだが、なんでお前がここに?」
「あの車は俺ので、俺が運転していたんだ。アリサは早く降りたいって言って行っちまったが、さすがに車を放置していく訳にはいかなかったからな。別の場所に停めてきた」

そうだったのか……。
しかし意外だな、アリサがこいつの車に乗るなんて。龍也がアリサを素直に乗せているのも意外だ。

「そういえば、カオルの方はどうしてる?あいつのことだから、一緒に来てるもんだと思っていたが…」
「あいつは今日は大学の方だ。といっても作品の仕上げで、そこまで時間はかからないらしいから、途中で合流するだろ」

そうか…あいつも頑張ってんだなぁ……

「そっちは…はやてがいないようだが?」
「そうね、どうしたの?」
「あいつは単に別行動なだけだ」
「多分すずかの方の転送ポートを使って来ると思うよ」

管理局が使う転送ポートは、管理外世界の地球には二つだけ。アリサが待機所として提供してくれているこの場所と、親友の一人―――月村 すずかの家の、猫がひしめくの広い庭だ。
俺達が今回使ったのは前者の方。はやて達は別ルートなので後者の転送ポートを使うことになる。

「それじゃあアリサはこれから会うことになるかもしれないな、はやてに」
「そうね。この後すずかと会う予定だったから、もしかしたら会えるかも」
「じゃあすずかちゃんによろしく伝えておいて。わかんないけど、会わずに戻っちゃうかもしれないから」
「わかったわ」

「龍也はこれから予定あるのか?」
「あぁ、これからバイトだ」
「お前も頑張るな…そんなことしなくとも―――っと、これ以上は言わない約束だったな」
「親を頼るのは嫌いでな」

それじゃあ頑張れ、と二人して同じことを言い残し、アリサと龍也は去っていった。
因みに二人共龍也の車に乗って……ま、気にするまでもないか。

「それじゃ、まずはコテージで今回のミーティングだ」
「これからは仕事だから、しっかり頑張っていこうね」
「「「「は、はい!」」」」

フォワード陣の元気な返事を背中に受け、俺達はコテージの方へと向かっていった。




  
 

 
後書き
 
とりあえずドライブ、四話まで行きましたね。
今回は前番組がインパクト強すぎてアレでしたが、新武器も出てきて中々面白かったですね。

シフトカー達のやりとりや感情表現も面白かったですし、何より魔神チェイサーがかっこいい。
今後の展開が楽しみになってきます。

後劇場版の方は、敵ライダーの発表だったり、鎧武勢は何人か復帰したりと、面白そうな展開をしてくれそうです。こちらも楽しみですね。


さて、次回の投稿ですが、これから二週間程リアルが忙しくなるので一旦執筆をしません(多分)。なので次回は約三週間後、酷くて1ヶ月後だと思います。
また長い間お待たせすることになってしまいますが、なにとぞ首を長くして待っていて頂ければ幸いです。

ではまた次回に。さよなら~ (^-^)ノシ
 
 
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