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SWORD SUMMIT

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第一章

               SWORD SUMMIT
 剣において頂点を目指す、剣を持つ者なら誰もが思うことだ。
 それは彼、リチャード=トミクソンも同じだった。
 由緒正しい貴族の称号を持つ実業家の家に生まれフェンシングの腕を磨いてきた。そうして大学にいる時にだった。
 父にだ、こう言われたのだった。
「留学ですか」
「そうだ、日本の大学にな」
 それを勧められたのだ。
「どうだろうか」
「日本にですか」
「日本は嫌いではないな」
「はい」
 そうだとだ、リチャードは父にすぐに答えた。
「むしろ興味があります」
「独特な文化を持っている国だからな」
「実に」
「だからだ、一年程行ってみてだ」
「日本の文化を知ることですね」
「御前は将来我が家の仕事でアジアに行ってもらおうと考えている」
 それ故にというのだ。
「だからだ」
「日本にですね」
「行ってもらう」
「わかりました」
 家長であり経営している会社の総帥である父の言葉は絶対だった、彼も断ることはなかった。こうしてだった。
 リチャードは日本に留学した、そして日本の様々な文化を見た。そうして同行した執事のトーマスにこう言った。
「実際にこの目で見るとな」
「よくわかりますね」
「日本は違う」
「他のどの国とも」
「独特だ、独自の素晴らしい文化がある」
「ただ繁栄しているだけではないですね」
 トーマスも言うのだった、二人共若く端正な顔をしている。
「日本は」
「その通りだな、しかし」
「しかしとは」
「剣だ」
 リチャードは確かな声でだ、トーマスに言った。
「日本の剣だ」
「剣道ですね」
「噂は聞いていた」
 その剣道についてもだ、リチャードは日本文化を留学前に丹念に学んでいた。それでこう言ったのである。
「日本の剣道についても」
「それではご興味は」
「あったしな」
 そして、というのだ。
「余計に強く思った」
「そのご興味を」
「そうだ、私はフェンシングをしているが」
「剣道もされますか」
「してみたい、面白そうだ」
「そういえば旦那様はこれまでフェンシングだけでしたね」
 嗜んでいるスポーツはだ、フェンシングをすることによって彼はスポーツマンシップだけでなく騎士道精神も学んできている。
「そうでしたね」
「そうだった、だが」
「これからはですね」
「剣道部に顔を出そう」
 まずはそこからだというのだ。
「それからだ」
「剣道をされますか」
「そうしよう、しかし袴といいあの防具といい」
 そうしたものも見てだ、リチャードは言うのだった。
「実に独特だな」
「まさに日本ですね」
「日本は本当に独特な国だ」
 あらためてだ、リチャードはトーマスにしみじみとした口調で述べた。
「学べば学ぶ程面白いことがわかる」
「そうした国ですね」
「ではな」
 また言うリチャードだった。
「剣道部に顔を出そう」
「それでは」
 大学の剣道部にだ、そして実際にだった。
 彼は日本の剣道もはじめた、その剣道も面白くだ。
 彼は日々竹刀を振りフェンシングの稽古と共に楽しんだ、だがそれだけではなく。 
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