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妖精の義兄妹の絆

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聞こえている!

たったったったっ

古代都市の中をしばらく走っていたタクヤたち。すると、前方に二つの人影が見えてきた。
「あれって…。」
「ジェラール!!」
「エルザも一緒よ。」
そこにいたのはミッドナイトとの戦いを終えたエルザとジェラールだった。
「ウェンディ、タクヤ。無事だったか。」
「君たちは…!?」
「!?」
ウェンディはジェラールの様子がおかしい事に直感的に気付いた。
(「やっぱり、私の事…。」)
ウェンディの沈んだ顔を見て、エルザが補足説明をした。
「ジェラールは記憶が混乱している…。私の事も君の事も憶えていないらしい。」
「オレの知り合い…だったのか?」
「え?」
エルザに説明され、ようやく理解出来たようだ。
(「記憶…!?そっか、それで…。」)
「もしかしてアンタ、ニルヴァーナの止め方まで忘れてんじゃないでしょうね!!!」
ジェラールはシャルルの言葉に肩をすくめて言った。
「もはや、自立崩壊魔方陣も効かない。これ以上打つ手がないんだ。すまない。」
「そんな…。」
「それじゃ私たちのギルドはどうなるのよ!!!!もう…すぐそこにあるのよ!!!!」
シャルルはジェラールに食って掛かるがジェラールはすまないとしか口にしなかった。
「シャルル…。」
タクヤがシャルルをジェラールから引き剥がした。
「ちょっと!!!何すんのよ!!!!」
「ジェラールも必死に止め方を見つけようとしてたんだ。分かってやれ。」
「!…。」
その時だった。

ゴゴゴゴ…

「何だ?」

ゴゴゴゴ

「何の音ですか?」

コォォオォオォオオ キィィィィン

「マスタ~。」
「ひえ~。」
「ここまでだ…。」
「ううう…。」
ニルヴァーナの砲台が化猫の宿に向き、エネルギーを貯めている。
ギルドのメンバーはマスターであるローバウルに引っ付いていた。
みんなの顔からは恐怖や絶望といった負の感情が出ている。だが、ローバウルだけは平静を保っていた。
「何をうろたえておる。これがワシ等の運命。なぶら重き罪の制裁。」
そして…













「善意よ、滅びるがいいーー!!!!」








ニルヴァーナにエネルギーが貯まりきった。
「まさか、ニルヴァーナを撃つのか!!?」
「やめてぇーー!!!!」

カッ

眩い光が辺りを照らす。それは希望の光などではない。この世の負の感情が凝縮された破滅の光だ。
それが今、化猫の宿に放たれた。

ズドォオン

爆音と共にゼロの高らかな笑い声が混じり合う。
だが、

ゴッ

ニルヴァーナは微かにギルドの屋根をかすったのだ。
「何!?」
ゼロはニルヴァーナが外れた事に驚く。照準は完璧だったハズだ。どこかでミスを犯したのか。外れる訳がない。
そんな言葉がゼロの頭の中で駆け巡っていた。
その時だった。

ズドォォォン

ニルヴァーナの足に飛来物が降りてきた。
「きゃっ。」
「くっ。」
エルザがバランスを崩したウェンディを掴み、タクヤはジェラールを掴んだ。
「大丈夫か?」
「何が…。」
タクヤたちも何が起きたのか分からなかった。
ニルヴァーナは化猫の宿に命中したのか、ギルドのみんなは無事なのか、
そればかりがタクヤたちの頭に浮かび上がる。
違うところでは一夜が腕と足を縛られたまま転がっていた。
「ニルヴァーナの足が…!!?何事だ!!?」
ゼロにも状況が把握できていないらしい。エルザは上空を見上げ、あるものを見つけた。
「あれは…












魔導爆撃艇天馬“クリスティーナ”!!!!」
そこにあったのは墜落したハズの天馬だった。所々損傷しているが、補強されているようだ。
『聞こえるかい!?誰か…無事なら返事をしてくれ!!!!』
タクヤたちの頭の中に直接呼び掛けたのは青い天馬のヒビキだった。
「ヒビキか?」
「わぁ。」
『エルザさん?タクヤくんとウェンディちゃんも無事なんだね。』
ヒビキはモニターにエルザ、タクヤ、ウェンディのアイコンが表示されたのを確認した。
「私も一応無事だぞ。」
『先輩!!よかった!!』
タクヤたちと別行動していた一夜の確認もした。
「どうなっている?クリスティーナは確か撃墜されて。」
『壊れた翼をリオンくんの魔法で補い、
シェリーさんの人形撃とレンの空気魔法“エアマジック”で浮かしているんだ。』

