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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  77話:コールオブアラート いざ初出動へ!

 
前書き
 
前回から約一週間での更新です。

後若干訂正を。
少し前の話で、士の事を『陸のエースオブエース』としていましたが、『陸のエースの一人』に訂正しました。実は上がいるんですよ。
  

 
 




「ふぁ~あ……眠ぃ…」
「おい士、何締まりのない顔をしてるんだよ。まだ朝だぞ?」
「朝だからだろ?」

片手で入力しながら、もう一方で頭を掻きながら二回目の欠伸をする。一回目は注意してきたヴィータも、今度は呆れて何も言わなかった。
まぁ書類の方も後少しで終わりそうだし、この後は仕事が来ない限りやることはない訳で。

「しっかし…片手で仕事やるなんて、何処で覚えたんだ?」
「片手でやるのを覚えた、というより両手で二つの事をやるのができるようになった、という感じかな」

陸上特殊対策部隊だと、一人で色々な事をこなさないといけない時が多々あったからな。ある意味慣れでもある。

「んで、ここで両手でやれば……はい、終了」
「はやっ!」
「これで今は俺の手元に仕事がなくなった訳で…一旦休憩入るな~」
「お、おぅ…」

じゃ~な~、と手を振りつつデスクから離れていく。ヴィータは感心と呆れが半々の気分で、その遠ざかる背中を見送った。










一旦外の空気を吸おうと思い歩いていると、その途中で階段座るエリオの姿があった。

「エリオ、それにフリードも」
「あ、士さん」
「キュクル~」

エリオが一人でいる状況を見るに……

「三人はまだシャワーか?」
「そうみたいです。結構経つんですけど…」
「まぁ女子の風呂は長いっていうからな」

そう言いながら俺はエリオの隣に座る。それにしても、出会った当初なんかより、かなり大きくなってるな~。いや、当たり前か。
じっと眺めながらそう思い、エリオの頭をポンポンと頭を叩いてみる。

「いっ、な、何するんですか!?」
「いや~、でかくなったな~、と思って」
「そ、そりゃあ六年ぐらい経ってるんですから当たり前ですよ!だから撫でないでください!」

と言われてもな~、なんか撫でたくなったから撫でてるんだがな~。
エリオの髪型が乱れるぐらいに撫でていると、後ろの方から人の気配がした。

「エリオお待たせ~……って、士さん?」
「お~、お疲れさんティアナ。他の二人は?」
「私だけ早めに出てきました。でもすぐ来ると思いますよ」
「そうか」

地上部隊の制服に着替えたティアナに、顔だけ向けて言葉を交わす。

「……あの」
「ん~?」
「一つ聞きたいことがあるんですが…」

真剣な表情をして聞いてくるティアナを見て、俺はエリオの頭から手を離してティアナへ体の正面を向ける。

「あの時―――士さんとの模擬戦の時に、私の魔法で見えなかった筈なのに…」
「魔力弾を弾いたり、スバルの動きに合わせた対応をしてたのが、気になるか?」
「は、はい……少なくともなのはさんとの模擬戦中、サーチャーとかでバレた事はなかったんです」
「なるほど。確かにお前の〝オプティックハイド〟はサーチャーとかじゃバレねぇな」

でもその魔法には、いくつかの弱点がある。
そう言ってティアナの顔の前で、指を一本立てる。

「まず一つ。これは自身以外の対象は触れなければならない事」
「はい、それはわかってます。そう言う魔法ですから」
「あぁ。まぁこれはお前の質問の答えじゃないから、あまり気にしなくていいんだが、その事実が知られている事で色々な予想がされやすいというのは、頭に入れとけ」

そして二つ目。と言って二本目の指を立てる。

「この魔法は対象者を不可視の状態にして、レーダーやサーチャーでは察知されない、という点だな」
「? それが一番の長所……というかそういう魔法ですよ?」
「あぁ、その通りだ。だが、結局は〝それだけ〟だ」

