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銀河転生伝説 ~新たなる星々~

作者:使徒
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第31話 第三次グリニア星域会戦


宇宙暦818年/帝国暦509年5月27日。
ルフェール宇宙艦隊は、第一艦隊司令官マイト・アルベイン大将を総司令官とした主力部隊をグリニア星域に向け進発させた。

ルフェール軍主力の陣容は、第一、第二、第四、第六の4個艦隊47000隻である。
この内、第四、第六艦隊はミンディア星域会戦で壊滅したのを再建した艦隊であるが、両艦隊とも10000隻と通常よりもやや少ない。

第四艦隊司令官はロイド・ジーグ中将、第六艦隊司令官はカルスール・ミクロン中将であり、両名とも第二次グリニア星域会戦での奮戦を評価されて昇進の後、艦隊司令官を任されていた。

また、これに先駆けてマリク・バーバラ中将指揮下の第十三艦隊13000隻がグリニア星域へと向かっている。
彼らの任務は、先に星域内に潜み両軍が戦闘を開始した後、帝国軍の側面もしくは後背を突いて奇襲を掛けることにある。

この他に、ルフェール軍は第三、第五、第七の3個艦隊を別動隊として、それぞれ個別にアルノーラ、ハーラン、ゼデルニアを襲撃する。

この作戦において、ルフェールが動員した艦艇は約10万隻。
これだけの数を動員した以上、ルフェールとしては是が非でも負けられない作戦であった。


対して、グリニア星域へ迎撃に向かう銀河帝国軍はワーレン、ホルツバウアー、シュナイダーの3個艦隊42000隻。
また、ルフェール軍へ奇襲を掛ける為にクルーゼンシュテルン艦隊14500隻が先行してグリニア星域へと向かいつつあった………。


* * *


――宇宙暦818年/帝国暦509年 6月13日――

グリニア星域において、妙な事態が発生。
先行していたルフェール第十三艦隊とクルーゼンシュテルン艦隊が鉢合わせしてしまったのである。

両艦隊はなし崩し的に戦闘を開始し、ここに第三次グリニア星域会戦の幕が開けた。

・・・・・

戦況は、数において勝るクルーゼンシュテルン艦隊がやや優勢に進めており、そこへ帝国、ルフェール両軍の主力が到着。
真の意味で、両軍は戦闘を開始する。

戦力は、ルフェール軍47000隻(+13000隻)、帝国軍42000隻(+14500隻)と僅かにルフェール軍が上回っていたが、ワーレンは巧みな戦術を展開して数においての劣勢を埋めていた。

この状況に、ルフェール主力部隊総司令官のマイト・アルベイン大将は頭を抱える。

彼は5000隻の兵力差を生かした攻勢によって圧力を掛け、帝国軍が防戦一方になった頃を見計らって第十三艦隊に援軍を送り敵別動隊を撃破。
しかる後に、正面の敵本体を叩き潰す算段であった。

しかし、戦況が互角である以上送れる援軍の規模は限られるため、良くて敵別動隊を一時的に後退させるのが関の山である。
だからと言って、現状のまま放置するのも悪手であった。

