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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN9






 日本帝国はマレーの虎星域を占領し、更に資源星域である四国星域をも占領した。

 四国星域には小規模の哨戒艇部隊などしかなく、南雲提督の第四艦隊が向かえば直ぐに白旗を掲げたほどである。

 更に東郷長官は山本無限中将の第二艦隊、田中少将の第三艦隊にラバウル星域攻略を発令させ、二個艦隊はラバウル星域を占領した。

 ラバウル星域にはガメリカ艦隊がいたが、二個艦隊が向かった時には既に裳抜けの空に近い状態で占領された。

 しかし、ガメリカ軍は置き土産として軌道上や周辺宙域に多数の宇宙機雷を敷設していた。

 山本中将の第二艦隊はマニラ2000に帰還し、田中少将の第三艦隊はラバウル星域に停泊して掃海をする羽目になった。

 勿論、山本中将の第二艦隊がマニラ2000で待機しているのには訳がある。

 もし、エイリスやガメリカがマレーの虎やラバウル星域に侵攻すれば直ぐに行ける範囲内だからである。

 日本星域には須田艦隊や戸隠艦隊、開戦前に提督へ昇進した角田准将や有馬大佐等の四個艦隊がマイクロネシア星域から侵攻してくるガメリカ艦隊の迎撃につく予定だが今のところガメリカ艦隊が日本星域に接近してくる様子は無い。

『いやぁ資源星域からどんどんと資源が届くから建造ペースが早い早い』

 俺は今、茂と話していた。

「そうかそれは良かったわ」

『ところでキャシーとラスシャラを提督にしたそうだね? 日本化してないのによくラスシャラを提督に出来たね?』

「まぁ交渉したからな」

『そうかい、でも良かったのか? 東郷長官から提督昇進の話を断ったそうじゃないか』

「俺は提督の器とちゃうよ。俺よりもっと優秀な奴はおるしな」

 先日、東郷長官から提督昇進の話が来ていたけど俺は固辞をしていた。

 提督になれる器ちゃうしな。あの人らは過大評価しすぎっす。

『(というか雪風は自分の事を過小評価してるよね)』

「ん? 何か言ったか?」

『いや何も。それじゃあそろそろ通信は終わるよ。何せ仕事がてんてこ舞いだからね』

「あぁ頑張れ」

『うん。それと第四戦隊に防空駆逐艦四隻を試験的に配備させるから運用報告書を頼むよ』

「あぁ、あの秋月型は茂の手配か」

 朝から新型艦が来てたしな。

 なお、秋月型は長十サンチ連装ビーム砲四基と多数のパルスレーザー砲を搭載している防空駆逐艦である。

『それじゃあね』

「あぁ」

 そこで茂との通信を切る。

ピルルル。

 ん? 通信が来たな。

「はい?」

『あ、狹霧かい?』

 相手は南雲提督やった。

「どうしましたか?」

『ちょっとラバウル星域まで進出して機雷の掃海を手伝ってほしいんだよ。田中の奴、掃海がめんどくさいと言ってるし、東郷の旦那が狹霧に任せると言ってきてね』

「はぁ、分かりました。第四戦隊と試験的配備させている秋月型四隻も向かわせますね」

『あぁ頼むよ』

 南雲提督は申し訳なさそうにして通信を切った。

「……さて行きますか」

 そして八隻の艦艇はワープゲートでラバウル星域に向かった。




「……こりゃぁ田中の奴が怒るのも無理ないわな」

 周辺宙域には多数の宇宙機雷が漂っている。

「火器の使用を許可する。ただし誘爆に巻き込まれないようにな」

 パルスレーザー砲群が誘爆して巻き込まれないように宇宙機雷を掃射していく。

 が、大量に漂っているので減ったとは思わんな……。

「田中の奴がキレるのも分かるわ」

 俺は溜め息を吐いた。

「対艦レーダーに反応ッ!! ガメリカ艦隊ですッ!!」

 レーダー員が叫ぶ。

「報告にあった偵察艦隊でしょうか?」

「奴等がラバウル星域を占領しないなら偵察艦隊やろうな」

 報告ではラバウルのワープゲート付近にガメリカ艦隊がここ数日現れているらしい。

「田中艦隊が作業を中断。ワープゲートに向かいます」

「……どうしますか?」

 副官が聞いてくる。

「……此方も作業を中断や。田中艦隊の後方につけ」

 全くあの暴走野郎が……。



「駄目です。ガメリカ艦隊は逃げたようです」

「そうか、なら帰る「田中艦隊がワープゲートに進んでいますッ!!」なッ!?」

 オペレーターが叫ぶ。

「田中艦隊に通信を入れろッ!!」

『何だ?』

 程なくして田中が出た。

「何処に行こうとしているんですか?」

『ハワイ星域にワープして威力偵察をする』

「ハワイ星域はガメリカ軍の居城ですよッ!! そんなところに駆逐艦だけで向かうのは無謀過ぎますッ!!」

『うるせぇッ!! 来たり逃げたり来たり逃げたりうざってぇんだよガメリカ軍はッ!! そんな腰抜けのところに行っても死にはしねぇよッ!!』

 田中のアホはそう吐き捨てて通信を切りよった。

「田中艦隊がワープゲートに入りましたッ!!」

「……どうしますか?」

 副官が俺に聞く。

「……ハワイ星域には多数の空母で待ち構えているやろな。けどここで第三艦隊の駆逐艦を失うのは余りにも厳しい……」

 ……決めなあかんな……。

「……全艦ワープゲートに突入する。合戦用意やッ!!」

 ……全く、面倒なもんやな。

 第四戦隊と秋月型防空駆逐艦四隻はワープゲートに入った。





「提督ッ!! 撤退の許可を願いますッ!! このままでは艦隊は全滅しますッ!!」

 田中の副官がそう具申するが、当の田中本人は呆然としていた。

「(一体……何がどうなった?)」

 田中はそう自問するが答えは出なかった。

「敵ガメリカ主力艦隊が接近しますッ!!」

 オペレーターが叫ぶ。

 それは旧式であるが戦艦メリーランドとアリゾナ、オクラホマの三隻と最新鋭のエセックス級空母三隻を主力としていた。

 イーグル・ダグラスは戦艦メリーランドを旗艦としていた。

「……日本のウォー・マニアクスは死んだな」

 通信パネルで田中艦隊を見ていたイーグル・ダグラスはニヤリと笑う。

 後少しでガメリカの勝利……だった。

「ジャップの後方から新たな艦隊が出現しましたッ!!」

「何?」

「巡洋艦四、駆逐艦四隻ですッ!! 敵巡洋艦の艦種はアタゴ型ですッ!!」

「アタゴ……マニラ2000でキャシーを破った艦だな。確か司令官はユキカゼ・サギリ……」

 面白い。奴もウォー・マニアクス同様に撃ち破ってやる。

「アタゴ型がミサイル発射ッ!! 目標は戦艦群ですッ!!」

 オペレーターが叫んだ。






 
 

 
後書き
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