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俺の知ってる作品でバトルロワイアル

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8話:船の上で

 西園弖虎は目を開ける。
 すぐさま転送される前の記憶を思い出し、伊園若女を思い出して強く歯を噛み締める。
「あんの、クソ女・・・!」
 伊園若女。
弖虎の宿敵であり、ルーシー・モノストーンの娘。
そして殺し合いの主催者。
なぜこんなことになっている。弖虎は確かに何度も刺客に襲われた。しかし今のところ全て返り討ちにしているし、なにより襲われた直後の記憶が全く無い。
伊園若女を殺す為に奔走していた彼はルーシー現象を起こし、警察を撹乱するために東京を大混乱に陥れた。そこまでしたのも、伊園若女を倒すためではなくスペアの伊園美和を殺害し、伊園若女に後を残さないためのものだったのだ。
そしてそれもうまくいった。うまくやったはずなのだ。
なのになぜこんなフザケたゲームに参加させられている!
しかし、苛立つと同時に弖虎はこの状況を一種のチャンスだと思っていた。そう、殺し合いの主催者は伊園若女なのだ。
殺し合いを生き残り、上手く主催と接触出来れば伊園若女を殺害することができる。
「よし」
弖虎は起き上がって回りを見渡す。さっきからザザーンと、波のような音が聞こえるのだ。足元は揺れている上に磯の臭いがする。
どうやらここは船の上らしい。しかも暗くてよくわからないが、ここは見覚えがある気がする。
弖虎は転がっていたデイパックを拾い、中から地図を取り出した。海になっているのは1-Aと2-Aだ。いるのはこのどちらかだろう。続いてルールブックを取り出す。その際に弖虎は支給品を見つけた。
「ラッキー」
AK-47。ソ連で開発された自動小銃で、カラシニコフと呼ばれたりもする。
弖虎は予備マガジン二個をポケットに仕舞い、AK-47の状態を確認すると傍らに置き、ルールブックを読んだ。それによると、どうやら海を泳いで脱出する方法は無理のようだ。一定範囲以上陸から離れると首輪が作動するらしい。具体的にどのくらい離れたら駄目なのかは書いていなかったが。
禁止エリアは放送の際一つから二つ指定される。一部参加者には能力に制限が掛けられる。支給品には意思がある場合もある。また、会場内には主催が用意した、いわゆるゲーム要素がいくつか存在する。会場内にあるものは建物や生物含め何でも使っていい。タイムリミットは三日目の二十四時。タイムリミットを迎えた場合はその時に生き残った全員の首輪を爆破する。
だいたい、新たに手に入れた情報はこんなところだ。
次は支給品を探す。AK-47だけでも十分頼もしいのだが、武器、 そうでなくとも役立つものは多いに越したことはない。手をデイパックに突っ込むと、冷たい感触があった。取り出してみるとそれはバタフライナイフ。さほど特別なものとは思えないが、持っているに越したことはない。革ジャンの内ポケットに仕舞う。続いて見つけたのは説明書を挟んだ黒縁眼鏡だった。
『犯人追跡眼鏡。同封のシールは発信器。
使い方:シールを追跡したい対象に貼り、眼鏡のスイッチを押す。アンテナが出たら起動した証拠。かけると簡易レーダーがレンズに表示され、一定範囲相手の追跡が可能。なお、眼鏡は遠くの物を拡大して見る機能もある。』
試して見るとその通りだった。
ガクソの発明品だろうか。とりあえず弖虎は眼鏡をデイパックに入れて発信器付きシールはズボンのポケットに入れた。
その際にデイパックの底にあった参加者名簿を見つけ、確認する。その内容は弖虎を多いに驚かせた。

