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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第二十八話 彼氏彼女の事情2

 
前書き
次はゼロとアイリス。 

 
ゼロ「アイリス、お前に見せたいものがある。だが、来る来ないはお前の自由だ」

ゼロが休暇を取ったアイリスに向けて言う。
今まではゆっくり休む間もなかったから気分転換のために誘ったのだろう。
しかし、ゼロが言う“見せたいもの”はガラパゴスのかなり険しい道にあり、おまけにゼロはアイリスが非戦闘型ということを忘れているのか、自分のペースでさっさと先を歩いていくので、アイリスはついていくのがやっとだった。
アイリスは途中、何度もゼロに少し休むように訴え、休み休み来た結果、目的のものがある場所に着いた頃にはもう夕暮れ時にさしかかっていた。

ゼロ「アイリス…このぐらいの距離ぐらい休みなしで歩けないのか?」

アイリス「私はあなたと違って非戦闘型なの!無茶言わないで!!」

戦闘型のゼロと非戦闘型のアイリスとでは体力に差がありすぎるのだ。

ゼロ「着いたぞ」

ゼロは、少し先の森が開けた場所を指差すと、再びさっさと歩き出す。
アイリスはそんなゼロに恨みがましい目を向けながらも、後を追った。
森が開けた場所に出て、その先にある景色を見た瞬間、アイリスは目を大きく見開いた。
アイリスはゼロへの不満も忘れて、目の前の雄大な景色をじっと見つめた。
岩棚の上から見下ろすガラパゴスの豊かな自然は、言葉では言い表せないほどの感動をアイリスに与えた。
目の下には、底も見えないほど深い谷が広がっているが、それすら気にならないほど、魅入られていた。

ゼロ「気に入ったか?」

アイリス「ええ、私こんな綺麗な景色を見たのは初めてよ」

ゼロ「そうか…ルインも似たようなことを言っていた」





































あれは確か…。
ルインがイレギュラーハンターになって間もない頃だ。
不慣れなイレギュラーとの戦闘でヘマをやらかして落ち込んだルインを元気付けてやるために…だったか。

ルイン『凄い…私こんな綺麗な景色見たことない。ありがとうゼロ!!』

ゼロ『こんな物でよければいつでも見せてやる』

あの頃はまだセイバーを持たず、バスターと体術を主体に戦っていた。
少し懐かしいと思う。
あの頃は楽しかった。
エックスと自分とルインの3人で任務に励み、共に騒ぎ、ケイン博士の悪戯を受け、共に報復したりと…。
遠い遠い懐かしい過去にゼロは少しだけ寂しく感じた。



































アイリス「ゼロ…?」

急に黙り込んでしまったゼロを覗き見たアイリス。
ゼロはハッとなり、アイリスの方を見遣ると微かに微笑んだ。

ゼロ「いや、何でもない。少し昔を思い出していた。」

シグマが反乱を起こす前にあったとても優しい過去。
再びあのような穏やかな気持ちでこの雄大な景色を、夕日を見れる日は来るだろうか?

ゼロ「アイリス…」

アイリス「何?ゼロ」

ゼロ「少しは息抜きになったか?」

アイリス「ええ、本当にありがとうゼロ。こんなに素敵な場所に連れてきてもらって、いくらお礼を言っても足りないくらいだわ。」

ゼロ「そうか、まあ…俺にはこれくらいしか出来ないからな」

ゼロは自分の手を見ながら、小さな声で言う。

ゼロ「戦闘用に造られた俺は、エイリア達や他の奴らのように、お前の傍にいてやることが出来ない。」

アイリス「ゼロ…。」

ゼロ「これからもカーネルの代わりにお前を守り続けるつもりだが、この手で物を壊すことは出来ても、物をつくることは出来ないからな…。」

寂しそうに言うゼロに、アイリスはなにも言えなかった。
しかし。

アイリス「でも、ゼロはこんなに綺麗な所に連れてきてくれたわ。それだけじゃ駄目なの?」

ゼロ「?」

アイリス「あなたがいなければ、スペースコロニー事件…いえ、もっともっと前から地球も人類もレプリロイドも滅んでいたわ。だからそんな悲しいことを言わないで。」

ゼロ「そうだな…ありがとうアイリス(俺は戦闘用のレプリロイドだ、それは変えられない事実。それなら俺は、アイリスやエックス達のためにやれることをやればいい。)」

アイリス「いいのよそんな…」

ゼロ「俺は俺に出来ることをやればいい。それでいいんだな…」

アイリス「そうよ、ゼロ…あなたがいてくれるだけでも私は凄く幸せだから…帰りましょう?ゼロ」

手を差し出して来るアイリスにゼロは自身の手を重ねた。
これからも変わることなく世界は回り続けるだろう。
明日にはもしかしたら逃げ出したくなるくらい緊迫するかもしれない。
しかし、そんな中にも得られた物が沢山ある。
だから自分はそういう物のために進み続けよう。
そしてしばらくしてハンターベースから通信が入る。
ゼロは通信に耳を澄ませたが、直ぐに戦士の表情に戻る。

ゼロ「分かった。出撃する」

内容はアイリスにも予想出来る。
ゼロは鋭い視線で言うのだった。

ゼロ「すまんアイリス。イレギュラーが発生した。」

アイリス「分かっているわ、気をつけて」

この先どのような困難が待ち受けていようと、アイリスはゼロの傍に。 
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