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Angel Beats! the after story

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それぞれのクリスマスゆりっぺ×野田の場合

 
前書き
3作品のどれを読むかはお任せします。
音無!日向!ゆりっぺ!のクリスマスを好きな順序で見てください。 

 
普通クリスマスって恋人とか家族とかで過ごすものなのよね。でも、なぜか私は野田くんと保育園でするクリスマス会のお手伝いをしている。受験生なのにこんなことしてていいのかしら?まぁ、気分転換と考えればこれはこれで悪くないのかも。あいつとクリスマスを過ごせると考えてもね。

そしてこうなった事の発端は……。

『ゆりっぺちゃん!今度のクリスマスクリスマス会のお手伝いしてくれないかしら?』

園長先生のお願いを無下にできなく本音よりも建前が勝ってしまったわ。
了承したら追加注文で『力仕事できる友達いないかしら?』ときた。

力仕事ね。かなでは論外だとして、音無くんは……確かかなでと出かけるって言ってたし(リア充爆破しろ!)日向くんは……ユイと過ごすって言ってるし(リア充爆ぜろ!)と考えるとリア充じゃないTKか野田くんかしら?

とまぁこういう具合に野田くんが力仕事をすることになったんだけど。べ、別に野田くんとクリスマス過ごしたいとかないし!ありえないし!ただTKだと園児のみんなが怖がっちゃうから!そうよ!って誰に言い訳してるんだろ私……?

「ゆりっぺぇぇ!ツリーを設置したぞ〜!」

こんな寒い時期なのに暑苦しいほど声を張るバカ。意外に先生たちからはすぐに仲良くなったのよね。まぁ……最初があれだったからかもしれないけど。

『これってゆりっぺちゃんの彼氏なの!』『ゆりっぺちゃんも隅に置けないわね』『若いっていいわね』

こんな勘違いのせいで私も野田くんも弄られましたとさ。野田くんはまだ女性への耐性がなくって顔真っ赤だったけど!あ〜今思い出すだけでイライラしてくる。

「ありがとう。飾り付けはこっちでするから、教室にいる子供達と遊んできてくれる?」

「なんだと!俺は、俺はゆりっぺと飾り付けをしたいぞ!」

こういうことを素で言うのがすごいわね。

「これは野田くんにしかできないの。お願い野田くん」

手を合わせて上目遣いでお願いする。

「ゆりっぺ……達者でな!」

大袈裟な言葉を残して野田くんは子供達がいる教室に消えていった。

「良い彼氏もったね。ゆりっぺちゃん」

「だから彼氏じゃないですよ。園長先生」
優しい顔つきをしている園長先生は若いわね〜と言いながら、飾り付けを始める。
飾り付けの際中も何度も茶化されたけど、無事に終わり、野田くんがいる教室に行く。もしかして子供達を怖がらせてないかしら?目つき悪いから。

「うん。早く行かなきゃ」



どうしてこうなったの?



教室のドアを開けると野田くんが園児たちに囲まれて右肩に1人、左肩にも1人、背中に2人、両手に1人づつ足にも以下略。
つまり、大人気だった。まるでミニふなっしー襲来みたいな状況だった。

「あっ!ゆりお姉ちゃんだ!」

私に気づいたらしく、野田くんの所にいた子供の数人がこっちに来た。

「みんなに聞きたいんだけど、どうしてあそこのお兄さん大人気なの?」

数人の子供達が頭を捻りながらも答えが出たらしい。

「「「バカだから!!!」」」

「うん!素直でよろしい」

こういう嘘をつかない所が子供の良い所よね。
まぁ、結論からいうと野田くんの精神年齢は保育園児並ってことかしら。道理で大人気な訳ね。

「ゆ、ゆりっぺ、た、助けてくれ」
今にも潰れそうな野田くんを助けるべく、野田くんにくっついてる子を一人一人離していく。

ボロボロになっても怒らないのは子供が好きなのかしら。一応、救出し終わって。

「助かったゆりっぺ。危うく潰されるところだったぞ」

「よかったじゃない大人気で」

先生たちの準備が終わるまで2人で子供達の相手をする。

普段は1人で相手をしていた分、今は野田くんもいるから相当楽になってる。近くで見ると野田くんはすごく幸せそうな笑顔を子供達に見せながら遊び相手をしている。良いお父さんになるなぁ〜。って!あれよ、別に私の夫とか、そ、そういうこと考えてる訳じゃないから!

「ゆりお姉ちゃん顔真っ赤」

う〜。どうやら子供にも分かるぐらい顔が赤くなってるなんて……。

「おいゆりっぺ!顔が赤いぞ!風邪か!風邪なのか!」
今、あんたが近づくと……。もっと、赤くなるじゃない!もうバカ!

「ゆりちゃん、野田くん、準備できたから子供達を教室に……ってお邪魔だったかしら」

野田くんが私の肩に手を置いている。他から見ればキスをする寸前みたいな状況に……。

「違うんです!違うんです!そうじゃないんです!誤解です!」

「俺は誤解でも構わん!」

「うっさい!バカ!」

あ〜なんでこうなるの〜〜〜!!!





