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D.C.Ⅲ〜ダ・カーポⅢ〜過去の人がやってきた⁉︎〜

作者:政之
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さくら「僕は一教師に、昔の僕は学園長ね」由夢「や、それはどうかと思いますよ?」

 
前書き
後編です。今回清隆達の時代のさくら登場!そして前世の清隆達が登場します。後、前世の清隆達はさくらとの記憶があります。
ていううか独断で義之は朝倉姉妹と結婚して朝倉家に住んでいます。 

 
義之side
俺は忘れ物があることに気づき俺達はまゆき先輩とムラサキそれと音夢さんを待つ美春という名前の女子を学園に残し、一旦家へと足を向けた。
「なんかいつもと違わないか?」
「弟君も感じてるの違和感?」
「ああ、なんていうか見慣れない建物とか更地だった場所に家が建ってるとかなんか違う気がする」
俺の感じてる違和感を言ってみる。てか本当に知ってる場所なのに何だか別の場所みたいだ。
「ん?なああそこにいるのさっき校門に居た奴らじゃないか?」
純一さんが指差す方向には、服装は違うけど正門にいた4人以外にも2人が立っていた。
「本当ですね、どうしたんでしょう?」
ことりさんも疑問に思ったようだ。
「僕、ちょっと聞いて来るよ」
そう言ってさくらさんは向こうに居る人たちに向かって走って行った。
義之sideout


リッカside
私達は今少し迷子になっている。というのも気が付いたらこのよくわからない場所に居た。
居るのは私とシャルル、清隆に姫乃、サラ、葵の6名だ。さっきからずっと立ち往生している。
「ねえねえ、あのさ」
不意に話しかけられそっちを向くと金髪を私みたいにツインテールにしている小さい女の子が居た。
「どうしたの、お嬢さん?もしかしてあなたも迷子なの?」
私は前みたいに話しかける。
「違うよ、僕はそこに居る人たちが学校で見たからどうしたのかなって思って話しかけたんだよ」
そう言って少女は清隆達を指差した。
私達が学校に?確かに昨日寮に戻って寝ていたけれど、今の今まで私達はこの場所の近くを歩いてたんだけどな。
「清隆達が?でも私達とずっといたわよ?見間違いじゃないかしら」
「おかしいな?そういえば名前言ってなかったね。お控えなすって!手前、生まれは遠くはアメリカからやって来やした。芳乃さくらなんていう不束者です」
『さくら!?』

嘘でしょ?まさかあのさくらと関係あるの?

「んにゃ?どうしたの?お姉ちゃんたち」
「何でもないわ。私はリッカ・グリーンウッド、風見鶏の副会長で、皆からは《孤高のカトレア》と呼ばれてるわ」
「私は風見鶏の生徒会長をしてるシャルル・マロロースです」
「俺は葛木清隆。風見鶏予科生1年で風見鶏の生徒会に所属してるんだ。よろしく」
「妹の葛木姫乃と言います。私も予科1年です」
「私はサラ・クリサリスです。清隆と同じ予科1年生です」
「陽ノ本葵です。よろしくね、さくらちゃん」
自己紹介(?)をされたのでこちらも自己紹介する。
「あの、ここは何処なんですか?見たところ島のようですけど」
「ここは、初音島って言って一年中桜が枯れないことで有名な島なんだ」
姫乃の質問にさくらが答える。
初音島?聞いたことない島だわ。
「それで、さくらの言ってた俺達はどんな服装だったんだ?」
清隆が中腰になってさくらに質問する。
「まず僕がね務めてる風見学園の付属の制服・・・この服なんだけどね。これを着てたんだ」
「セーラ服にミニスカートですか?なんだか可愛いですね」
さくらと名乗る少女の制服を見ながら葵が呟く。
「とりあえず僕達は義之君達の家に行くけどリッカもどうかな?」
「そうね・・・行くわ。どうせここでこうしてても時間の無駄だもの」
「じゃあこっちに付いてきて」
そういって私達はさくらを先頭に彼女を待っている人達に合流して家へと向かった。
リッカsideout



