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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第六十七話

 
前書き
かなり展開が無理やり…かもしれません;;

文章力が欲しい…(´・ω・`)


 

 




──世界樹の木刀が砕け、メリアが倒れた後…僕達は倒れたメリアを背負い、バンエルティア号へと戻ってきた。
バンエルティア号に戻った僕達が甲板で見たものは…確かに世界樹の周りに展開された封印次元、その封印次元から抗うように裂け目から現れたジルディアのキバ。そして……そのジルディアのキバに貫かれた世界樹の痛々しい姿であった。





─────────────────────



「──それで…メリアの容態は…?」



──バンエルティア号の医務室。ベッドの上で未だに青白い顔色で呼吸のないメリアの姿に、僕はニアタに向けてそう聞いた。
ニアタはメリアの状態を見て静かに言葉を出した。


「…恐らく、メリアは世界樹と同じ痛みを身体に受けたのだろう。世界樹とディセンダーは一心同体であるからな」


「ふむ…だから世界樹から生み出された衛司の木刀もその痛みを受けて砕けた、ということか」


ニアタの言葉を聞き、腕を組んでメリアを見ていたウンディーネが僕を見てそう言った。僕はその言葉に思わず、持ち手の柄部分だけになった木刀を握り締める。


「…まさか、封印次元の力が及ばなかったなんて…」


「世界樹自体の衰えもあるかもしれないわね。…私達が一歩、遅かったのよ」


メリアの容態を見たリタが舌打ち混じりにそう呟き、ハロルドがそれに続けて言葉を出した。
ふと、その時だった…。


──ボゥッ…パキパキッ


『『『!?』』』


突如、僕達の耳に聞こえてきた嫌な音に見ると、倒れているメリアの身体から赤い煙が現れだし、その身体からあのジルディアの浸食…『結晶化』が起こり出した。


「なっ…どうして…っ!?」


「世界樹を通して彼女に浸食しているのだ!このままでは…っ!」


「そんなこと…させない…っ!」


メリアの身体に起こり出した浸食にカノンノが前に出て手を伸ばし、ディセンダーの力を使ってメリアの身体の浸食を消そうとする。
だが…浸食の進行は止まらない。


「そんな…浸食が止まらないっ!?足りない…メリアっ!」


「っ…カノンノ…!」 


「私が…私が助けないと…メリアが…っ!」


浸食が止まらず、焦りの表情を見せるカノンノ。そのカノンノの様子に僕は一度カノンノを止めようとするが、カノンノは依然そのまま浸食を止めようとディセンダーの力を使い続ける。


「…カノンノ、一旦落ち着いてっ!」


「っ!…衛司…私…」


依然力を使い続けるカノンノに僕はカノンノの手を掴み止める。僕の行動にカノンノは一度ディセンダーの力を止めるが、その表情は明らかに焦っていた。
僕は一度カノンノを落ち着かせようとそっとカノンノの頭を撫でた。


「カノンノ…一旦落ち着いて。ここでカノンノが倒れたら本当にメリアは助けられなくなる。きっと…何か手があるはずだ…っ」


「衛司…っ」


「…手ならあるわ」


カノンノの頭を撫で、落ち着いてきたのが分かると僕はカノンノに、そして自分に言い聞かせるように言葉を出す。その中、リタが何か思いついたように声を出した。
リタは僕達の視線が集まったのを見るとそのまま静かに口を開いた。


「簡単な事よ…カノンノ『一人』じゃない…『皆』でやるのよっ!」





──────────────────────




──リタの『手』…それは実に単純な事。
リタ達が完成させた『手を繋ぐ』ことによる『ディセンダーの力』の転写。
それを利用してこのアドリビトムにいる皆にディセンダーの力を転写させ、皆の力でメリアの浸食を浄化する、というものだった。
今、その説明を受けてこの医務室に居たニアタ、リタ、ハロルド、ヴォルト、ウンディーネ、アンジュがディセンダーの力を皆に転写する為に出て行った。
…本来ならば僕もそれを手伝うべきなのだが…。


「──『アンタじゃ無理』…か…」


目の前でジルディアの浸食が徐々に、徐々にと進んでいくメリアの姿を見ながら、僕は先程医務室を出ていったリタに言われた一言を呟いた。
本来なら僕も手伝うべきであるドクメントの転写。だけど…僕のドクメントの状態が状態である為、いくら転写を簡単にして影響を幾分か減らしたとはいえ…僕のドクメントにどのような影響を及ぼすかは分からない。
だから…僕はディセンダーの力の転写を手伝う事が出来なかった。
世界樹の木刀があれば少なからずとも、メリアの浄化を手伝う事ができるのだが…今はその木刀も砕け、僕に出来ることは…何もなかった。



