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『自分:第1章』

作者:零那
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『オッチャン&兄チャン』

久々に2人に逢う。
龍の事、話した。
『龍はオマエの事が必要なんやな』って言われた。
でも『オマエとは関わらせたくないタイプや!』って...

『なんで?』

『オマエすぐ感情移入して混同するからに決まっとるやろ!』

怒られた。

『で、ソイツとどぉしたらえんか解らんなっとんだろ?』

笑えん雰囲気。
普通に怒られてる。

兄ちゃんも『オマエ自身が潰されたら意味無いんぞ!』って。

『放っとけんかった!哀しい辛い、置いて行かんといて!ってのが解るのに!』

オッチャンが『やけん言いよんだろが!そんなんやけんオマエは...自分をもっと大事にせぇ言うてるやろ!壊れるオマエ見た無いぞ!』って。

オッチャンがこんな怒りの感情を露わにしてるの見た事無い。
涙を流して慌てて袖で荒く拭ってた。

兄ちゃんが『零那、オマエは変なとこで優し過ぎんねん。他人のイタミが解ってしまうのも辛いよな。言いたいことは解るんや。けど、オマエを想うが故に組長は真剣にぶつかってくれてるんやで。解るよな?責めてるわけや無いんやで。お父さんが居たら、組長と同じ様に怒る思うぞ?相手30代だろ?そんな年上がオマエに甘えたらあかんやろ...普通は逆や...考えられん。』


『...解ってる。頭では解ってんねん。零那の為に叱ってくれてるのも勿論ちゃんと解ってる。ありがとぉ...感謝してる。』

オッチャンが頭ポンポンしてくれた。
躰を引き寄せられ、抱き締められた。
今迄で一番力強くて熱い抱擁だった。
体温が伝わる。
その熱で、父親代わりとしての愛を感じる。
ありがたい...

『今は泣け。痛い目みたらまた泣きに来い!!泣かしたる!!』

そぉ言いながら笑ってくれた。
今は龍を見捨てれんって見透かされてる。


今迄、耳が腐る程、散々周りの雑音が入ってきてた。
でも、もぉそんなもんは跳ね除けれる。
自分を解ってくれてる人が現実に存在してくれてる。
それこそが自分の強さだと想える...
たったひとり、そんな人が欲しかった。
でも、もぉ今迄何人にも出逢えた。
その奇跡を強さに変える。

自分には、自分を解ってくれる人が居る事実。
それは間違いなく強さだと言い切れる。


夕方迄居れや!って言われた。
オッチャンが『大根おろしでサッパリしたハンバーグが食べたいなぁ~』って言う。
しかも手作りの...
兄ちゃんは『俺はカツが食いたいなぁ~肉何でもええけん...』って言う。
2人が子供に見えてきた。
作れって事やろ...


スーパーに食料調達しに行った。

蓮根を少し大きめ、野菜は微塵切りにして栄養たっぷりのハンバーグ。
カツは鶏と豚。
豚は薄い肉で、青ジソを挟みながらミルフィーユ風に。
鶏はカツと天ぷら。
コンソメスープ。
青ジソ&大根おろし。
野菜炒め。
野菜の天ぷら。
何とか、どれもが温かい状態で仕上がった。
不器用やし要領悪いから意外と大変...


量も相当多く作った。
何故か、単純。
コンビニ弁当の空しかなかったから。
保存容器も形や大きさ、様々な物をたくさん買ってきた。
冷凍保存も冷蔵保存も出来るように。


出した物はあっとゆう間にペロッと食べた。
洗い物の後は更に調理開始。

ぶりの照り焼き。
鯖の味噌煮。
鮭としめじのバター醤油。
照り焼きチキン。
牛とニンニクの芽の炒め物。
肉じゃが。
南瓜のそぼろ餡。
ひじき煮。
牛蒡サラダ。
マカロニサラダ。
ポテトサラダ。
さっき多く作っといたハンバーグとカツ。

容器に入れれる物は入れて保存。
こんなに大量作っても、たぶん3日もあれば無くなる。
この量を調理することは今後の人生でも二度と無いやろうな。

卵、シャウエッセン、ハム、ベーコン、納豆、昆布、豆腐、ししゃも、麺類、レトルト...

日持ちするのを買ってた。
なんぼタクシーで帰る言うても運べんかったら困るから、買い物はそこで終わらせて帰ってた。
だから調理済んだらまた買い物に出た。
調味料やドレッシングの類、キッチン用品や生活用品の調達しに。
まだ持てそうやから、ちょっとした食料も...
2人が好きって言ってたパン、珍味、ガム、チーズ、味付け海苔、缶詰、スナック菓子、お茶、牛乳、栄養ドリンクに栄養補助食品やゼリー...
意外と重いから、この辺でヤメといた。


『誰かと楽しい時間を共有する為なら時間も金も惜しまん。でも自分だけの為には使えん』

それが3人の共通点。

やからコンビニ弁当で充分なんも解る。
でもそれは...
オッチャンも若く無いんやし体のことを考えるとね...
零那がいっぱい作ってるのを黙って放っといたのも、言ったからって作るのをヤメるワケ無いって解ってるから。


部屋に帰ったら、飲みながら、既にさっき作ったやつ食べよったし。
さっき結構食べたよ?
あれでまだ足りんかったん?
どんだけ大食いなんだか...
いっぱい作っといて良かったわ。

敢えて声掛けずに買ってきた物を片付けた。
さすがに少し疲れた。
働いた~!って感じ♪
でも気持ち良い♪


ドライ1本貰って座った。
『コレ飲んだら帰る』
オッチャンにツッこまれた。
『おまえ作りに来ただけやないか!』
要領悪いから時間かかっただけやしな...
『コンビニ弁当ばっかりあかんで!』
オッチャンが言う。
『食べに出る気ぃせんしの~』
零那が言う。
『美味しい処いっぱい知ってるやんか!』
すかさずオッチャンは言う。
『んなもんコイツも知っとるわ!』
しぶとい...
『久々に2人でじっくり行けば良いやん♪』
オッチャン...
『コンビニは一緒に行きよるよの~』
兄ちゃんも『はい♪』って。
いやいや、そぉやなくて...
疲れた。
もぉいいや。
今は出不精な気分なんやろ。
元々は違うから大丈夫やろ...
まぁ、兄ちゃん一緒やし、零那が心配するほどや無いわな。


2人が同時に万札だしてきた。

『いやいや何!要らんし!』

『飯代や』

『勝手にやっただけやし金貰えるほどの味ちゃうし!』

『受け取れ!』

『嫌っ!!お金より食べてくれる方が嬉しいし!』

『...家政科1年だけやろ?料理やか殆ど習わんだろ!』

『なんとなく想像やん料理なんか』

『こわっ!』

『でも食べれんとか不味いってのは無いやろ?』

『そりゃまぁ確かにそぉやけど...』


『まぁ零那も、目の前で米を洗剤で洗う子見た時はコトバ出なんだけどなぁ...』

『ほんまにそんな子おるんやの~』

『おったおった!!衝撃。苦労知らずで、どんだけ恵まれた子なんや!って憎たらしかったわ~』

『あはは!そらそぉやろなぁ』

『...ほな、ありがとぉね!また来る。』

『気ぃ付けよ!』

『うん、シッカリ食べてなっ!』

『おうっ!さんきゅ!』


いつも心配、迷惑かけてばっかりやし、たまには役に立たなあかんよな...
役に立ったかな?
数日の御飯如き、役に立ったとは言えんよな...


 
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