義之side
さくらさんが話しかけた人達は俺達が校門で見た人物とは別人らしくその人たちと一緒にに芳乃家を目指した。

「着いたね弟君」
俺達は家に着くと鍵を取り出し鍵穴に差し込み鍵を開けようとしたらなぜか鍵が開いていた。
「あれ?開いてる、さくらさん鍵かけ忘れたのかな?」
俺は開き戸を開けて中に入り靴を脱ごうとしたら居間の方から誰かが歩いてきた。
「どちら様です・か?・へ?」
その人物はリッカという人に似ていて、違いといえば髪を下ろしていることだ。







「昔の義之君もお兄ちゃんも懐かしいなあ」
『むう・・・』
さっきから見知らぬ金髪の女性に純一さんと一緒に抱きつかれている。そして後ろから複数の視線とものすごい殺気を感じる。
視線は音姉達で殺気は、渉だろう。怨念のように義之ばっかり羨ましすぎるぞと呪詛が聞こえてくる。
「えっと誰ですか?」
「にゃはは・・・ごめん、ごめん。余りの懐かしさに抑えきれなくて、でも充電完了♪」
そう言って俺達を解放して座布団にちゃんと座る。
「さっきの質問だけど、まずはようこそ!未来の世界に」
『へっ未来?』
「そうだよ、ここは義之君が附属の3年だった頃から20年後なんだよ。そして僕はこの時代の芳乃さくらだよ」
未来のさくらさん(?)は衝撃的なことを話した。
「じゃあ、俺達にとっては」
「うん、お兄ちゃんたちにとっては半世紀以上未来だよ」
純一さんが質問するとさくらさんが肯定する。

でも信じれないな、気が付いたら未来の世界に居てさらに未来のさくらさん。何より若い頃の純一さん達が一緒に居るって言うのもなんだか変な感じだよな。

「あのさくらさん、ここに居る人知ってますか?」
そう言って音姉が連れてきたのは、さっきあったリッカという少女。
「えっ?リ・ッカ?どうしてリッカがここに居るの?」
未来のさくらさんはとても驚いていた。知り合いなのか?

「何で私の名前を・・・?」
本人自身も驚いているようだ。
「僕はリッカと清隆に時計塔の下で保護されたさくらの未来だよ」
「さ・く・ら?あなたなの?」
そういうリッカの顔は驚愕に染まっていた。
「あのさくらさん、リッカさんと知り合いなんですか?」
「うん。彼女は僕がロンドンにいたとき、保護してくれた人なんだ」
へえ、つまりさくらさんの命の恩人なわけか。
「あれ?リッカが居るってことは、今の立夏は大丈夫かな?」
「今の私って?」
確かに気になるな。さっきの人達もそうだけど
「この時代にはリッカ、シャルル、姫乃、サラ、葵それに僕が一番懐いていた清隆が転生してきた時代だからね」
「それじゃあ、さっきの俺達と同じ制服着てたのって・・・」
「うん転生した清隆達だよ」
純一さんの言葉にさくらさんが答える。

転生って、まるで漫画みたいだな。
「まあ、この時代にいる間はこの時代の風見学園に通ってよ。僕も久しぶりに先生として学校に行こうかな、そこで昔の僕は校長先生として再任してもらって、お兄ちゃん、音夢ちゃん、ことりちゃん、美春ちゃんとお兄ちゃんの時代の杉並君と音姫ちゃん、まゆきちゃんには悪いんだけど本校1年に、義之君、月島さんに雪村さん、花咲さん、板橋君と義之君の時代の杉並君は附属3年生で由夢ちゃんは附属2年、エリカちゃんは附属1年に転入生として転入すればいいよ。家は男子は僕のお家で、女性陣は隣に住んだらいいと思うよ」
まさか未来の風見学園に転入することになるとはとんでもないな。
でも未来ではどんな感じになってるのか気になるし、何もやることないから別にいいか。

