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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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リュミエール初代領主選定戦②

 
前書き
決勝トーナメント、出場人数を一組16人計32人に編集しました。
理由は簡単、トーナメントの作りが面倒くさくならないからです!!

それではどうぞ!! 

 
決勝トーナメントは波乱の展開を向かえていた。
トーナメントはランダムの結果、Aブロックにシオン、Bブロックにエリーシャが振り分けられており、初戦での対決は免れた。
二人は初戦、二回戦、三回戦と危なげなく突破し迎えた準決勝、シオンのもとにある一報が届く。

「エリーが敗けた!?」

「ええ、しかも僅差ではなく圧倒的によ」

エリーシャが準決勝で敗北を喫したのだ。しかも圧倒的に。
その結果にシオンは驚きを隠せなかった。

「キリト、エリーの戦いで何か違和感はあったか?」

「俺もそれを疑ったんだが、生憎そんなことはなかった・・・」

キリトは首を横に振ってそう言った。シオンは何があったのかを聞くべく、エリーシャのもとへと行った。

「エリー、一体何があった?」

「シオン、気を付けて。アイツは・・・」

エリーシャはシオンに戦っていたときの出来事を全て話した。
そしてシオンはその言葉に驚愕する。

「呪術、だと・・・!?」

「たぶんね。私が戦った時、突然身体が動かなくなって気がついたら敗けてた・・・」

「そんな、バカな・・・」

シオンは今までにない壁にぶち当たっていた。幻惑魔法はあっても呪術なんてものはおそらく存在しない。そんなもの相手に、どう戦っていいかなんてわからなかった。

「シオン、たぶんアイツは決勝に上がってくる。その時は分かってるとは思うけど・・・」

「ああ、気を付けておく・・・」

正直、気を付けておくというのは嘘だった。本人は分かっていた、データが殆どない相手に対してノーリスクで戦えるほど彼は器用ではない。
ましてや殆どのステータスが吹っ飛んだ彼にはあまりにも分が悪かった。

『だが、やるしかない・・・!』

彼はそう思い、準決勝の舞台へと向かった。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

準決勝の相手は大剣使いの近接型、体格はシオンより大きいパワータイプだった。その相手にシオンは苦戦していた。

「グッ!クソッ!」

それを観客席から見ていたキリトたちは動揺していた。

「おい、シオンの野郎ォ・・・」

「ああ、珍しく押されてるな」

「シオンさん・・・」

「なにやってんのよアイツ・・・」

クライン、エギル、シリカ、リズはシオンの戦いを心配そうに見守る。
そんな中、一人冷静に試合を観戦する者がいた。

「シュタイナー?」

「キリト、この試合勝つと思う?」

「えッ・・・?」

「僕はね、この試合は勝つと思うよ。ただ・・・」

シュタイナーはシオンの太刀筋を見ながら手を口に当てる。

「決勝は間違いなく敗ける」

「なッ!」

「おい、シュタの字!そりゃ、どういう意味だ!」

シュタイナーの言葉にクラインは立ち上がり声を荒げる。しかし、シュタイナーはそれを冷静に対処する。

「別に、シオンが弱い訳じゃない。今の彼(・・・・・・)では勝てないというわけさ」

「今の、シオン?」

「今のシオンは剣に迷いがある。たぶん、エリーシャの敗北を引きずっているんだろうね」

「でも、それれだけで・・・」

「剣は鈍らない、まあ、原因は敗因にあるんだろうけど・・・」

シュタイナーがそう言った直後準決勝の勝敗が決まり、結果はシオンの辛勝だった。
シオンは肩で息をしながらコロシアムから去っていくのを見て、シュタイナーは立ち上がった。

