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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第八十二話 Dream

 
前書き
ヒートニックスを下したエックス。
少しの小休止。 

 
エックスが傷を負いながらも帰ってきた。
ルインも少し様子がおかしいものの帰ってきた。
エイリアはハンターベースの屋上で星空を眺めていた。

ルナ「綺麗な空だな」

エイリア「え?」

聞き覚えがある声に振り返ると、銀髪のポニーテールを夜風に靡かせた少女が立っていた。
前回の大戦で大きくハンターに貢献した彼女は顔パスで入れるようになっている。
というかかなりの頻度で来ているために今やハンターベースで彼女を知らぬ者などいない。

エイリア「ルナ…あなた、久しぶりに会ったわね。元気にしてた?」

ルナ「ああ、まあぼちぼち。ナイトメア現象で客が来ないから売りに来たんだ」

取り出すのはパワーアップパーツ。
エイリアは思わず苦笑した。
ナイトメア現象が起ころうと彼女はパーツの作成に余念がないらしい。

ルナ「後はこいつだな」

彼女が取り出したのはナイトメアソウル。
しかも調査員が所有しているタイプだった。

エイリア「それは調査員が所有しているタイプのナイトメアソウル!!あなたが他の調査員を?」

ルナ「ん?まあな、ところでナイトメアソウルを調べていくうちに面白いことが分かってさ。ナイトメアウィルスが極稀に誤作動を起こして無害な幻を生み出すんだ。過去の記憶とかな。例えば…」

回収したナイトメアソウルの1つを作動させると幻が映し出された。



































『…ス。……ックス。エックス』

幻が映し出された。
あれは…エックス?
白い豊かな髭を持った恰幅のよい科学者、科学史をかじったことのある者なら知らぬものがいないライト博士が優しげな目でまだ胸までしかないエックスを覗きこんでいた。
周りには古い型の設備が並んでいた。
恐らくあれがエックスが造られた場所なのだろう。

エックス『あな…たは…?』

胸までしかない状態でカプセルのようなもの寝かされているエックスはライト博士に問う。
するとライト博士は嬉しそうに答えた。

ライト『私の名前はトーマス・ライト。お前の生みの親だよ。エックス』

エックス『エックス……それが…私の…な…ま…え…』

エックスの瞳から光が消える。
出力不足だろう。

ライト『エックス…そう、無限の可能性を意味する名前だ。お前は自分で考え、行動する新しいタイプのロボットになるんだよ』




































場面は変わっていく。
エックスの組み立てが終了し、あとは微調整を残すのみとなっている。
しかし、その日会いに来たライト博士はやつれはて、憔悴しきっていた。
いつもと様子が違うことを、エックスも察したのだろう。

エックス『どうしました?博士…お疲れの様子ですが…』

ライト『エックス。お前は本当に人間と同じようだな…だがそれだけに…ゴホッゴホッ…お前のように極めて自分達に近い存在を受け入れるには、まだ人類は幼すぎるかもしれん…人はお前の無限の進化の可能性を危険と感じるかもしれない…“エックス”という名前には危険という意味もあるのだ。』

暗転。






































場面が変わり、これがエックスとライト博士の最後の日だと…何となくわかった。

ライト『すまないエックス…。お前を世の中に出してやるには、時間が足りなかった…』

更にやつれたライト博士は、掠れた声でエックスに詫びた。
そこまで言うと、ライト博士は咳き込んだ。

エックス『ライト博士!!』

ライト『わしはお前に悩み考え、そして進化を戦いとる力を与えた。だが、それをまだ解放するわけにはいかないのだ』

それはエックスの封印宣告であった。

エックス『博士。私はこの力を正しいことのために使います。希望のために!!』

バスターを胸に翳し、エックスは“父”に誓った。

ライト『ああ、もちろんわしもそう信じている。お前がその正しい心を持ち続けるということを。未来の人々が…世界がそう願うことを…』

エックスの言葉にライト博士は心から嬉しそうに笑った。
カプセルの蓋が閉まる。
2人の顔に悲しみはない。
最後に残った菱形の窓にライト博士が顔を覗きこむ。

エックス『博士…』

ライト『さらばだ、エックス…ワシの…未来の希望』

それがエックスとライト博士の最後の別れだった。
そこから幻が終わる。




































ルナ「皮肉なもんだよな。世界の平和と人々の希望のために造られたエックスが戦いの真っ只中にいるなんてさ」

エイリア「…………」

遠い目で呟くルナにエイリアは何も言えなかった。
ルナは星空を見上げながら呟く。

ルナ「俺は誰に造られたのかも分からねえし、何のために造られたのかもさっぱりだ…。世界がどうなろうとぶっちゃけどうでもいいけど。ダチを助けてやりてえしな。パーツ、後でエックス達に渡しておいてくれや。」

パーツの入ったケースをエイリアに渡すと屋上から去ろうとする。

ルナ「そうそう、エイリア、お前もちっとは肩の力を抜けよ。いつもそんなんじゃ疲れるぜ?たまにはぐっすり寝ていい夢見ろよ。じゃあな!!」

明るい声を放つと同時にルナの姿はハンターベースの屋上から消えていた。

エイリア「夢……」

彼女は呟く。
ケースを握り締めながらエイリアは星空を見つめる。



































~ドジなイレギュラーハンター~

時間軸はイレハン前。

ある日の資料室。
ルインが書類提出用の資料を探していた時。
自分の資料を探していたエックスがバランスを崩し、棚に倒れ込んだ。

ルイン「え?きゃああああああ!!?」

棚から勢いよく資料がルインに雪崩のように襲い掛かり、彼女を下敷きにする。

エックス「ル、ルインすまない!!大丈夫か!?」

ルイン「い、痛たたた…エックスーーーーッ!!!!」

エックス「ごめん!!」



































しばらくして。
イレギュラー討伐の際、エックスのフルチャージショットが噴水に炸裂し、水が噴き出し、辺りが水びたしになる。

ゼロ「エックスーーーーッ!!!!!!」

びしょ濡れになったゼロの怒声が街に響き渡る。

エックス「ごめんゼロ!!」

冷や汗をかきながら謝罪するエックス。



































更に数日後。

クワンガー「エックスーーーーーーッ!!!!!!」

エックス「すみません!!」

数日後のイレギュラー討伐で誤ってクワンガーにバスターを当ててしまったエックスが謝罪する。



































VAVA「どいつもこいつもエックスエックスってよーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

中指を立てながら叫ぶVAVAにゼロとルインは溜め息を吐いた。

ゼロ、ルイン「「そこはジェラシー感じるところ(か)?」」 
 

 
後書き
おまけは書いて楽しい 
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