ビキビキ

「こんな大きいもの…操った事ありませんわ。」

ウォォン

「お、重たくなんかねぇからな。」
二人は残り少ない魔力でクリスティーナを飛ばしているようだ。
『さっきの一撃はイブの雪魔法さ。』
「あんたたち…。」
『クリスティーナの本来持ってる魔導弾と融合させたんだよ…。だけど…足の一本すら壊せないや。』
確かに、先程の強力な魔導弾でもニルヴァーナにはかすり傷程度で済んでいるのだ。
『それに…今ので…もう、魔力が…。』

がくっ

「ありがとう、みんな…。」
ウェンディは涙を浮かべながら、みんなに礼を言った。
『聞いての通り、僕たちはすでに魔力の限界だ。もう船からの攻撃はできない。』

ガクン ガクン

クリスティーナが急に高度を落としていく。
「クリスティーナが!!!」
「落ちますよ!!!」
船体を浮かばせていたシェリーとレンに限界が来たためだ。

がくっ

「ご、ごめんなさい…ですわ…。もう…。」
「シェリー!!!」
レンは倒れそうなシェリーを咄嗟に抱えた。
「おまえ…がんばりすぎだよ。」
レンも魔力が尽きているにシェリーを優しく声をかける。そんなレンにシェリーは惹かれていった。
『僕たちのことはいい!!!!最後にこれだけ聞いてくれ!!!!
時間がかかったけど、ようやく古文書の中から見つけたんだ!!!!












ニルヴァーナを止める方法を!!!!』
「本当か!?」
『ニルヴァーナに足のようなものが6本あるだろう?
その足…実は、大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。
その魔力供給を制御する魔水晶“ラクリマ”が各足の付け根付近にある。
さらに、それら全てを司っている巨大魔水晶があるんだ。
その七つを同時に破壊する事でニルヴァーナの全機能が停止する。
一つずつではダメだ!!!他の魔水晶が破損部分を修復してしまう。』
「同時にって、どうやって!?」
タクヤがヒビキを問いただす。
『僕がタイミングを計ってあげたいけど、もう…念話がもちそうにない。』

ズガガガガ

『くう!!』
ついに、クリスティーナは滑るように地上に墜落した。
「ヒビキさん!!」
「ヒビキ!!」
『君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!!信じてるよ。』

ピコーン

ちょうどその時、タクヤたちの頭にタイミングの情報と地図が入ってきた。
「20分!?」
『次のニルヴァーナが装填完了する直前だよ。』

ビビっ

その時、ヒビキとの念話にノイズが走った。
『無駄な事を…。』
「!!!」
「誰だ!!?」
「この声…。」
「ブレインって奴だっ!!!」
『僕の念話を“ジャック”したのか!!?』
ゼロはそんな事はかまいもせずに淡々と話を始める。
『オレはゼロ。六魔将軍のマスターゼロだ。』
「六魔将軍のマスターだと!?」
『まずはほめてやろう。まさか、ブレインと同じ古文書を使える者がいたとはな…。』
(「なるほど…、古文書の中でニルヴァーナの存在を知ったのか。」)
ヒビキはあくまで冷静にゼロの話を聞く。
そして、ゼロは高らかに宣言した。
『聞くがいい!!光の魔導士よ!!!オレはこれより全てのものを破壊する!!!!
手始めに仲間を3人破壊した。滅竜魔導士に氷の造形魔導士、星霊魔導士、それと猫もか。』
『ナツくんたちが…!?』