「どうした?」

「ちょっと用を思い出したから一旦席を外すよ、すぐ戻る」

そう言ってシュタイナーは在る場所へと向かった。
シュタイナーはそこへ行くと、一人のプレイヤーに声をかけた。

「随分と苦戦したんじゃない、シオン?」

「・・・・・」

シュタイナーの問いかけにシオンは黙ったままだった。
シオンのその姿に頭をかくと、

「まさかとは思うけど、エリーシャの敗因とあの頃(・・・・・)を重ねてるんじゃないよね?」

「ッ・・・!」

「図星か、別にいいけどさ。これだけは言っておく」

シュタイナーはシオンの襟を強引に掴むと、壁に叩きつけた。

()を怒らせるなよ。お前の戦い方はこんなんじゃないだろ?」

「シュタイナー、お前・・・」

シュタイナーはシオンを離すと、その場から去った。
そして去り際にこんなことを言った。

「僕に手合わせを頼んだときの餓え(・・・)をもう一度見せてみなよ」

シュタイナーが去った後、シオンは試合が開始されるまでそこに座り込んだままだった。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

トーナメント決勝、ここでは今まで禁止となっていた飛行行為が解除される。つまり決勝は全てを尽くして戦うことになる。
シオンの相手はジェラールという男の刀使い、エリーシャに勝利した男だった。

「やっぱり、上がってきた」

「アイツが・・・」

フードを被っており顔が見えないが、異様な雰囲気を醸し出していた。

「ただいま」

「あ、シュタイナー。何処にいってたの?」

「ちょっと、眼を覚まさせに行ってきた」

シュタイナーの言葉にエリーシャは首をかしげる。そんなときにジェラールとは反対側のゲートからシオンがやって来た。

「出てきたな、“白の剣士”」

ジェラールはシオンの姿を見るとニヤリと口角をあげる。

「アンタとやりあえるのをずっと待ってたんだ。楽しませてくれよな」

「そうかい、なら期待に添えるように善処しよう」

シオンは剣を抜きながら答える。二人の間にはカウントダウンが表示される。
刻々と迫るその時間はシオンの頭の中を切り替える。

「さあ、始めようか」

カウントが0になり、先に動き出したのはジェラールだった。シオンに向かって剣を振り下ろし、シオンはそれを受け止める。

「いけない!」

「遅ェ!!デスアイズ!」

ジェラールの両眼は黒紫色に鈍く光る。これがエリーシャの動きが一瞬止まった原因でもある。
このデスアイズに睨まれたものはその動きを封じられる。しかしその姿は他人には見えず、認識ができないのだ。

「だから、俺たちにはなにも分からなかった・・・」

「分かったところでもう遅いんだよ!!」

「シオン!!」

ジェラールはシオンに剣を振り下ろす、誰もがその剣を止められないと思った。
しかし───

「そうか、ならばその領域を越えるまでだ」

シオンの剣がジェラールの一撃を防いだのだ。
ジェラールはワンテンポ遅れるようにして驚愕する。

「なん、だと!?」

「俺の“餓え”はお前の眼を越える」

「そんなバカな!?デスアイズが効かないなんて、そんなこと・・・」

「確かにお前の能力はスゲーよ。感覚の殆どをシャットアウトする魔眼、剣で受けても間接的に餌食となる。なら、対処法は二つ」

シオンはジェラールが驚く中、更に続ける。

「一つ、間接的に餌食となるならはじめから接触せず遠距離から攻める、だがこれは広い場所に有効なだけで、このフィールドではいずれは接触することになる。なら、二つ目はなにか。それは・・・」

