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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第七十話 Crash Site Ruins

 
前書き
間髪入れずにX6始動。 

 
スペースコロニー・ユーラシア落下事件の騒動から3週間が過ぎた。
正確にはコロニーの破片落下事件。
イレギュラーハンター・エックスを筆頭とするイレギュラーハンター達の活躍により、コロニーの激突は阻止され、地球は何とか滅亡を回避できた。
しかし、コロニーの破片の落下地点、特に完全に破壊されなかった部位が落下した地点は被害が大きく、かつてとはあらぬ姿へと一変した。
この事件と合わせて発生したシグマウィルスによるレプリロイドのイレギュラー化…。
レプリロイドの被害は相当な物であったが、残り少ないレプリロイド達は地球を元の姿に戻そうと懸命に復興作業を行っていた。
人類は無力。
レプリロイドも少ない。
荒れ果てた地球…。
絶望が蔓延する世界で希望を捨てることなく戦い続ける者達がいた。
不屈のイレギュラーハンター…エックスとルイン。
そして…。


































金属片が散乱した砂と岩ばかりの荒野に、1人のレプリロイドが佇んでいた。
紫のボディに白衣を羽織った青年で、切れ長の目が知的な雰囲気を出している。
地面を見下ろし、時には屈んで埋もれた残骸などを手に取っている。
科学者の彼は好奇心でこの地に…コロニーの破片と、かつては零空間と呼ばれた空間があった場所に来ていた。
甚大な被害を受けた地域を見ると、いつしか好奇の目は憂いのそれに変わっていた。
深刻な面持ちで辺りを見回しながら口を開いた。

「一体…何が起こったんだ?コロニー落下は阻止できたと聞いたが、この惨状は…これでは、失敗したのと同じ…どれだけの人間が犠牲になったのだろう…?」

足を進めれば砂が刔れ、黄色い大地は砂漠そのもの。
生き物の息吹はまるで感じられない。
全てが死に絶え、静まり返っている。

「滅亡が免れただけよかったとでも言うのか?」

青年の疑問に答える者は誰もいない。

「それだけじゃない。何かが起ころうとしている。…この胸騒ぎは一体…」

彼はふと、地面に視線を落とす。
代わり映えしない砂。
その中に目をひくものがあった。

「ん?これは…?」

白い金属の中心に緑の結晶。
元々は突起物だったのだろうが、衝撃で壊れ、底辺だけが残ったようであった。

「何かの破片だな。ここで戦いでもあったのか?ん?待てよ…こっ、これは…!!」

科学の心得を持たぬ者にとっては、ただのガラクタに過ぎぬであろう不気味な波長を放出する破片。
僅か数刻でその正体を悟り、思わず声を荒げる。



































1週間後。
彼の研究所である異変が起きていた。

「ハハハハ!!遂に完成したぞ!!」

モニターに映し出された結果に青年は高笑いを上げた。
モニターには彼の望んだ物が見事に表されていたのだから。
今まで成しえなかった最高の成果が彼の目に飛び込んで来る。

「この冷静な僕があまりのことにおかしくなってしまいそうだ!!…いけない、これからなんだ…」

はやる気持ちを落ち着かせながら、青年は手を口元に忍び笑う。
笑いが収まった後、彼は目と口元を吊り上げると鬼々迫る表情で1人呟く。

「今まで僕の研究を理解すら出来なかった奴らを…そう、この世の下等なレプリロイド達全てを!!僕の下に服従させるために!!出来る、出来るぞ!!レプリロイドだけの理想の世界…僕が全てを支配する素晴らしい世界が!!」

