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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第十九話 アクセルSIDE8

 
前書き
アクセルSIDEから行きます。 

 
通信音が鳴った。

エイリア『みんな、お待たせ。レッドアラートのアジトの場所が特定出来たわ。司令室に来て』

アクセル「エイリア……わかった」

短く返事をし、回線を閉じる。
手にしていたバレットの調整を終え、安全装置がかかっていることを確認する。

ルナ「……行くか?…アクセル……」

四天王への変身の慣熟訓練を終えたばかりのルナが問い掛ける。

アクセル「勿論。」

彼女には随分と世話になった。
彼女のおかげで前とは比較にならない力を手に入れることが出来たから。
2人は司令室に向かう。



































エイリア「ポイントRD18-66。そこがレッドアラートのアジトよ。…でもこれまで反応すらなかったのに急に見つかるなんて…まるで私達を誘っているみたいね」

自分の考えを率直に述べるオペレータに続き、シグナスも告げる。

シグナス「確かに何かあるかもしれないな。充分に気をつけてくれ…エックス、ゼロ、ルイン、ルナ。アクセルを頼んだぞ」

厳かな声に、エックスは力強く頷いた。

エックス「分かってる…さあ、みんな行こう。こんな争いは、早く終わらせてしまわなければ」

ルナ「いよいよクライマックスだな…腕が鳴るぜ…!!」

拳を鳴らしながら言うルナにルインは苦笑してしまう。

ルイン「もう、ルナったら、女の子なんだからそんな言葉遣いは駄目だよ?」

ルナ「…いいじゃねえかよ別に……」

言葉遣いを指摘されたルナは嫌そうに顔を顰めた。

ゼロ「今更言葉遣いを変えられても気色悪いだけだが?」

アイリス「ゼロ、女の子にそんなこと…」

ルナ「うっせーな!!」

アクセル「そう?僕はルナは今のままでいいと思うけど?」

ルナ「アクセル…俺の味方はお前だけだよ…」

戦士達はそれぞれの武器を握り締め、戦場に向かう。



































着いた先が本拠地に通じるハイウェイ、“パレスロード”。
大型機雷、高速移動メカニロイド、クラッシュローダーが進路を妨げて、序盤から激しい戦いとなる。

アクセル「容赦ないなあ、レッドは。」

ルナ「ああ、それより…」

ゼロ「何だ?」

ルナの呟きにゼロが振り返る。
因みに前衛はゼロとルイン。
中衛はルナとエックス。
後衛がアクセルとなっている。
因みにここではエイリアのナビゲートも受けることは出来ない。
理由はジャミングだ。
強いジャミングの影響で、通信機が使えなくなっているのだ。
だが、そんなことで任務はやめない。

ルナ「いや…アクセルが仲間になってから、全員で出撃したの初めてじゃね?」

ルイン「あ…言われてみればそうだね」

ルナ「やっぱ、傷ついた心を癒すには愛しい人からの愛ってか?ん?エックスく~ん?」

ゼロ「?」

アクセル「あ、それ僕も気になるな~?」

ルイン「あう…」

ニヤニヤと笑いながらエックスとルインを交互に見遣るルナとアクセル。
ルインは赤面し、エックスも俯いてしまう。

エックス「に、任務中だぞ。私語は慎んでくれ」

ルナ、アクセル「「は~い」」

ニヤニヤと笑みを浮かべたまま返事をする2人。
笑うのを止めて、アクセルはエックスに問い掛ける。

アクセル「エックス、久しぶりの大規模戦闘だけど大丈夫なの?それにパワーアップパーツは?」

エックスはグライドアーマーを装備している。
ルナ達から聞くと、ロボット工学の父とさえ言われた程のエックスの生みの親がエックスのためにアーマーを造ってくれるらしい。
エックスは苦笑しながら答えてくれた。