「あっでも住むとこどうしよう?今私達の家もさすがに世代が変わってるよ。どうしよう」
音姉が困ったようにつぶやく。

確かに20年もしたら俺も音姉も由夢も家を巣立ってるから、他人が購入してるかもしれないな」
「あの、さくらさん、隣って今誰が使ってるんですか?」
由夢がさくらさんに尋ねる。
それは重要なことだ。主に俺の理性のためにも
「今?義之君が音姫ちゃんと由夢ちゃん、それと2人の子供が住んでるよ」
『こ、子供!?』
「とりあえず頼んでみたら?あとお兄ちゃんも音夢ちゃんは朝倉家と内装は一緒だからそのままそっちで住んで、白河さん達、女性陣は桜内家で、男性陣は僕のお家。もちろんリッカも桜内家ね」
「でも、さくら、私はこっちの方がいいわ。落ち着くんだもの。それに清隆もいるもの」
「う〜ん、ならリッカと清隆はこっちで姫乃達は隣だね」
「あの、今の私ってどこに住んでますか?私はそっちに住もうと思いまして」
「う〜ん、団地の方面にあるアパートに住んでるんだけど、詳しくは知らないかな?明日聞いておくよ」
さくらさんが少し思案するとその案を了承して、方針を決めた。
義之sideout






純一side
「本当に変わってませんね、兄さん」
「ああ、外観は俺たちの頃と一緒だな」

未来のさくらと話をした後、音夢達と合流して俺たちは自分達が当分世話になる我が家を前にしていた。
「どうしよう由夢ちゃん?私、今からドキドキしてきたよ」
「それは私も一緒だよ、お姉ちゃん。仕方ないや」
そう言って由夢は家のインターホンを鳴らす。
「は〜い。えっ?私に由夢ちゃん、まゆきも?」
家の呼び鈴にパタパタという足音がした後、家の扉が開いて中から1人の女性が現れた。
その人物はそこにいる子が大人ぽくなった感じだった。
「え、えっとおはようございます」
「どうしたのお姉ちゃん?何で私の過去がいるんですか?」
様子を確かめに来たのか髪型は違うが音夢によく似た女性が出て来て俺たちを見てこれまた驚く。
「あのいきなり押しかけてしまってすいません。話しだけでも聞いて欲しいですが」
音夢が申し訳なさそうに話す。
「そうだね、とりあえずリビングにどうぞ」
音夢がそう言うと姉の方は家に入れてくれた。
純一sideout















「なるほど、気が付いたらこの時代にいて、弟君が忘れ物をしたので一旦さくらさんの家に帰ったらさくらさんに会い、私達の家が良いと提案されてここに来たと」
「まあ、そんなところですね」
事情を説明し、理解した未来の音姫は大まかにだが状況を言うとことりが肯定する。
「でもどうしよう?改築したとはいえ、部屋もそんなには無いし」
「お姉ちゃん、一応私達が昔使ってた部屋はあるけど・・・」
「そうか、なら俺はソファーで寝るから音夢達に部屋を貸してやってくれ」
「えっ?いいんですか?」
「大丈夫、大丈夫。馬鹿は風邪ひかないって言うし」
そう言って純一は笑った。
「兄さん、その、えっと、私も一緒に寝ていいですか?」
純一がそう提案すると、音夢がもじもじしながら上目使いで聞いた。
「い、一緒にか!?そ、それは、その、えっとだな・・・」
『ピンポーン』
その時たまたま家の呼び鈴が鳴る。
「あっ、俺が出て来るよ!」
そう言って純一は逃げ出すようにリビングを後にする。
「へえ~、音姫のお爺さんって凄いヘタレね」
「本当です。朝倉君は安全すぎます」
まゆきの言葉にことりが頷く。
「とりあえず部屋はあるから2人一部屋で客室を使って下さい。昔の私は咲姫の部屋で、昔の由夢ちゃんは雪音の部屋で寝てくれるかな?」
未来の音姫が指示するので、それに従う。
「それじゃあ、今日は腕によりをかけて料理を作ろっか由夢ちゃん?」
「そうだね、お姉ちゃん♪」
2人は楽しそうに頷いた。
「でも、2人だけじゃ大変だから私も手伝うね」
「お姉ちゃんはただ単に兄さんに料理を作りたいだけじゃないんですか?」
「そんなことないよ~」
「なら昔の私と月島さん、お願いね。その後は日替わり交替で良いじゃないかな?」
「えっと音姫先輩には敵わないだろうけど、月島、頑張ります」
「構わないわ」
「賛成ー!その方がキッチンの大きさも考慮したら丁度いいよね」
「それでいいですよ。天枷さんもお手伝い、よろしくね」
「美春、頑張りますね」
「陽ノ本さん、頑張りしょうね」
「はい、私も負けません!」
それぞれ頑張ることを表明した。
「皆、さくら達の方もこっちで夕食食べるってさ」
タイミングよく純一が戻ってくる。
「あの、兄さん?さっきの件なんですが」
「あ、あれかいいぞ。ただし、体調が悪くなったらすぐにでも美春のところで寝てもらう」

