再び笑いが高まり、長い長い哄笑となって木霊した。



































一方ハンターベースではエックスがレプリロイド睡眠用カプセルの中で夜を過ごしていた。
人が1人入れるくらいの狭いカプセル。
それが彼の寝床である。

『…ス…エック…エックス』

誰かが呼ぶ声…。
懐かしくも頼もしい声。
側にいてくれたらどんな時でも挫けずに戦うことが出来る声。

エックス「(ん…ゼ、ゼロ…?)」

ゼロ『目を覚ませエックス。今はお前とルインしかいないんだ』

エックス「(何を言ってるんだゼロ?君もいるじゃないか)」

夢の中のエックスは忘れている。
ゼロは先の大戦でセイバーを残し、行方不明となっていることに。
ゼロはエックスを遮り、更に言葉を発する。

ゼロ『お前達が戦わなければ誰が戦う?早く目を覚ますんだ!エックス!!』

未だ夢心地のエックスを起こしたのは、復興作業に向かっていたはずのルインである。

ルイン「…クス…エックス!!起きて!!コロニーの破片が落下した地点でメカニロイドが暴れてるの!!」

彼女の背後でけたたましい警報が鳴り、火急の報せを告げている。
飛び起きたエックスにルインはカプセルを解放する。

ルイン「行こうエックス!!」

エックス「ああ!!」

エックスは大戦で大破したファルコンアーマーを元に復元したレプリカファルコンアーマーを纏うと現場に急行した。


































辿り着くと赤茶けた大地と破壊された残骸の廃墟が目前に広がる。
地面から鉄柱が砂埃を被って汚げに顔を出していた。

エイリア『このエリアのメカニロイドはほぼイレギュラー化しているわ。久しぶりの戦闘だから気をつけてエックス、ルイン!!』

エックス「エイリアが復元したファルコンアーマーもあるから大丈夫だ」

エイリア『ファルコンアーマーは急いで復元したけど…プログラムが不完全でフリームーブやチャージショットの性能が低下しているの、でもビームスピアは今まで通り使えるわ!!』

エックスはそう言われて即座にレプリカファルコンアーマーの性能チェックをする。

ヘッドパーツ…以前と同じ特殊武器エネルギー消費量が2/3。

ボディパーツ…ダメージを通常の1/2に抑え、ギガアタック・スピアショットウェーブが使用可能。

アームパーツ…チャージショットの威力と貫通力が低下、ビームスピア、特殊武器のチャージが可能。

フットパーツ…ホバー、バリアブルエアダッシュ使用可能、フリームーブ使用不可。

随分と性能がオリジナルと比べて弱体化したが、強力なアーマーには変わらない。

エックス「了解。とにかくメカニロイドを止めてみせる」

エイリア『そうね。先にある廃墟の入り口まで急いで!!』

言われるまでもない。
エックスはバスターからビームスピアを発現させ、Xブレードを構えながらルインと共に先へ進んだ。

ルイン「エックス、私は向こうへ行くから気をつけてね」

エックス「ああ、君もな」

別々に行動し、エックスは障害となるブロックをスピアとブレードで破壊し、順調に進んでいく。
途中でドリルを振り下ろすメカニロイドがいたが大した脅威にはならなかった。






























やがて騒動の元凶、巨大なメカニロイドのD-1000が存在する部屋に辿り着く。
そこには負傷したハンターが2人。

エックス「お前達、大丈夫か?」

「この先に…お、大型のメカニロイドが…電波障害が発生していきなり暴れ始めて…不覚にも傷を負ってしまいました…」

エックス「後は俺が調べる。お前達はハンターベースに戻るんだ。」

「分かりました。何かに取り付かれたように別物になっています。気をつけて…」

ゲートを潜るとD-1000の巨体が眼前を塞ぐ。
その巨体を操るコアが恐らくイレギュラーの弱点だろう。

エックス「これ以上犠牲を増やさないためにも…ここで処分する!!」

D-1000にソニックブームを喰らわせると、D-1000の背後にバリアブルエアダッシュで回るとブレードによる斬撃をコアに喰らわせる。
これの繰り返しでD-1000はあっさりと沈んだ。
しかしD-1000は停止する寸前で火を噴きながらエックスに襲い掛かる。

エックス「何!?まだ動けるのか!!?」

驚愕したエックスがブレードをチャージしようとした瞬間。
D-1000の巨体が真っ二つとなる。
エックスの目の前に流れる金髪、セイバーの攻撃、見違うことなき後ろ姿…。
直後、D-1000は爆音を上げて大破する。