「ううむ……不味いな」

思考が漏れての言葉であったが、それに参謀長が異を唱えた。

「はっ? 現在敵との戦闘は互角かと思いますが」

「貴官にはそう見えるか?」

「敵は数の劣勢を戦術と艦隊運動でカバーしていますが、それとて無限ではありますまい。その事を加味すると、寧ろ我が軍が優勢と思っておりましたが……」

「確かに、本体同士の戦闘は今のところ互角。だが、別動隊の方は帝国軍が優勢に進めている。第十三艦隊が押し切られ、敵別動隊に側面を突かれれば……我々は窮地に陥る」

「!!」

参謀長の顔が驚愕に染まる。

「こちらの戦況だけであれば、貴官の言も尤もなのだが……下手な欲は掻かん方が賢明か。第二艦隊司令官、モンド中将を出してくれ」

しばらくして、スクリーンにモンド中将の姿が映し出された。

「モンド中将。貴官には艦隊の半数6000隻を率いて第十三艦隊の援護に向かってもらう」

『はっ、了解しました。しかし、残りの半数は………』

「残りは貴官らがこちらの戦列に戻るまで第一艦隊の指揮下に置く。心配は無用だ」

モルド中将率いる6000隻の艦艇がルフェール軍本体より離脱する。

無論、その隙を見逃すワーレンではなかった。

「先にクルーンシュテルン艦隊を片付ける腹か。だが、あの程度であれば、後退は免れんにせよ全滅することは無いだろう。ならば、今のうちに敵本体を叩くぞ!」

ここが勝負時と見て攻勢に出たワーレンは、第一艦隊の各所に穴を穿ち、その中で最も大きな3つの穴へ戦力を集中投入して一気に第一艦隊を食い破ろうとする。

が、アルベインもさるもの。
ワーレン艦隊が攻勢に出た時の一瞬の陣形の乱れを的確に突いて逆撃をかけてワーレン艦隊の突出を封じる事に成功した。

両軍の間に膠着状態が生まれるが、ここへクルーゼンシュルン艦隊を撃退した第二、第十三艦隊が戻ってくる。

「ここまでだな……全軍、敵を牽制しつつ後退。クルーゼンシュテルン艦隊と合流するぞ」

第二、第十三艦隊が向かって来るのを見て、ここが引き時だと判断したワーレンは即座に後退命令を出す。

「追撃は無用だ。第二、第十三両艦隊との合流を優先せよ」

また、アルベインも帝国軍の一糸乱れぬ整然とした後退行動と、自軍の艦列の乱れから追撃には大きなリスクを伴うと判断。

両軍とも、別動隊との合流と艦隊の再編を図った。

・・・・・

ルフェール、銀河帝国双方の主力部隊が艦隊の再編を行っている頃、ルフェール軍の別動隊3個艦隊はそれぞれの場所で銀河帝国軍の襲撃を受けていた。

第三艦隊は旧アルノーラ領トレーダ星域でバイエルライン艦隊の。
第五艦隊は旧ハーラン領オンデット星域でディッタースドルフ艦隊の。
第七艦隊は旧ゼデルニア領ワイオメイヌ星域でグリューネマン艦隊の。

これは、この作戦がルフェールの内通者により銀河帝国へリークされていた為で、銀河帝国は密かに3個艦隊を派遣して裏の裏をかくことにしたのである。

その狙いは当たり、どれも完璧な奇襲となったことでルフェール軍別動隊の被害は甚大であった。


* * *


――宇宙暦818年/帝国暦509年 6月14日 グリニア星域――


再編を終えた両軍は、再度の戦闘に入っていた。

もっとも、別動隊の回収を終えた両軍としては、ルフェール側はこの作戦における目的はあくまで囮であり無理に勝利する必要はなく(政府からは勝利するよう命じられていたが、アルベインは無視する気満々であった)、帝国側としてもこの戦いは防衛戦のため、この状況で積極的に仕掛ける意思は無かった。

ダラダラと砲撃戦が続くこと14時間。
ここで、ルフェール第三、第五、第七艦隊の壊滅……つまり作戦失敗の報が入ってきたことが、この会戦に終止符を打つ切っ掛けとなった。

ルフェール軍別動隊の被害は、第五艦隊、第七艦隊が司令官戦死の上艦艇のおよそ6割を失い、最も軽微であった第三艦隊でさえ4割近くを失うというものであった。

ここに至って、もはやルフェール軍主力に戦闘を継続する意味は失われる。
ルフェールの現政権は作戦の失敗を挽回するため戦闘の継続を望んだかもしれないが、アルベインは選挙の為だけに部下たちが無意味な血を流すことを嫌い、確認が取れると即座に撤退を開始。
第三次グリニア星域会戦は終了した。


この会戦による損害は、

ルフェール軍8275隻。
帝国軍8140隻。

とほぼ互角であった。

が、作戦全体としては、ルフェール軍の大敗北であった。
 
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