義之side
「「ただいま、お母さん」」
夕方頃になり朝倉家もとい桜内家に2人の少女の帰宅を告げる声が響く。
「お帰り、咲姫、雪音」
それに未来の音姉が出迎えに行く。しっかし、音姉と由夢の間にそれぞれ生まれたって言ってたけど、どんな子なのかね。
「お母さん、お客さんでも来てるんですか?」
「違うの、実は今日から一緒に住むことになった人がいるから、その人たちの靴なの」
音姉の声が聞こえてくる。それと一緒に別の女の子の声も聞こえてくる。
「あの?少しいですか、もしかして桜内義之ですよね?」
「確かにそうだけど、君はどっちの子なんだ?」
玄関から由夢に似てるから由夢との子だろうけど、一応聞いておく。
「私は附属2年の桜内雪音です。お母さんは桜内由夢ですよ?」
「へえ、由夢の方の・・・由夢って今料理の腕はどうなんだ?」
「凄く美味しいですよ」
雪音に聞くと今度は別の子の声が答えた。
「えっと君は?」
この子が咲姫って子か。音姉そっくりだな、違いはリボンと髪の色だけだな。
「始めまして本校1年で生徒会長の桜内咲姫といいます」
本校の1年で、生徒会長か。流石は音姉の子だな。
「よろしく、音姉の子はやっぱり生徒会か」
「はい、附属1年からずっと生徒会です」
「なんていうか、音姫そっくりね。ていうか瓜二つね」
「そうですわね。さすがは、朝倉先輩のお子さんですわ」
まゆき先輩の顔は驚きの表情に染まっているし、ムラサキはうんうんと頷いてる等、音姫と由夢を知ってる人はそれぞれの反応をしていた。
「私は生徒会で、雪音ちゃんは保健委員と風紀委員を兼任してるの」
「その辺はなんていうか、流石の血筋だな」
咲姫の説明に純一さんが納得する。おそらく、音夢さんが風紀委員なのだろう。
「ところで、皆さんはどの学年なんですか?」
雪音が聞いて来る。
「俺と小恋、杏、茜、ななか、渉、俺達の時代の杉並が附属3年で、音姉とまゆき先輩が本校2年、由夢が附属2年、ムラサキが附属1年だ」
俺は俺の時代の人の説明をする。
「俺達は美春以外本校3年で美春が本校2年だ」
俺に続いて純一さんが学年を言う。
「あのまゆきさん?」
咲姫がまゆき先輩に話しかける。
「何かな、咲姫?」
「高坂って名字ですか?」
なんで、名字知ってるんだ。まさか、この時代にもいるのか?
「なんで、あたしの名字を知ってるの?」
まゆき先輩も疑問に思ったのか、聞く。
「実は、今の生徒会の副会長の名前が高坂まゆみって言うんです」
高坂まゆみ、ね・・・
「桜内姉よ」
「うおっ⁉︎」
俺が、咲姫から出された名前について悩んでいたら、いきなり杉並が現れた。
「あの、あなたはどっちの杉並君ですか?」
咲姫も分からないらしく質問する。
「お前、俺らの時代の杉並か?」
「正解だ。流石は同志桜内、俺が見込んだだけはある」
なんとなく言ったら正解らしく、こいつらしい事を言う。
間違いねえ。こいつは、俺達が知ってる杉並だ。
「話を戻すが、桜内姉よ。その生徒はここにいる高坂のように陸上が得意か?」
改めて、杉並が咲姫に尋ねる。
「えっ?はい、そうですけど?」
「ふむ、そうか。やはり」
咲姫は頷くと、杉並は腕を組んで考え込む。
