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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第一話 僕が大家!?しかも何このお屋敷!その六

「そうなんだ」
「一生そうなります」
「何か凄いね」
「ですから八条家の方ですから」
 八条グループの経営一族だからだ、本当にこのことがついて回る。
「何でしたら所有株でも収入も」
「いや、そこまではいいから」
 流石にこのレベルだと想像が出来なかった、株とかは高校生では。
「幾ら何でも」
「ですから八条家では」
「そりゃうちの一族は世界屈指の富豪だよ」
 それこそロスチャイルドやロックフェラーに匹敵する。総資産ではあのアップルやビル=ゲイツですら凌駕するだろう。
 そんな家だ、だからだ。
「それでも高校生で株の配当とか」
「そうした家ですので」
「何か一言で凄く納得出来る言葉だね」
「説得には自信があります」
 執事さんは素っ気なく答えてくれた。
「ヤクザ屋さんの説得もしたことがありますので」
「ふうん、ヤクザ屋さんのね」
「ロシアの」
「それロシアンマフィアだから」
 何でもチャイニーズマフィアとかシチリアンマフィアよりも厄介らしい、そもそも大統領が少年漫画のラスボスみたいな人だからそれも当然か。
「そんな人達を説得って」
「何とか武道を使わずに済みました」
「よく生きていられましたね」
「有り難うございます」
「有り難うとかじゃなくてその」
「何はともあれです」
 執事さんはまた話を変えてきた、どうも話がこの人のペースで進む。この人はかなり手強い、僕は直感した。
「お受けになられますか」
「受けないとどうなるの?」
「五百万円だけでなく」 
 年収のそれの話だった、まずは。
「そして住む場所もです」
「ないんだ」
「左様です」
「それじゃあ選択肢ないよね」
 見事なまでにだった。
「一つしか」
「それでは」
「受けさせてもらうよ」
 僕は執事さんにはっきりと答えた。
「是非ね、最高の条件だし」
「それは何よりです」
「だって断ってもお家がなくて収入もなくて」
「そうなります」
「いいことないからね」
「若しお断りすれば私も困っていました」
「困っていてどうなったのかな」
「はい、この方々が」 
 執事さんがこう言って左手を指し示すとそこから黒いスーツにサングラスの人達が出て来た、如何にも怪しい。
「強引に説得されていました」
「この人達何者ですか?」
「八条グループ影の実行部隊です」
 そうした人達らしい。
「我が家の影の仕事を担って頂く方々です」
「その人達の説得ってまさか」
 ここで僕が咄嗟に連想した説得、それはというと。
「拷問とか?」
「いえ、八条家の方に手荒なことは一切致しません」
 流石にそれはないらしい。
「主家の方に」
「そうなんだ、よかった」
「ただ。個室に椅子に座った状態で壁に向かった状態でいて頂き眠らずに説得をしてもらいますのね」
「それ何処のKGBですか?」
 噂に聞くソ連式の説得だった、洗脳と言うかも知れない。
「そんな説得はかなり」
「されたくないですね」
「心からそう思います」
「左様ですね、すぐに決断頂いて何よりです」
 執事さんもほっとした感じであった、お互いにとって幸いなことに。 
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