俺の言葉に眉を寄せるティアナ。

「それだけ、というのは?」
「端的に言えば、『そこに人がいる』という〝事実〟は消せないんだ」
「は、はぁ…」
「となれば、後はそこにある〝人の気配〟を感じ取って動けばいい。そんなとこだ」

それを聞いたティアナは驚いたように目を丸くした。

「そ、そんな事できるんですか?」
「いや、誰もができる訳じゃない。現に俺自身全部わかる訳じゃないしな」

あはは、と誤魔化すように笑うが、ティアナは「そこの話を詳しく!」とさらに首を突っ込んでくる。

「じ、実は生まれ故郷の世界で色々やってな。人の気配を感じられるんだ。ま、その方法を教えてくれた人よりも感じられる範囲は狭いし、感じるまでに時間はかかるし……」
「もしかして、目を瞑ってるのもですか?」
「あぁ、あんな風に意識を集中させないと、できなくってな。ま、例えば……」

そう言って目を瞑って、気配を探る。さっきティアナが曲がってきた道の先に…気配が二つ。

「約100から200メートルの間に、たぶんスバルとキャロが来てる」
「え…?」

目を開いて言った言葉を、ティアナは確認するように曲がり角から顔を出した。

「ほ、ほんとだ……魔力なしでこんな事できるの、凄いですね!」
「いや、こんなのできる奴なんか、管理局の中じゃ一人しかいないよ」

しかもその一人が……〝あの人〟だもんな~。

「…あの、その一人って―――」
「あ、ティア~!お待たせ~!」
「お待たせしました~…って、士さん」
「お疲れさんスバル、キャロ」

そこへ丁度到着したスバルとキャロ。これで全員が揃った訳だ。

「そう言えば、お前らこれからどうすんだ?」
「私達はこれから新しいデバイスをもらいに行くんです!」
「あぁ、例のアレか。もうできたのか」

そろそろだとは聞いていたけど、もうできたか。さすがは、はやての選び抜いたメカニックスタッフやレイジングハート達だな。

「それじゃあ、俺もついて行くか。いい?」
「勿論です!」
「あ、ティアナ。さっき何か言いかけてたけど……」
「…何でもないです。行きましょう」

ん~?ま、いいか。
























「あ~、これが…!」
「アタシ達の…新デバイス、ですか?」

スバルとティアナの前にある台に浮かぶのは、少し大きめの青いクリスタルが付けられたネックレスと、中心に宝石を埋め込んだカード。
これらがそれぞれ、スバルとティアナの新しいデバイスだ。

「そうで~す!設計主任、私。協力、なのはさんとフェイトさん、レイジングハートさんとリイン曹長」
「はぁ…」

四機のデバイスの設計をしたシャーリー。そのデバイス制作に協力してくれた面々の名前の大きさに、ティアナは思わず溜息のような言葉が出てしまう。
その後ろで、別の台を前にしているのは、エリオとキャロ。目の前で浮かんでいるのは、一見前と変わりのない二つのデバイス。

「ストラーダとケリュケイオンは変化なし、かな?」
「うん、そうなのかな?」
「んにゃ、そうでもないんだろ?リイン」
「その通りです!」
「リインさん!」

はいです!と飛んできたリインは、エリオの頭上にやってきて自慢げに言う。というか、靴履いた状態で人の頭に来るのは、止めといた方がいいぞ?

「変化なしは外見だけですよ!二人はちゃんとしたデバイスの使用経験がなかったですから、感触に慣れる為に基礎フレームと最低限の機能だけで渡してたです」
「あ、あれで最低限!?」
「ほんとに…!?」
「皆が扱うことになる四機は、六課の前線メンバーとメカニックスタッフが、経験の粋を集めて完成させた最新型!」

リインの言葉に、驚きで目を見開くエリオとキャロ。リインは指を立てながら言うと、四人の中心に来るように飛んでいく。

「部隊の目的に合わせて…そしてエリオやキャロ、スバルにティア、それぞれの個性に合わせて作られた、文句なしに最高の機体です!この子達はまだ生まれたばかりですが、色んな人の願いや想いが込められてて、いっぱい時間をかけてやっと完成したです」