てか、勝手に話に入ってきて、勝手に進めるなよ。
「おい、何なんだよ杉並」
「そうだぜ、俺にも教えろよ。それと義之」
杉並に文句を言おうとすると、渉が入ってくると同時に俺に殺意のこもった視線をよこす。
「なんだよ?」
「このラブジョワ野郎!お前だけ羨ましいんだよ!」
そう叫ぶと、俺を蹴り始めた。
「いてっ、いてえだろ!おいやめろよ」
俺は渉に蹴られながらも、ラリアットをかます。
「グフッ!?」
渉は撃沈されリビングに倒れた。
「あはは、面白いですね。皆さん、まるで杉並君と朝倉君みたいですね」
俺達のやり取りを見てことりさんが笑う。
杉並と純一さんってこんな感じなのか?
「おいおい、ことり。俺はそんな事、杉並とはそんなことしないって」
ことりさんの言葉に純一さんは苦笑しつつ否定する。
「朝倉先輩!見てくださいよ、これ!バナナのフリッターですよ!」
「分かったから、あんまり騒ぐなよな」
そこに美春さんがやってきて手に持っているものを純一さんに見せる。
デザートか、どっちかのだろう。
「あの、それ私のプリンのフリッターなんですけど?」
申し訳なさそうに雪音が言う。
なんだ、やっぱり雪音だったか。流石は由夢の子だな、甘いもの好きは遺伝か。
「代わりと言ってはなんですが・・・これどうぞ」
そう言いながら雪音は手を後ろにして皆に見えないようにして目を閉じ、手を握りしめ、少ししてから手を開くとそこには、なんと俺や音姉、純一さんの使える“手から和菓子を出す魔法”で作ったバナナが入ったたい焼きがあった。
「いいんですか⁉︎」
「はい、どうぞ」
そう言ってたい焼きを渡す。
「なあ雪音、少し・・・話があるんだがいいか?」
俺は雪音を呼んで、リビングを出る。
「それで、何ですか話って?」
雪音はこちらをまっすぐと見る。その姿はどうしても由夢と重なってしまい、戸惑うが、話し合わないといけない。
「さっき皆に内緒で魔法使ってたろ“手から和菓子を出す魔法”」
「それがどうかしたんですか?」
雪音はキョトンとしている。
「俺や音姉、由夢にさくらさん、純一さんは魔法については知ってるからいいかもしれないが小恋や渉は魔法に関してはタブーなんだ。頼むからバレないでくれよ」
俺は雪音に釘を刺しておいた。
「や、そんなへましませんって」
由夢そっくりな応答をするなあ。本当に由夢の血が色濃く受け継がれてるよ、雪音は・・・
ピンポーン♪
「誰だろこんな時間に?はーい今出ま~す」
再びチャイムが鳴り雪音が応対に向かう。
ガチャッ
「どちら様ですか?ってあれ?葛木さんに清隆さん、シャルルさん、陽ノ下さん、瑠川さんに立夏さん?どうしたんですか、こんな時間にさくらさんと一緒に」
雪音は急に現れたさくらさん達に疑問を持ち質問する。
「雪音ちゃん、ここに居るのは雪音ちゃんの知ってる立夏じゃないよ?」
「えっ?でもこんなそっくりなんですよ?」
そう言って雪音は薄い板状のものをポケットから取り出して操作した後、俺達に見えるように見せる。
覗いてみると咲姫と雪音に加え、ここにいるリッカ達ににそっくりな風見学園の制服を着て笑顔で写っていた。しかも真ん中に清隆が写っているのである。

