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緋弾のアリア 夢見る夜の物語

作者:einhart800
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二話 妖精の日常

「キンちゃんは、無事だった?占ったらキンちゃんに不幸が訪れるって。」
白雪は少し涙目だ。
「あー、まあ、大丈夫だよ。キンジは強いし」
アリアも一緒だったから大丈夫だろう。ついでにこの事を白雪に言えばキンジに降りかかる災難が増えるだけだ。
「そういえば、白雪さん今日はどうだった?」
「え、え、な、何のこ、ことですか?」
「その様子だと。いつも通りか。」
「もしかして、久永くん。私達に気を使ってくれてるの?」
頬を赤めながら白雪がきく。
「結婚式招待してね。」
そう言うと顔をいっそう赤めて正面に向き直った。
「ねえねえ、久永さん。久永さんはどこから来たのー」
「久永さんって本当に久永くんの妹で大丈夫?」
「私達と友達になろー」
隣の席にクラスの女子が集まってくる。
「あ、あの、その、」
少し過ごしてわかったこと、こなみはとても人見知りのようだ。実際今の質問でも顔を俯かせオロオロしている。
助けを求めるようにおれに視線を送ってくる。助け舟を出した方がいいかなと思った時。白雪が立ち上がり、こなみの席に行く。
「みんなもう少し落ち着いて。久永さんが困ってるよ。」
「えー、ちょっと位いいじゃない。委員長」
「そう、これも転校生の宿命さ」
みんな白雪に言い返し離れようとしない。
「それでもだよ。」
先ほどよりも強く言う。集まって来た生徒たちは渋々自分の席に戻る。
こなみも安堵の息をつく。
「ごめんね。みんな転校生が珍しいみたいで。」
「いいえ、こちらこそ。ごめんなさいです。」
「それでもみんな優しいから。遠慮なく頼ってね。」
「はい」
どうやら仲良くなれたようだ。
「久永ー。」
席を変わってくれた塔寺がやってくる。こいつとは入学時から同じクラスでランクも近いことから良くパーティを組む仲だ。
「いやー。お前にこんな可愛い妹がいたなんてなぁ。紹介しろよな」
「うるさい。俺も驚いてる。この学校の緩さに。」
「まあ、常日頃ドンパチやってるとこだ。大したことには興味ないんだろうよ。」
「それよりも、今朝はメールありがとな」
「なに気にするな。俺とお前の仲だろ。」
「だな」
「夢夜さん」
会話をしているとこなみが入って来る。
「大丈夫だったか。」
「はい、星伽さんが助けてくれたので。」
「良かったな」
「はい。それでですね。夢夜さん。これどうしたらいいしょう?」
先程渡された用紙の一枚だ。どれを専行したらいいか迷っているのだろう。
「具体的にどんなのやるか分かるか?」
「..........わかりません。ごめんなさい。」
涙目になってしまった。そのせいか周囲からお前泣かせたなという視線が送られてくる。
「いや、泣かないでくれ。じゃあ、そうだ。お試し期間ということで放課後いろいろな学科を見学に行こうか?実際にどんなものか見ながら教えるよ。」
「はい!!!お願いします。」
少しして授業が始まる。授業についていけるか心配だったが。基本的な計算や字は書けるようだ。問題なのは別の方の記憶みたいだ。







放課後こなみを連れ、まず、強襲科へ向かった。
「えーっと。ここが強襲科主に突撃して悪い奴らを捕まえる学科だよ」
「あの、夢夜さん。なんで中に入らないのでしょうか?」
俺たちは強襲科の前にいる。
「少しまってね」
「はい」
数秒後派手な勢いで銃撃の音が病院響いてくる。また、模擬戦でもやっているのだろうか。
「俺のルームメイト曰く、もっともやばい学科だ。俺的にはここはお勧めしない。でも、一応教えておく」
こなみも震えている。
「隣には狙撃科があるんだ。ここほど物騒じゃないけど、危ないといえば危ないかな。じゃあ次行こうか」

「でここが、諜報科。潜入とか工作をするのを学ぶ。」
「そうなんですか。」
「言っておくが強襲科との相性は最悪だ。」
先程のことを思いだし軽く怯えている。
「隣にあるのは尋問科。綴先生が顧問の学科だよ。次に行こう。」
「尋問科は見学しないのですか?」
こなみが聞いてくる。
「いや、さぁ、俺の戦妹が今朝の奴らを尋問してるからさ。見学させるのも悪いかなって思ったんだよ。」
「そうですか。あと、アミカってなんですか?」
「戦妹っていうのは先輩と後輩で組むペアのことだよ。よくコンビを組んで事件を解決するんだよ」
こんな感じで他の学科を見て行った。




武偵校から少し離れた喫茶店で休憩をする。
「どう?学科は決まった?」
「ええ、探偵科か救護科がいいと思いました。」
こなみが照れながら言う。
そういえば、ここで言われたんだよな。困っている人を助けろと。実際こなみが来た訳だし。そろそろちゃんと聞いてみるかな。
「なぁ、こなみ。」
「はい。どうかしましたか?」
「こんなこと聞くのも悪いと思うけど。何か分かることはあるかな?君が追われていた理由とか。」
明るかったこなみの表情が曇る。無理もない、今日は今朝から忙しくて改めて考える余裕もなかったのだ。
「私が目覚めたのは、この近くの港でした。棺桶のような箱に入れられていたら。急に箱が開けられ。女の人に『逃げなさい。運命を変えたいのなら。』と言われたんです。よくわかりませんでしたが。私はその場から逃げ出しました。無我夢中で走っていたらあの道に。」
なるほど、こなみは誰かのところに運ばれる予定の荷物であり、それを別の誰かが邪魔したのだろう。輸送役の怪しさから考えるにまともな組織出ないことは明らかだ。
「ありがとう。少し、分かったよ。」
「いえ、お役に立てて良かったです。」
そんな話をしているとケータイがなった。相手は聖のようだ。
「どうした?綴妹」
「申し訳ありません。久永くん、目を離した隙に全員。」
「そうか、綴妹は、無事か?」
「はい、しかし、途中までの記録も抹消されています。私も危ないかもしれません。しばらく、連絡取れないと思うので、今、覚えていること、被害者の殺害状況を伝えます。」
「頼む」
俺は手帳をだしメモを準備する。
「まず、わかったこと。輸送者達は、イ・ウーという組織に依頼され少女を輸送していたようです。」
「イ・ウーか…続けてくれ」
「そして届け先がここ、武偵校だったらしいです。」
思わず息を飲む。
「それじゃあ、俺はまんまと代理で運んじまった訳か」
「いえ、そうではないです。元々は第二倉庫で渡す手はずだったらしいですが。」
第二倉庫では、別件が起きていた。
「チャリジャックか」
「はい。」
聖が頷く。
「以上がわかったことです。」
「ありがとう。というより、よくそんな重要なことがわかったな」
「重要なことから吐かせる。ダギュラの基本方針です。」 
 

 
後書き
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