「まさか、お前・・・」

シオンはニヤリと笑い、とんでもないことを言った。

「そう、はじめからほぼ全ての感覚を切ればいい(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

「そんなこと、不可能だ!」

「確かに無理だな、システムを書き換えない限りそんな芸当は出来ない。だが、それを擬似的に行うことはできる」

「擬似的に、だと?」

「ああ、この世界に普通にある魔法。“幻惑魔法”ならな」

シオンの作戦、それは自らに幻惑魔法をかけはじめから全ての感覚を切って僅かな聴覚だけを残し、対応するという。原始的なものだった。

「なら、どうしてお前は動けるんだ?感覚を鈍らせたところで、動けるわけが」

「こんな中途半端な拘束、向こうの裏ボスに比べたら大したことねーんだよ」 

シオンはSAOで戦った《The DoomMssenger》(16話参照)を思い出す。あれに比べれば今の拘束は可愛いものである。

「だが、感覚を切って俺の動きが・・・!」

「見えるさ」

シオンは剣をジェラールに向け、言う。

「生憎、今の俺の間合いはこのフィールド全てだ。簡単には斬らせねーよ」

「ク、ハハハッ!面白い!!」

ジェラールは刀を構える。

「行くぞ、お前の剣見せてもらうぞ!!」

「ああ、本気で来い!俺もそれに答えよう!!」

ジェラールは再びシオンに接近する。そのスピードは先程の比ではなかった。

「ハァアアアアアッ!!!」

ジェラールの刃が重くのし掛かる。シオンはすぐさまそれを剣で受け流し相殺する。

「流石は決勝に上がってきただけはあるな!」

「お前もな!!」

激しい剣と剣のぶつかり合い、その光景に誰もが興奮した。
火花を散らす二人の顔は───

「二人とも、笑ってる・・・」

「まったくあんなに楽しそうにやるとは、こっちまでウズウズするしてくるよ・・・」

二人の顔を見てエリーシャは目が離せなくなった。誰もが思う、この光景が終わってほしくないと。
しかし、戦いはいつかは終わらせなくてはならない。

「ハァ、ハァ、そろそろ、終わらせないとな・・・」

「ハァ、ハァ、そう、だな・・・」

シオンとジェラールは睨み合いながら剣を構える。
そして同時に踏み込んだ二人は渾身の力を込める。

「ハァアアアアッ!!!」

「ウォオオオオッ!!!」

刃が衝突した瞬間、同時にフィールド一体が土煙に包まれた。辺りは衝突によって生まれた衝撃波が駆け巡る。

「ど、どっちが勝ったの?」

「おい、あれ!!」

土煙の中には二つの影、両者ともに倒れずに天を仰いでいた。
煙が晴れるとスクリーンに二人のHPゲージが映る、そこに映っていたのは僅差で片側のHPがレッドゾーンに入っていた状態だった。

「当主選定戦、決勝、優勝者は・・・」

煙の中にいる勝者はゆっくりと拳をかかげた。
そこで拳を掲げていたのは───

「悪いな、勝たせてもらったぞ・・・!」

「“白き流星”、シオン!」

勝者のコールがでた瞬間、観客席はスタンディングオベーションで歓喜した。
これはシオンが勝ったというよりは、これほどの熱い戦いをしてくれた二人に対する感謝のものだろう。
シオンはジェラールに手をさしのべる。

「なかなか、楽しかったぜジェラール」

「俺もだよ、久々だこんなに熱くなったのは」

固い握手を交わす二人に会場は拍手に包まれた───

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

選定戦から二週間、俺は書類の処理におわれていた。

「これで、ラスト!」

俺は最後の書類に判を押すと、大きく伸びをした。

「お疲れ様、こっちも丁度終わったよ~」

エリーも終わり伸びをする。
今回の選定戦を終えて始めたのはまず法の制定だった。最低限のことをしておかなくてはと前から思っていたのですぐに行動に移った。
しかしその内容に関しては以前から考えていた。

「さて、キリトたちの所に行くか!」

「うん!」

俺とエリーは席を立ち、書斎を後にする。“誓約”という法を定めて───

一、領土内で他種族との如何(いか)なる不正、争いを禁ずる。(逆も同様)

二、決闘は両者が納得した上で行う。

三、意見、報告があるものは領主又は秘書を通すこと。もしくは目安箱に投書すること。

四、これを犯した者は、内容次第で厳正なる審査により裁かれる。

そして最後にこう書かれていた。





















五、みんなルールを守って楽しく過ごしましょう!

PS:現実でもルールは守りましょう♪ 
 

 
後書き
はい!領主選定戦、完結です!!
エリーシャとの決勝でもよかったんですけど、他の強者を出しても良いと思ったのでこんな感じになりました。
貴重なキレたシュタイナー、いかがだったでしょうか?

コメント待ってます!!
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ 
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