おい清隆、それって両手に花って奴じゃないのか?渉じゃないが殺意が湧いた。
「本当ですね。性格も似てるんでしょうか?」
姫乃が見比べながら雪音に質問する。

確かに気になるところではあるな。実際どうなんだ?
「立夏さんはいつもは真面目なんですが、ちまちました作業の時はかったるいわ〜って愚痴ってますし、シャルルさんは清隆さんにとにかく甘くて、甘やかしまくってますね。見てて、こっちが呆れちゃいますよ。葛木さんは学校ではお嫁さんにしたい女の子No.1に輝くぐらいすごい人気ですね。瑠川先輩はいつもは真面目で優等生として葛木先輩と一緒に知られてます」
「最後に陽ノ下さんなんですが、いつもいろんなアルバイトしてて笑顔で私働くの好きなんでって言って、朝に新聞配達、放課後は喫茶店とか花より団子でバイトしてますね。ま〜その分よく授業中寝てますけど」

説明聞いててわかった。葵は働くの大好きなのがよくわかった。
「なんていうか、そっくりですね。その私達に」
サラが嘆息混じりに呟やくと全員が頷いた。
「清隆はどうなんだ?」
あまり知らないので聞いてみることにした。
「清隆さんはその優しくてほっとけないのか、手伝ったりしてますね。あと物凄く鈍感です」
『あ〜』
雪音の言葉に全員が納得したような顔をする。
「とりあえず、上がってください。今、お母さんが料理を作ってるので」
そう言ってリビングへ案内する雪音。
その後、咲姫が雪音と同じ反応を示したので、全員で自己紹介することになった。






「ふ〜ん、つまりアンタ等は1951年の5月1日から来たと?」
「そうなります」
「それでそこにいるのが私たちのお爺ちゃんとお婆ちゃんな訳ですか?」
「由夢ちゃん、いきなりお婆ちゃん呼ばわりはお婆ちゃんに失礼だよ」
音姉、それ火に油・・・
「おばっ⁉︎音姫さんに由夢さん。それが事実だとしても“お婆ちゃん”は止めてくれますよね?」
状況の再確認と自己紹介を済ますとまゆき先輩が姫乃に確認していたら由夢が音夢さんをお婆ちゃんと呼ぶと笑顔は素敵なのに纏う雰囲気は説教モードの時の音姉のようだった。
「「は、はい音夢さん」」
雰囲気に気圧されたのか頷く音姉と由夢。
音姉達が働いてないなら俺が働いてるのか?でもどこでだ。
「未来の音姉」
「何、弟君?」
俺が話しかけると笑顔でこっちを向く。
「俺ってどこで働いてるんだ?」
「う〜んとね天枷研究所だよ」
俺が質問すると笑顔のまま答える。
「へ〜そうなんだって、へっ?」
今なんて言った?天枷研究所・・・・天枷・研究所。
美夏が開発された場所か。


美夏っていうのは由夢のクラスメイトで天枷美夏って名前だ。名前だけ聞くと普通の女の子に聞こえるがそうじゃない。美夏の正体はロボットだ。
HM−A06型とか言う人間そっくりなロボットなのだ。かつて俺(と杉並)が起動させちまったからというわけで、水越先生に注意を払うように強引に押し付けられた過去がある。
「美春の実家か?意外なところで働いてるな」
純一さんが俺を見ながら言う。
「そうですね。それに兄さんが働こうとしてる場所じゃないですか?」
「まあ、そうだがな」
へえ純一さんも働くのか。それって結構偶然だな。
『たっだいま〜』
そうこうしてると家に帰りを告げる声が聞こえてくると同時にパタパタと未来の音姉と由夢が玄関の方へ走っていった。
『お帰りなさいパパ』
パパ⁉︎俺の未来そんな風に呼ばれてるのかよ。
俺は頭を抱えたくなった。

こうして俺たちのどこか騒がしいい1日が過ぎていった。
 
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