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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四話 三人目の人はその六

 僕は女の子の中でその顔立ちと背の高さで目立っている小夜子さんにだ、こう言ったのだった。
「服は」
「はい、体育の時は」
「ジャージなんだ」
「そうしています」
「やっぱり日本の服だとね」
 所謂和服ではだった。
「難しいよね」
「はい、ですから」
「体育の時はなんだ」
「こうしてです」
 ジャージだというのだ。
「着ています」
「そうなんだ、わかったよ」
「ねえ、小林さんってね」
 今も小夜子さんの周りにいる女子バスケ部の娘達の中から一人の元気のよさそうな娘がだった、僕に笑ってこんなことを言って来た。
「凄いのよ」
「凄いって?」
「スタイルがよ」
 その話をだ、僕にしてきた。
「もうモデル並だから」
「そうそう、もう凄いのよ」
「脚なんかとても長くて」
「全体的に整っててね」
「本当にモデルみたいだから」
「凄いんだから」
 他の娘達も笑って僕に言って来る。
「まあそれが見えないことはね」
「男の子に生まれて残念だったわね」
「眼福だったわよ、眼福」
「女冥利に尽きるわ」
「あのさ、君達って」
 僕は女の子達の心から嬉しそうな言葉にだ、首を傾げさせて返した。
「そっちの趣味ないよね」
「ないわよ、そういうのは」
「私彼氏いるしね」
「私も」
「私もよ」
 どうやら殆ど皆彼氏持ちらしい、そっちでも青春を楽しんでいるみたいだ。
 けれどだ、このことにはそれはそれこれはこれといった口調でだ、僕に言って来るのだった。
「けれどね」
「見ていいものはいいのよ」
「女の子って女の子同士でも結構見るから」
「それで楽しむから」
「そうなんだ」
 何かよくわからない話だった、僕にとっては。
 それで首を傾げているとだ、当の小夜子さんが気恥かしそうに女の子に言った。
「あの、そういう話は」
「あっ、御免なさい」
「小林さんこういうお話苦手なのね」
「そうなので」
「申し訳ありませんが」
 こう女の子達に言うのだった。
「遠慮して頂ければ」
「わかったわ、それじゃあね」
「もう二度と言わないから」
「けれど部室の扉は開けておくからね」
「何時でも来てね」
 ちゃっかりとこのことを言うことは忘れない、そうした話をしているうちにだ。
 女子バスケ部の娘達は急にだ、こんなことを言い出した。
「喉渇かない?」
「あっ、確かにね」
「近くに水飲み場あるから」
「そうじゃ、そこに行ってね」
「飲もう」
 ここで小夜子さんにちらりと顔を向けたがだった、小夜子さんは優しく気品のある笑顔で彼女達にこう答えた。
「私は喉は渇いていませんので」
「じゃあ私達だけでね」
「行って来るわね」
「はい」
 小夜子さんに見送られる形でだった、女の子達は小夜子さんに手を振って僕にもまたねと明るく言ってだった。 
 水を飲みに言った、僕は二人きりになったところでまた小夜子さんに言った。
「皆騒がしいけれどいい娘だから」
「はい、とても親切な方々ですね」
「ちょっと馴れ馴れしいだけだからね」
 こう言ってフォローをした。 
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