四機のデバイスを浮かべながら、リインは説明を続ける。そして側まで浮かせたデバイスを、それぞれのマスターとなる四人の手元に送る。

「ただの武器や道具だと思わないで、大切に…だけど性能の限界まで思いっきり全開で使ってあげて欲しいです!」
「うん。この子達もね、きっとそれを望んでるから」
「―――ごめんごめん、お待たせ!」

そこへ扉を開けて入ってきたのは、なのはだった。それを見たリインは「なのはさ~ん!」と言って飛んでいく。

「ナイスタイミングです。丁度これから、機能説明をしようかと」
「そう。もうすぐに使える状態なんだよね?」
「はい!」

するとシャーリーは、目の前に複数のモニターを表示する。そこには新しい四機のデバイスが映っていた。

「まず、その子達皆、何段階かに分けて出力リミッターを掛けてるのね。一番最初の段階だと、そんなにびっくりする程パワーが出る訳じゃないから、まずはそれで扱い方を覚えていって」
「で、各自が今の出力を扱い切れるようになったと思ったら、私やフェイト隊長や士君、リインやシャーリーの判断で解除してくから」
「丁度、一緒にレベルアップしていくような感じですね」

ふぁ~あ……ってやべ、欠伸しちまった。しゃべる事がないから、暇になっちまう。

「あ、出力リミッターっていうと…なのはさん達にも掛かってますよね?」
「あ~、私達はデバイスだけじゃなくて、本人にもだけどね」
「えぇ!?」
「リミッターがですか!?」
「〝能力限定〟って言ってね、うちの隊長と副隊長は皆だよ。私とフェイト隊長、シグナム副隊長とヴィータ副隊長」
「はやてちゃんもですね」
「うん」

二人の言葉を聞いて、色々考え始めるフォワード陣。まぁティアナはわかるだろうが、

「部隊ごとに保有できる魔導士ランクの総計規模が決まってるのは、わかるよな?」
「は、はい!」
「なのはやフェイトのような優秀な魔導士を一纏めに保有する為には、うまく収まるように出力リミッターを掛けて調節するんだ。六課の場合ははやてが六、なのは達隊長陣が二つのランクダウン…だったよな」
「うん、そうだよ」

なのはは元々S+で、収まりがいいように2.5ランクダウンでAAにしている。はやてに至ってはSSからAランクまで、4ランク下げている始末だ。

「因みに…士さんは?」
「俺か?俺はこの状態ではAランクぐらいの魔力しか使えないんだ。だからリミッターの意味はない」
「そ、そうなんですか?」
「それでもあんな風な戦いができるなんて…」
「ま、鍛えているからな」

胸を張り、自慢げに聞いてきたエリオに言う。

「隊長さんや士さんははやてちゃんの、はやてちゃんは直接の上司のカリムさんか、部隊の監査役クロノ提督の許可がないとリミッター解除ができないですし…許可は滅多な事がない限りできないそうです」
「そうだったんですね…」
「ま、俺達が全力で戦えない分、お前達に頑張ってもらわないといけない訳だ」

俺の一言に、えぇ~!と四人が声を上げる。

「士君!」
「余計な事言わないでくださいよ!」
「うっせぇな!事実だろうが!」
「だとしても言っていい事と悪い事があります!」
「しゃ、シャーリーまで…!」

だぁ~もう!分かった分かった!

「まぁ現場には必ず俺もいるし、なのはやフェイトと一緒に戦う事もあるから、心配すんな」
「は、はい…」
「なんか怖くなってきた…」

心配すんなって言ってるだろ~?

