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チームは5人? いえ6人です!

作者:黒昼白夜
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第5話 レスティアはどこで暗躍だ

このアレイシア精霊学院内で男として住むのに、自分で小屋を作るというのも、ひとつの手ではあるが、寮の中ですごせるのなら、それにこしたことは無いよな。

問題は今までどおりにリンスレットと一緒だと、男であることを隠して一緒にいた事に、どこまで反応するかわからないからな。さすがに殺されることは無いだろうが、「下僕になりなさい」って言われそう感じもする。譲歩をせまれるとしたら……100%ではないから、保留だろう。

もうひとつの選択肢はクレアのところだが、せめてロストクイーンがくる頃でないと、女性1人の部屋に男2人はまずいだろう。まあ、女2人とカミトがいる部屋に入るのも問題はあるが、精霊使いであるための必須条件は、契約をしている精霊が婚姻などを認めるまでは、清らかな身体である必要性があるから、手をだしてしまうと彼女らの精霊が逃げ出してしまう可能性が高いから、手をだせないんだけど。

他の女子生徒は、さすがに無理だろうな。両者ともだめなら、最初はテントでもはって、ゆっくり小屋でもつくるしかなかろう。

まあ、まずは本日の<軍用精霊>の契約式典に行くとして、カミトをどうやって誘うかを考えてはいるが、直接的な方法はまずいだろうな。
直接誘うと、多分カミトからしてみれば、クレアを見捨てるような行動だから、このあとの行動に問題が残ってくる。
だからといって、クレアを<軍用精霊>の契約式典に行かせないというのも、呪装刻印の時に問題になるかもしれないしな。

教室で授業を受けつつカミトを待っているのだが、なかなかこない。廊下にはいつも偵察に使っている闇系のピクシーであるゲンドゥルに見張らせているが、知らせにもこないし。

うーむ。何か、微妙にくるっているのかもしれないな。確かカミトの剣精霊は両刃だと思ったのだが、こっちででてきたのは片刃の剣だったし、昨晩の舞台もクレアより先についていたような気もするんだがな。
カミトが教室を見に来るというのは完全な勘違いかな?

昼食をとるがリンスレットやキャロルにもあわないから、カミトはまだ、寝ているのか?

寮にもどってみたが、カミトどころか、リンスレットもキャロルもいないから、完全なすれ違いか。一応、クレアの部屋へ行ってみたが、部屋のドアは鍵がかかっている。たしか、カミトは部屋に入ったはずだが、クレアは部屋の鍵を預けるような性格でもないだろうし。

悩んでいても仕方がないので、<軍用精霊>の契約式典へ向かうことにした。



アレイシア精霊学院の敷地の出入り口で広がるようにできている学院都市の一角にある闘技場。そこで衛兵に学院の生徒証を見せて中に入ると目立つのは、中央の祭壇にまつられた石柱。

「あの中に魔人級の戦術級軍用巨人精霊の<グラシャラボラス>が入っているのか」

魔人級といえば、Aランクだから、AAランクに相当するクレアが契約しても、火猫のスカーレットほどの力はでないんだけどな。クレアの手には<精霊刻印>が薄いながらも刻まれている。つまりスカーレットは生きているんだが、薄くなって見えづらいから、クレアの意識から、外れてしまっているのだろう。

俺の<精霊刻印>は『封魔眼』がかねているから、母親の胎内からでてきたと同時にワルキューレとの契約が完了で6体のピクシーっていう、無茶な状態だ。転生の時に他人が手をだせなくて、俺が契約しやすいようにと転生をつかさどった死神に転生特典として頼んでおいたが、『封魔眼』なんてものは伯爵家生まれの俺でも、下手をしたら別の帝国貴族にひきとってもらうなんてことになりかねない。
その場合フォーレンガルト家の養子で、エリスが義理の妹で、ヴェルサリア・イーヴァが義理の姉って可能性もあったわけだ。なんか、それはそれで、死ねほど訓練を受けられていそうだ。
しかし、中位精霊とみなされるピクシーの上に、精霊刻印が2つ以上ある場合は相互干渉となって、精霊の力がそがれるというのは常識だから、今、アレイシア精霊学院に通ってシルフィードとも対立というよりは、多少中立気味に近い立場としていられるんだけどな。