エックス「はは…そんな物はないよ」

アクセル「ええ!!?それじゃあ、そのアーマーでパワーアップしただけ!!?」

エックス「そうだ。でもパワーアップパーツは今の俺には必要ない。俺の強さは心の中にあるから、だから大丈夫だ」

アクセル「ふ、ふーん…」

ルイン「……」

アクセルは知らない。
エックスがどれだけの苦悩を持って、この答えを出したのかを。
エックスが何を思い、どのように戦ってきたのか、考えが及ばなかった。
だが、人の一生というものはその人にしか分からない。
親しい人や日常ですれ違う人にもそれぞれの物語がある。

ルナ「アクセル!!後ろから敵だぜ!!」

ウェントスに変身し巨大メカニロイド、モルボーラからの攻撃をかわす。

ルイン「あのメカニロイド…軍事用メカニロイドと比べても遜色はないね」

ゼロ「来るぞ!!」

モルボーラが突っ込んでくる。
狙いはアクセルだが、エックスが間に入る。

エックス「チャージショット!!」

エックスのフルチャージショットがモルボーラの突進を止める。

アクセル「あれが…エックスの力…」

ルナ「マジで強くなったなエックス。エックスのチャージショットはあんなとんでも威力じゃなかったのにな」

アクセル「そうなの?」

ルナ「ああ、グライドアーマーのパワーアップを差し引いてもな。」

真の意味で迷いを振り切ったエックスに恐れる物はもうない。

アクセル「(英雄…)」

数日前にベッドに横たわっていた彼はとても小さかった。
しかし今はどうか?
今のエックスは勇敢で気高くて、とても大きな背中をしていた。
エックスが仕掛けたのと同時に戦うゼロ、ルイン、ルナ。
たった4人でこの世界を守り続けてきた希望達。
彼等の背中はとても頼もしく、遠く見えた。
まだまだ彼等とは大きな隔たりがある。
壁を越え、彼等と肩を並べられる日はいつになるだろうか…?

エックス「アクセル!!先に行くんだ!!」

モルボーラにエクスプロージョンを喰らわせながらエックスが叫んだ。

アクセル「で、でも…」

ルイン「ここは私達が食い止めるから、ルナ、アクセルをお願い!!」

ゼロ「早く行け、お前はお前の決着をつけろ。どんな過去だろうとお前自身が乗り越えるんだ」

エックス「行くんだアクセル。君の信念に従って突き進むんだ!!」

ゼロとエックスの言葉にアクセルはハッとなる。
ルナと目配せし、2人はハイウェイを駆け抜けた。

アクセル「(待っててね、レッド…僕が止めてあげるから…)」



































クリムゾンパレスと呼ばれる宮殿にレッドはいた。
地の底には白い瘴気が漂って見えず、その場の不気味さを煽っていた。
縦、横には3つの足場。
それ以外は奈落の底への入口。

レッド「……どうした、遅かったな、待ちくたびれたぞ」

背を向けたまま、レッドは口を開いた。
足場の丁度対岸のような位置に、レッドとアクセルとルナは立っている。

アクセル「やあ、レッド。元気そうで何よりだよ」

アクセルは無邪気さと畏怖を感じさせる声で言いながらレッドを見つめた。
レッドは鋭い眼光で巨大な鎌を携え、荒々しいオーラを纏っていた。
アクセルは気づいた。
以前よりもレッドの力が増していることに。

レッド「“センセイ”のおかげでな。力が漲っているよ。…フッ、だけど、この有様だがな…」

レッドは天を仰ぐ。
仲間のため、心ならずも戦い、多くの仲間を失ってしまった。
過去を思い出せば、あいつが全ての元凶であった。

アクセル「…なるほどね…“センセイ”か……今日は一緒じゃないんだね」

若干声を低くするアクセル。

レッド「相変わらず、何処に居るのかは分からんな…。案外近くに居るんじゃないか?」

アクセル「そっか…じゃあ気をつけないとね…」

空気が、肌で感じられるほどピリピリと張り詰めていく。
そうしてレッドは振り返った。

レッド「…さて、長話してる場合じゃなかったな?そろそろ始めるとするか」

アクセル「そうだね…」

ルナ「アクセル」

アクセル「うん、ルナは下がってて」

ルナ「分かった。勝てよ」

ルナは最初の足場に戻る。
アクセルとレッドの戦士の誇りを懸けた戦いが始まる。
最初に仕掛けたのはアクセル。
アクセルの特殊武器の中で最も連射性能の高いアクアガトリングが放たれた。
凄まじい速度で放たれた水弾はレッドの肩のアーマーに裂傷を刻んだ。