「まぁ、隊長達の話は心の片隅ぐらいでいいよ。士君の言ったことだって、他人事だと思えばいいよ」
「他人事って…」
「今は皆のデバイスの事です!」
「新型も皆の訓練データを基準に調整してるから、いきなり使っても違和感はないと思うんだけどね」

展開したモニターを軽く操作しながら、シャーリーはそう言った。

「午後の訓練の時にでも、微調整しようか」
「遠隔調整もできますから、手間はほとんど掛からないと思いますよ」
「ふぅ…便利だよね最近は」
「便利です♪」

まぁなのはのレイジングハートだって、あれから色々弄ったらしいし、そういう事もできるんじゃねぇのかな?
その後、シャーリーからスバル達のデバイス四機について、それぞれ説明された。フォワード四人はその説明を真剣な表情で聞いていた。

その時だ。デバイスルームにあるモニター全部に、ミッド語で『ALERT』の文字が現れ、同時に警戒音が鳴り響いた。

「このアラートって…!」
「一級警戒態勢!?」
「グリフィス君!」

なのはが叫ぶと、モニターの一個にグリフィスの姿が映った。表情から見るに、こいつも少し緊張しているようだが……

『はい!協会本部から出動要請です!』
『なのは隊長、フェイト隊長、士副部隊長、グリフィス君!こちらはやて!』

グリフィスの映るモニターの隣に、今度は聖王協会に行っているはやての姿が出てくる。

はやてからの話だと、協会騎士団の調査部で調査していたレリックらしき物が、エーリムの山岳地帯のリニアレーンでガジェットの襲撃を受けているらしい。しかもリニアごと、移動中にも関わらず、だ。
ガジェットは内部にも侵入して、リニアを暴走させてる。内部には最低30、未確認の飛行型や大型のガジェットも出ているかもしれない、という事だ。

「いきなりハードだな、初出動にしては」
『そうかもしれへん。なのはちゃん、フェイトちゃん、士君。行けるか?』
「もちのろん!」
『私はいつでも!』
「私も!」

『スバル、ティアナ、エリオ、キャロ!皆もOKか?』
「「「「はいっ!」」」」
『よし、いいお返事や。シフトはA-3、グリフィス君は隊舎での指揮、リインは現場管制。なのはちゃん、フェイトちゃん、士君は現場指揮や!』
「「『うん(おう)!』」」

すると画面の向こうで、はやてが立ち上がる。

『そんなら……機動六課フォワード部隊、出動!」
「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」
『了解。皆は先行して、私もすぐに追いかける!』
「なるたけ早く頼むぜ」
『任せて!』

よし、と呟いて、俺は後ろへ振り向く。そこには四人のフォワード、隣には『エース・オブ・エース』と呼ばれる昔馴染み。

「さて、そういう事だ。これからは実践だ、気を抜くなよ」
「「「「はいっ!」」」」
「それじゃあ―――行くぞ、お前ら」

そう言い残し、俺達はデバイスルームの外に出る。目指すのは六課の屋上ヘリポート。そこから六課のヘリパイロットのヴァイスの操縦で現場に向かうことになる。

さぁ、初出動だ。




  
 

 
後書き
 
いや~、原作がある分早く書けますね。少し地の文に困りますが。
次回の更新も未定です。まぁ今度は二週間ぐらい掛かるかと思います。多分。

最後に、『鎧武』の個人的感想を。これから先はネタバレになると思うので、見たくない人は別のとこへ。








最終決戦は無難に絋汰勝利で終わりましたが、その後が結構予想外でしたね。
黄金の果実食べちゃったり、いきなりイメチェンなんかしちゃったり、宇宙に行っちゃったり……というか、メロン兄さん生きてた!今回そこが一番の驚きですよ!

そして邪武。劇場版か最終回か、って噂だったけど最終回に持ってきましたね。今年の冬の劇場版はどうするんでしょうかね。かなり気になります(泣)
取りあえずドライブは予告から凄い(可笑しい)ですよね。『このライダー、ドライバー』って……まぁ楽しみにしているのは特撮ファン―――しいてはライダーファンの性ってやつですかね。

とにかく、今は鎧武の劇場版が一番気になってる作者でした。感想などよろしくお願いします!
  
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