そう過去と現状を考えていたら、今回の精霊剣舞<ブレイドダンス>の始まりの合図があった。いっせいに、20人ほどの精霊使いがそれぞれの精霊を扱いだしているが、赤毛のツインテールとして目立つクレアには、金剛精霊と魔境精霊を使う上級生がちょっかいを出している。入学当初にはシルフィードとの対立で下級生に嫌がらせをしていた、根性の悪い奴らか。

その後、ずっとクレアをみまもっていた。通常の鞭と、精霊魔術の火球を使っているが、自分のカムイだけでは、威力がなさすぎる。魔境精霊はあの手の精霊魔術を跳ね返すのが得意なのに、あさっての方向にはじいているだけで、二人の上級生はクレアをなぶるように、金剛精霊と魔境精霊でなぐりつけているだけだったが、上級生がクレアへ何やら罵倒していたところで、クレアのカムイが急激に膨れ上がった。

ただし、彼女のカムイは火の精霊ではなく、黒い炎の精霊だ。そこから、各精霊に黒いカムイがまわりの精霊たちに移っていく。そして、精霊使いの手を離れて暴れ始めている。

今、俺は動こうかとも思ったが、こういう場合には、まず何かがあった場合のために騎士団はいるのだが、いつまでもこない。カミトが来ているのかもわからない、今、どうすると思ったら、剣を持ったカミトが競技場に降りて、クレアのところに向かうところだ。

俺も6体のピクシーを顕現させて、風のシールドを張らせる。そして風系のピクシーであるヘルヴォルは鎧にし、火系のピクシーであるランドグリーズにはクロスボウとした。聞こえるかどうかはわからないが、

「おーい。クレアとカミト。こちらから援護する」

カミトに反応はあったが、黒い炎をまとったスカーレットを相手に、こちらを振り向く余裕までは無いようだ。しかたがないので、観客席から、こちらにとって相性のよい凶った精霊を狙っていく。
威力と連射速度はリンスレットに劣るが、戦術級軍用巨人精霊<グラシャラボラス>と契約したがるレベルの精霊使いの精霊が相手なら、多少カムイを精霊使いから吸い取っていても、半数は火のクロスボウだけで行ける。
残りは火の力に強い精霊か、火の力が強まっている精霊だから、クロスボウをいったんとき風のシールドとして、火とは反対の威力を持つ氷系のピクシーであるミストを槍にして、闘技場におりた。
しかし、すでにカミトが元凶となったスカーレットを黒い炎から、通常の炎の火猫としたところだったので、他の狂った精霊も力をうしなったために、次々とこの場から元素精霊界にもどっていったようだ。それでクレアとカミトへ近寄っていき、

「クレア、カミト、大丈夫か?」

「ああ、俺はな。けど、クレアが」

「へ、平気よ、このくらい……」

「その手の火傷の直接の治療はできないが、冷やすぐらいならできるから」

俺はそういって、氷の槍をピクシーにもどして、クレアの手の火傷を冷やさせたが、その間に、カミトが、

「ところで、おまえ――」

「なによ……」

「凶精霊なんかと、いったいどこで契約したんだ?」

「それは――」

「あら、私のプレゼントは気に入ってもらえなかった?」

俺は、ピクシーに気配や精霊の力を感じたら知らせるようにしてもらっていたはずなのに、それをかいくぐるのか。俺は声がきこえた方を向いたところ闇色のドレスを着た美しい少女、いや闇精霊がいた。

「まさか……そん、な……レス……ティア?」

「ずいぶんひさしぶりね、カミト」

俺は久々の再開に無粋だが、割り込むことにした。男とか、女性型といっても精霊にまで欲情するタイプじゃないし。

「プレゼントって言ってたけれど、クレアに凶精霊の契約をさせたのは、貴女かな? 精霊さん」

「あら、私が精霊?」

「見えているのに、カムイをあたしのピクシーが感じ取れないのは、精霊使いではない人間か、上位の精霊ぐらいよ。だけど、そんな石柱のところにいられるってことは、人間じゃないってわけよ。これでよいかしら」

