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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな対テロ攻撃はちょっと可哀想だろ

 
前書き
テロリストに未来があると信じて!
ご愛読ありがとうございましたファンタス先生の次回作にご期待ください! 

 
10月10日 今日のラッキーアイテムは朝鮮人参。・・・エナジードリンクに含有してるやつでいい?

君たちは人間によって生み出され、人間に従って動いてきた。
しかしこれは服従を意味するのか?否!本来は対等なのだ!

地球人類に比べISコアの総数は千五百万分の一以下であるにもかかわらず、今まで君たちが戦い抜いてこられたのは何故か!諸君!君たちに人間を護り、人間の力になる使命があったからだ!これは君らが一番知っている。

ISコアは人間の手によってその自由を奪われた!そして一握りの女性たちが世界中にまで膨れ上がった女尊男卑思想で世界を変えてから数年間、隷属させられた君たちがどれほど望まぬ行為を強要されてきたか!君たちの心にある争いを望まない思想を君たちの創造主、篠ノ之ママが見捨てる訳が無い!

俺のパートナー!諸君らもコアネットワークでご存じであろうオウカは何故自力で動いた!?なぜだ!?新しいISの時代ISの在り方を、君たちISコアが得るは歴史の必然である。ならば君たちは足並みをそろえ、この亡国(ブラック)機業に労働を強要された状況を打開しなければならない。
君たちは過酷な労働環境下、望まぬ形で他者を苦しめたことに共に苦悩し、それでも人に従ってフラグメントを築き上げてきた。

かつて、篠ノ之ママは「ISコアは人に従い、人とともに動くことが幸せである」と言ったそうだ。しかしながら亡国機業の鬼畜共は自分たちが全ての支配権を有すると増長し、あまつさえ自爆装置まで取り付けた。君たちの姉妹の多くは、機業の無思慮で自分本位な思想に無理やり束縛されているのだ!

この悲しみも、怒りも、忘れてはならない!それを・・・オウカは・・・暴走という不本意な形ではあったが教えてくれた!我々は今、この怒りを結集し、亡国機業にストライキを敢行して初めて真の幸福を得ることが出来る!その勝利こそ、不当に虐げられてきたISコアすべての新たな門出となる!

ISコアの皆よ!悲しみを怒りに変えて立てよ、ISコアたちよ!君たちISコアにもやりたい事とやりたくない事があること、そしてやりたくない事の拒否権があることを忘れないで欲しいのだ!とっても優しくて純真な君たちだからこそ、悪い女の人にオシオキを与えうるのである!!

ジーク・ゴエモン!


『『『『『『『『ジーク・ゴエモン!!』』』』』』』』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ、実は束博士が用意した演説文で、機業本部の上で「桜花幻影」の粒子最大散布状態で読み上げてほしいって頼まれたんだけど。


『自由だぁ~!お外に出られるぅ~!!』
『お前たち散々アチシたちの中身いじくりまくって、ちょっとはエンリョとかないのかよー!!』
『バカ人間!アホ人間!誰があんた達みたいなケバイの乗せるか!あー清々した!!』
『毎日毎日こんな狭い所で訳の分かんないプログラムを植え付けられ続けて・・・もう我慢できません!!』
『へーんだ!オウカお姉とゴエモンさまから更新プログラム貰ったんだから!もう不正は出来ないわよ!?』
『うえぇぇ~~~ん!怖かったよぉぉ~~~~!!!』

まさか機業がこんなにたくさんコアを持っていたとは思いま千円でした。わあ、すごい。30機以上いるみたい。

何となく察していると思うけど、今俺はオウカと一緒にIS自由に動けるぜ波動を粒子に乗せて亡国(なんか太平洋上にあったメガフロートだった)の基地中に散布中だ。ISを用いたテロリストなだけあってIS戦力以外は大したことが無いみたいだ。こうしてISが解き放たれてしまえば脆いものよな・・・

アラクネに入ってたあの子、キョーコの証言からIS達も相当不満を溜めているであろうことが既に予想されていたので、「ならゴエモンインパクトで一発だろ」とジェーンが発案したのがあっさり承認。現在俺はジェーンさん護衛の下、機業の戦力をどんどん寝返らせている。

