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BRAIN ~ブレイン~

作者:
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始刀 『未釼』ミツルギ

 
前書き
目の前に広がるのは水面

そして―――

対峙する二人の人物

・・・・・

「分かってる。お前が来たっててことは、相当やばいんだろ?」

・・・・・

「この時が来た・・・か・・・」

・・・・・

言ってみるよ、じゃあな 

 
障子の前に正座する

「お父様、よろしいでしょうか?」

「柚子・・・か。入れ」

「はい」

「・・・・・分かった」

「ええっ!?」

「お前の『目』を見ればわかる。ついて来い」

言われるがままについて行く柚子

17代詩紋家当主、詩紋時貞。

現在日本全国で剣術が一番強いとされる

「柚子。1から2を生み出すのは簡単か?」

「・・・・・いいえ」

「じゃあ、“0から1を生み出す”のは簡単か?」

「いいえ」

「ふんっ、面白い答え方をするのぉ」

こんな会話をしながらもとある扉の前につく

「ここじゃ」

柚子はドアノブを握り、引くと

広がる暗闇

15秒くらいすると、部屋の中心部分と思われるところだけ光がさす

「なぁ、柚子」

「はい?」

「今さっきの質問になぜ「いいえ」と答えた?」

「なぜ?って・・・」

「1という土台があったとしても2を生み出すためにはいくつもの分岐が生まれるし・・・。
 なにより、“0から1を生み出すのは不可能と等しい”と思ったからで・・・」

「カッカッカッ。面白いぞ。それでこそこの釼に相応しい」

柚子の目の前には一本の釼。釼なのに身が張り裂けそうなくらいの威圧感がある

「これ・・・は・・・?」

「これでこそ、世界最強と呼ばれる剣・・・いや、釼。」

始刀 『未釼』ミツルギ

「この釼は面白いぞ?早速、鞘から抜いてみぃ」

「美しい・・・」

つい呟いてしまった、柚子。美しい色だ、光に反射するときれいな橘色だ。

「この橘色は美しいじゃろ?」

「・・・はい」

突然、インカムから呼び出しの音が流れる

「ん?なんだ?」

《柚子くん。柚子くん。今すぐ本部に来て!!》

「なんで?」

《緊急事態なのっ!!》

「了・・・解」

そこで通話は途切れた

時貞の方に視線を送る

「・・・行って来い。力を試して来いッ!!!」

迫力のある声。そして、少しばかり後ずさってしまう覇気

「分かりました」

駆け出し、部屋を出る

「・・・あいつにわたってしまったよ。これでお前の望むようになったわけだ」

「のう・・・沙耶よ」

自分の部屋に駆け込んだ柚子は、急いで着替える

そして、鏡の前に立つ

鮮やかな瑠璃色が目立つ、コート。それはbrainの階級を示す。

ホルダーには、白銀の刃銃。腰の左の側には時雨桜と始刀『未釼』ミツルギ。

頬を叩き、気合を入れる

「ッしゃぁっ!!!」

玄関まで早歩きで行き、ブーツをはく

「行ってくる」

「行ってらっしゃいませ。坊ちゃん」

バイクに乗ると秒速で発進させる

「・・・これが来たってことは。知ってるんだな・・・父上は」

やばいことが起こりそうだ・・・、心の中でそっと唱えた

brain本部に着くと、バイクを駐車する。

入口≪ゲート≫を秒速で潜る

そして、司令室まで着くと―――

「来たか・・・、柚子よ」

「刀刃部隊・隊長 詩紋柚子。参りました。」

机に肘をつき、いかにも高級そうな椅子に座っている男

そう、柚子の目の前にいる者こそ、brain隊長 紅音波≪くれない・おとは≫だ

「君への要件が二つある」

「はい、なんでしょう?」

「まず一つ目。昇級だ。君をbrain最強のクラス、第零級にする。」

「え、あ、えっと・・・ありがとうございます」

「二つ目。警護だ」

「・・・警護ですか?」

「この要件はさっきの階級が関係している」

「・・・だいたい意味が分かりました」

「物わかりが早くて助かるよ。住谷、アレを」

「了解です」

秘書が持ってきたのは、小さなケースと資料

「では、これを」

ケースの中には、第零階級を示す、藍色のバッジがあった

それを手に取り、右胸に着ける。そして、資料を手に取ると、一言告げる

「隊長、この要件・・・。悲劇の連続かもしれないですよ」

「・・・それは同感だ。でも、お前には始刀『未釼』ミツルギがあるじゃないか?」

「・・・ですね。では、失礼します」

部屋から出る

一方、部屋の中では――

「はぁ・・・。酷いことにならなければいいんだが・・・」

資料に目を通す




【刻神家    刻神樺恋の警護を依頼する】 
 

 
後書き
月の光に鞘に反射する

やはり、綺麗な橘色だと思う

月夜に反射して輝く始刀『未釼』ミツルギ 
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