エックス「ゼ、ゼロ!?何で…」

炎が上がった時、既に彼の姿は無かった。

エックス「今のは一体何なんだ…?」

呟いた瞬間、上空からただならぬ気配を感じた。

エックス「(何か…来る!!)」

巨大な漆黒の塊がゆっくりと降りてきたと思うと、それは宙に浮いてこちらを見据えた。
全身を黒で覆われたレプリロイド。
何者かエックスは知る由もなかった。

「やはりゼロナイトメアの仕業だったか」

エックス「誰だ、お前は!?」

「ハイマックス…そう呼ばれている。ゼロナイトメアを調べに来た」

エックス「何だって!ゼロナイトメアだと!?」

ハイマックス「お前らの目的は何だ?ゼロナイトメアを使って何を企んでいる?」

エックス「こっちが聞きたいくらいだ。あのゼロは一体?」

あれはゼロのような、ゼロではないような…。
あれは一体何者だろう?

ハイマックス「お前らは危険だ…処分する。死ぬがいい」

エックス「止めろ!何をする!?」

高電流の球体をエックスに放ち、その餌食にしようとする。
エックスはハイマックスの猛攻をバリアブルエアダッシュを駆使することで回避する。
チャージショットとフリームーブが弱体化したと言ってもレプリカファルコンアーマーの機動力は群を抜いており、大振りな攻撃をかわすなど造作も無い。

エックス「喰らえ!スピアチャージショット!!」

至近距離でスピアチャージショットをハイマックスのボディに直撃させるが傷1つつかない。

エックス「バスターが効かない!?」

いくら弱体化したとしても至近距離からのスピアチャージショットが効かないことに驚愕するエックス。

ハイマックス「デスボール…」

硬直したエックスに向けて巨大な球体が迫る。
回避は不可能と判断したエックスはチャージブレードで両断し、エアダッシュで距離を詰め、ビームスピアでハイマックスの胸部を狙う。
しかし、ビームスピアの刺突をもってしても傷1つつかない。
ハイマックスの剛腕が迫る。
エックスは咄嗟に距離を取ることで回避した。

エックス「(スピアチャージショットもビームスピアも効かない…ならチャージブレードで…)」

いくら頑強なレプリロイドでも弱所は存在する。
流石に間接部分までは防げないはずだ。
ブレードをチャージするエックスだが、ハイマックスは戦闘体勢を解いた。

ハイマックス「イレギュラーハンター…そんな物か…ゼロナイトメアは俺たちが処分する。お前らは邪魔だ。手出しするな」

ハイマックスはエックスに向けて言い放ち、現れた時と同じようにゆっくりと空を飛んで往った。

エックス「くっ、何て出鱈目なアーマーだ…。ダメージを全く与えられなかった…ハイマックスにゼロ…ナイト…メア…そういえば、さっき俺は ゼロの夢を?一体何が起こっているんだ?」

数々の疑問。
エックスの疑問に答える者はおらず、エックスは天を睨みつける。
こうして6度目の戦いが始まろうとしていた。 
 

 
後書き
オープニングステージ終了。

レプリカファルコンアーマー。
シグマとの戦いで大破したファルコンアーマーをエイリアが急遽復元した物。
急造品のためか、フリームーブとチャージショットが弱体化している。
しかし、この小説ではビームスピアとバリアブルエアダッシュ(X5編ではフリームーブがあったために多用されなかったが、ダッシュ後でもエアダッシュ可能)、ゆっくりと下降するホバーがあるため、バスターの威力に目をつぶればX6のアーマーの中で驚異的な機動力を誇る。
ソニックブームは弾速と射程が上昇している。
高い貫通力と多段ヒットし、ガードシェルバグの影響を受けるようにするから特殊武器チャージ可能とギガアタックの性能も相まって驚異の雑魚&中ボスキラーになるかもしれない。
あれ?ブレードアーマー必要なし?
性能はバスターが使えるモデルHやモデルHXみたいなもの。
 
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