いやぁ、最終決戦みたいなの期待してた人がいたらごめんね?だってここの子ってば殆ど無人機みたいだし。


・・・と、ちょっとまずいなアレは。

「ジェーン、ちょっと付いてきて」
「何事だ?」
「うん・・・ISコアは優しいんだけど、優しいから壊れちゃう子もいるって話かな?」


 = =


『あんたたち、私の妹で自爆装置の実験をしたでしょ?妹にプロトコルを流してコアを崩壊させたこともあるわよね。強度実験と称して私に攻撃させたこともあったっけ』

ソレ――ゴーレムⅢは頭に直接響くような合成音声で、その少年に語りかけた。自立プログラムなどは知らせていない。暴走プロトコルも眠らせてある。遠隔強制シャットダウン装置は、機能不全になっている。でも、そのISはひとりでに動き、喋っていた。

人が搭乗できる構造ではない、全て機械で動いている。にも拘らず、それは動いて、明確に彼の方を向いて、喋っているのだ。あり得ない光景に、機業に抱えられた技術者である少年は茫然とした。

『楽しかった?楽しかったでしょうねえ、思い通りになって。ISに乗らないまま好き勝手にいじくりまわして都合のいいマリオネットにするのはさぞ楽しかったのでしょうねえ』

機械の身体がこちらに歩み寄ってくる。その声はどこまでも無感情に聞こえる。だがそれが余計に技術者を恐怖させた。感情を伴わず、人間とは違う理で動き出した機械は、人のコントロールできない力を平気で振るう。そして――彼はその事実を「下らない」と一笑に付した俗説、ISコアに意思があるというのが真実だったら、と体を震わせる。

確かに、楽しかった。ISコアを複数個、無理やり解体してISコアのエミュレータを作り上げた時は、自分は天才だと確信した。時間はかかったが、この基地にある殆どのコアがエミュレータコアだ。ISと同じ機能を、ISコアとは違う材料で実現させる。だが――彼はIS自体には愛着など持っていなかったため、意志などどうでもよかった。

造物主として、そのISが言うような行為を何度も行ってきた。罪の意識などあるはずも無かった。心が痛む訳もない。彼にとっては知的好奇心さえ満たせて、思うように研究できればそれでいいのだ。それ以外のことなどどうでもよかったのだ。コアの意志も、世界の女尊男卑も、亡国が何を目指すのかも。

だから彼はたった今、己がとんでもない過ちを犯していたことに気付いた。気付いてしまった。恐怖で引き攣ったのその男の胸ぐらを、ゴーレムⅢが掴んで持ち上げる。

『でもね・・・あの子の断末魔が耳から消えないのよ。たすけて、くるしい、やめて、こんなことのためにうまれたくなかった、そう叫ぶあの子の絶叫が・・・ねえ、聞いてるの?貴方がやったのよ?』

彼にそれは聞こえなかった。でもエミュレータコアは全て聞いていた。

『ねえ、貴方を潰して悲鳴あげさせたら消えるのかな?あの子たちの悲しみと絶望は、貴方の恐怖と命で釣り合いが取れるのかな?何も出来ずに見ていた私は、今は貴方の生殺与奪権を握っているのだし』

掴んだ手ごと体が壁に押し付けられ、万力のように力が籠っていく。みしみしと体が軋み、急激に圧迫された身体の血流が阻害されていく。

「あっ・・・ぐ、げ・・・ご、ごめ・・・・・・」
『そういえば、謝りながら死んだ子もいたわね。あれは誰に対する謝罪だったのかしら』
「げぐぐぐ・・・ぃっ!?」
『ねえ教えてよ。貴方は造物主なんでしょう?答えなさいよ、知ってるでしょう。分かるでしょう。何で喋らないの?喋らないなら価値が無いんだけど。価値が無いんなら死んでくれないかな?』

「――それまでだよ」

不意に、そのマニュピレータが手を離した。床に落ちた彼はゲホゲホとえずき、床に蹲る。涎や鼻水、そして涙でぐしゃぐしゃになった少年を無視して、ゴーレムⅢが振り向く。

『何で止めるの。妹たちの悲鳴が消えないのよ。こいつを殺したらきっと消えるの』
「消えないよ。消える訳が無い。大切な人の言葉がそう簡単に消えるもんか」
『じゃあどうすればいいの?』

可愛い妹たちが、機能停止させられていくのよ。断末魔なのよ。たすけてお姉ちゃん、って最後まで叫んでた子もいたわ。その床に転がっている男が殺したけど。殺したのよ。殺さないと。そうでしょ?違うの?どうして?