ビビッ

『それと碧髪の滅竜魔導士とメスネコもだ。』
「「!!!」」
「てめぇ…!!!!」
タクヤは怒りを露にした。
『おや?なんだ、生きてたのか。オレの名はランスだ。改めてよろしくな。』
「てめぇ!!!どこにいやがる!!!!出てきやがれ!!!!ぐっ。」
タクヤはヒビキの念話越しにランスに叫んだ。
「お兄ちゃん!!!傷口が…!!!」
「ぐぐぐ…!!!!」
『オレは今、ニルヴァーナの心臓にいる。来るなら来いよ。そん時はちゃんと殺してやるからよ。』

ブツッ

『念話が強制的に切られた…。』
『ったく、勝手な奴だ。まぁいい…。てめぇらは魔水晶を同時に破壊するとか言ったなァ?
オレらは今、その七つの魔水晶のどれか二つの前にいる。
ワハハハハ!!!!オレらがいるかぎり同時には壊す事は不可能だ!!!!』

ビィィン

『ゼロとも念話が切れた…。ハァハァ』
エルザは微かに震えている。それは恐怖から来るものではなかった。仲間がやられた。
それだけでエルザの心の中で怒りの炎がメラメラと燃えていた。
(「ゼロとランスに当たる確率は2/7。しかも、エルザ以外では勝負にならんと見た方がいいか。」)
「待って!!!」
その時、シャルルはある事に気付いた。
「7人も…いない…!?魔水晶を壊せる魔導士が7人もいないわ!!!!」
「わ、私…破壊の魔法は使えません…。ごめんなさい…。」
「!!?こっちは3人だ。他に動ける者はいないのか!!?」
エルザがヒビキの念話を介してみんなに呼び掛けた。すると、一人の男が答えた。
「私がいるではないか。縛られてるが…。」
「一夜!!!」
「これで4人!!!」
『まずい…。もう、僕の魔力が…念話が…切れ…。ハァハァ』
ヒビキの魔力も限界が近づいている。さらにエルザは呼び掛けた。
「あと3人だ!!!誰か返事をしろー!!?」
「グレイ…。立ち上がれ…。おまえは誇り高きウルの弟子だ。こんな奴等に負けるんじゃない。」
リオンはグレイを呼び掛ける。
「私、ルーシィなんて大嫌い…。ちょっとかわいいからって調子にのっちゃってさ。
バカでドジで弱っちぃくせに…いつも、いつも一生懸命になっちゃってさ…。
死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ。」
シェリーはルーシィを呼び掛ける。
「ナツさん…。」
「オスネコ…。」
「ナツ…。」
『ナツくん…。』
ウェンディたちはナツとハッピーを呼び掛ける。
『僕たちの、声が…。』
そして、























「聞こえてる!!!!」
ナツが返事を返した。




















「ハァ-ハァ-ハァー聞こえてる。」
「ナツ…。お前…。」
「7コの魔水晶を…同時に…壊…す…。」
さらにグレイも。
「運がいい奴はついでにゼロとランスも殴れる…。ハァーハァーでしょ?」
ルーシィも壁に寄りかかりながら返事を返す。
「あと18分。急がなきゃ…。シャルルたちのギルドを守るんだ。」
そして、ハッピーも返事を返す。
『も、もうすぐ念話が…切れる…。頭の中に僕が送った地図がある…。
各、魔水晶…そして、心臓に番号を、つけた。全員がバラけるように、決めて…。』
「1だ!!!!」
「2。」
「3に行く!!ゼロがいませんように。」
ルーシィは小声でそう言ったが、さっきまでと言ってる事が違う気がするがそこをつっこんでる余裕はない。
「私は4に行こう!!!ここから一番近いと香りが教えている。」
「教えているのは地図だ。」
エルザは表情を変えずに一夜につっこんだ。
「そんなマジでつっこまなくても…。」
「なら私は心臓に、」

ガシッ

「!!」
エルザが言おうとするのをタクヤはすかさず止めた。
「心臓にはオレが行く。エルザは5に行ってくれ。」
「だが、その体でどうやって…。」
「アイツには借りがある。それに大丈夫だ…。いざって時には、」
「ダメだよ!!!!」
タクヤが何か言おうとしているのをウェンディが途中で区切った。
「アレは使っちゃダメだってマスターに言われてるでしょ!!!!」
だが、タクヤは振り向かずエルザに頼み込む。
「頼む!!!」
「…わかった。だが、無茶だけはするなよ。」
「あぁ。」
タクヤはエルザの了解を得られた。だが、タクヤの後ろ姿を心配そうにウェンディは見ていた。
「私は5に行く。」
「ではオレは、」

