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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第三十九話




―――シ水関―――

「あんなに上手くいくとは思わなかったな」

 俺は動いてこない連合軍を見て呟く。

 食糧部隊を襲ったのは、連合軍の士気低下と補給を途絶えさせる事が目的だった。

 が、まさかの二人の将を捕らえる事が出来たのは御の字というべきだな。

「さて、次は零だが……あれは出来たのか?」

 俺は零に聞く。

「うむ。陛下も役に立てればと快く貸してくれたから真桜も作りやすかったと言っておったわい」

 零が笑う。

 ちなみに陛下とは勿論、劉協(後の献帝)の事だ。

 零は袋に入った何かを俺に見せる。

「………これで孫策軍を離脱させられるな」

 ……雪蓮、悪いけど俺達を裏切ったそれなりの償いをしてもらおうか。

「……クックック……ハッハッハ、ハァーッハッハッハゲホゲホッ!!」

 む、むせた……。

「むせなかったらかなりの悪役じゃったのにのぅ……」

零が溜め息を吐いた。




―――連合軍陣営―――

「劉備さん、作業は捗っているんですの?」

「は、はい。一応は……」

 連合軍は、シ水関として諸葛が提唱した落とし穴を埋める作業を継続していた。

 ……といっても、曹操は将兵の死傷による離脱を嫌って消極的であり、馬謄は病に倒れたとして娘の馬超と従妹の馬岱が軍儀に出ていたがこちらも馬謄からの命により消極的だった。

 孫策は普通であったが、内心では捕虜になった呂蒙と陸遜の安否を気にしたり、これからどうしようかと思案していた。

 ちなみに、この連合軍で行動中に劉備軍から同盟をしないか?と求められてきたが、孫策は断った。

 孫策曰く、「あの北郷は気持ち悪いわ。劉備が話してる最中に私や蓮華の身体をジロジロ見てたりしてたしね。それに関羽を押さえつける役がいないんじゃぁね。あの子は私が断ると何か睨んでたみたいだから」と周瑜と酒を飲んでいる時に語っていた。

 蜀軍は主に劉備軍の支援をしていたりしていた。

 更に、劉備達は厳顔達と交流をもしていた。

 袁紹軍は総大将である袁紹が俄然張り切っていた。

 また、劉備達の口車(袁家の素晴らしさを誉められたりして上機嫌)で半分近くの兵士が作業に参加させられていた。

 作業中に一番死傷者が多かったのは袁紹軍だった。

「なら早く作業を仕上げて総攻撃をしますわよオーホッホッホッ!!」

 袁紹が笑う。

「で、伝令ッ!!」

 その時、袁紹軍の兵士が天幕に入ってきた。

「何ですの一体?騒々しいですわ」

 袁紹が伝令の兵士に文句を言う。

「て、敵董卓・袁術軍が攻めてきましたッ!!」

『ッ!?』

 伝令の言葉に天幕にいた全員が驚いた。




「全員、渡り終えたな?」

「は。全員無事です」

 俺達はあえて強襲攻撃を決行する。

 兵力は八万八千で、将は俺、クロエ、ロッタ、星、凪、真桜、沙和、呂布、桜花、霞、零、雪風の十二人だ。

「星と凪、ロッタは劉備軍に。零、雪風、桜花は曹操軍に。呂布と霞は袁紹軍に。クロエは俺と一緒に孫策軍に当たるぞッ!!」

『オオォォォッ!!』

 皆が頷く。

「真桜と沙和。頼むで」

「「了解や(なの)ッ!!」」

 真桜と沙和の部隊が両側の崖を登って、細い獣道を走っていく。

「連合軍が接近してきますッ!!」

 兵士が告げる。

 連合軍は、俺達から二里のところで止まった。

 あ、袁紹が出てきた。

「とうとう我々に降伏をなさるんですのね。まぁ、名門である袁家の私が寛大な処置をしますわッ!!」

 ………あれは自分に酔ってるな。

「誰が貴様ら何ぞに降伏すると言ったッ!! 名門? ふざけるなッ!! 迷門の間違いではないか生娘ッ!!」

「キイィィィーーーッ!! 誰が生娘ですかッ!! えぇい斗詩さんやってしまいなさいッ!!」

「エェェッ!? ……うぅ…分かりました…」

 顔良が渋々と出てきて、俺に向かってくる。

「……一騎討ちをお願いします王双さん」

「………分かった。俺がやってやる」

「私がやるぞ長門?」

 クロエが言う。

「構わない。向こうは俺を望んでいるようだしな」

 俺は馬を降りて顔良のところに向かう。




「……い、行きます」

「………来い」

 俺は牙突の構えをすると、連合軍にいた北郷が驚いていた。

「……珍しい構え方ですね?」

「まぁな」

「では……ハアァァァッ!!」

 顔良が大鎚を振りかぶって俺を殴ろうとするが、氣を脚に送って瞬発力を強化して避けた。

「えッ!?」

 顔良は避けられるとは思ってなかったのか驚いている。

「今度はこっちの番だッ!! 『牙突』ッ!!」

 俺は脚に氣を送り、顔良に突撃する。

「くッ!!」

 顔良は俺の突きを避けた。

「避けるだけじゃ駄目だッ!!」

 その時、北郷が叫んだ。

 その通りだ北郷。

 俺は直ぐ様横薙ぎの攻撃をした。

ザシュゥッ!!

「ガッ!?」

 斬った顔良の腹から大量の血が噴き出すと共に顔良が倒れた。

「と、斗詩ィィィーーーッ!!」

 倒れた顔良を見て文醜が叫んだ。

「今だ真桜、沙和ッ!!」

「「了解ッ!!」」

 両側の崖の上に潜んでいた真桜と沙和の部隊が一斉に長方形型の箱を投げた。

 箱の上部には紐があり、その紐には火が付いていた。

 箱は崖の下にいた孫策軍と曹操軍の中に吸い込まれた。(連合軍の陣形は、左右に孫策、曹操軍。その中央に袁紹軍、後ろには劉備軍と涼州、蜀軍になっている)

ドカアァァァーーンッ!!

ドカアァァァーーンッ!!

 突然、箱は爆発して箱の近くにいた兵士を、吹き飛ばした。

「今だッ!! 全軍突撃ィィィーーーッ!!!」

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 俺の命令と共に董卓・袁術軍は一斉に突撃を開始した。





 
 

 
後書き
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