クリスマス会は大したハプニングも無く順調に進み、苦労した甲斐あって、みんな楽しんでくれた。

子供達を親御さんに返した後。後片付けをする私と野田くん。

「ゆりっぺはこういう手伝いを何回もやってるのか?」

「そうね。数年前からずっとこの保育園を手伝ってるわ」

そうか、と野田くんは呟いた後。
「決めたぞ。ゆりっぺ。俺も手伝う!」

「何いってるのよ。あんた!?勉強の方があるでしょ」

「心配するな。みんなのおかげで成績は右肩上がりだ。それに、借りは作らない主義だ!」

ほんと、こういうところだけは男気出すわよね。

「どうせあんたのことだから。やるなって言ってもやるんでしょ。なら、勉強を疎かにしないなら許可してあげる」

「約束する。ゆりっぺ」

ちょうどよく、先生が教室に入ってきて帰っていいと言われてお言葉に甘えて帰ることにした。

帰る間際、園長先生に親指を立てられて、なぜか疲れが押し寄せてきた。

お互い沈黙の中、歩いていると野田くんが急に止まる。

「ゆ、ゆゆゆゆりっぺ!話がある」

体をガチガチに固めている野田くん」

「どうしたの?改まって?」
野田くんはポケットに手を入れ、一つの箱を取り出した。

「メ、メメメメリークリスマスゆりっぺ」

その箱を渡される。小物かしら?

「開けてもいい?」
首を縦に振る野田くん。

綺麗に包装された箱を受け取り中を確認する。

「これってブレスレット?」

「ああ。今日のために一生懸命考えたんだ」

野田くんが渡してくれたのはピンク色の数珠に薔薇の装飾が可愛く施されているものだった。

「ありがとう野田くん。とても、とても嬉しい。でも、なんで薔薇なの?」

刺々しいとかだったら即排除。

「それはだな……。薔薇の花言葉知っているかゆりっぺ?」

「教えてくれると助かるわ」

少しの沈黙の後。野田くんは口を開いた。

「薔薇の花言葉は『あなたを愛しています』だ」

私に好意を寄せているのは誰が見ても分かるくらい。でも、改めてこう言われると、なんだろう、とても嬉しい。

「告白かしら?」

「そう受け取ってくれて構わない」

そう、と一言残す。

でもね、野田くん。私は……。

「私だけがこういうことをされるのを弟、妹たちは許してくれると思う?長女の私がもっとしっかりしてれば、あの子たちはきっと、今の私のように告白されたり、したり、していたかもしれないのよ。たまたま死後の世界から生きている世界に転生できた私に幸せになる権利なんてないのよ。私は……ほんと、ダメな長女よね」

目から涙が溢れ出してくる。こんな楽しいクリスマスなのに……。

「そんなことはないぞ。ゆりっぺ」
肩に手を置く、野田くんを見る。

「ゆりっぺは死後の世界で誰よりも自分の十字架を背負ってきた。誰よりも悔やんでいただろ?1人本部で……。ずっとドアの向こう側で歯痒い思いをしていたよ。何か、できることはないかって。でも、俺は頭が良くない。だから、精神的ではなく物理的にゆりっぺを守ろうと誓ったよ」

「違うわ。私は神以前に私自身を殺したかった。でも、それが叶わない世界。だから、少しでも楽になるように自己中心的に人を集めた。それだけよ」

「でも、俺はそんなゆりっぺの自己中心的なおかげで救われた。だから、他の誰かが許さないとしても、俺だけはゆりっぺを許す。それに、ゆりっぺは十分よくやった!それは俺だけじゃない、戦線のみんなが知っている!だから、答えてくれ」

野田くんは大きく深呼吸をし、意を決して言う。

「ゆりっぺぇぇぇ!!!俺と付き合ってくれぇぇぇ!!!!」

相変わらずうるさいわね。でも、こういうところを私は………。

「はい!お願いします!」






「そうそう、野田くん。さっきはOKしたけど、ちゃんと付き合うには私と同じ大学に入りなさいよ。そうしなきゃ付き合わないから。ということで、野田くんが私と同じ大学に入るまでは友達以上恋人未満の関係よ。OK?」

「分かった!全力で勉強してやる!」

「その意気よ。がんばってちょうだい」

死後の世界じゃ想像がつかなかったけど、失って始めてそのものの大切さを知るのね。それを教えてくれた機会をくれた音無くんには感謝しなきゃ。

「見て野田くん。雪よ!」

白銀に輝く結晶が次々と降り注いでくる。本当今日は過去最高のクリスマスね。

「綺麗だな。でも、ゆりっぺの方が断然綺麗だ」

「…………。そういうのはいいから」

決まった、という顔をしていた野田くんはたちまち凹んでいた。

はぁ〜。しょうがないわね。

「野田くん。手、繋ぎましょ」

「お、おおおお!!!」

歓喜の声をあげている野田くんは目から涙を溢れ出していた。大袈裟なやつ。
手を握り合い、お互いの家に向かう。

『お姉ちゃん。よかったね』

『お姉ちゃん。幸せにね』

『お姉ちゃん。僕たちの分も幸せになってね』



『『『お姉ちゃん!本当にありがとう!』』』


暗い夜道の中、そんな懐かしい声が聞こえた。

それはクリスマスの夜の奇跡かしら。たまには神様も良いことするわね。

(お姉ちゃん、きっとこの人と幸せになるわ)

私の強い思いは雪のように心の中に溶けていった。
 
 

 
後書き
どうも騎士見習いです!これを最後に読んでる方は多いと思いますね。
ついに!条件付きですが野田くんとゆりっぺが!!!ものすご〜く伸ばしたかったんですけど、もうくっついちまえと思いました。すんませんした!
ですが、このクリスマスを境にみんなはまた、新たな発見があったのでしょう。
ここで次回は新!とだけ言っときます。
では、あらためまして、これからもがんばっていきたいと思いますので皆様の応援よろしくお願いします。
(意見・感想・評価お待ちしてます)


 
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