ばっ

「!?」
「おまえは6だ。」
ジェラールが喋る前にエルザが言おうとするのを番号を指定した。
「エルザ!!?他に誰かいんのか?今の誰だ!?」
「ヒソヒソナツはおまえの事情を知らん。敵だと思っている。声を出すな。」
「おいっ!!!」

プツリ

ちょうどその時、ヒビキの念話が切れた。
「念話が切れた…。」
「ヒビキも限界だったんだ…。」
これでみんなとの通信手段が無くなった。各自で判断するしかなくなったのだ。
「とにかくちゃんと7人いるみたいだ。行こう!!
ゼロにあたったら各自撃破!!みんな持ち場があるから加勢はできないよ!!」
ハッピーが今の状況を分かりやすくまとめ、ナツたちに伝えた。
3人とも目の前の敵の事しか頭にないようだった。













「ぬぅ~、メェンメェンメェーン。」

ピョンピョンピョーン

「ゼェーハァーゼェーハァー」
一夜は手足を縛られているため、飛びながら4番魔水晶に向かっていた。
「4だ!!!私は4に行く!!!!ハァハァみんな期待している!!!!ハァハァ絶対に裏切る訳にはいかんのだァ!!!!ハァハァ
息切れゼェーハァーなんかゼェーハァーしてないぞ…。私はゼェーまだ若い!!!ハァー」






























そして、ここは1番魔水晶

フラ フラ

そこには最悪な事にゼロが魔水晶の前に堂々と立っていた。
「フン。まだ生きてやがったのか。」
「ハァハァ」
「何しに来た?クソガキ。」
ゼロは不気味な笑みを浮かべながらナツに問う。
「にっ。」
「ん?」
意外にもナツは臆するどころか、寧ろ不適な笑みを浮かばせていた。



「壊れんのはオレかおまえかどっちだろうな。」


























「おそらくゼロは1にいる。」
「!!?」
「ナツさんのトコだ!!!」
エルザは直感的にゼロの居場所を言い当てた。
正確にはナツの所には必ずと言っていいくらいに敵がいるものなのだ。
「あいつは鼻がいい。わかってて1を選んだハズだ。」
「だったら加勢に行こうよ!!みんなで戦えば…。」
「それはダメだ…。ハァハァ」
タクヤはウェンディの提案をすぐに却下した。
「オレたちはオレたちの出来ることをするんだ。それはナツの加勢に行く事じゃねぇ。ハァ」
「そうだな。それにあいつになら全てを任せて大丈夫だ。」
ウェンディは素直に感心していた。ナツは仲間にどれだけしんらいされているのか、
それが容易に分かった。
「ナ、ツ…。」
「私たちも持ち場に行くぞ!!私は5、ジェラールは6だ。」

ぞわっ

ジェラールの中で何かとてつもない感情が溢れてきた。
「ジェラール?」
「いや、何でも…ない…。」
そう言ってジェラールは6番魔水晶に向かって歩いていった。

ズキズキ ズキズキ

「ナツ…ドラグニル……。」






「オレもそろそろ行くか…。」
タクヤも心臓がある7番魔水晶に向かおうとした。

ギュッ

「…ウェンディ?」
「……。」
ウェンディはタクヤの上着を掴んだまま離そうとしない。
「どうしたんだよ…。」
「本当に行くの…?」
「…あぁ。オレ以外誰もいないからな。」
さらに、掴む力は強まる。
「…やだよ。これ以上…お兄ちゃんが傷つくトコなんか見たくないよ…。グズ」
ウェンディは涙を流しながらタクヤに言った。
「ウェンディ…。」
そして、

