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『自分:第1章』

作者:零那
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『約1ヶ月半後』

長い1日を何度も乗り越えた。
仕事も慣れた。
忙しかった。
指名、リピーター、売上...順調。

そんな時、客に間違いを犯された。
酔っぱらい。
普段は入店拒否。
でも、顔からは判断つかんかった。

隣に座るなり覆い被さってきた。
最初は、ふざけてるんやと思ってた。
でも挿入準備してる。
タイミング悪く、音楽はガンガン。
サービスタイム中。

挙手しても見えん。
テーブル蹴るにも届かん。
抵抗しようにも身動きひとつ無理。

もし、灰皿に手が届いてたら...
もし、ヒールを足から取る事が出来てたら...
もし、ナイフの入ったポーチに手が届いてたら...

此処は、間違いなく殺人現場になっただろうな。


二度と嫌!!
辞めたい!!

憎しみより恐怖。
堅く蓋をした遠い記憶が蘇る。

辞めたい辞めたい辞めたい...
頭ん中、其れしか無かった。


見廻り来た頃、コトは終わってた。
客も逃げるように帰った後。
零那は過呼吸の真っ最中。
意識朦朧。
呼吸困難寸前。

ボーイが焦って人工呼吸はじめた。
おいおい。
逆に危ないし。
って、朦朧とする意識の中で突っ込んでた。

店はカナリ忙しかった。
ボーイも必死に動いてた。
余裕が無かった。
解ってる。

悪いんは客自身や。

ボーイは何があったか察した。

人工呼吸のおかげか、二酸化炭素のおかげか、呼吸が落ち着いて来た。
出血もあった為、綺麗なおしぼりで拭いた後、下着を穿かせてくれた。
彼なりの気遣い...


此処で働いてる間、色んな客に出逢った。
高級貴金属、ブランド物、可愛いモノ、化粧品...女の子に貢ぐ客。
触らずに、お話メインの客。
毎回、居酒屋でテイクアウトにして持って来ては飲みがメインの客。
触ることが目的では無く、楽しみや癒しを求めてくる客。
店の使い方はそれぞれ客次第。


一方で、過剰サービスを求める客。
キスで唾液を入れてくる客。
指入れが雑で痛い客。
モノを無理矢理くわえさそうとする客。
ハンドサービスさそうとして無理矢理直接触らそうとする客。
モノを出す客。

跨がってるときに腰を持たれて無理矢理体勢と動きを強いられて素股させられたり。
摩擦で勝手にイッたり。
モノを出して、生のモノの上に乗らされたり。
無理矢理押し当て、挿入しようと下着をズラされたり。
唾液たっぷり付けて指入れしてきて、挿入を無理強いしてきたり。
クソみたいな客もいっぱい居た。


最初は客層こんな酷く無かった。
変わった。
何故か。
ギャルのせい。


まともにサービスするんが面倒とか、単純にヤリたいだけの盛った雌豚ギャルのせい。

下着は、紐パンやTバック、アソコ開いてるやつとか穿いて、跨がって対面座位で出来るようにしてる。

それで味しめた客や、それを見てた客、気付いた客が『俺も挿入してやる』って...


ボーイの見廻りも役に立たんなって来てた。
動きを止めれば乗ってるだけやもん。
挿入してるかしてないか解るワケない。


ギャルはそれでチップ貰って荒稼ぎしてた。
毎日のようにソープ行けって零那はキレてた。

店全体の客層が落ちたのはコイツ等のせい。
雌豚ギャルのせい。

そんな事実を知らんかった店長は衝撃を受けてた。
零那は固定客に相談してた。
リピーターさんは良い客ばっかりやった。
来てくれてる間は嫌な目に遭わんからって、良く来てくれた。

辞めたいってハッキリ店長に言った。
もう怖いって。
嫌やって。
本番の店ならともかく、此処は違うし。


店長が言う。
『優チャン来てから売上カナリ上がって助かってるんやけど...紹介料渡してるし期間がマダチョット...』

ん?
紹介料?
何ソレ...
貰ってるのは給料...

店長は慌てた。
『えっ!知らんの!?』
要は、シンさんが零那を売ったって事。

 
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