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『自分:第1章』

作者:零那
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『兄/養父』

帰ったら兄ちゃんが来てた。
車で3分位の所に住んでる。

『おまえは何処をフラフラしよんぞ!!』

怒られた。

コインランドリー連れて行かれて、洗濯物畳むのを手伝わされた。

兄ちゃんと2人きりで沈黙は、極度の緊張状態に陥る。


兄ちゃんは、養父との事を身近で、目の前で、見てきてるし知ってる。
その上で、養父を責めたことが無い。
むしろ、おもしろがってた。
やられる方が悪いって。
助けてくれたことも勿論無い。
そんな考えの、血の繋がった兄。
人間として、男として、恐怖の存在でしかなかった。


父さんのことがすっごく大好きな零那。
それも兄ちゃんに嫌われる原因のひとつ。
兄ちゃんは父さんが大っ嫌い。

あの時、父さんを殺そうとして包丁を握ってた兄ちゃんは11歳。

兄ちゃんは、零那の知らん父さんを知ってる。
当然やけど。
5こ上の兄ちゃんは、零那が知る由も無い父さんの実態を知ってる。
それが例えどんな父さんで在っても、零那の気持ちに揺らぎは生じん。
だからこそ、兄ちゃんも零那を目の敵にしてきた。



帰り道、養父を見かけた。
車の中から。
過呼吸から呼吸困難になるまですぐだった。
次もし見たら殺すとか言ってたくせに情けない。

心停止なったけど、また生き返らされた。
そのまま逝かせてくれたらえぇのにな。

魂はたぶん暫く彷徨ってた。
その間に夢を見た。

養父が目の前に現れ、額の真ん中に銃口を突きつけた零那。
綺麗に撃ち殺した。
現実なら良かったのに。
堂々とムショ入るし。


兄ちゃんは、養父から受けた虐待は勿論、レィプすら、大したこと無いと言ってた。

『嫌なら逃げれば良かった。受け入れたおまえが悪い。』って言ってた。
保護された後に。
あまりにも酷い言葉で、何も言い返すことは出来んかった。


何回も逃げたよ?
泣き喚いて嫌って叫んだよ?
どんだけチカラ振り絞っても振り払うことが出来んかったよ?
それでも、それでも...
零那が悪い...?


『俺も男やし解らんわけでも無い。』
恐いよ、そのセリフ。
聞きたくなかった。
兄で居て欲しく無かった。


養父を庇う兄の心理が理解できんかった。
零那が責められなあかん理由が理解できんかった。


まぁでも、こんな汚い躰でも金に換えることが出来る。
生きる術になる。
そぉ割り切れる様な人間になったことは感謝する。

レィプが無ければ、零那は絶対誰ともSexする事は無かった。
母さんを見て、そぉ決めてた。

 
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