「あ、雨宮一彦…!?」

肉体は死んだはずの、雨宮自身は弖虎の中にいるはずの雨宮一彦。しかも、撃ち殺したはずの伊園美和や二度と再生できないように完全に殺し尽くしてやった全一まで。
弖虎を混乱させる名ばかりだった。
「どうなってやがる!?」
スペアの久保田拓也は死んだ。この目で確かめた。
ガクソの、伊園若女の仕業か!?
いや雨宮を生き返らせることが出来たなら伊園若女の野望はそれで終わるはずであり、こんな殺し合いを開く意味など無い。
偽物、ということも考えられるが…。断定するには早計だ。
直接会って、確かめればいい。
弖虎はデイパックに参加者名簿を入れる。
その瞬間に急に殺気を感じとり、右の方を見る。そこには黒い全身タイツのようなスーツを着た長髪の男がおり、手には薙刀を持っている。そして案の定弖虎襲いかかってきた。
「くっ…!」
紙一重で回避し、薙刀がデイパックに入るはずだった参加者名簿を貫く。
弖虎は咄嗟にAK-47を拾って片手で男に向け、乱射する。片手で撃てるのは弖虎だからこそなせる技だ。
だが男には効いている様子がない。銃弾を浴び続けているにも関わらずなお弖虎に向かって薙刀を振るう。弖虎は回避し続け至近距離での乱射をやめない。
やがて銃弾が出なくなった。
「クソ!!」
AK-47を投げ捨てる。
その隙を突かれて繰り出された斬撃を躱せたのはほとんどまぐれだ。
男が次の攻撃をする前に弖虎はバックステップで高く跳躍して距離をとる。攻防が止み互いに牽制する中、弖虎は思考する。と言えば聞こえは良いが、実際はほぼ愚痴みたいなものだった。
(なんなんだアイツは…!あの距離でマガジン一つ分の銃弾を喰らって平気にしてるだと!!)
自分と似たようなものか。弖虎と同じようにガクソに生み出された殺人マシーンなのだろうか。
だが流石の弖虎も銃で撃たれて平気なわけではない。それは異常な再生能力を持つ全一だって同じだった。痛みはあるし(その気になれば消せるが今この場では無理だろう)弖虎だって銃が相手の時は基本避けながら戦う。
となると、秘密はあの変な黒いスーツか。
「アンタ、そのスーツは…」
弖虎が喋り終える前に男は動いた。薙刀を構えてあり得ない速度で弖虎に詰め寄った。横薙ぎに振るわれた薙刀は空を切り、弖虎はスライディングで地面と薙刀の間をすり抜けた。
これで、男の背後を取ったことになる。
すぐさま体勢を整えて、男の顔面に強烈な廻し蹴りを入れた。
殺人マシン弖虎の蹴りは人体を破壊するなど用意である。過去に何度も伊園若女の用意した兵隊に襲撃されたが、常人の骨など簡単に破壊してしまう弖虎の身体能力は人数差など問題にしなかった。
そんな弖虎だからこそ、スーツで覆われていない顔面を攻撃すれば男を倒せると考えたのだが、男はそんな蹴りなどまるで無かったかのように薙刀を振るってきた。
「おわっ!」
思わず声が出た。
本気の蹴りが全く効かなかったことに対する驚きだった。
弖虎はそこでようやく気づく。
逃げるべきだ、と。
再び距離をとる弖虎。今度は手すりのすぐ近く。身を乗り出せば船に当たる波が用意に覗ける場所である。
男の次のモーションが弖虎の作戦の要となっていた。
男が繰り出したのは、突きだった。
(きた!)
弖虎は全神経を集中させて薙刀を見る。人間が出せるはずの無いスピードを見切り、足を払う。男の体勢が崩れた隙に薙刀を両手で掴みおもいっきり上に持ち上げた。しっかりと薙刀を握りしめていた男は宙に浮き、船と海の境界となっていた手すりを越えた。本来はそこで落下したいたはずだったが、間一髪で男は船の表面にあった穴を掴んだ。
「しつけえんだよ」
弖虎はAK-47を拾い、マガジンを替えて男の手を撃った。飛行中のヘリコプターのエンジンを撃ち抜けるほどの彼が外すわけがない。大してダメージはないだろうが、男は衝撃で手を離し今度こそ海に落ちていった。
ふうー、とため息をついた弖虎はデイパックを拾って背負う。
さっきのやつがまた襲って来る前にここを離れることにした弖虎はデッキを歩き、船の内部に続く扉を開けた。


【西園弖虎@多重人格探偵サイコ】
[状態]:疲労(大)
[装備]:AK-47@現実、バタフライナイフ@戯言シリーズ、発信器付きシール
[道具]:支給品一式、AK-47@現実、バタフライナイフ@戯言シリーズ、
犯人追跡メガネ(シール付き)@名探偵コナン
[思考・状況]
基本思考:伊園若女の殺害、雨宮一彦の捜索
1:早くここ(実験船)を離れる
2:雨宮、何で…?
3:全一はとりあえず殺す
4:伊園美和は保留
5:襲ってきた参加者は殺害する
6:自分からは積極的に殺すことはしない





弖虎が実験船を去ってか数分後。
一人の男がザバァ、と音を立てながら海から這い上がった。黒い全身にフィットするタイプのスーツ、名前はガンツスーツと言うものを着ている。
彼、和泉紫音は新宿大虐殺を起こして黒い玉の部屋に転送された。ようやく目的を達したが、まさか黒い玉の部屋と言うのが殺し合いを行う所だとは思わなかった。
スーツを着たあとに表示されたミッションとやらは、どうやらここの参加者を全員殺す事らしい。
最初に襲った相手はスーツを着ていなかったが、かなりの強敵だった。和泉自身もまだ感覚が取り戻せていない。武器だって薙刀しかない。だからわざわざ海を潜って探す必要があった。
「行くか」
和泉は隠しておいたデイパックを取りにその場を離れた。

【和泉紫音@GANTZ】
[状態]:疲労(中) 、ガンツスーツの耐久残り89%
[装備]:薙刀@人間シリーズ、刀
[道具]:支給品一式、薙刀@人間シリーズ、ランダム支給品二つ
[思考・状況]
基本思考:優勝狙い
1:ここはガンツのミッションだと思っている
2:さっきの男(弖虎)は次会ったら殺す
3:薙刀以外の武器調達 
 

 
後書き
支給品解説その4
○薙刀@人間シリーズ
『零崎双識の人間試験』に登場した早蕨薙真の使っていた薙刀。多分普通の薙刀。 
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