「…くそっ…いつも僕は…肝心な時に何もできない…っ」


「そんなことないよ、衛司っ!」



目の前で浸食の進むメリアの姿に、自分だけが何もできない不甲斐なさに思わず言葉を漏らすと、カノンノがそう言って僕の手に触れた。


「カノンノ…」


「衛司が何もできなかった時なんてない。衛司はいつだって私達が困ってる時や辛い時に手を伸ばして支えてくれた。だから…そんな事言わないで。きっとここにいるだけでも…メリアにとっては十分だと思うよ」


「…っ…そう、かな。…ごめん、カノンノ」


カノンノの行動に僕はカノンノを見ると、カノンノはそう言いながら触れていた僕の手をそっと上から握ってきた。
僕はその言葉に小さく頷いて、メリアの方へと向き直った。


「…メリア…今、君がどうなっているかは分からないけど…きっと目を覚ましてくれるって信じてる。だから…早く目を覚まさないと…もう頭撫でてあげないからね」


浸食が徐々に進みながらも未だ表情も変わらず眠るメリアを見て、僕はカノンノに握られている手とは逆の手でそっとメリアの額を撫でてそう言った。
僕の言葉が今の彼女に届いているかは分からないけど…多分、今の僕に出来るのはこんな事ぐらいだろうから。
ただ…ほんの少し、メリアの眉が動いた気がした。







──────────────────────




「──こっち、準備オーケーよ」


「うん…私も大丈夫」


──あれから数分後、リタとヴォルトがアドリビトムの皆にドクメントの転写が終わった、と医務室に戻ってきた。
今は皆、船の中のそれぞれの場所からメリアにディセンダーの力を使う準備をしていて、リタの合図で皆一斉にディセンダーの力を発動するらしく、今カノンノ、リタ、ヴォルトがメリアに手を向けている。


「皆…メリアを…頼むっ!」


「言われなくても分かってるわよ…それじゃ、皆…始めるわよっ!」


「「はいっ!」」



僕の言葉にリタは頷いて言うとカノンノとヴォルト、そして片手に持つ通信機らしきものから皆へディセンダーの力の発動を促す。
リタの言葉を合図にするようにカノンノ達の手から光が溢れ出し、メリアの中へと入っていく。その光はカノンノ達の手のみからではなく、外で手伝ってくれているであろう皆からも放たれているのか、光が医務室の外から中へと壁を通り抜けて入ってくる。


「凄い…この力の量なら…っ!」


「っ!駄目…っ!」


アドリビトムの皆によるディセンダーの力で、浸食が進んでいたメリアの身体の結晶が消えていき、ひとまず安心しかけた瞬間…それはリタの言葉で変わった。
消えていった筈の浸食が…まるで最後の抵抗を見せるかのように凄まじい勢いで再びメリアの身体を浸食し出したのだった。


「嘘…なんで…っ!?」


「まさか…まだ足りないっていうのっ!?こっちはアドリビトム総員だっていうのにっ!!」


「っ…このままでは…ディセンダーが…っ!」


突如目の前で起こった事にカノンノとヴォルトだけではなく、リタまでも驚きと焦りを隠せずにいた。
だがそれでもジルディアの浸食が速度を上げてメリアの身体を結晶化していく。
どうすれば…どうすれば……っ!

──いや、手はまだある。だけど…それは…


「っ!そんなの…関係あるかっ!」


深く考えるよりも僕の行動は早かった。
今、メリアを失えば、ルミナシアは終わってしまう。いや、それも僕にとってはおまけみたいなものであり、僕は『大切』な彼女そのものを失ってしまうのがいやなのだ。
だから…彼女を救える手があるのなら僕はなにがあろうとその手を使って彼女を助けるだろう。
そう、例え───



「ぐっ…ぁあぁぁっ!」



「え、衛司っ!?」


──例え、僕がどうなってしまおうと。
僕はディセンダーの力を発動しているカノンノの右手を左手で握り、自分の身体にディセンダーの力のドクメントの転写をさせる。突然の事にカノンノも対応出来なかったのか、今僕の身体の中で何かが刻み込まれるような感覚と痛みが走る。
今まで見てきたカノンノ達のドクメント転写は大丈夫そうだったけど…やはりこれも僕自身のドクメントの状態が問題なんだろう。