「うーん。もっとカミトと話してみたかったけれど、それは次の機会にするわね」

って、俺の返答はスルーかよ。

「レスティア!」

「ほら、あの子が起きてしまうから」

レスティアと呼ばれた精霊が、黒い塊を軍用精霊を封印した石柱に投げつけていた。それが、石柱のまわりを霧のように取り囲んでいるのだ。そして、地面が激しく振動した。それをきっかけにしたのか、クレアが

「カミト、エルダ、気を付けて! そいつよ、あたしにあの凶精霊をあたえたのは!」

「な……に……」

軍用精霊を封印した石柱に大きなひびが入って、その裂け目から巨人精霊<グラシャラボラス>がでてきはじめたが、やはり様子はおかしい。さっきの黒い霧のようなものが凶精霊か。俺の前世でのアニメの記憶って、こういう細かいところがあてにならないんだよな。

「――さようなら、カミト。またあいましょう」

「レスティア……どういうことだ!? どうして君が――」

「これが、あなたの願ったことだからよ」

こういう話の仕方をしているだけで、カミトが動揺しているのがわかる。俺は雷系のピクシーであるフレックをナイフ付チェーンにして、レスティアに向かって飛翔しつつ、そのチェーンを投げつけた。レスティアに巻きつけて、風のシールドで逃さないつもりだったが、レスティアへと届く前に黒い霧となって、この世界から消えた。元素精霊界にでももどったのだろう。風のシールドにとじこめれば、それも防げる。しかし、上位精霊に力任せで脱出をはかられたら一瞬でやぶられると思うけどな。

「クレア。カミトがほおけているみたいだから、何とかしてくれ。その間、この巨人精霊の足止めをしておく」

「こんなやつ消し炭よ」

「それじゃ、悪いが、ピクシーは回収するからな」

俺はクレアの手を冷やしていた氷系のピクシーであるミストを槍にして右手に、その間にチェーンを左手にして、石柱ごとチェーンでまきつけていた。巨人精霊<グラシャラボラス>なら、人型なので、わりかし相手にしやすい方なのだが、力が格段に跳ね上がっている。これが凶精霊がついた結果か。
俺は氷の槍による、ダイヤモンド・ダストで、急激な温度低下と、それによる軍用精霊の氷漬けを狙ったが、大きさが問題だ、一部は凍るが、すぐにパワーで氷がはがれおちる。雷系はききづらい相手だから、絡めて足止めするぐらいだし。
動こうとする巨人精霊の動作を遅くすることはできているようだが、巨人精霊が咆哮した。それだけで、観客席の半分近くが吹き飛びやがった。
巨人精霊<グラシャラボラス>にここまでの力はない。明らかにピークパワーは上がっている。純粋な力比べでは無理があるから手段を変えるか。
俺は、巨人精霊をいったん地上に降りてくることにさせた。あのまま、咆哮させたら、どれぐらいの距離まで破壊するのか想像がつかない。
巨人精霊が降りてきたところで、足元にチェーンを巻きつけ、槍を伸ばして横からたたきつける。巨人精霊が倒れてくれたのはよいが、こっちの槍にした氷も同時に折れた。ダイヤモンド・ダストを発生させるための効果の副産物だな。この槍、もろいんだよな。かわりに、付加魔法である、凍らせるの力があるのだけど、簡単にはがされる。
そのまま、外に向かうかと思ったが、こっちにくるじゃないか。まずいと思って、空中にいったん飛んだところで、カミトが、軍用精霊の肩口に剣をつきたてていた。

「足止め、なんとか成功したな」

カミトはともかく、クレアがおこないそうなことは、予想がつく。クレアが火の鞭で、狙いをつけて、巻きつけようとしているところの付近に俺のチェーンも一緒に巻きつけた。
それで、カミトの剣の一閃で真っ二つだ。

そこまではいい。

なんで、カミト、ここで気を失うんだ。誰が運ぶんだ!!
 
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