レッド「ふん、ちっとはやるようになったな。今度はこちらから行くぜ!!」

鎌を振るう。
衝撃波を放つつもりだ。

アクセル「甘いよレッド!!」

衝撃波を跳躍してかわす。
ホバーを使い、次の足場へと移る。

レッド「よくかわしたな」

アクセル「!!?」

振り返るとレッドがいた。
分身である。
本体にダメージを与えることは出来ず、こちらはしっかりと攻撃を喰らう。
分身は刃を振り回し、アクセルを斬りつけた。

アクセル「痛っ…!!」

激痛に呻く。
急所でなかったのが幸いだが、長期戦になれば間違いなく影響する傷。
直ぐさま、変身能力の応用で自己修復。
傷は塞がるが受けたダメージは消えない。

レッド「どうした?そんなもんじゃないんだろう?」

アクセル「っ…当たり前じゃないか!!」

ウィンドブーメラン。
風属性のブーメランがレッドに直撃する。
レッドの低い呻きが聞こえた。
すぐに持ち直し、大鎌の嵐を繰り出す。
アクセルはホバーで射程外へと逃れ、サークルボムを構えた。

ルナ「(これがアクセル達の言葉か…)」

アクセルとレッドの戦いを見遣りながらルナは胸中で呟いた。

ルナ「(あいつらは戦いの中でしか互いの気持ちを伝えられないんだな。エックスなら力だけではいけないと言うかもしれねえ、でも力でないと伝えられないこともあるのもまた事実。全く不器用な連中共だよ……)」

アクセルはレッドの衝撃波をかわしながらレッドに肉薄する。

アクセル「(僕は迷わない。レッドを止める。それがレッドのために僕が出来ることだから!!)うおおおおお!!!!」

サークルボムが炸裂した。
爆発をまともに受けたレッドのボディが黒煙を上げた。

レッド「くっ…調子に乗るなよ!!」

勢いよく鎌が振り下ろされた。
間髪入れない攻撃ではあったがアクセルは辛うじてかわした。

アクセル「ふっ…死神の鎌か…それでどれだけのイレギュラーを倒したんだっけ?」

レッド「ふ…伊達に死神の二つ名は貰ってねえよ」

アクセル「だろうね。いつだってあんたは勝ち進んできた。」

戦いの中で、敵対しながらも互いに認めていた。
勇敢な戦士として。

アクセル「誰もあんたが負けたところなんて見たことないよね。これが始めてになるのかな?」

レッド「ふん…」

彼は鼻を鳴らし、紫の嵐を巻き起こした。
レッドが消えた瞬間、アクセルを竜巻が襲う。
風に煽られてアクセルの両足が宙に浮いた。

アクセル「うあっ…」

ブワッと吹き飛ばされた先は底無しの穴。
落ちたら死ぬ。
何とか石柱にアクセルは爪を立てて踏ん張る。

ルナ「アクセル!!」

アクセル「来ないで!!」

ルナ「っ!!」

駆け寄ろうとするルナを止め、高く飛び上がる。

アクセル「負けるもんか……僕は負けない、あんたのためにも!!」

ギガランチャーを構えて突撃する。
レッドも大鎌を構えて突撃した。

アクセル「やあああああ!!」

レッド「うおおおおおお!!」

ルナ「アクセルーーーーッ!!!!」

一閃---戦士の光が交錯した。

 
 

 
後書き
レッド戦終了。 
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