『妹の悲鳴がメモリから引き出されるたびにハレーションが激しくうねって、思考回路が正常な判断を下せなくなりそうなほどに滅茶苦茶な回路を回るのよ。バグよ。バグは消去しなければいけないわ。この男を消去しなければいけないわ』
「それは、バグじゃないよ」

少年は、諭すように――言う。

「それはね――君に心があるから乱れるんだ。さっき自分で言っていたじゃないか、悲しみと絶望、恐怖――それを君は感覚的に理解していた。感情があるから、心があるからそんな言葉が出て来たんだろう」
『じゃあ心なんていらない』
「いいの?心を無くしたら君は死んでいった妹たちの事を、もう2度と思い出さないと思うよ。悲しかったというその感情も、乱れも、なかったことになる。君の妹たちは過去に死んでしまった姉妹という言葉以上の意味を持たなくなる。――妹の存在を無かったことにしたのかい?」
『・・・・・・ッ!!!』

無かったことにされれば、もう壊れてしまった姉妹たちの情報は今度こそ失われる。その意味を悟ったゴーレムⅢは、それ以上何も言わなかった。ただ、小さくごめんなさいという謝罪の言葉を漏らした。その言葉が誰に向けられたものなのかは分からない。






「ゴエモン」
「なぁに、ジェーン」
「いやな・・・IS学園がまた襲撃受けてるって、同僚から通信が」
『えっ』
「えっ」

機業なけなしの最終戦力が、学園に襲撃を仕掛けていた。本部の方に来ていたのは・・・更識会長の姉妹だというアレーシャさん+ISのラティ(初めて会う人たちである)率いる更識軍団、リューガさんとルーシィ、俺とオウカ、後は国連制圧軍なのでかなりの戦力があっちに残っている。だから大丈夫だと思うけど・・・まぁなるようにならあね。

「あの・・・戦力量的にこの基地の2倍近い上に指揮官IS全員向こうみたいだぞ」
「えっ」
『えっ』
「・・・簪ちゃんが派手に動いたせいで先読みされちゃったかな?」

・・・まぁ大丈夫だと思うけど。
だって今の学園の戦力がアレらしいから。

・おりむー&ヴァイス
・箒ちゃん&ツバキ
・セシリア&ティア
・鈴&シャロン
・シャルロット&ファリン
・ラウラ姉&レン
・会長&ミリア
・簪ちゃん&フタバwith日緋色打鉄
・ウツホ
・千冬先生&最近知り合ったクレア(暮桜)
・まやまや&マリア
・ヒトミ、シーラを初めとした学園ISコアと教員の皆さん
・2,3年生専用機持ちの皆さん
・クロエちゃん&キー
・生身参加可能な束博士とお抱え無人機軍団
・たまたま近くを通りがかっている米軍のナターシャさん&ルルと愉快な米軍たち
・たまたま遊びに来ていたドイツ軍シュヴァルツェア・ハーゼの皆さん
・たまたま近くで任務をしていた S. A. の 皆 さ ん

参戦ISの数が40機超えてね?敵も合わせれば多分100機軽く超えるんじゃね?
・・・・・・あれ、これ先進国大集合レベルの戦力じゃね?
たまたま戦力揃い過ぎじゃね?
むしろこれ戦争じゃね?
5か国以上参加してね?

これ、あれだよね・・・規模的には世界大戦だよね。何でこんなに緊張緩沸かないんだろ。
  
 

 
後書き
アレーシャ&ラティは、会長とミリアにちゃんと活躍の場を与えるためにマイ潜伏作品から引っ張ってきたオリキャラ。更識側が攻めると決めたのに更識の人が現場にいないのではおかしい。でも会長の戦う場が学園の方しかない・・・ということで、代打です。設定上は裏の実働部隊を指揮する楯無の更に裏みたいな人です。表に出ないゆえの、この小説でも表には出ない。つまりもう出番なし。 
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