「主…何を…っ!カノンノ、一度ディセンダーの力を…っ!」


「ぐっ…いいんだ、ヴォルトっ!カノンノ…このまま…続けて…っ!」


「衛司…でも…っ!」


僕の行動にヴォルトがカノンノに止めるように促すが、僕はカノンノの手を痛みを堪えつつ握りディセンダーの力の使用と転写を続けるように言う。


「アンタ分かってるのっ!?それ以上やったらアンタの身体が…」


「僕がどうなるかは分からない…だけど…ここでメリアを失うのなんて嫌だっ!それに…大切な女の子一人救えないで…世界なんて救えないよ…っ!」


「…っ!アンタ…」


「…そう、だね…衛司っ!皆一緒に…メリアを助けようっ!」


僕の行動にリタが声を上げるが、僕はそれでもリタを一度見てそう言葉を出すと、痛みを耐えながら握っていない右手をゆっくりとメリアに向ける。
僕の言葉にカノンノは意識を切り替えるように首を横に振った後大きく頷いてそう言い、真っ直ぐとメリアに視線を向けた。


「…分かった…無茶しないでよ…っ!」


「主…助けましょう…皆でっ!」



「っ…うん…っ!メリア…絶対に助ける…だから…目を…覚ましてくれえぇえぇぇぇっ!」



僕とカノンノの行動にリタも諦めたように、それでいて決心したような表情で言い、ヴォルトも頷きながら言葉を出した。
徐々に痛みは増してくる。だけど、ここで諦める訳にはいかない。僕はただただ強く、彼女が目を覚ます事を想いながらメリアに向けて転写されたディセンダーの力を発動させた。

そして…より一層強い光が、部屋の中を包み込んだ。





──────────────────────




──暫くして、光が徐々に小さくなり視界が分かってきた。
光が消えた今…僕達の目の前で眠るメリアの姿は、先程までのジルディアの浸食で結晶化したものではなく、今まで見た彼女のちゃんとした姿だった。
成功…したのか…?


「──…ん……ぅん…っ」



「っ!メリア…!」


目を閉じていたメリアが声を出したのを聞き、僕達はメリアに駆け寄る。メリアはゆっくりと上半身を起こすと少し目をこすりながら口を開いた。


「…カノンノ…衛司…それにリタとヴォルト…?」


「うん…うんっ!目が覚めたんだね、メリア!」


「ん…暗い中…皆の声…聞こえた…から…」


メリアの様子にカノンノは頷いて、彼女が目を覚ました事を心から喜ぶようにメリアを抱き締めた。
メリアは少し驚いた様子を見せた後、一度僕達を見回してそう言った。

でも…本当に良かった…彼女が目を覚まして…。
心から安心した……その時だった。


「…っ!か…はぁ…っ!?」


「…ある─っ!?」


突然、何か言葉では言い表せない苦しみが胸元に現れだし、僕は思わず口元を抑えて片膝をつく。
僕の様子に気付いたヴォルトが声を上げた気がしたけど…上手く聞き取れなかった。


「かは…っ!…ぁ…くぁ…っ!?」


「え──っ!?ど──たの!?─いじっ!?」


「ちょ──、しっ─りし─っ!」



呼吸が徐々に上手く出来なくなり、ついには片膝で身体を支えられず僕はその場に倒れ込む。
頭元から誰かの声が聞こえるが…それもじょじょにだれのこえかわからなくなる。



──そして…ぼくのいしきはかんぜんになくなった。



 
 

 
後書き


──以上、第六十七話、如何だったでしょうか?

…なんか急展開で本当に申し訳ない;;


【アドリビトムのディセンダーの力の転写】
分かる人には分かる漫画版の手繋ぎイベントです←
ただあのシーン、文章にするとかなり長くなりめんどくs──ゲフンゲフン←
という訳でこんな短くなりました、すみません←
前回言った少しオリジナルとは衛司君が倒れる事だったのだーっ!←←←


【衛司の行動、メリアの復活、そして…】
メリアは無事復活しましたが、遂に衛司君のドクメントに限界が近付いてきました。
仕方ないと言えば仕方ないんですが…自分で書いといてアレですが、本当に自己犠牲型だなこの主人公←



次回は衛司の状態についてと最終決戦に向けて色々…になりますかね。
皆様良ければ感想、ご意見等宜しくお願いします+

それでは皆様、また次回+ 
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