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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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敵or味方

<ラダトーム>

「「「プランB?」」」
オルテガ・アルル・ルビスが声を揃えて聞き返す。
「また適当な事を…」
実の息子は辟易と言い返す。

「そう…きっと上手く行かないと思ってたから、僕なりの解決方法を考えておいたんだ!」
爽やかな笑顔でサムズアップするリュカ。
「いくらリュカの頼みでも、この件に関しては口出しはさせん!余計な事を言うでないぞ!」
しかしラルス1世はご立腹で、リュカのみだけでなくアルル達へまで圧力をかけてくる。

「あ゙…口出しぃ~?………ビアンカ、マリー…」
ラルス1世の横柄な言葉を聞き、極端に不機嫌な顔で国王を睨み付けると、妻と娘に合図を送る。
「メラミ!」「イオラ!」
するとビアンカはリュカから向かって左側の壁に向け、一般人のメラゾーマに値するメラミを放ち、壁に掛けられていた高価そうな絵画やカーテン類を消滅させた。
マリーの方もビアンカの逆…リュカから向かって右側の壁に向け、一般人のイオナズンクラスのイオラを放ち、頑丈そうな石壁に大穴を開け風通しを良くする。
一応断っておくが、人の居ない場所を狙ったので、死傷者は0ですよ。

「一つ聞く…ラダトーム国王、お前は僕の親友であるオルテガの敵か?」
妻と娘にトンデモない魔力を見せつけさせ、自身はドラゴンの杖をラルス1世の鼻っ面に突き付け、激しく威圧しながら問いつめる。
「自らの命も省みず、世界の危機を救う為、単身旅立ったオルテガに対し、責任問題を持ち出して、彼の自由意志を奪うのであれば、キサマは僕の敵と見なす!」

妻と娘が見せつけた魔法の影響もさることながら、リュカの恐ろしいまでの迫力にラルス1世は恐怖する。
「ま、まぁ待て………べ、別にオルテガの自由意志を奪うつもりなどない…ただ、娘を孕ませたのだから、責任を取って…ぐは!」
リュカを宥める様に話すラルス1世…
だがそんなラルス1世の胸ぐらを掴み、軽々と片腕で持ち上げ更なる脅しをかけるリュカ。

「理解して無いようだから教えてやる。キサマらが国家の威信と総力をかけても倒せなかった大魔王を倒したのは、今此処にいる僕等なんだぞ!キサマら国家より強い僕等が、何故キサマらに従わねばならないんだ?キサマら全員を殺して、僕等で新たなる国家を創り上げたっていいんだぞ!精霊神ルビスは僕等の味方だし、敵対するキサマらなんぞ物の数ではないのだから…」
無論リュカがそんなめんどくさい事を自ら行う訳はない。
家族等はそれを熟知しているのだが、他の者には分からない事…
ラダトーム王家や国家にとって、これ程怒らせると恐ろしい存在は他にいないのだ。

「わ、分かった!ワシ等はお前等の敵ではない!ほ、本当だ…信じてくれ!!」
リュカに片腕で2メートルほど持ち上げられているラルス1世は、足をバタつかせながら必死に敵対心の無い事をアピールする。
「ほう………言っておくが、中立も敵と見なすぞ…」
普段は優しい声なのに、この時のリュカの声は、腹の底へ響く恐ろしく重い声だった…

「み、味方だとも!オルテガを始め、お前等皆ラダトーム王家とは味方だ!」
ラルス1世の言葉に、周囲にいた家臣達も無言で一斉に頷いた…激しく何度も!
「う、生まれ来るワシの孫の父親として、ラダトームで暮らしてくれれば文句はない!そ、そうだろローリア!?」
「はい、お父様!私はオルテガ様がお側に居て下されば、他に何も望みません!」
大好きなオルテガと何時でも会える状態に、国家も王家も考えていないローリアは大満足な様子。

そんな国王親子を確認したリュカは、周囲で固まる家臣等を一瞥し、ラルス1世を投げ捨てると踵を返してアルル等の下へ戻って行く。
「どうよ…納得させたゼ!ワイルドだろ~」
妻と娘を伴って、ドヤ顔のリュカ。
「何が『プランB』ですか…脅しただけじゃないですか!」
お疲れ顔のティミーがつっこむと…

「プランBの『B』は『暴力に訴える!』の『B』だ!」
「………か、母さんもマリーも、あんまり父さんの馬鹿な行動に付き合わないでくださいよ!」
「あらティミー…馬鹿だけど正しいわよ」
「そうよお兄ちゃん!極めつけの馬鹿だけど、お父さんは正しいのよ!」
母と妹の言葉に、ガックリと項垂れ俯くティミー…
「…ふふ…ふふふ…あはははは!」
しかしながら肩を振るわせて笑い出す!

気が付けばアルルやオルテガ…カンダタまでもが笑い出し、世界を救った勇者パーティー全員で大笑いしていた。
それを見て引きつった笑いをするのは王家と家臣達…
しかし先程のリュカが相当怖かったらしく、低姿勢で話しかけてくるラルス1世。
「あ、あのー…世界が平和になった事だし…国を挙げての祝賀会を催そうかと…思ってるんだけど…どう?」

「祝賀会ぃ~………」
一気に不機嫌な顔になったのはリュカ…
「う、宴を提案して不機嫌になられたのは初めてだ!」
流石のラルス1世もリュカの態度に驚きを隠せない。

「だって…大丈夫なの?飲み物に睡眠薬を入れたりとか…嫁を攫ったりとか…そう言うのしない?」
「な、何を基準にそう言う事を言ってくるのか解らんが、そんな事をする訳がなかろうに!お前は今までどんな宴を経験してきたんだ!?」
今この世界で、リュカ達に危害を加える者など居はしない。
世界を創造した神ですら、恐れている男に対して、不埒な企てを立てる者は皆無である。




当初は皆が脅えながらの宴開始だったが、酒が入れば気分も変わる…
世界に平和が訪れた事に皆が喜び、勇者達に心から感謝し始める。
ラダトームの城下町でも、彼方此方で人々が祝いだし、その輪は町中に広がりきる。

宴の中心とも言うべきラダトーム城はもの凄い盛り上がりで、軍の音楽隊を押し退けてとある男が歌を披露しているのだ!
あの男の事だけどね………



 
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