ギュッ

「!!!」
タクヤはウェンディを強く抱き締めた。タクヤの体温は先程よりは上がっており、
ほんの少しだけ暖かかった。
「いろいろ心配かけてごめんな…。」
「ううん…。」
「これからも心配かけちまう事は多分あると思う。だけど、オレは必ずウェンディのトコに帰ってくる。
ここがオレの帰るトコだから。」
「グズ…ほんとに?」
「あぁ。全部終わって帰ったらまた山の御花畑に行こう。また、エマとシャルルとウェンディとオレの4人で。」
「…約束だよ?」
ウェンディはやっと泣き止み、顔を上げて言った。
「分かってる。だから、待っててくれ…。」
「うん…。待ってるよ、お兄ちゃん。」
タクヤはウェンディを離して背を向けた。
「お兄ちゃん!!!」
タクヤはそのまま振り向かず、その場に足を止めた。
「アレだけは…使わないで…。」
「…あぁ。」
そして、そのまま振り返る事もせずタクヤは7番魔水晶を目指した。




























「だぁらぁぁあぁあぁっ!!!!」
ここは1番魔水晶
ここでは既にナツとゼロの戦いが始まっていた。

ボオッ

ナツは最初から全開でゼロに攻撃を仕掛けていくが、ゼロは紙一重の所で素早くかわしていく。
だが、ナツの猛攻は止まらない。

ギュルルッ

振りかぶった時の遠心力を利用してすかさず、

ブアッ

回し蹴りを繰り出すが、

バッ

それすらも予期していたかのようにかわされてしまった。
これで攻撃の手が休まるかと言えばそうではない。

ぷくぅっ

ナツは口一杯に膨らまして、一番攻撃力のある技を繰り出した。

ドゴォン

ナツの火竜の咆哮で辺り一面は火で覆われてしまった。これだけの範囲を攻撃すれば逃げ場などない。
少しはダメージが通ったかと思いきや、
「ほう。さっきよりは動きがいい。」
「!!」
ゼロはナツのブレスを片手で受け止め、ダメージすらもなかった。
「常闇奇想曲!!!!」
ゼロは指からとぐろを巻いた魔力のレーザーを放ってくる。

ギュアァァ

「くっ。」

バッ

それはスピードもあり、ナツは避けるだけで精一杯だった。
「ブレインのものと一緒にするなよ。」
そうなのだ。この魔法はゼロの表の人格であるブレインが使っていた魔法なのだ。
だが、威力、スピードはブレインの比ではない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「!!」
地中から何か振動がする。
そして、

ズドッ

「ぐあっ。」
ナツの足元からレーザーが体を引き裂こうと襲いかかってきた。
「ははっ。」

ばっ


ギュルルルルルル

さらに、ゼロの手に合わせてレーザーは曲線を描いて再びナツを襲う。

ズバッ

「がはっ。」
さらに、

ビュッ

「うあっ。」
レーザーはあらゆる方向、角度から正確にナツを貫いていく。
はたからみればこれは戦いではなく一方的な駆逐だった。

ズガガガガ

「クハハハハハッ!!!!壊れんのはどっちかって!!?てめぇに決まってんだろうがーーーっ!!!!」
ゼロは止めを指そうかと真正面から攻撃を放った。
「火竜の、










鉄拳!!!!」

ゴッ

ナツは炎を纏わせた拳をレーザーにぶつけた。だが、威力が桁違いなため後ろに押しやられる。

ズガガガガ

「ぎいい…。」

ガガガガガガ

「おおおお、」

ガガガガ

「ああああ。」
そして。ついにレーザーは魔力が尽き、消えていった。
「ハァハァ、ハァハァ。」
ナツは息を荒げながら必死に呼吸を整えようとした。単に疲れたわけではない。
ナツの左拳の痛みを堪えるためであった。左拳は見るからにダメージが酷かった。
しばらくは拳は握れないであろう。
「貫通性の魔法を止めるとは、面白い…。」
その時、
「!!」
「!!!」

ド ン

「ぐあっ。」
突如、ナツに別方向から火の玉が降ってきた。
「誰だ!?」
ゼロが火の玉が降ってきた方角にに視線をやった。
そこにはここにいるハズのない者が立っていた。
「ジェラー…ル…。」
「貴様、記憶が戻ったのか。」
戦いはさらに激化していく。


 
 

 
後書き
ということで21話完了ー!!だいぶ遅くなってしまいました。すいませんm(__)m
次回たぶんタクヤvsランスを書こうかなと思っております。
いい加減ですいません!!それとスピンオフで書いている方もお願いしますねー!!
では、感想などなど待ってまーす!! 
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