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『自分:第1章』

作者:零那
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『秋の助け』

借用書は書いた。
店も辞めた。
雌豚ギャルは死んでない。
帰る場所は無い。

店長が、寮に居て良いよって。
甘えた。
あんなに帰りたく無かったのに。
今は引きこもってる。
矛盾。
クソチンピラの借金取りは無視。
もう渡す金やか無い。


メールだけが救いだった。
秋からのメール。
事情は知ってたらしい。
敢えて店には付いて行かんかったって。

一応ヤクザやし、舎弟の立場を無視して零那を助けたら何かあるやろ?
今は助けようにも動けんって。
母親の立場も利用して、どうにかしてくれようとしてるらしい。


助けて欲しいとは思わん。
そのせいで秋が大変な立場になっても困る。
迷惑かけたく無い。
罪のない他人の人生まで変えたく無い。


秋の心配するのは束の間だった。
クソチンピラが他の取り立てしよる間、お母さんと一緒に寮に来た。
マジでお母さん連れてくるとは思わんかった。


警察行った。
借用書は実名じゃ無いらしい。
よって、無効。
単なる紙切れ。
既に払った金額も返金可能だとか。
でも顔見たく無いし。

利息利息ばっかで元金払って無いし。
店辞めたとき、借用書書いたときに財布の中身は全部取られた。

通帳の金も全部渡した。
それでもトイチ以上の利息。
数日分の利息分くらいにしかならんかった。


秋、お母さん、警察で話した後、一緒に行ったのは組長宅。

秋のお母さん、組長と仲良し。
アイツを破門にしてくれって話した。
組長は『ヤクザの風上にもおけん!!!』って。
組長は呆れてたらしい。
余罪やかナンボでもあるって。
証拠もあるらしい。


逮捕成功。
何故かすぐに釈放。

秋から『俺も救われたし解放された』って頭下げられて困った。

いやいや自分何もしてないし。

『これからは俺が救うし守る!』って。


忠誠心を...愛の形を...って...


確かに、秋の優しさや正義で救われた。
守られた。
でも、想いは重かった。
毎日来てくれた。
いつも一緒。
それが苦しかった。


すぐに釈放されたクソチンピラ。
危険やから警護するって。
それが誠意やからって。


秋は何も悪くない。
実際何回も守ってくれた。

泣かれたら辛い。
大丈夫。
秋が抱く感情は愛なんかじゃ無い。
勘違いしてるだけ。


ユウに、辞めた報告だけはした。
寮には居るって。
でも、ユウは何かを察知したらしく、母さんの居る家の番号教えろって。
かけても無意味。

あんな奴が...
娘より男優先した奴が...
娘の為に何かをするわけ無い...

寮の住所も教えろって。
メールで送った。

日曜日、玄関がうるさかった。
釈放後の取り立てか...
秋か...
携帯見ても不在着信は無し。

一応、覗いてみた。
ユウが居った。
二度見した。
ホンマにユウだった。

 
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